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論文

Anaerobic methane-oxidizing activity in a deep underground borehole dominantly colonized by $$Ca.$$ Methanoperedenaceae

西村 大樹*; 幸塚 麻里子*; 福田 朱里*; 石村 豊穂*; 天野 由記; 別部 光里*; 宮川 和也; 鈴木 庸平*

Environmental Microbiology Reports (Internet), 15(3), p.197 - 205, 2023/06

 被引用回数:1 パーセンタイル:59.23(Environmental Sciences)

地下深部の地下水は、微生物活動などにより酸素が消費され、一般に還元性になっている。幌延の深部地下水では、微生物活動による二酸化炭素還元反応により強還元雰囲気が維持されている。一方で、幌延深地層研究センター地下研究施設の一部のボーリング孔では、嫌気的環境にも関わらずメタン酸化機能を持つ微生物の存在が明らかにされている。局所的ではあるものの、地下深部の強還元雰囲気において進行する酸化反応機構の解明を目的として、本研究では、原位置の水質・水圧を模擬し、この嫌気的メタン酸化微生物の培養を行った。その結果、地下水中の懸濁物に含まれる非晶質鉄あるいは2八面体型スメクタイトに含まれる3価鉄が酸化剤として機能していることが分かった。このような酸化剤が地下深部に存在する要因の一つとして、ボーリングの掘削泥水などの掘削に伴う人為的影響が挙げられる。高レベル放射性廃棄物の地層処分において閉鎖後の処分場坑道周辺の酸化性環境は、周辺母岩中の鉱物との反応等により本来の還元性に戻ると考えられている。本研究で得られた知見は、この処分場閉鎖後の回復過程についてより正確な理解に繋がる成果である。

論文

Isotopic signals in fracture-filling calcite showing anaerobic oxidation of methane in a granitic basement

水野 崇; 鈴木 庸平*; Milodowski, A. E.*; 岩月 輝希

Applied Geochemistry, 150, p.105571_1 - 105571_11, 2023/03

 被引用回数:1 パーセンタイル:62.05(Geochemistry & Geophysics)

地下水中における嫌気的メタン酸化(AOM)は、地下水の酸化還元条件と炭素循環の両方に影響を及ぼすものの、地層処分の母岩となりうる結晶質岩を対象とした研究例は少ない。そのため、本研究では、日本の中央部に分布する土岐花崗岩の割れ目に産出する二次鉱物である方解石を対象に、炭素と酸素の安定同位体組成に着目した古水理地質学的研究を実施した。その結果、酸素同位体組成($$delta$$$$^{18}$$O$$_{VPDB}$$: -32.7‰$$sim$$ -0.59‰)から、方解石を析出させた地下水は熱水由来の地下水、地表から浸透した淡水、海進時に侵入した海水であることが明らかとなった。一方、炭素同位体組成$$delta$$$$^{13}$$C$$_{VPDB}$$: -56.6‰$$sim$$ +6.0‰)は、熱水,淡水,海水由来のDICの炭素同位体組成の範囲(-25‰$$sim$$ +2‰)より広い範囲に分布していた。-25‰より軽い$$delta$$$$^{13}$$C$$_{VPDB}$$を持つ方解石はAOMから供給されたDICを起源として沈殿したと考えられ、+2‰より重い$$delta$$$$^{13}$$C$$_{VPDB}$$を持つ方解石はメタン生成時に$$^{13}$$Cが濃縮したDICを起源として沈殿したと考えられる。北欧における先行研究とは異なり、瑞浪のAOM方解石は淡水環境で沈殿したものであり、結晶質岩の深部では様々なプロセスによりAOMが生じる可能性があることが示された。このような幅広い環境下での炭素循環を理解することは、地層処分システムの長期的な安全性を評価する上で重要な知見を提供できると考えられる。

論文

Ecological and genomic profiling of anaerobic methane-oxidizing archaea in a deep granitic environment

伊能 康平*; Hernsdorf, A. W.*; 今野 祐多*; 幸塚 麻里子*; 柳川 克則*; 加藤 信吾*; 砂村 道成*; 広田 秋成*; 東郷 洋子*; 伊藤 一誠*; et al.

