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報告書

不飽和圧縮ベントナイト中での塩水浸潤挙動データの取得

佐藤 久*; 高山 裕介; 鈴木 英明*; 佐藤 大介*

JAEA-Data/Code 2023-010, 47 Pages, 2023/09

JAEA-Data-Code-2023-010.pdf:1.45MB

高レベル放射性廃棄物の処分場を沿岸部に建設した場合、沿岸部の地下水は海水の影響を受けて塩濃度が高くなるため、海水系の地下水が緩衝材を含む人工バリアに与える影響を十分に考慮して評価する必要がある。本報告では、緩衝材が飽和に至るまでの過渡的な期間において、海水系の地下水が緩衝材中での水分や溶質の移行現象に与える影響を評価することを目的として、異なる乾燥密度の圧縮ベントナイト試料を対象に、浸潤水のNaCl濃度を変えた一次元の塩水浸潤試験を実施し、浸潤水のNaCl濃度と浸潤速度の関係や浸潤試験後の圧縮ベントナイト試料中の含水比分布データを取得した。また、浸潤試験後の試料中の塩化物イオンの濃度分布を分析することにより、不飽和な圧縮ベントナイト中での溶質の移行挙動の理解に資するデータを取得した。その結果、浸潤水のNaCl濃度が高くなるに従い浸潤は速くなり、乾燥密度1.4Mg/m$$^{3}$$から1.8Mg/m$$^{3}$$、浸潤水のNaCl濃度が0(蒸留水)から4.0mol/dm$$^{3}$$までの範囲において、浸潤時間と浸潤量の関係は浸潤水の拡散現象とみなして評価できることが確認された。また、浸潤水が蒸留水の場合、含水比は給水側から浸潤距離に応じてなだらかに低下する分布となるが、浸潤水がNaCl水溶液の場合、含水比は給水側から浸潤の先端近くまで比較的高い状態を保ちながら浸潤の先端で低下する分布となり、NaCl濃度が高くなるに従いその傾向が強くなることが確認された。浸潤試験後試料の塩化物イオン濃度の分析結果から、給水側よりも浸潤方向側の領域で給水側より塩化物イオンの濃度が部分的に高くなる現象(塩化物イオンの濃縮)が起きており、この傾向は供試体の乾燥密度が低くなるに従い強くなることや、浸潤水のNaCl濃度が高くなるに従い強くなることが確認された。また、浸潤に伴い塩化物イオンが濃縮する現象は供試体の初期含水比に依存することが確認されており、浸潤に伴う塩化物イオンの濃縮が生じない条件を設定可能な見通しが得られた。

報告書

熱-水-応力-化学連成解析モデルを用いた海水系地下水環境下における緩衝材の浸潤挙動評価(受託研究)

鈴木 英明*; 高山 裕介; 佐藤 久*; 綿引 孝宜*; 佐藤 大介*

JAEA-Research 2022-013, 41 Pages, 2023/03

JAEA-Research-2022-013.pdf:3.99MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分における過渡期のニアフィールド状態は、熱的作用(熱輸送、熱膨張)、水理的作用(地下水浸透、温度勾配による水分移動)、力学的作用(応力変形、膨潤圧の発生)および化学的作用(物質移行、間隙水の濃縮希釈、鉱物の溶解沈澱など)などが相互に影響を及ぼし合って変化する複合的な現象が生じると考えられている。このような過渡期における複雑なニアフィールド環境を把握することを始めとして、安全評価における核種移行の初期状態の設定や、オーバーパックの腐食寿命評価に必要となるニアフィールド環境条件に関する情報の提供を目的として、熱-水-応力-化学(THMC)連成解析コード(Couplys)の開発が進められてきている。本研究では、海水系地下水環境下におけるニアフィールドの再冠水挙動の評価を適切に行うため、海水系地下水を想定した溶液を緩衝材材料に浸潤させた室内試験結果に基づき、不飽和浸透流解析と物質移行解析および地球化学解析を連成させる手法により、緩衝材の透水性が間隙水中の塩濃度に依存して変化するとした水理モデルを設定した。また、廃棄体の発熱によってオーバーパック近傍で緩衝材の水分が低下し乾燥する現象について、気液二相流解析コード(TOUGH2)を用いて、廃棄体の発熱を想定した人工バリア体系での気相の流れと水蒸気量の勾配によって生じる水蒸気移動を含む緩衝材の浸潤挙動評価を実施した。そして、得られた浸潤プロファイルに基づき、温度および間隙水飽和度の依存性を考慮した温度勾配による水分移動モデルの設定を行った。さらに、これら設定したモデルをCouplysに適用し、幌延深地層研究計画に基づき実施された人工バリア性能確認試験を対象とした解析評価を実施した。そして、原位置で計測された緩衝材の浸潤挙動に関するデータとの比較を通じてモデルの適切性を確認した。

