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鈴木 慎悟*; 白井 稔三; 島倉 紀之*
Physica Scripta, T92, p.438 - 440, 2001/07
リチウムイオンと、ベリリウムから酸素までのイオンとの低エネルギー衝突における電荷移行断面積を、分子基底に基づいた緊密結合法によって求めた。LiイオンとC,Oイオンとの衝突における断面積は、入射イオンの電荷が同じであるため、高エネルギー側では同じ傾向を示したが、低エネルギー側では内殻電子の影響が現れた。また、LiイオンとBeイオンの衝突においては、ある励起チャンネルと電荷移行チャンネルに対するエネルギー準位が低く、断面積がほぼ同じになることがわかった。
森林 健悟; Zhidkov, A. J.*; 佐々木 明; 周藤 佳子; 鈴木 慎悟*
Atomic Collision Research in Japan, No.27, p.1 - 3, 2001/00
短パルス高強度レーザーを数nmの大きさの巨大クラスターに照射することにより高温高密度電子状態を生成することが予測されている。この電子の衝突電離により内殻励起状態を形成し、X線を発生する。特に、クリプトンやゼノンのような高い電子番号の原子のクラスターの場合は、短波長X線が発生し、短波長X線源やX線レーザー源として注目されている。ここでは高温高密度状態でのゼノンイオンの多価イオン及び、内殻励起状態の生成過程に関して考察する。電子温度を数keV,電子密度を10~10/cmとする。考慮した原子過程としては電子衝突励起・電離,自動イオン化,輻射遷移である。この条件のもとでニッケル様ゼノンイオンを初期状態とし、電子衝突で電離し、数100fs後の内殻励起状態などのカルシウム様ゼノンイオンのポピュレーションを計算した。ポピュレーションの密度,温度依存性を調べた。ポピュレーションは密度と比例して増加するが、10cmのとき約100fsで飽和すること、また、温度とともに増加するが、10keVを超えると温度依存性がなくなることがわかった。内殻(1s,2s,2p,3s,3p)電離過程を含む場合と含まない(3d電子だけが電離する)場合を計算した結果、前者のポピュレーションの方が三桁程度大きくなり、高温高密度電子状態では内殻電離過程が多価イオン生成に重要であることを発見した。
島倉 紀之*; 鈴木 偉之; 櫻井 義信*; 鈴木 慎悟*; 季村 峯生*; 白井 稔三
Physica Scripta, T92, p.410 - 414, 2001/00
B(q=1~5)イオンをヘリウム原子に衝突させたときに起こる電荷移行断面積、及び励起断面積の計算を、緊密結合法によって行った。衝突エネルギー領域は1eV/amu~20keV/amuである。これらの系の中でBイオン衝突に対しては、多くの研究がなされてきており、これらすべてに対して全断面積は本計算とよく一致していた。またほかの系については研究例があまり多くないが、全断面積が一致しているものが多い。Bイオン衝突に対しては、従来の計算には取り込まれていないBイオンの励起準位を考慮しており、ほかの計算値よりも断面積が大きくなった。
森林 健悟; Zhidkov, A. G.; 佐々木 明; 周藤 佳子; 鈴木 慎悟*
Proceedings of 2nd International Conference on Inertial Fusion Sciences and Applications (IFSA 2001), p.1182 - 1185, 2001/00
短パルス高強度レーザーを数nmの大きさの巨大クラスターに照射することにより高温高密度電子状態を生成することが予測されている。この電子の衝突電離により内殻励起状態を形成し、X線を発生する。特に、クリプトンやゼノンのような高い原子番号の原子のクラスターの場合は、短波長X線が発生し、短波長X線源やX線レーザー源として注目されている。ここでは高温高密度状態でのクリプトン,ゼノンイオンの多価イオン及び、内殻励起状態の生成過程,内殻励起状態から発生する短波長X線発生に関して考察する。電子温度を数keV,電子密度を10~10/cmとする。考慮した原子過程としては電子衝突励起・電離,自動イオン化,輻射遷移である。