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伊藤 成胤*; 向井 智久*; 鈴木 裕士; 南部 禎士*; 鈴木 淳一*; 松沢 晃一*; 衣笠 秀行*
日本建築学会技術報告集, 27(65), p.99 - 103, 2021/02
本研究では、意図的に未充填部を有するエポキシ系接着剤を用いたあと施工アンカー試験体、および高温加熱により空隙部の進展が確認されたあと施工アンカー試験体を対象に、中性子イメージングによる空隙部の定量評価を行った。まず、中性子計測により得られた3次元画像のCT値に着目した未充填部長さの評価手法を提案した。次に、加熱した空隙部が存在するあと施工アンカー試験体に対して、上述した評価手法により接着剤の未充填部の位置を評価した結果、試験体を切断し得られた実際の空隙部位置にほぼ一致することを確認した。さらに、空隙部とその周辺部のCT平均値を比較したところ、空隙部ではその数値が小さくなること、また、CT値そのものにより劣化空隙部を定義することは難しいが、空隙部とその周辺部のCT値の相対関係より、空隙部を特定できることを確認した。
鈴木 裕士; 楠 浩一*; 兼松 学*; 向井 智久*
コンクリート構造物の非破壊検査シンポジウム報文集,6, p.343 - 348, 2018/08
中性子回折法は材料深部の応力を非破壊・非接触で測定できる手法として良く知られている。われわれは、世界で初めて鉄筋コンクリートの付着力評価に中性子回折法を応用し、コンクリートに埋設された鉄筋の付着応力度分布の非破壊・非接触測定に成功した。これまでに、鉄筋コンクリートの定着力や曲げ付着力の評価、また、ひび割れや鉄筋腐食に伴う付着劣化の評価などに応用してきた。最近では、あと施工アンカーの付着性能評価など、新しい施工技術の開発研究にも応用が広がっている。本稿では、これまでに得られた成果を総括して紹介する。
鈴木 裕士; 楠 浩一*; 佐竹 高祐*; 兼松 学*; 小山 拓*; 丹羽 章暢*; 椛山 健二*; 向井 智久*; 川崎 卓郎; Harjo, S.
非破壊検査, 67(4), p.180 - 186, 2018/04
本研究では、中性子回折法により二次元的に配筋した主筋およびせん断補強筋の応力分布を測定することにより、曲げモーメントを負荷した鉄筋コンクリート梁試験体の付着挙動を評価した。その結果、周囲のコンクリートによる主筋横方向の変形拘束が無視できるほどに小さいという前提に基づき、試験体を回転することなく、曲げ付着挙動の評価の鍵となる主筋の付着応力度分布の変化、およびせん断補強筋の軸応力変化の定量評価に成功した。ひずみゲージ法により測定されたコンクリートの巨視的な変形挙動との比較により、載荷に伴う曲げひび割れの発生と、それに続くせん断ひび割れの発生が、その周辺における付着劣化の原因となり、それに伴い主筋軸応力分布が変化することを確認した。本研究により、中性子応力測定技術は、鉄筋コンクリート梁の曲げ付着挙動の評価にも有効な手段であることを確認した。
鈴木 裕士; 楠 浩一*; 兼松 学*; 向井 智久*
コンクリート構造物の補修,補強,アップグレード論文報告集, 17, p.179 - 184, 2017/10
中性子回折法は材料深部の残留応力を非破壊・非接触で測定できる手法の一つとして知られている。われわれは、世界で初めて、鉄筋コンクリートの付着挙動の評価に中性子回折法を応用し、コンクリート内部に埋設された鉄筋の付着応力度分布の非破壊・非接触測定に成功するとともに、コンクリートのひび割れや鉄筋腐食に伴う応力分布の変化を捉えることにも成功した。このように、中性子回折法は鉄筋コンクリートの付着挙動の評価に有効なひずみ測定技術であり、今後、鉄筋コンクリートの構造力学研究や構造材料研究に広く応用されると期待される。本論文では、これまでに得られた成果を総括する。
鈴木 裕士; 楠 浩一*; 兼松 学*; 向井 智久*; Harjo, S.