論文

Design and actual performance of J-PARC 3 GeV rapid cycling synchrotron for high-intensity operation

山本 風海; 金正 倫計; 林 直樹; Saha, P. K.; 田村 文彦; 山本 昌亘; 谷 教夫; 高柳 智弘; 神谷 潤一郎; 菖蒲田 義博; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 59(9), p.1174 - 1205, 2022/09

 被引用回数:6 パーセンタイル:84.97(Nuclear Science & Technology)

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、最大1MWの大強度ビームを25Hzという早い繰り返しで中性子実験及び下流の主リングシンクロトロンに供給することを目的に設計された。2007年の加速器調整運転開始以降、RCSではビーム試験を通じて加速器の設計性能が満たされているかの確認を進め、必要に応じてより安定に運転するための改善を行ってきた。その結果として、近年RCSは1MWのビーム出力で連続運転を行うことが可能となり、共用運転に向けた最後の課題の抽出と対策の検討が進められている。本論文ではRCSの設計方針と実際の性能、および改善点について議論する。

論文

Hyperfine splitting and nuclear spin polarization in NdPd$$_5$$Al$$_2$$ and Nd$$_3$$Pd$$_{20}$$Ge$$_6$$

目時 直人; 柴田 薫; 松浦 直人*; 北澤 英明*; 鈴木 博之*; 山内 宏樹; 萩原 雅人; Frontzek, M. D.*; 松田 雅昌*

Journal of the Physical Society of Japan, 91(5), p.054710_1 - 054710_6, 2022/05

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Multidisciplinary)

NdPd$$_5$$Al$$_2$$におけるNdの超微細相互作用分裂を高分解能の中性子非弾性散乱によって研究した。Nd核の核スピン($$I$$=7/2)と、$$|pm9/2rangle$$の軌道が主成分の$$Gamma_6$$基底状態を示す4$$f$$電子との間の超微細相互作用によって、磁気秩序相において生じた超微細相互作用分裂に起因する中性子非弾性散乱ピークを、$$hbaromega$$ = $$pm$$3$$mu$$eVのエネルギーに観察した。低温では、Nd核スピンの低エネルギー状態の占拠確率が増加することによりNd核スピンが偏極し、反強磁性散乱ピーク強度に寄与するが、その際、中性子の非スピン反転過程の寄与が最も大きい。この現象の応用として反強磁性散乱ピーク強度の温度変化から、Nd$$_3$$Pd$$_{20}$$Ge$$_6$$のNd磁気モーメント及び超微細相互作用分裂の大きさを見積もることに成功した。

論文

Multipole polaron in the devil's staircase of CeSb

新井 陽介*; 黒田 健太*; 野本 拓也*; Tin, Z. H.*; 櫻木 俊輔*; Bareille, C.*; 明比 俊太朗*; 黒川 輝風*; 木下 雄斗*; Zhang, W.-L.*; et al.

Nature Materials, 21(4), p.410 - 415, 2022/04

 被引用回数:7 パーセンタイル:77.62(Chemistry, Physical)

Low-energy electronic structures of CeSb which shows multiple phase transitions known as devil's staircase were examined by combination of laser angle-resolved photoemission, Raman and neutron scattering spectroscopies. A new type of electron-boson coupling between the mobile electrons and quadrupole CEF-excitations of the 4f orbitals was found. The coupling is exceedingly strong and exhibits anomalous step-like enhancement during the devil's staircase transition, unveiling a new type of quasiparticle, named multipole polaron.