ISME Journal, 12(1), p.31 - 47, 2018/01

 被引用回数:49 パーセンタイル:91.33(Ecology)

岐阜県瑞浪市の超深地層研究所において、深度300メートルの地下水を地下坑道から採取し、地下微生物の生態系を調査した。その結果、花崗岩深部でマグマ由来のメタンに依存した微生物生態系が存在することを明らかにした。

論文

Potential for microbial H$$_{2}$$ and metal transformations associated with novel bacteria and archaea in deep terrestrial subsurface sediments

Hernsdorf, A. W.*; 天野 由記; 宮川 和也; 伊勢 孝太郎; 鈴木 庸平*; Anantharaman, K.*; Probst, A. J.*; Burstein, D.*; Thomas, B. C.*; Banfield, J. F.*

ISME Journal, 11, p.1915 - 1929, 2017/03

AA2016-0002.pdf:2.21MB

 被引用回数:89 パーセンタイル:95.92(Ecology)

地層処分システムにおける微生物影響の可能性を評価するために、北海道の幌延深地層研究センター地下施設を利用して、堆積岩地下の生態系における微生物群集構造と代謝機能について調査を行った。全体として、微生物生態系は多様な系統群からなる微生物種で構成されており、その多くはこれまで培養されていない生物門に属していることが示された。大部分の微生物種は、酸化型[NiFe]ヒドロゲナーゼあるいはフェレドキシンをベースとする代謝経路を可能にする電子分岐型[FeFe]ヒドロゲナーゼを介して水素代謝をおこなうことが明らかになった。水素代謝と関連して、多くの微生物が炭素,窒素,鉄および硫黄を代謝することが推定された。特に、ANME-2dというメタン酸化を行う古細菌として知られている未培養微生物が、鉄関連の代謝反応を行う可能性が示唆された。得られた結果から、幌延堆積岩環境における微生物群集の生態学的概念モデルを推定した。

論文

Age and speciation of iodine in groundwater and mudstones of the Horonobe area, Hokkaido, Japan; Implications for the origin and migration of iodine during basin evolution

東郷 洋子*; 高橋 嘉夫*; 天野 由記; 松崎 浩之*; 鈴木 庸平*; 寺田 靖子*; 村松 康行*; 伊藤 一誠*; 岩月 輝希

Geochimica et Cosmochimica Acta, 191, p.165 - 186, 2016/10

 被引用回数:28 パーセンタイル:73.1(Geochemistry & Geophysics)

ヨウ素の地層中での移行挙動を理解するうえで、化学状態(価数及び局所構造・結合状態)を把握することは重要である。ヨウ素は環境中で一般的には陰イオンの形態を取りやすく、地層への収着性が低い元素であるとともに、陰イオンの他にさまざまな化学形態をとり、各形態で挙動が異なるため、移行挙動の予測は極めて難しい。そこで、本研究では固液両相の化学形態を分析し、表層土壌圏及び地下岩石圏でのヨウ素の挙動解明を試みた。その結果、有機物が熟成される過程でヨウ素イオンが地下水中に溶出されることが示唆された。また、表層で有機態として固相へ分配されたヨウ素は、深層で無機態となって液相へと溶出するが、一部は有機ヨウ素として固相に残ることが明らかとなった。

論文

A New view of the tree of life

Hug, L. A.*; Baker, B. J.*; Anantharaman, K.*; Brown, C. T.*; Probst, A. J.*; Castelle, C. J.*; Butterfield, C. N.*; Hernsdorf, A. W.*; 天野 由記; 伊勢 孝太郎; et al.