この条件のもとでニッケル様イオンを初期状態とし、電子衝突で電離し、数100fs後の内殻励起状態などのポピュレーションを計算し、それからのX線発生のスペクトルを求める。ゼノンイオンに対して内殻(1s,2s,2p,3s,3p)電離過程を含む場合と含まない(3d電子だけが電離する)場合を計算した結果、前者のポピュレーションの方が三桁程度大きくなり、高温高密度電子状態では内殻電離過程が多価イオンに重要な役割を演じることがわかった。クリプトンクラスターの場合は、ナトリウム様やネオン様イオンのポピュレーションが大きくなることが観測されているが、基底状態のナトリウム様クリプトンイオン(1s2s2p3s)では内殻2p電子の電離断面積は最外殻3s電子の電離断面積よりも非常に大きく、ネオン様イオンでは2pの内殻励起状態と基底状態の間に反転分布を形成する可能性がある。
熊谷 晃*; 久保 博孝; 竹永 秀信; 鈴木 慎悟; 清水 勝宏; 朝倉 伸幸; 嶋田 道也
Plasma Physics and Controlled Fusion, 42(5), p.529 - 543, 2000/05
被引用回数:13 パーセンタイル:39.66(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uのダイバータ領域から放射されるD線のスペクトラルプロファイルの空間的変化を高分解能可視分光器を用いて測定し、中性粒子輸送コードを用いて解析した。その結果、D線の放射は、ダイバータ板付近ではおもに重水素分子及び分子イオンが解離励起することに起因し、一方ダイバータの上流では解離によって生成された重水素原子の電子衝突励起に起因することを明らかにした。また、上流ではダイバータ板での反射及び荷電交換によって生成された重水素原子の電子衝突励起に起因する放射成分も増加し、そのためにD線のスペクトラルプロファイルが広くなることがわかった。さらに、プラズマ条件(ELMyHモード、比接触ダイバータ、MARFE)によるD線のスペクトラルプロファイルの変化を初めて系統的に調べた。
及川 聡洋; 牛草 健吉; Forest, C. B.*; 根本 正博; 内藤 磨; 草間 義紀; 鎌田 裕; 飛田 健次; 鈴木 慎悟*; 藤田 隆明; et al.
Nuclear Fusion, 40(3Y), p.435 - 443, 2000/03
被引用回数:41 パーセンタイル:75.03(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60UにおいてNNBの加熱、電流駆動特性の研究を行った。ビーム粒子の電離過程が多段階電離モデルで説明できることを実験的に示した。また、プラズマ平衡解析からプラズマ内部での電界分布を求め、NNB駆動電流分布を同定した。理論予測とおりの中心ピークした分布であることがわかり、駆動電流量は0.6MAに達した。また電流駆動効率が、ビームエネルギー及び電子温度とともに増大することを明らかにした。また、NNB加熱が主体(70%)で、Hモード遷移が得られることを確認した。このときELMy中でHファクター1.64を、電子温度がイオン温度より高い条件で得た。電流駆動、加熱の両面で、将来のトカマク型核融合炉においてNNBが適用可能であることを明らかにした。
久保 博孝; 東島 智; 竹永 秀信; 熊谷 晃*; 清水 勝宏; 杉江 達夫; 鈴木 慎悟; 逆井 章; 朝倉 伸幸
NIFS-PROC-44, p.65 - 68, 2000/01
トカマク型核融合炉の定常化のためには、ダイバータを用いた粒子制御が必要である。高い粒子制御性能を有するダイバータを設計するには、ダイバータにおける粒子挙動の理解が不可欠である。ここでは、JT-60Uのダイバータプラズマにおける重水素粒子、ヘリウム原子、炭素不純物の挙動に関する分光学的研究について発表する。D線のドップラー拡がりを解析することにより、重水素粒子のリサイクリング過程及びD線の放射過程に対する重水素分子の役割などを明らかにした。また、HeIのスペクトル線のドップラー拡がりを解析することにより、水素イオンによる弾性散乱によってヘリウム原子の移動度が上がることを明らかにした。炭素不純物については、CDバンドの放射強度の空間分布測定から、ダイバータのドームによって炭化水素不純物のX点付近への輸送が抑制されることを明らかにした。