報告書

ニアフィールドにおける過渡期の熱-水-応力連成挙動に及ぼす緩衝材の密度変化の影響評価(受託研究)

鈴木 英明*; 高山 裕介

JAEA-Research 2020-015, 52 Pages, 2020/12

JAEA-Research-2020-015.pdf:3.83MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分におけるニアフィールド環境は、廃棄体からの発熱による熱的作用、人工バリア内への地下水の浸潤による水理的作用及び緩衝材の膨潤などによる力学的作用が相互に影響を及ぼしあう複合現象として取り扱う必要がある。このような複雑なニアフィールド環境を評価するためのツールとして、熱-水-応力(THM)連成解析コードの開発が進められている。本研究では、THM連成解析モデルの高度化として、緩衝材の力学特性、熱特性及び水理特性の密度依存性について整理を行い、緩衝材の密度変化によって生じるTHMに関する物性値の変化を考慮できるように解析コードの更新を行った。そして、力学解析側から熱解析及び水理解析側へ解析結果を提供するスキームを追加した解析コードを用いて、幌延深地層研究計画において実施している人工バリア性能確認試験を対象とした再現解析を実施し、原位置で得られた計測データとの比較を通じて、モデルの適切性を確認するとともに、緩衝材の密度変化が及ぼす温度や浸潤及び膨潤変形挙動への影響の程度を把握した。さらに、ニアフィールドの長期挙動に関する事例解析として、廃棄体竪置き方式の人工バリアを対象として、廃棄体からの放熱と人工バリア内への地下水浸潤にともない、緩衝材が埋め戻し材側へ膨出することによって生じる緩衝材の密度変化が、緩衝材中の温度や浸潤挙動へ与える影響を確認した。

論文

Devil's staircase transition of the electronic structures in CeSb

黒田 健太*; 新井 陽介*; Rezaei, N.*; 國定 聡*; 櫻木 俊輔*; Alaei, M.*; 木下 雄斗*; Bareille, C.*; 野口 亮*; 中山 充大*; et al.

Nature Communications (Internet), 11, p.2888_1 - 2888_9, 2020/06

 被引用回数:20 パーセンタイル:75.49(Multidisciplinary Sciences)

Solids with competing interactions often undergo complex phase transitions. Among them, CeSb is the most famous material where a number of the distinct magnetic phases called devil's staircase appear. We observed the electronic structure evolution across the devil's staircase transitions using bulk-sensitive angle-resolved photoemission spectroscopy.

論文

The $$f$$-electron state of the heavy fermion superconductor NpPd$$_5$$Al$$_2$$ and the isostructural family

目時 直人; Aczel, A. A.*; 青木 大*; Chi, S.*; Fernandez-Baca, J. A.*; Griveau, J.-C.*; 萩原 雅人*; Hong, T.*; 芳賀 芳範; 池内 和彦*; et al.

JPS Conference Proceedings (Internet), 30, p.011123_1 - 011123_6, 2020/03

希土類(4$$f$$)やアクチノイド(5$$f$$)は、電子数の増加とともに複雑さを増し、様々な相互作用が競合して多様な状態が出現する。多体$$f$$電子系の結晶場分裂はバンド幅より狭いため、(1)高分解能の実験が必要で、(2)遍歴的なCeやU化合物は本質的に明瞭なスペクトルを示さない。また、(3)国際規制物質NpやPuなど超アクチノイド元素の取り扱いは厳しく規制されている。そこで比較的局在性の強い物質や希土類関連物質の、中性子散乱実験による磁気励起の研究が有益である。本稿では重い電子系化合物NpPd$$_5$$Al$$_2$$と関連物質の$$f$$電子状態について述べる。

論文

$$f$$-electron states in PrPd$$_5$$Al$$_2$$

目時 直人; 山内 宏樹; 鈴木 博之*; 北澤 英明*; 萩原 雅人*; 益田 隆嗣*; Aczel, A. A.*; Chi, S.*; Hong, T.*; 松田 雅昌*; et al.

