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中里 享美*; 長嶺 竹明*; 鈴木 慶二*; 草壁 孝彦*; Moon, H. D.*; 及川 将一*; 酒井 卓郎; 荒川 和夫
Biometals, 21(1), p.83 - 91, 2008/02
被引用回数:15 パーセンタイル:29.46(Biochemistry & Molecular Biology)Cd毒性に対する必須金属の役割を明らかにするために、1.5年から2年間で100mg/LのCdを経口投与した4匹のマウスを用い、メタロチオネインによる評価と大気マイクロPIXE法による必須金属元素の細胞内分布の測定を行った。その結果、Cdを曝露したマウスの肝臓と腎臓には亜鉛が著しく集積していることが見いだされた。1.5年間Cdを曝露したマウスの元素分布では大部分のCdが亜鉛と結合しており、亜鉛は経口投与されたCd毒に対する保護に寄与していることが示唆された。
中野 隆史*; 荒川 和夫; 桜井 英幸*; 長谷川 正俊*; 湯浅 和久*; 斎藤 悦子*; 高木 均*; 長嶺 竹明*; 草壁 孝彦*; 高田 久嗣*; et al.
International Journal of PIXE, 16(1&2), p.69 - 76, 2006/00
高度な加速器及びイオンビーム技術を利用して放射線腫瘍学,核薬学の新しい医学の科学の一分野を創出する新しい研究プログラムが開始され、その中の重要なテーマの一つである大気マイクロPIXE分析システムでは、マイクロビーム走査の範囲で厚みに変動のあるサンプルの元素マッピングの精度を向上するための高度化を行った。他方、本プログラムでは、癌に関する重要な生物医学課題にアプローチするため、本システムを使用して病気の発展に伴う微量元素の細胞内挙動を調べた。この論文では、このプログラムについて概説し、システム高度化の内容、及び課題に関する予備的な研究結果を示す。
浅野 雅春; 吉田 勝; 大道 英樹; 岡部 和彦*; 真下 透*; 湯浅 久子*; 山中 英寿*; 鈴木 慶二*; 森本 正規*; 榊原 秀雄*
Pharm. Sci., 1, p.433 - 435, 1995/00
機能材料の一つとして生分解性をもつD,L-乳酸ポリマーを合成した。このポリマーのin vivoでの分解パターンは、分子量の増加とともに放物型からs-字型へと変わることが確かめられた。次に、骨粗鬆症の治療薬として知られているうなぎカルシトニンの合成アナログの一つを乳酸ポリマーと混ぜ合わせ針状に成形した。放物型の分解パターンをもつMn=1400のポリマーからの薬物のin vivo放出は1週間で完結した。これに対し、5週の実験期間を通じ、15units/dayの一定の放出が、Mn=200からなるs-字型分解パターンをもつポリマー系で観察された。また、Mn=4400からなるポリマーでは、Mn=2000のポリマーに比べ、初期におけるより長い誘導期間の出現のため、薬物の放出が初期で著しく抑制された。
浅野 雅春; 福崎 裕延*; 吉田 勝; 熊倉 稔; 真下 透*; 湯浅 久子*; 今井 強一*; 山中 英寿*; 河原田 うめ子*; 鈴木 慶二*
Int. J. Pharm., 67, p.67 - 77, 1991/00
被引用回数:31 パーセンタイル:78.16(Pharmacology & Pharmacy)放物線型のin vivo分解パターン(5週で100%分解)をもつ低分子量DL-乳酸ポリマー(Mn=1400)とS字型の分解パターン(10週の誘導期間)をもつ高分子量DL-ラクチド(Mn=11500)を溶融混合した。黄体形成ホルモン・放出ホルモン拮抗体(LH-RH agonist)をブレンドポリマーに包括し、ポリマーのin vivo分解における誘導期間と包括系からのLH-RH agonistの放出パターンの関係をラット背中皮下埋入実験によって調べた。薬物の初期多量放出(バースト現象)は、高分子量ポリマーをブレンドすることによって抑制され、結果的に最も長期間にわたっての一定持続放出が75%高分子量ポリマーも含むブレンドポリマー系で認められた。