Nature Microbiology (Internet), 1(5), p.16048_1 - 16048_6, 2016/05

 被引用回数:1209 パーセンタイル:99.97(Microbiology)

生命の系統樹は生物学において最も重要な中心テーマの一つである。遺伝子調査によると、莫大な数のブランチの存在が示唆されているが、フルスケールに近い系統樹でさえわかりにくいのが現状である。本研究では、これまでに報告されてきた配列情報に加えて、新たに取得した未培養生物のゲノム情報を用いて、バクテリア,アーキア,真核生物を含む系統樹を更新した。系統樹の描写は、全体的な概容とそれぞれの主要な系統における多様性のスナップショットの両方について行った。その結果、バクテリアの多様化の優勢性が示され、培養されていない生物種の重要性とともに主要な放射構造においてそれらの生物種の重要な進化が集中している現象が強調された。

論文

Deep microbial life in high-quality granitic groundwater from geochemically and geographically distinct underground boreholes

伊能 康平*; 今野 祐多*; 幸塚 麻里子*; 廣田 明成*; 東郷 洋子*; 福田 朱里*; 小松 大介*; 角皆 潤*; 田辺 章文*; 山本 智*; et al.

Environmental Microbiology Reports (Internet), 8(2), p.285 - 294, 2016/04

 被引用回数:26 パーセンタイル:68.59(Environmental Sciences)

瑞浪超深地層研究所の深度300mの花崗岩中の地下水を対象として、ボーリング孔を利用した微生物特性の調査を行った。ボーリング孔から得られた地下水は、当初、好気性の水素酸化に関わるHydrogenophaga spp.が優勢種であったが、3年後にはNitrospirae門の微生物が優勢種となった。後者の微生物種は系統学的に深部地下水や陸域の温泉水において観察される種であり、この地域の土着の微生物種と考えられた。

論文

Formation and geological sequestration of uranium nanoparticles in deep granitic aquifer

鈴木 庸平*; 向井 浩樹*; 石村 豊穂*; 横山 高富*; 坂田 修平*; 平田 孝文*; 岩月 輝希; 水野 崇

Scientific Reports (Internet), 6, p.22701_1 - 22701_6, 2016/03

 被引用回数:14 パーセンタイル:49.58(Multidisciplinary Sciences)

微生物による6価ウランの4価ウランへの還元固定法は、汚染水の安価な浄化方法として知られている。その反応は一般的に5ナノメーター以下のウラン粒子で起こる。本研究では、花崗岩中の割れ目を充填する炭酸塩鉱物において、4価のウランからなるコフィナイト粒子の観察を行った。その結果、普遍的な現象として微生物による炭酸塩鉱物の形成時に、炭酸塩鉱物と4価ウランナノ粒子の共沈が起こっている可能性が考えられた。このような現象は、放射性廃棄物の地層処分に関連して汚染水中の放射性核種やウランの長期隔離に寄与すると考えられる。

論文

Biogeochemical signals from deep microbial life in terrestrial crust

鈴木 庸平*; 今野 祐多*; 福田 朱里*; 小松 大介*; 廣田 明成*; 渡邊 勝明*; 東郷 洋子*; 森川 徳敏*; 萩原 大樹; 青才 大介*; et al.

PLOS ONE (Internet), 9(12), p.e113063_1 - e113063_20, 2014/12

 被引用回数:12 パーセンタイル:34.33(Multidisciplinary Sciences)

土岐花崗岩が対象として掘削された深層ボーリング孔において、深部地下水中の微生物特性の調査を行った。その結果、低硫酸濃度環境下において、微生物的硫酸還元に伴う硫黄同位体分別が認められた。また、硫黄同位体分別の大きな同位体比および炭素同位体比は、メタン生成菌の活性が低いことを示唆した。これらの特徴は、低栄養環境である深部火成岩中の微生物生態系の特徴と考えられた。

論文

Size and elemental analyses of nano colloids in deep granitic groundwater; Implications for transport of trace elements

斉藤 拓巳*; 鈴木 庸平*; 水野 崇

Colloids and Surfaces A; Physicochemical and Engineering Aspects, 435(Sp.IAP2012), p.48 - 55, 2013/10

 被引用回数:20 パーセンタイル:47.03(Chemistry, Physical)

瑞浪超深地層研究所の深度300mから採取した地下水中のコロイドのサイズ分布を把握するため、流体流動場分画法を用いた研究を行った。比較的低濃度に分布するコロイドを分析するため、限外ろ過、大規模なインジェクションループ及びスロットフローにより濃縮し、分析を行った。無機もしくは有機コロイドはUV/Vis及び蛍光検出器、さらには誘導結合プラズマ質量分析装置を流体流動場分画装置と接続し分析した。その結果、ランタニド(La, Ce, Eu, Lu)やアクチニド(U, Th)、重金属元素(Cu, Zn, W)といった元素がサイズ依存性を持って分布していることがわかった。

論文

放射性廃棄物の地層処分における国内の地下水コロイド研究の現状と今後の展開

長尾 誠也*; 新堀 雄一*; 田中 忠夫; 佐々木 隆之*; 斉藤 拓巳*; 桐島 陽*; 吉川 英樹; 飯島 和毅; 濱 克宏; 岩月 輝希; et al.