鈴木 慎悟; Gulys, L.; 島倉 紀之*; Fainstein, P. D.*; 白井 稔三
Journal of Physics B; Atomic, Molecular and Optical Physics, 33(17), p.3307 - 3318, 2000/00
被引用回数:8 パーセンタイル:41.79(Optics)ベリリウムイオンとヘリウム原子の衝突における、電子捕獲反応断面積を理論的に求めた。35keV/amu以下のエネルギー領域においては、BeとBeの系に対して、分子基底展開法に基づいた緊密結合法を用い、100keV/amu以上の高エネルギー領域においては、CDW法に基づく計算を行った。本研究で得られた断面積は、これまでおもに中間エネルギー領域で行われてきた原子基底展開法に基づく計算値などとよく一致することがわかった。
仲野 友英; 久保 博孝; 杉江 達夫; 東島 智; 鈴木 慎悟*; 逆井 章; 伊丹 潔
JAERI-Research 99-003, 16 Pages, 1999/01
臨界プラズマ試験装置JT-60Uのダイバータプラズマにおける不純物挙動を調べるために、可視領域(300~780nm)のスペクトルを観測した。観測の結果、DI,HeI-II,BII,CII-IV,OI-IIIからのスペクトル線とCD及びC分子のスペクトルバンドが同定された。軽元素不純物のスペクトル線は、主量子数の変化を伴わない遷移(n=0)によるものが多く観測され、主量子数の変化を伴う遷移(n0)では方位量子数が大きい準位間の遷移が観測された。C分子のスペクトルバンドはSwan bandと同定された。
鈴木 慎悟*; 清水 勝宏; 久保 博孝; 白井 稔三; 逆井 章; 杉江 達夫; 朝倉 伸幸
Europhysics Conference Abstracts, 23J, p.477 - 480, 1999/00
ヘリウム排気のメカニズム、及び周辺プラズマにおけるヘリウムの挙動を明らかにするため、モンテカルロ法に基づいたヘリウム輸送コードの開発を行った。この開発においては、不純物輸送コードIMPMCをベースに、ヘリウム原子やイオンに対する衝突素過程の最新データを取り込んで行った。取り込んだ素過程は、電子衝突による電離と再結合、ヘリウム同士の衝突による電荷交換反応、重水素イオンと中性ヘリウムの衝突による弾性散乱などである。計算の結果、HeとHeの密度分布が互いによく似ていることや、ストライク点からの中性ヘリウムのフラックスが顕著に見られることがわかった。またJT-60UにおけるHeI(668nm)の分光観測との比較により、ダイバータ板におけるヘリウムの反射過程がかなり寄与していることがわかった。
久保 博孝; 竹永 秀信; 熊谷 晃*; 東島 智; 鈴木 慎悟*; 杉江 達夫; 逆井 章; 伊丹 潔
Plasma Physics and Controlled Fusion, 41(6), p.747 - 757, 1999/00
被引用回数:20 パーセンタイル:55.12(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uのダイバータ領域におけるヘリカル原子の挙動を調べるために、高分解能分光器を用いてHe Iスペクトル線(667.82nm)のドップラー・プロファイルを観測した。その結果、ダイバータプラズマが低温になると、ダイバータの上流部において、ドップラー幅から導いたヘリウム原子の温度が0.2eVから1.5eVに増加することを見いだした。この現象を調べるためにプロトン衝突による弾性散乱を考慮した中性粒子輸送コードを開発し解析することにより、これはプロトン衝突による弾性散乱に起因することを明らかにした。また、この弾性散乱の効果によって、ヘリウム原子のダイバータから主プラズマへの侵入する確率及びダイバータ排気溝に入る確率が30%大きくなることを指摘した。
及川 聡洋; 牛草 健吉; Forest, C. B.*; 根本 正博; 内藤 磨; 草間 義紀; 鎌田 裕; 飛田 健次; 鈴木 慎悟*; 藤田 隆明; et al.
