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片山 芳則; 服部 高典; 福井 宏之*; 野澤 暁史*; 舟越 賢一*
no journal, ,
液体の水は、水分子が水素結合によるネットワーク構造を作るため、特異な性質を示す。このような4配位が基本となった隙間の多い構造は、加圧によって密な構造へと変化することが期待される。われわれは、超高圧下の水の構造を調べるため、大型放射光施設SPring-8で高温高圧X線回折実験を行っている。前回は、ビームラインBL14B1に設置されているキュービック型マルチアンビルプレスを用いたX線回折実験から、水の構造が数GPaの領域で、剛体球モデルで近似できるような構造へと変化することを報告した。今回は、ビームラインBL04B1に設置されている2段加圧式の川井型プレスを用いて、圧力の上限を約17GPaまで拡張した回折実験を行った。比較的大きな試料(直径1.5mm)を使うことによって、超高圧力下においてもバックグラウンドが小さく、S/Nの高いデータを収集することができた。常圧の水は構造因子に約2Aと約3Aの二つの極大を持つ。加圧とともにこの極大は近づき、単純な液体のような1本の鋭く大きなピークになる。さらに加圧すると、このピークの位置は次第にの大きな方向へと移動する。数GPa以下では、密度の上昇は主として配位数の増加によるが、それより高い圧力では分子間距離の減少によることがわかった。
片山 芳則; 服部 高典; 福井 宏之*; 野澤 暁史*; 舟越 賢一*
no journal, ,
常温常圧の液体の水は、水分子が方向性を持つ水素結合によってネットワーク構造を作るため、他の分子性液体とは違った特異な性質を示す。このような4配位構造が基本となった隙間の多い構造は、加圧によって密な構造へと変化すると期待される。われわれは前回に引き続き、より高い圧力までの構造変化を調べるため、放射光を用いたX線その場観察実験を行った。これまでのSPring-8のBL14B1に設置されたキュービックマルチアンビルプレスを用いたX線回折測定に加え、BL04B1の川井型の2段式プレスを用いることによって約17GPaまでの測定に成功した。直径1.5mmの比較的大きな試料を用いることによって、バックグラウンドの低い質の良いデータを得ることができた。常圧の構造因子S(Q)は2Aと3Aに二つの極大を持つ。圧力を加えると、これらの極大は融合し、単純な液体の構造因子に似た一つの鋭いピークになる。さらなる加圧によって、このピークはQの高い方向へと移動する。密度の増大は、数GPaまでは配位数の増大によるものだが、それ以上の圧力では、分子間距離の減少によって引き起こされることが明らかになった。