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 20(1), p.3 - 14, 2013/06

本研究は、放射性廃棄物の地層処分における国内の地下水コロイドの影響評価研究の現状について各研究機関での研究を紹介し、実質的なネットワーク化と性能評価におけるコロイド影響の取り扱い方等について、今後の研究の方向性に関する提案を取りまとめた。具体的には、地下水コロイドの特性、地下環境における真性コロイドや擬似コロイドの移行挙動、国内における地下水コロイド研究の取り組み、コロイド評価の体系化、フィールド調査と実験室研究の連携、研究ネットワーク構築の必要性などについて解説するとともに、コロイド研究を展開するにあたって専門家が共有化しておくべき方向性を示した。

論文

Geomicrobiological properties of ultra-deep granitic groundwater from the Mizunami Underground Research Laboratory (MIU), Central Japan

福田 朱里*; 萩原 大樹; 石村 豊穂*; 幸塚 麻理子*; 井岡 聖一郎*; 天野 由記; 角皆 潤*; 鈴木 庸平*; 水野 崇

Microbial Ecology, 60(1), p.214 - 225, 2010/05

 被引用回数:29 パーセンタイル:65.76(Ecology)

花崗岩深部においても微生物の生態系がみられることが知られているが、そのバイオマスや生物多様性,代謝活性を制限する地球化学的要因は明らかになっていない。今回、筆者らは地球化学特性と微生物学特性の関連性を明らかにするため、2005年及び2008年に瑞浪超深地層研究所(MIU)用地内に掘削されたMIZ-1号孔より深度1,169m地点において採取された地下水試料の生物地球化学的特性の調査を行った。化学分析の結果、いずれの試料においても酸素や硝酸,硫酸等の電子受容体は乏しいものの、有機酸を含まない有機炭素に富むことがわかった。いずれの地下水においても、優占する微生物種は、芳香族や脂肪族炭化水素のような利用されにくい電子供与体を利用可能な${it Thauera}$属に属する微生物であることがわかった。複数のエネルギー源や電子受容体を添加した3$$sim$$5週間の培養試験では、培養試験の条件にかかわらず、優占種が${it Brevundimonas}$属へと変化した。これらの生物地球化学調査の結果から、MIU深部では、酸素や硝酸の電子受容体と有機酸が乏しいことから${it Thauera}$属が優占する環境が保持されていると考えられる。

口頭

Biogeochemical investigations of redox states of groundwater from sedimentary and granitic rocks at the Mizunami Underground Research Laboratory (MIU) site

福田 朱里*; 鈴木 庸平*; 伊藤 一誠*; 水野 崇; 天野 由記; 萩原 大樹; 濱 克宏

no journal, , 

深部地下環境における酸化還元状態を支配する要因とそのプロセスを把握するため、瑞浪超深地層研究所用地内に掘削されたボーリング孔から採取した地下水を対象として、微生物学的調査を実施した。その結果、地下水中のコハク酸が微生物に栄養を供給する主要な電子供給体として機能している可能性が明らかとなった。