福崎 裕延*; 吉田 勝; 浅野 雅春; 熊倉 稔; 真下 透*; 湯浅 久子*; 今井 強一*; 山中 英寿*; 河原田 うめ子*; 鈴木 慶二*
J. Biomed. Mater. Res., 25, p.315 - 328, 1991/00
被引用回数:17 パーセンタイル:57.58(Engineering, Biomedical)グリコール酸(GA)とラクトン(BL:-グチロラクトン、VL:-バレロラクトン、CL:-カプロラクトン)からなる低分子量ポリエステルを無触媒系の縮合反応によって合成し、ドラッブデリバリーシステムへの生分解型ポリマーとしての用途を検討した。85mol-%GA含有ポリマー(Mn=2900100)は、いずれの系においても、結晶・固体で放物線型のin vivo分解パターンを示した。これに対し、非結晶・ペースト状ポリ(GA/CL、50/50mol-%)のin vivo分解パターンは、ポリマーの分子量が増加すると、放物線型直線型S-字型へと変化した。[Leu、des-Gly]-LHRHエチルアミド(前立腺癌治療薬)を、これらのポリマー中に包括し、担体のin vivo分解過程での薬物の放出挙動および薬理効果について、ウイスター系ラットを用いて検討した。放物線型分解パターンをもつポリマー系からの薬物の放出は初期にバースト現象がみられた。しかし、このバースト現象は、S-字型のそれぞれでは、著しく抑制された。
吉田 勝; 浅野 雅春; 森田 泰司*; 嘉悦 勲; 今井 強一*; 真下 透*; 湯浅 久子*; 山中 英寿*; 河原田 うめ子*; 鈴木 慶二*
Biomaterials, 10, p.16 - 22, 1989/01
被引用回数:10 パーセンタイル:46.12(Engineering, Biomedical)シスプラチンを低温放射線重合法によってビニルコポリマー(80/20vol-%組成のdiethylene glycol dimethacrylate/polyethylene glycol #600 dimethacrylate)中に固定した。
浅野 雅春; 福崎 裕延*; 吉田 勝; 熊倉 稔; 真下 透*; 湯浅 久子*; 今井 強一*; 山中 英寿*; 鈴木 慶二*
Journal of Controlled Release, 9, p.111 - 122, 1989/00
Mn=1600-3300をもつ、L-乳酸/グルコール酸のコポリマーの合成は、無触媒系、直接脱水共重縮合法によっておこなった。LH-RH agonist(前立腺癌治療薬)は圧融着法によって、針状複合体に成形したコポリマー中に均一に分散包括させた。この複合体を線滅菌ののち、雄性ラットの背中皮下に埋入した。コポリマーのin vivo分解は、系中のグルコール酸成分の増加と共に加速され、結果的に30/70mol-%L-乳酸グルコール酸組織で極大に達した。
福崎 裕延*; 吉田 勝; 浅野 雅春; 熊倉 稔; 真下 透*; 湯浅 久子*; 今井 強一*; 山中 英寿*; 河原田 うめ子*; 鈴木 慶二*
Journal of Controlled Release, 10, p.293 - 303, 1989/00
Mn=1500-2600のCopoly(L-lactic acid/-valerolactone)(copoly(LA/VL))をDDSのための生分解性担体として用いるため、無触媒下で直接脱水縮合によって合成した。LA組成を関数として、固体状(100-80mol-%LA)、ペースト状(70-30mol%LA)、そしてワックス状(15-0mol-%LA)ポリマーを得た。Rhizopus delemer lipaseは最も高い分解活性を示した。この場合、ペースト状ポリマーの分解速度は、固体、ワックス状ポリマーのそれより著るしく速い。estradiol-17のnitrogen mustard誘導体であるestramustineをMn=2500をもつcopoly(LA/VL、70/30mol-%)(ペーストポリマー)の中に均一分散固定した。この系は、in vivo実験系において、埋入から5週目で完全分解消失する。rat prostateにおよぼす薬理作用は、5週の期間にわたって観察された。