Journal of the Physical Society of Japan, 87(9), p.094704_1 - 094704_8, 2018/09

 被引用回数:6 パーセンタイル:46.54(Physics, Multidisciplinary)

中性子非弾性散乱実験によりPrPd$$_5$$Al$$_2$$$$f$$電子状態を明らかにした。この物質のユニークな結晶構造に起因する2次元的な結晶場ポテンシャルにより、大きな$$J_z$$を伴う平べったい$$f$$軌道が安定化し、イジング型の磁気異方性が生じることがわかった。この2次元的な結晶場ポテンシャルは同じ結晶構造を持つ希土類化合物RPd$$_5$$Al$$_2$$に共通に存在し、重い電子系超伝導体NpPd$$_5$$Al$$_2$$におけるXY型磁気異方性への変化を系統的に説明することができる。それは、$$f$$電子の局所的な性質がこの物質系の物性発現機構において非常に重要であり、NpPd$$_5$$Al$$_2$$における重い電子系超伝導にも関与している。

論文

Neutron inelastic scattering study of the $$f$$-electron states in NdPd$$_5$$Al$$_2$$

目時 直人; 山内 宏樹; 鈴木 博之*; 北澤 英明*; 蒲沢 和也*; 池内 和彦*; 梶本 亮一; 中村 充孝; 稲村 泰弘

Journal of the Physical Society of Japan, 87(8), p.084708_1 - 084708_7, 2018/08

 被引用回数:6 パーセンタイル:46.54(Physics, Multidisciplinary)

$$f$$電子化合物NdPd$$_5$$Al$$_2$$の中性子散乱による研究を行った。0K, 35.4K, 88.3K, 101.5K, and 198.8Kの結晶場レベルを励起スペクトルから明らかにした。$$Gamma_6$$基底状態は主として$$J_z=pm9/2$$の軌道によって構成され、これが大きな負の$$B_{20}=-1.4$$Kと一軸異方性を生じる。結晶場から計算された磁気モーメント, 帯磁率, 磁化曲線, 比熱は実験をよく説明する。CePd$$_5$$Al$$_2$$やPrPd$$_5$$Al$$_2$$と共通した電荷分布の存在は同じ構造を持つアクチノイド化合物においても局在的な性質が重要で、UPd$$_5$$Al$$_2$$の局在5$$f$$電子状態やNpPd$$_5$$Al$$_2$$の重い電子系超伝導にその価数の不安定性が重要な役割をすることを示している。

論文

Experimental determination of the topological phase diagram in Cerium monopnictides

黒田 健太*; 越智 正之*; 鈴木 博之*; 平山 元昭*; 中山 充大*; 野口 亮*; Bareille, C.*; 明比 俊太朗*; 國定 聡*; 室 隆桂之*; et al.

Physical Review Letters, 120(8), p.086402_1 - 086402_6, 2018/02

 被引用回数:50 パーセンタイル:91.96(Physics, Multidisciplinary)

We use bulk-sensitive soft X-ray angle-resolved photoemission spectroscopy and investigate bulk electronic structures of Ce monopnictides (CeX; X=P, As, Sb and Bi). By exploiting a paradigmatic study of the band structures as a function of their spin-orbit coupling (SOC), we draw the topological phase diagram of CeX and unambiguously reveal the topological phase transition from a trivial to a nontrivial regime in going from CeP to CeBi induced by the band inversion.

論文

Neutron powder diffraction study on the magnetic structure of NdPd$$_5$$Al$$_2$$

目時 直人; 山内 宏樹; 北澤 英明*; 鈴木 博之*; 萩原 雅人*; Frontzek, M. D.*; 松田 雅昌*; Fernandez-Baca, J. A.*

Journal of the Physical Society of Japan, 86(3), p.034710_1 - 034710_5, 2017/03

 被引用回数:9 パーセンタイル:56.98(Physics, Multidisciplinary)