Materials Research Proceedings, Vol.2, p.25 - 30, 2017/00
被引用回数:3 パーセンタイル:70.51(Metallurgy & Metallurgical Engineering)これまでの研究において、コンクリート内部の鉄筋の応力分布を測定するうえで、中性子回折法はひずみゲージ法に代わる新たな測定技術になりうることが示された。本研究においては、鉄筋コンクリート構造の構造力学研究における中性子回折法のさらなる可能性を見出すために、中性子回折法による付着応力度評価の可能性について検討した。中性子回折法により測定した付着応力度分布には、鉄筋とコンクリート間の不均一な付着状態を示唆するいくつかのピークが見られた。この結果は、位置分解能の高い中性子回折法により、鉄筋の節周りに生じる局所的な付着抵抗状態の評価が可能であることを示している。中性子回折法により測定した付着応力度分布は、鉄筋コンクリート構造における鉄筋とコンクリート間の付着メカニズムの詳しい理解につながるものと期待される。
鈴木 裕士; 楠 浩一*; 畠中 雄一*; 向井 智久*; 田才 晃*; 兼松 学*; 椛山 健二*; Harjo, S.
Measurement Science and Technology, 25(2), p.025602_1 - 025602_8, 2014/02
被引用回数:9 パーセンタイル:58.71(Engineering, Multidisciplinary)現代社会においては、都市地震災害に伴うメガリスクを最小限に抑える事を目的として、コンクリート構造物などの建築、土木構造物に対する高い耐震性能が求められている。鉄筋とコンクリート間の付着抵抗は、コンクリート構造物の性能を議論するうえで重要なパラメータであり、コンクリートに埋設された鉄筋のひずみ分布を測定することにより評価される。本研究では、飛行時間中性子回折法を用いて、コンクリート内部の鉄筋に発生する応力・ひずみ分布測定を行った。その結果、気中養生された標準強度コンクリートに埋設された鉄筋について、引張負荷中の三次元変形挙動を高精度に測定することができた。
松本 寿之; 吉田 英一; 鈴木 重哲*; 安 智久*
JAEA-Technology 2007-035, 35 Pages, 2007/03
将来国内において、ナトリウムを冷却材とした高速プラントや放射性ナトリウムの試験施設の解体,廃止措置時に伴い発生する放射性ナトリウムを処分する必要が生じている。しかしながら、直接放射性廃棄物としての処分方法は、既存の技術では確立していない。このため、経済性や安全性等を考慮して、ナトリウムを化学的に安定な物質に転換した後に処分する方法が考えられる。そこで、ナトリウム転換基礎試験装置の改良を図りながら、水酸化ナトリウム濃度4550wt%,水酸化ナトリウム温度100Cの水溶液中に、ナトリウムを注入速度10kg/hで注入して水酸化ナトリウム転換する基礎的な試験運転を実施した。その結果、注入されたナトリウムは水酸化ナトリウム水溶液中ですべて反応し、排ガス,水酸化ナトリウム温度,濃度等すべて制御することができ、本装置のシステムが妥当であることを検証した。また、水酸化ナトリウム水溶液中にナトリウムを注入する際にノズルが頻繁に閉塞するため、その原因を抽出し排除するためのノズルの検討,ノズル特性評価の方法及び手順を設定した。
松本 寿之; 吉田 英一; 鈴木 重哲*; 安 智久*
JAEA-Research 2007-038, 32 Pages, 2007/03
ナトリウムを冷却材とする高速炉プラントの廃止措置やウランなどの放射性核種を微量に含むナトリウムを使用した試験施設を解体する際に、放射性物質として取り扱うべき大量のナトリウムが発生すると考えられる。このようなナトリウムを放射性廃棄物として直接処分する技術・方法は、国内においてまだ確立していない。そのため、経済性や安全性等を考慮した処分技術の検討・評価を行うことを目的に基礎的な試験研究を実施した。これまでに海外で先行例のある、ナトリウム-水反応によりナトリウムを水酸化ナトリウムに転換する手法を対象に、ナトリウム転換基礎試験装置を用いて試験を実施した。本試験では、液体ナトリウムを水酸化ナトリウム溶液中に注入し水酸化ナトリウムに転換する際の、水酸化ナトリウム溶液の濃度・温度,アトマイジングガス流量の影響を把握した。注入ナトリウム温度200C,注入流速10kg/hを一定とし、アトマイジングガス流量60100NL/min,水酸化ナトリウム温度70100C,水酸化ナトリウム濃度4060wt%の範囲で、ナトリウム転換処理に与える影響を評価した。
上殿 明良*; 谷川 庄一郎*; 大島 武; 伊藤 久義; 吉川 正人; 梨山 勇; Frank, T.*; Pensl, G.*; 鈴木 良一*; 大平 俊行*; et al.