吉田 勝; 浅野 雅春; 嘉悦 勲; 今井 強一*; 真下 透*; 湯浅 久子*; 山中 英寿*; 鈴木 慶二*; 森田 泰司*
人工臓器, 16(3), p.1333 - 1336, 1987/03
低温放射線重合法で調製したシスプラチンを含むvinyl copolymer針をウィスター系ラットの腎臓に埋入した。この針からシスプラチンが徐々に放出され、結果的に針周囲・組織が壊死化した。針周囲の組織壊死の立体像はラグビーボール状で、その中心に針が位置している形態を示した。この場合、針表面から外側へ向っての壊死の組織形態は凝固壊死層、融解壊死層そして非壊死(正常組織)からなることが分った。このような組織形態はurokinase(フィブリン溶融酵素)、lipase(脂肪分解酵素)およびtrypsin(タンパク質分解酵素)のような酵素をシスプラチンと共存させた時に顕著に変化した。すなわち、針埋入から7日目で比較した場合、非酵素もしくはurokinase含有系の壊死形態は殆んどが凝固壊死であったのに対し、lipaseおよびtrypsin含有系のそれは逆に融解壊死からなっていることが組織所見(HE染色)から判明した。
嘉悦 勲; 吉田 勝; 浅野 雅春; 久保 長生*; 嘉多村 孝一*; 大川 智彦*; 牧田 登之*; 今井 強一*; 真下 透*; 湯浅 久子*; et al.
人工臓器, 15(1), p.210 - 213, 1986/00
制癌剤含有ポリマー複合体を癌組織に投与した場合、薬物の組織浸透により壊死が起るが、その範囲が限定されているため、これを拡大するために、新しい担体ポリマーと薬物及びadditiveなどの組合せの検討を行なった。その結果、ラットの正常肝組織に対しては、シスプラティンを含有したDL-アラニン/-エチル-L-アスパラテートコポリマーの複合体が薬物滲透、組織壊死の両面で最も良好であることがわかった。次いで、この系を担癌動物にも使用して有効性をしらべたところ、顕著な壊死効果が認められた。コポリペプチド以外の生体消化性ポリマーについても、担体としての効果を検討し、消化性の速いものほど有効であることを認めた。
嘉悦 勲; 吉田 勝; 浅野 雅春; 久保 長生*; 喜多村 孝一*; 今井 強一*; 真下 透*; 湯浅 久子*; 山中 英寿*; 鈴木 慶二*
人工臓器, 15(1), p.214 - 217, 1986/00
低温放射線重合法によってnonbiodegrable vinyl copolymer中に制癌剤を包含し、徐放性針状複合体(1.6mm径、5mm長)を調製した。cisplatinを含む複合体針をウィスター系ラットの腎臓に7日間にわたって埋入留置した時、制癌剤のin vivo累積放出量は仕込みの12%であった。この値は複合体針の埋入箇所の違いによって著明に異なった。例えば、cisplatinのin vivo累積放出量は皮下埋入に対し38%、肝臓埋入に対し21%そして脳埋入に対し7%を示した。一方、徐放性制癌剤による組織壊死範囲は制癌剤の種類によって著しく異なり、例えば腎臓に対する壊死の場合、その作用はcisplainMMCADMACNU5-FUの順に減少した。しかし、脳の場合、組織の壊死作用はACNUの方がcisplatinより顕著に有効であった。従って、組織の違いによっても、徐放性制癌剤の壊死作用が異なることが結論できた。これらの結果に基づいて、ACNU含有複合体針を中心に脳腫瘍領域に適用を試みた。