口頭

瑞浪超深地層研究所における地球化学分野でのJAEA/AIST共同研究,1; コロイドに関する研究

水野 崇; 鈴木 庸平*; 福田 朱里*; 萩原 大樹; 伊藤 一誠*

no journal, , 

有機物や微生物,コロイドは微量,微小な物質であるため、ボーリング孔掘削時や試料採取時の汚染の影響を受けやすく、原位置における特性評価手法の有効性は確立されていない。そこで、日本原子力研究開発機構と産業技術総合研究所は、深部地下環境に存在する有機物,微生物及びコロイドを対象とした調査研究を行い、その過程で適用もしくは開発された調査・解析・評価手法の有効性を確認することを目的として、瑞浪超深地層研究所において共同研究を実施している。本研究では、研究所用地内から採取した地下水を嫌気条件を維持しつつろ過可能な手法を構築し、コロイドに関する研究を行った。その結果、地下水中の一部の金属元素が溶存イオン以外の状態で存在していることが示唆された。また、微量金属元素の分析結果では、使用した機材からの金属元素の溶出や、試料の採取及び保存過程における変質等が認められなかったことから、本研究で用いた手法が適切であったと考えられる。一般的に、コロイドに付着した金属元素は遅延効果が少ないことが想定されているため、今後はより詳細に検討を行う必要がある。

口頭

瑞浪超深地層研究所における地球化学分野でのJAEA/AIST共同研究,2; 生物地球化学特性に関する研究

福田 朱里*; 萩原 大樹; 石村 豊穂*; 幸塚 麻理子*; 伊藤 一誠*; 角皆 潤*; 鈴木 庸平*; 水野 崇

no journal, , 

地下水の酸化還元電位(Eh)を測定については、安定した測定値を得るまでに長期間要することや、地下水採取時の脱ガス等の化学的な変化によるEhの変化が指摘されている。他方、地下水中の微生物は、地下水中に供給される還元剤・酸化剤を用いた酸化還元反応を利用して生息しているため、代謝活性様式から酸化還元環境を推定できる可能性がある。そのため、Ehの測定に関する不確実性を低減することを目的として、生物化学的な観点から酸化還元環境を測定する研究を日本原子力研究開発機構と産業技術総合研究所が共同で行った。本研究では、採取した地下水試料のEhを従来の電極法で測定するとともに、微生物の代謝活性様式から酸化還元環境を推定した。その結果、電極法による測定結果と微生物の代謝活性様式から推定される酸化還元環境は整合的な結果を示しており、本研究で用いた生物化学的手法により、Ehの測定結果に対する不確実性を低減させることが可能であると考えられる。今後は、生物化学的な擾乱を避けるための試料採取方法等を含めて、本手法の体系化を進める予定である。

口頭

地下深部環境のBIO-NANO-GEO Science; 瑞浪超深地層研究所における試み

鈴木 庸平*; 福田 朱里*; 幸塚 麻理子*; 石村 豊穂*; 角皆 潤*; 萩原 大樹; 水野 崇

no journal, , 

微生物の代謝活動はナノスケールの産物を媒体として、物質循環に影響を及ぼすと幅広く認識されるが、地下深部での実態は明らかでない。本研究では、地上から掘削されたボーリング孔(MIZ-1号孔:掘削長約1300m)を対象に、深度約1150メートルの花崗岩体から採取された地下水試料を調査した。結果の概要として、(1)塩化物イオン濃度が海水の10分の1程度の深層地下水は、電子供与体として約1mMの生成起源不明のメタン($$delta$$$$^{13}$$C=-25.9‰)と溶存有機物を1.2ppm含み、二酸化炭素以外の主要な電子受容体に乏しいこと、(2)全菌数は5$$times$$10$$^{4}$$細胞・ml$$^{-1}$$でDNAに基づく群集構造解析の結果、難分解性の芳香族炭化水素をエネルギー源にするThauera属の微生物が優占すること、(3)ナノスケールの鉄・シリカを含有する粒子に微生物細胞が共存していることが明らかになった。

口頭

深部地質環境における水-岩石-微生物相互作用に関する調査技術開発

伊藤 一誠*; 鈴木 庸平*; 福田 朱里*; 幸塚 麻理子*; 水野 崇; 萩原 大樹

no journal, , 

瑞浪超深地層研究所において産業技術総合研究所と「深部地質環境における水-岩石-微生物相互作用に関する調査技術開発」とした共同研究を実施している。本共同研究では、地下深部に存在する微生物の物理的・化学的特性及び微生物が地球化学環境の形成に与える影響とプロセスを把握するための手法について、これまでの知見をとりまとめ、天然の地質環境に適応可能な調査手法を体系的に構築することを目的としている。これまでに代謝活動に利用されるエネルギー源と酸化剤の測定と微生物群集構造解析を組合せた調査手法を適用し、地下深部での微生物の存在状態を把握するための調査を実施した。その結果、従来の一般的な地下水の化学分析に加えて、溶存ガス及び有機酸の分析を実施することで、地下微生物の栄養源が特定できることやそれらの栄養源を添加した培養実験を行うことで、原位置での微生物の生物化学的な反応を把握することが可能となることを示すことができた。