Fusion Energy 1998, Vol.2, p.551 - 558, 1998/10
JT-60Uにおいて、負イオン源NB(以下NNB)の加熱、電流駆動特性の研究を行った。NNBパワーのプラズマへの吸収を理解する上で基本となるビーム粒子の電離過程は、高ビームエネルギー、高密度において多段階電離過程の寄与が大きく、理論モデルが適用できることを実験的に示した。プラズマ平衡解析からプラズマ内部の電界を求め、NNB駆動電流分布を同定した。全駆動電流量は0.6MAまで到達したことを示した。また電流駆動効率は電子温度と共に増大することを明らかにし、トカマク炉において必要とされる電流駆動効率に到達する見込みを示した。加熱パワーの大部分がNNBによる電子加熱である場合にも、Hモード遷移が得られることを明らかにした。
鈴木 慎悟*; 島倉 紀之*; 白井 稔三; 季村 峯生*
Journal of Physics B; Atomic, Molecular and Optical Physics, 31(8), p.1741 - 1752, 1998/00
被引用回数:7 パーセンタイル:41.32(Optics)多価イオンを中性原子に衝突させると、中性原子の電子が多価イオンに捕獲される。このような反応は、核融合プラズマ内で起きているために重要である。本研究では、多価イオンとしてBeを、中性原子としてHeを選び、10keV/amu以下の低エネルギー衝突に対する電子捕獲反応を、分子基底に基づいた緊密結合法により計算を行った。得られた電子捕獲断面積は、orbitigによる低エネルギー衝突での断面積の増加や、準分子形成に共鳴構造などの興味深い現象がみられた。
鈴木 慎悟*; 白井 稔三; 根本 正博; 飛田 健次; 久保 博孝; 杉江 達夫; 逆井 章; 草間 義紀
Plasma Physics and Controlled Fusion, 40(12), p.2097 - 2111, 1998/00
被引用回数:61 パーセンタイル:85.35(Physics, Fluids & Plasmas)高エネルギー中性水素原子ビームをプラズマ中に入射したときの、ビーム阻止断面積及びビームの突き抜け率を、各衝突素過程に対する最新の推奨断面積を用いて求めた。計算の結果、励起準位を経由する多段階電離過程が、ビームの減衰過程に重要であることがわかった。また、ビームの突き抜け率の計算値は、JT-60Uの実験値とよく一致した。さらに、ビーム阻止断面積を簡単に求めるための解析的公式を開発した。
久保 博孝; 東島 智; 竹永 秀信; 清水 勝宏; 熊谷 晃*; 石島 達夫*; 鈴木 慎悟*; 伊丹 潔; 杉江 達夫; 逆井 章; et al.
Proc. of 1998 ICPP & 25th EPS Conf. on Contr. Fusion and Plasma Physics, 22C, p.427 - 430, 1998/00
近年、非接触ダイバータ・プラズマでは重水素イオンの体積再結合が重要な過程であると言われているが、再結合によるイオンのシンクを定量的に評価した研究はほとんどない。JT-60Uの部分非接触ダイバータ・プラズマにおいて、重水素のバルマー系列のスペクトル線強度を測定し、衝突・放射モデルを用いて解析することにより、再結合によるイオン・シンクが電離によるイオン・ソースの1-3%程度しかないことを明らかにした。また、JT-60Uのダイバータ・プラズマでは1-2eV程度の運動エネルギーを有するヘリウム原子が観測されているが、この原子は主プラズマのヘリウム混合率及びヘリウム排気効率に大きな影響を与えると考えられるので、その生成過程に関して弾性散乱を考慮した中性粒子輸送コードを用いて調べた。その他、炭素不純物の輸送に対するダイバータ・ドームの効果について報告する。
久保 博孝; 竹永 秀信; 杉江 達夫; 東島 智; 鈴木 慎悟*; 清水 勝宏; 逆井 章; 細金 延幸
24th EPS Conf. on Controlled Fusion and Plasma Physics, 21A(2), p.509 - 512, 1997/00
JT-60Uのダイバータ領域において、D線とHe Iのスペクトル線のドップラー広がりを観測することによって、重水素原子及びヘリウム原子の速度分布を調べ、以下のことを明らかにした。ダイバータ板に到達した重水素イオンは、主に重水素分子として再放出され、水素原子として反射する過程は重要ではない。フランク・コンドン原子のエネルギーは低温領域ではおおきくなる。このことは今までのモデルでは説明できない。ヘリウム・イオンの反射は、ヘリウムのリサイクリング過程として重要ではない。低温領域では、ヘリウム原子のエネルギーは増加し、1eV程度になる。これは、重水素イオンとの弾性衝突が原因と考えられる。ヘリウム原子が、このようなエネルギーを持つことは、ヘリウム輸送に大きな影響を与える。
鈴木 慎悟*; 白井 稔三; 島倉 紀之*
Phys. Scr., T73, p.110 - 111, 1997/00
被引用回数:1 パーセンタイル:19.26(Physics, Multidisciplinary)多価イオン-原子衝突によって生じる電子捕獲反応の外部磁場効果の研究を、分子基底に基づいた半古典的緊密結合法を用いて理論的に行った。この計算では、電子並進因子だけではなく、ゲージ不変性を考慮するための位相因子も含めた。磁場の効果は一次まで取り込み、磁場の向きは任意の場合を扱った。また、入射粒子の運動に伴う分極の効果は非常に小さいために無視した。この方法を一重項(B+H)系に対して適用し、全ての磁場の向きで平均化した電子捕獲断面積を求めた。得られた全断面積は、磁場とともに少しずつ増加した。また、磁場が衝突平面に対して垂直の場合に磁場効果が最も大きくなった。