吉田 勝; 浅野 雅春; 嘉悦 勲; 今井 強一*; 湯浅 久子*; 山中 英寿*; 志田 圭三*; 鈴木 慶二*; 若林 克己*; 山崎 巖*
Polym.J., 18(4), p.287 - 296, 1986/00
被引用回数:9 パーセンタイル:51.91(Polymer Science)低温放射線注形重合法によって、疎水性diethylene glycol dimethacrylate/親水性polyethylene glycol #600 dimethacrylateからなる80/20 vol-%組成のメタクリル酸コポリマー中にdes-Gly-[D-Leu]-LH-RH-ethlamideを包含する。上述の薬物は水に可溶である。一般にポリマー中に単純分散状態で包含されている薬物のin vitro放出パターンは時間を関数とした時、イクスポネンシャルな減少傾向を示す。本稿では、コポリマーからの薬物の放出に見掛け上zero-order mechanismを付与するため、薬物を錠剤化(加圧下)し、それの上下に適当なフィルター膜を重ね合わせ、さらにメタクリル酸コポリマーによって含浸包含することを試みた。例えば、Whatman No.1フィルター膜を用いた場合、複合体からの薬物のin vitro放出パターンは見掛け上zero-order mechanismをとり、250日間の試験期間にわたって16g/dayの一定値を保持した。これはradioimmuno assayから測定したserum薬物濃度の値からも示唆される。
吉田 勝; 浅野 雅春; 嘉悦 勲; 今井 強一*; 真下 逡*; 湯浅 久子*; 山中 英寿*; 鈴木 慶二*
人工臓器, 14(2), p.809 - 812, 1985/00
テストステロンを含む卵状の生体非分解ポリマー義睾丸を親水性ビニルモノマーの低温放射線重合によって調整した。得られた義睾丸は1個当り約2.05g(40wt%テストステロン含有)の重さをもつ。この義睾丸からのテストステロンの媒液中(水が主成分)における放出速度はビニルモノマーに対するテストステロンの溶解性(生成ポリマー中での分散状態)および得られたポリマー担体の親水性に依存することが分った。すなわち、テストステロンの溶解性とポリマーの親水性の増加とともに、義睾丸からのテストステロンの放出は著明に増大した。本研究ではHEMA/HPMA(70/30)コポリマーより成る義睾丸を去勢した家兎の陰のう部位に埋入留置した。この義睾丸からのテストステロンのみかけのin vivo平均放出速度は1.2mg/dayであった。一方、血清テストステロン濃度は、初期段階でゆるやかに減少し、そののち10mg/mlで一定値を維持した。
浅野 雅春; 吉田 勝; 嘉悦 勲; 今井 強一*; 真下 透*; 湯浅 久子*; 山中 英寿*; 鈴木 慶二*; 山崎 巌*
Makromol.Chem.Rapid Commun., 6, p.509 - 513, 1985/00
ポリ(DL-乳酸)担体にCo線源からの線を照射した時、高速液体クロマトグラフィーによって測定した分子量分布のピークは照射線量の増加に伴い低分子量側に移動することが分かった。この担体の100% in vivo 分解は Mn1850担体で12w、そしてMn2200担体で15wに、各々観察された。LH-RHは上述した担体中に溶融分散、換言すれば分子分散させた。LH-RH含有 formulation からの薬物の放出は、比較的一定であり、Mn1850担体で11Wまで、Mn2200担体で13Wまで維持した。これは serum 薬物濃度のデーターからも示唆された。この場合、それの濃度は担体の分子量に依存せず42ng/mlの値を示した。結果的に、ポリ(DL-乳酸)の formulation からの薬物の放出は担体が完全分解消失する1-2w前に終了していることが結論できた。
嘉悦 勲; 吉田 勝; 浅野 雅春; 志田 圭三*; 山中 英寿*; 中井 克幸*; 湯浅 久子*; 鈴木 慶二*; 若林 克己*; 白石 明*; et al.
