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那須 拓哉*; 藤田 善貴
エネルギーレビュー, 42(10), p.15 - 18, 2022/09
がんの検査等に利用されているテクネチウム-99m(Tc)は最も多用されている医用ラジオアイソトープであり、モリブデン-99(Mo)の核崩壊によって生成される。我が国ではMoの全量を海外原子炉での製造/輸入に依存している。しかし、海外原子炉の老朽化に伴う廃炉や不具合、自然災害による輸送トラブルなどにより、国産化による安定供給のニーズが高まっている。この状況を踏まえ、国内の加速器や原子炉等様々な施設でのMo製造が検討されている。この中で、国内事業用発電炉でのMo製造の可能性を探るため、既設PWRを用いた概念検討を実施している。本検討は、文部科学省国家課題対応型研究開発推進事業原子力システム研究開発事業「国内の原子力インフラを活用した医用RIの自給技術確立に向けた研究開発」の中で、令和2年度より「放射化法によるMo製造プロセスの軽水炉(PWR)への適用性の検討」として取り進めているものである。本稿では、Mo生成プロセス,Mo供給プロセス,Mo回収プロセスの3つのプロセスに必要な技術開発状況について述べる。
西方 香緒里; 関 美沙紀; 藤田 善貴; 武内 伴照; 井手 広史; 土谷 邦彦; 那須 拓哉*; 高橋 静香*; 小林 一太*; 高木 直行*
no journal, ,
Moは、医療診断用放射性核種として使用されるTcの親核種である。このMoは、ウランの核分裂を利用した核分裂法((n,f)法)で生成される。しかしながら、(n,f)法では、原子力規制や核不拡散の観点から、多大な設備投資が必要となることから、日本ではMoの中性子捕獲反応を利用した放射化法((n,)法)によるMo製造の国産化を目指している。本研究は、発電炉であるPWRを用いた(n,)法によるMo/Tc製造の実用化のための技術開発を行った。本発表では、これまで検討してきた要素開発から、実用化のための製造プロセスを確立するために必要な基礎試験結果を踏まえた照射ターゲットの溶解処理装置及び使用済Mo溶液を用いたMoOリサイクル装置の概念設計を行うとともに、(n,)法におけるTc製造コストに係る概略評価を行い、実現性に向けた更なる検討課題について報告する。