口頭

新型動的注入システムの開発,2; 高水圧下の岩盤における動的注入原位置実証試験

鵜山 雅夫*; 野田 正利*; 納多 勝*; 長谷川 宏*; 松井 裕哉; 鈴木 庸平*; 浜子 正*; 田中 裕治*

no journal, , 

動的注入工法は、注入圧力に強制的に波状に脈動を加えることにより注入の抵抗となるグラウトの見かけの粘性を低下させて、流動性の向上と目詰まりの抑制を図り、細かい割れ目へのグラウト注入効果を高めるものである。本報では、瑞浪超深地層研究所地下坑道におけるボーリング掘削で必要な止水対策として、前報(その1)の動的注入システムによるグラウチングを試行し、高水圧下での実用性と有用性を確認した結果について述べる。なお、本実証試験は産業技術総合研究所が日本原子力研究開発機構との共同研究において、原子力安全・保安院からの委託業務である「平成21年度地層処分にかかわる地質情報データの整備」の委託費により掘削したボーリング孔において行った。

口頭

A Study of colloids in deep groundwater using spectroscopic analysis

山本 祐平; 青才 大介; 水野 崇; 渡邊 克晃*; 小暮 敏博*; 鈴木 庸平*

no journal, , 

コロイドは元素のキャリアとして重要な役割を持つが、地下水中のコロイドに関する研究は、回収・分析手法の問題のために、例が少ない。本研究は地下水中のコロイドの化学的特徴を把握するための手法開発を目的とした。地下水は瑞浪超深地層研究所内の2つのボーリング孔より採水し、被圧・嫌気状態を保持したまま限外ろ過を行う手法を用いてコロイドを回収した。電子線,赤外線,X線を利用した分光分析を用いてコロイドの化学的特性を分析した。その結果、本研究の手法を用いることでコロイドに含まれる元素の組成,元素の化学状態,有機物の特性の把握が可能であることが示された。またコロイド中の鉄の化学状態を詳細に分析することで、ボーリング孔掘削時の人為的影響の程度を評価できることも示された。本研究で開発した手法はコロイドの化学的特性の把握に関して有効である。

口頭

瑞浪超深地層研究所における花崗岩地下水中の微生物群集構造と代謝活性の深度変化

福田 朱里; 幸塚 麻理子*; 青才 大介; 萩原 大樹; 水野 崇; 鈴木 庸平*

no journal, , 

近年の分子系統学研究により、地層処分の対象となるような深部地下環境においてさまざまな微生物が生息し、その中には培養可能な近縁種が存在しない生理学的特性が未解明な微生物種が含まれていることが知られている。これら地下微生物の原位置における代謝様式・速度を明らかにするため、瑞浪超深地層研究所において深度別に採取した花崗岩中の地下水試料(深度99, 200, 300, 725, 1169m)を用いて、地下水の化学分析及び微生物群集構造解析と合わせて代謝活性実験を行った。地下水の化学分析では、全試料で溶存酸素,硝酸・亜硝酸イオン,有機酸濃度は検出限界以下であった。そのため、地下水の濃縮により微生物細胞と溶存成分の濃度をあげることで、短期間での高感度代謝活性実験を可能にした。その結果、花崗岩とそれを被覆している堆積岩の境界近傍の深度99mの微生物代謝活性が最も高く、それ以深は深度とともに低くなる傾向がみられた。また、微生物群集構造解析では深度に伴う優占微生物の遷移がみられ、深度99mと200mにおいて優占していた未知微生物については、代謝様式は不明であるが、代謝速度が遅いと推察された。

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