Journal of Applied Physics, 87(9), p.4119 - 4125, 2000/05
被引用回数:12 パーセンタイル:49.32(Physics, Applied)陽電子(単色)消滅法を用いて110/cmの200keV-リン(P)注入した6H-SiCの注入層を調べた。注入は室温、800または1200で行った。室温注入では表層の注入層はアモルファス化、注入層の深部は複空孔がおもに残留していることがわかった。注入後、1700までの熱処理を行ったところ、空孔型の欠陥のアニール挙動が熱処理の温度領域によって五つに分けられた。また、800、1200注入では注入層はアモルファス化はしないが、表層に大きな空孔クラスター残留層、深部には表層に比べサイズの小さな空孔クラスターが残留することがわかった。これらの試料を1700まで熱処理すると、800注入試料の残留欠陥サイズが最も小さく、続いて1200注入試料、最も残留欠陥サイズが大きかったのが室温注入試料となり、注入後同じ温度での熱処理を行っても注入温度によって残留欠陥サイズが異なることがわかった。
大島 武; 伊藤 久義; 上殿 明良*; 鈴木 良一*; 石田 夕起*; 高橋 徹夫*; 吉川 正人; 児島 一聡; 大平 俊行*; 梨山 勇; et al.
電子技術総合研究所彙報, 62(10-11), p.469 - 476, 1999/00
イオン注入により立方晶炭化ケイ素(3C-SiC)中に発生する欠陥と熱処理による欠陥の回復を電子スピン共鳴(ESR)、陽電子消滅測定(PAS)及びフォトルミネッセンス測定(PL)により調べた。3C-SiCへ200keV-Al及びNを110 110/cmのドーズ量で室温から1200までの温度で注入した。注入後の熱処理はAr中で1400まで行った。ESR及びPL測定の結果、800以上の高温注入を行うことで照射欠陥を著しく低減できることがわかった。また、室温注入試料中の空孔型欠陥の熱処理による振る舞いをPAS測定により調べた。その結果、1400までの熱処理温度領域が空孔型欠陥の複合化、クラスタ化といった5つの領域に分けられることがわかった。
鈴木 良一*; 大平 俊平*; 上殿 明良*; Y.K.Cho*; 吉田 貞史*; 石田 夕起*; 大島 武; 伊藤 久義; 千脇 光国*; 三角 智久*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 37(8), p.4636 - 4643, 1998/08
被引用回数:28 パーセンタイル:74.42(Physics, Applied)電子リニアックを用いた高強度低速場陽子ビームラインの陽電子減速系の改善のため、種々の減速材料の陽電子再放出特性を調べた。W,SiC,GaN,SrTiO,水素終端Siの陽電子再放出率を調べた結果、一次減速材としてはW,二次減速材としてはn型SiCが最適であることが示唆された。W減速材の照射劣化機構を明らかにするために陽電子消滅測定、オージェ電子分光測定を行った結果、照射により生成される空孔クラスターと表面の炭素不純物が劣化要因であることが判明した。また劣化したW減速材の再生には、酸素中900C熱処理が有効であることが解った。さらに、W表面の酸素はポジトロニウム形成を抑制し、陽電子の再放出率を増加させることを見い出した。
上殿 明良*; 大島 武; 伊藤 久義; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 谷川 庄一郎*; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 三角 智久*
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 37(5A), p.2422 - 2429, 1998/05