中性子回折実験によりNdPd$$_5$$Al$$_2$$の磁気構造を研究した。$$q$$=(1/2 0 0)の変調ベクトルで説明できる顕著な反強磁性ピークを磁気転移温度$$T_textrm{N}$$=1.2K以下で観察した。c軸に平行なNdの磁気モーメントは0.3Kで2.9(1)$${mu}_{rm B}$$の大きさであり、a面内で強磁性的に整列した層がa軸方向に++--と4枚周期で配列する。各Nd層の面間隔はa/2である。この構造は$$q$$=(0.23 0.23 0)であるCePd$$_5$$Al$$_2$$によく似ていて、面内成分$$q_{|}$$のみの変調構造は、これらの物質の2次元的なフェルミ面によって生じていると理解できる。その2次元性は、これらの物質の縦長のとてもユニークな形のユニットセルと、2枚PdとAl層によって隔てられたNdの原子間距離がc軸方向に7${AA}$以上ととても大きいことに起因している。

論文

小型OSL線量計のリングバッジへの応用

宮内 英明; 吉富 寛; 佐藤 義高; 高橋 史明; 橘 晴夫; 小林 育夫*; 鈴木 朗史*

日本放射線安全管理学会誌, 12(1), p.41 - 45, 2013/07

原子力科学研究所では、原子炉の使用済燃料を取り扱うような施設での除染作業等において、手の末端部の被ばく評価が重要となる。これまで、手の末端部の被ばく評価は、TLDを用いたリングバッジで線量を測定し実施してきた。今回われわれは、市販の小型光刺激ルミネセンス線量計の特性と形状に着目し、それをリングバッジに応用した(OSL型リングバッジ)。本リングバッジは、基準照射及びモンテカルロシミュレーション計算による特性検証結果が良好であり、$$beta$$線と$$gamma$$(X)線を精度良く分離し線量を評価できる。本投稿において、OSL型リングバッジの概要及び線量評価手法を紹介する。

論文

熱-水-応力-化学連成解析による緩衝材の地球化学環境の変遷に着目したニアフィールド長期挙動評価の一例

鈴木 英明; 中間 茂雄; 藤田 朝雄; 今井 久; 九石 正美

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 19(2), p.39 - 50, 2012/12

高レベル放射性廃棄物の地層処分における長期安全性の評価を行うためには、ニアフィールドで生じるプロセスの定量化が必要となる。そこで、開発された熱-水-応力-化学連成解析モデルを用いて、仮想的地質環境条件に基づく地層処分システムを想定した数値解析を実施し、ガラス固化体の放熱と人工バリア内への地下水の浸潤に伴うニアフィールドの化学的な環境の変化を定量的に例示した。海水系地下水環境下での緩衝材中では、一時的に、オーバーパック周辺で塩が析出することや、支保コンクリートとの境界近傍でスメクタイトがカルシウム型化するものの、長期的には安全評価上設定されたシナリオと整合する傾向が得られた。さらに、オーバーパックの腐食評価のための基盤情報として、オーバーパックに接触する緩衝材間隙水組成の変遷を示した。

報告書

緩衝材中の化学影響評価に向けた熱-水-応力-化学連成解析モデルの開発

木村 誠*; 九石 正美; 藤田 朝雄; 中間 茂雄; 鈴木 英明

JAEA-Research 2010-034, 131 Pages, 2010/10

JAEA-Research-2010-034.pdf:16.23MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分において、廃棄体定置後から緩衝材が再冠水に至るまでの過渡的な期間にニアフィールドで形成される塩濃縮・析出現象をはじめとする緩衝材中の化学影響に重きを置いた熱-水-応力-化学連成解析モデルの高度化を進めている。本報告では、(1)モデルで考慮されている連成事象の理論・法則や制約条件を整理,(2)米国で開発が進められている気液二相流を考慮した連成解析コードとの比較解析を通じた解析モデルの適用性を確認,(3)これまで実施してきた塩濃縮試験結果を整理とこの試験に対応した解析モデルの適用による検証解析,(4)仮想的地質環境におけるニアフィールドのガラス固化体からの崩壊熱の発生や地下水の浸潤に伴うニアフィールドへの本解析モデルの適用、を実施した。これらのことより、開発・高度化を進めているモデルにより崩壊熱の発生に伴う地下水の浸潤過程において、緩衝材内が不飽和状態にある期間内にはオーバーパックと緩衝材の境界で塩類が濃縮・析出し、長期的には濃縮塩類が溶解・逸散するというシナリオに整合する傾向を示すとともに、本モデルの適用性を確認した。