人工臓器, 13(3), p.1168 - 1171, 1984/00
前立腺等の泌尿器官に薬理(萎縮)作用を有し、ホルモン療法剤として注目されているLH-RH類似物質(アナログ)を放射線重合により親水性アクリレートと疎水性アクリレートの共重合体中に固定化し、その長期リリース挙動、薬理作用などを検討した。担体からのLH-RHアナログの溶出は100日~200日にわたってコンスタントに続き、微量のけ中濃度レベルを維持することがインビトロ実験ならびにラット実験から明らかになった。また前立腺等に対する萎縮効果もラット実感から確かめられた。副作用や異物反応はほとんど認められなかった。この方法は注射投与を頻繁に継続するよりもはるかに筒便で有効であり、臨床的適用性が高いものと判断され、今後前立腺癌の治療法としての発展が期待される。
吉田 勝; 浅野 雅春; 嘉悦 勲; 中井 克幸*; 山中 英寿*; 鈴木 孝憲*; 志田 圭三*; 鈴木 慶二*
Biomaterials, 4, p.33 - 38, 1983/00
被引用回数:17 パーセンタイル:68.39(Engineering, Biomedical)長期間にわたって緩徐な薬物溶出性能をもつ複合体を低温過冷却状態においてガラス化性モノマーの放射線重合によって試作した。複合体からのTSSのin vitro溶出はmatrix-controlled processに従うことが見出された。この場合、drug deliveryの速度は担体の親水性に依存し、含水率が増加するほど増加した。in vivo実験の場合、複合体は30日間の試験期間にわたって去勢したウイスター系ラットの背中の皮下に埋入した。TSSのin vivo速度はin vitroのそれに比べ抑制された。この抑制作用は担体の親水性とよく対応していることが分った。一方、ラットにおける生理学的機能はTSS包含複合体を用いて前立腺腹葉の重量およびserum中の薬物濃度を測定することにより検討した。前立腺腹葉の重量は薬物の溶出速度の増加に伴ない直線的に増加する傾向を示した。またserum中の薬物濃との間にもよい対応関係が認められた。さらに担体自体の生体適合性に関する評価も試みた。
吉田 勝; 浅野 雅春; 嘉悦 勲; 中井 克幸*; 山中 英寿*; 志田 圭三*; 鈴木 慶二*
医学のあゆみ, 122(2), p.103 - 104, 1982/00
テストステロン(T)含有ポリマーマイクロスフィア(PMS)を低温放射線サスペンジョン重合によって試作した。分散保護剤にPVAおよび-グロブリン(GB)を使用した。PMSの粒度分布をcoulter counterを用いて測定したところ、PVAを用いた時は150m付近に極大値をもつ比較的シャープな粒度分布を示すのに対し、GB系では極大値が小粒子側に移り(90m付近)、その分布はブロードであった。GB系におけるPMSからのTの溶出量は30日目でin vitroが19.8mg、in vivoが9.9mgであった。in vivoにおける薬物の溶出抑制は粒子表面に粘着した生体細胞によって拡散抵抗が増大したためと思われる。このPMSから放出されたTの生物学的作用(physiological response)は四中濃度および前立腺腹葉の重量変化を測定することにより検討した。その結果、本研究に用いたPMSは30日以上にわたる薬物の溶出性能と薬理作用をもっていることが分った。また、同時に素材の生体提合成についても評価を試みた。
草壁 孝彦*; 中里 享美*; 高田 久嗣*; 久永 悦子*; Moon, H. D.*; 中島 克行*; 鈴木 慶二*; 及川 将一*; 佐藤 隆博; 荒川 和夫; et al.
no journal, ,
大気マイクロPIXEを用いて、カドミウムの精巣障害について検討した。ラットにカドミウムを投与した精巣(精細管,間質)において、カドミウムと鉄の分布が確認された。さらに、精巣の単離細胞培養を行い、カドミウムを投与した後に細胞内の金属元素分布を測定した。その結果、細胞質内へのカドミウムの取り込みと細胞質における亜鉛の減少と鉄の増加が確認された。これまでのカドミウムが血液精巣関門を崩壊させている病理学的な知見と本実験結果から、カドミウムにより血液関門の崩壊が生じ、その結果精巣細胞内に流入した鉄が精巣組織障害の増強に関与していることを示唆する有力な証拠が得られた。