被引用回数:13 パーセンタイル:53.6(Physics, Applied)単エネルギー陽電子を用いて、200keVでリン注入を行った6H-SiC中の空孔型欠陥を調べた。室温注入後に結晶に導入された空孔型欠陥のサイズはおもに二重空孔であった。注入試料を等時アニールすることで、熱処理と欠陥(結晶の回復)の関係を調べた。その結果、200C-700Cでは、単一空孔が移動し、結合することで空孔サイズが大きくなる。700C-1000Cでは、さらに大きな空孔クラスタになることがわかった。1000C-1300Cでは、空孔欠陥のサイズは減少し結晶が回復していくことがわかった。また、110/cm注入した試料は、室温での注入後は、注入層アモルファス化していること、その後1500Cまで熱処理を行っても、空孔型欠陥は消滅せず、結晶が回復しないことがわかった。
大島 武; 上殿 明良*; 伊藤 久義; 阿部 功二*; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 青木 康; 谷川 庄一郎*; 吉川 正人; 三角 智久*; et al.
Mater. Sci. Forum, 264-268, p.745 - 748, 1998/00
イオン注入により発生する照射欠陥とその熱アニールによる回復についての情報を得るために、陽電子消滅測定を行った。試料はCVC法により作成した立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)を用い、イオン注入は室温で、200keV-Nを110/cm行った。注入後の熱アニール処理は~1400Cまで行い、それぞれの温度でアルゴン中で20分間行った。陽電子消滅測定の結果、室温~1000Cまでは空孔型欠陥のサイズが増加し、空孔クラスターを形成するが、1000C以上では空孔型欠陥のサイズは減少し、1200C以上では消滅していくことが分かった。また、照射によりダメージを受けた領域の回復は結晶の奥の方から始まり、アニール温度の上昇に従って表面へ移動してくることも明らかになった。
上殿 明良*; 伊藤 久義; 大島 武; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 谷川 庄一郎*; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 三角 智久*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 36(11), p.6650 - 6660, 1997/11
被引用回数:16 パーセンタイル:63.3(Physics, Applied)立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)へチッ素(200keV)及びアルミニウム(200keV)のイオン注入を行い、発生する欠陥を単エネルギー陽電子を用いて調べた。また、注入された3C-SiCを熱アニールすることで、欠陥がどのように振舞うかも調べた。その結果、室温注入後はおもにシリコン単一空孔と炭素空孔が結合した、ダイバーカンシーが発生することがわかった。また、それらの空孔欠陥はその後の熱処理でサイズが大きくなり、1000C付近のアニールでは空孔クラスターを形成すること、またさらに高温でアニールするとクラスターは分解し始めることがわかった。これらの振舞いは、これまで調べた炭素空孔、シリコン空孔の熱アニールの振舞いで説明できた。また、ダメージ層の回復は結晶の深部より始まり、アニール温度の上昇とともに表面の方へ向かってくることも明らかになった。
松本 寿之; 吉田 英一; 鈴木 重哲*; 安 智久*
no journal, ,
高速炉の廃止措置に伴い発生する大量の液体金属ナトリウムを安定な化合物に処理するため、ナトリウム転換基礎試験を実施した。連続反応試験を実施した結果、安定した運転の行うための手順及び運転手法が確認できた。
佐藤 真人; 深谷 洋行; 梅田 幹; 須山 賢也; 外池 幸太郎; 蒲原 佳子*; 鈴木 智久*
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故で生じた破損燃料の臨界管理に必要な燃焼計算コードの改良に資するため、燃焼燃料中の希土類元素等の分析データ取得を計画している。分析に際しては、被ばく及び廃棄物低減のため、試料を微量とし短時間で前処理することが重要である。これらを達成するため、陰イオン交換分離法(抽出クロマトグラフィを一部適用)と高分解能ICP-MSを組合せた分析手法を前提として、分離スキームの検討・予備試験及び分析環境整備を行った。予備試験では、希土類元素の分離がより迅速に行われ、高分解能ICP-MSによる分析が可能であることを確認し、被ばく及び廃棄物低減の見通しを得た。また、分析環境整備により、環境からの元素混入を最小限に抑え、微量元素分析を高精度化できた。なお、今後計画している燃焼燃料中の希土類元素等の分析には、今回確立した分離スキームを適用する。
佐藤 真人; 市村 誠次; 須山 賢也; 外池 幸太郎; 蒲原 佳子*; 鈴木 智久*
no journal, ,
燃焼度も考慮して使用済燃料の臨界量を精密に評価するためには、Sm等の中性子吸収FP核種量を燃焼計算で正確に求める必要がある。原子力機構では燃焼計算の妥当性確認のため軽水炉燃料の組成測定を進めているが、質量分析によるSm-147測定精度の向上に資するため、同重体のPm-147を分離する手法を検討した。従来手法ではSm-147と共存するPm-147を液シン法で定量していた。本報告では、Sm・Pm混合溶液からSmとPmを分離する手法と分離性能の確認結果を示す。
中山 卓也; 大杉 武史; 嶋崎 竹二郎; 阿部 智久; 八木 直人; 中澤 修; 佐藤 治夫*; 鈴木 和彦*
no journal, ,
セメント固化体の廃棄時において、隣接する固化体の放射線により発生する水素量とその影響について、PHITSコードにより評価した。放射能濃度が高い固化体を連続して配置しないこと、放射能濃度が低い場合は廃棄体の距離の調整により水素発生量を抑制できることを見出した。
土屋 直子*; 向井 智久*; 楠 浩一*; 兼松 学*; 椛山 健二*; 鈴木 裕士
no journal, ,
建築ストックの有効活用に向け、既存鉄筋コンクリート建物に対して低振動・低騒音のあと施工アンカーによる長期使用のための改修技術の開発が望まれている。その一つとして湿式コア穿孔によるあと施工アンカーがあるが、その付着機構はまだ十分に解明されていない。そこで本研究では、中性子回折法による応力測定技術を用い、3種類の固着剤を用いて埋設されたあと施工アンカーの付着応力分布の測定を行った。その結果、アンカー筋に同じ引張荷重が働いた場合に、アンカー筋の付着応力度分布や残留応力は固着材料により異なることを明らかにした。これにより、中性子回折法があと施工アンカーの付着特性の評価に有効な手段であることが示された。
佐竹 高祐*; 楠 浩一*; 向井 智久*; 兼松 学*; 小山 拓*; 鈴木 裕士
no journal, ,
本研究では、曲げモーメントを負荷した梁型の鉄筋コンクリート試験体について、中性子回折法により曲げ付着挙動を評価することを目的とした。本実験は、大強度陽子加速器施設J-PARCの物質生命科学実験施設MLFに設置された工学材料回折装置TAKUMIを用いて行い、主筋およびせん断補強筋の軸応力分布を測定した。その結果、中性子応力測定技術における従来知見を応用した新しい測定手法の提案により、曲げ付着挙動の評価の鍵となる主筋の付着応力度分布の変化、およびせん断補強筋の軸応力変化の定量評価に成功した。これにより、載荷に伴う曲げひび割れの発生と、それに続くせん断ひび割れの発生が、その周辺における付着劣化の原因となり、それに伴い主筋軸応力分布が変化することを確認した。また、せん断ひび割れの発生により、コンクリートの乾燥収縮に伴い発生したせん断補強筋の圧縮応力が緩和したことを確認した。このように、中性子回折法を用いることで、梁型の鉄筋コンクリート試験体内部の主筋およびせん断補強筋の非破壊・非接触応力測定が可能であり、その結果から、曲げ付着挙動の推定が可能であることが分かった。