論文

緩衝材の地球化学プロセスに着目した熱-水-化学連成挙動に関する工学規模の人工バリア試験と解析評価

鈴木 英明; 藤崎 淳*; 藤田 朝雄

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 16(1), p.43 - 56, 2009/12

高レベル放射性廃棄物の地層処分における人工バリア定置後のニアフィールドの挙動は、廃棄体からの放熱,人工バリア内への地下水の浸潤,緩衝材の膨潤,間隙水組成の変化など、熱的,水理学的,力学的及び地球化学的プロセスが相互に影響を及ぼし合う連成現象が生じることが予想される。このようなニアフィールドの連成挙動の現実的な理解と予測を目的に、ニアフィールドの連成現象を表現する熱-水-応力-化学連成挙動解析モデルの開発を行っている。本論は、工学規模の人工バリア試験結果及び開発した連成解析モデルによる確証解析結果について述べる。人工バリア試験では、緩衝材中の物質移行及び地球化学プロセスにかかわる情報を得た。そして、開発した連成解析モデルにより、モルタルからの高アルカリ性間隙水の浸潤による緩衝材の地球化学プロセスに着目した熱-水-化学連成解析を実施した。その結果、工学規模の人工バリア試験の温度場,再冠水挙動及び緩衝材とモルタルとの境界部での鉱物の溶解沈殿挙動を説明でき、開発した連成解析モデルが、緩衝材が飽和するまでの過渡的な遷移状態における熱-水-化学連成挙動評価に適用できることを確認した。

論文

A New method for the quantitative analysis of the scale and composition of nanosized oxide in 9Cr-ODS steel

大沼 正人*; 鈴木 淳市; 大塚 智史; Kim, S.-W.; 皆藤 威二; 井上 賢紀; 北澤 英明*

Acta Materialia, 57(18), p.5571 - 5581, 2009/10

 被引用回数:117 パーセンタイル:97.23(Materials Science, Multidisciplinary)

The size and number density of nano-oxide particles in 9Cr-ODS steels with different concentrations of excess O, Ti and W are quantitatively determined using Small-angle neutron (SANS) and X-ray scattering (SAXS). Using the difference of the SANS and SAXS intensity in absolute units, the technique called the "alloy contrast variation (ACV) method" has been used to determine the compositions of the nano-oxide precipitates. The results indicate that the finest size and highest number density of nano-oxide particles is obtained by suppressing the amount of excess O and increasing the amount of Ti. The ACV method indicates that the finest nano-oxide has a chemical composition close to Y$$_{2}$$Ti$$_{2}$$O$$_{7}$$.

論文

Development of a coupled thermal; Hydraulic model for near-field behavior of high-level radioactive waste repository

鈴木 英明; 中間 茂雄; 木村 誠; 藤田 朝雄

Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-13) (CD-ROM), 13 Pages, 2009/09

In order to validate the THMC model, it is essential to compare with results of coupled behavior experiments in laboratory or in situ. The engineered scale experimental studies under controlled boundary in laboratory conditions has been carried out with simulated engineered barrier system equipment This paper presents the results of measured data and simulation of the coupled thermal and hydraulic for the period of 830 days. As a result, the following coupled processes were clear, temperature distribution and re-saturation behavior of buffer material by embedded sensor during experiment and sampling. And also the TH processes could be simulated with a developed model. These results provide basic information for the purpose of understanding and modeling of the mechanical and chemical phenomena in this experiment.

報告書

坑道掘削に伴う地下水の水理及び水質変化に関する解析評価; 幌延深地層研究計画における水平坑道掘削影響試験の予察解析

鈴木 英明; 木村 誠; 藤田 朝雄

JAEA-Research 2008-110, 29 Pages, 2009/02

JAEA-Research-2008-110.pdf:2.18MB

人工バリア定置後のニアフールド環境のより現実的な理解と信頼性の高い予測を行うためには、坑道掘削によって生じる応力場,水理場及び化学場の変化を把握する必要がある。本報告書は、これまでに開発してきた熱-水-応力-化学連成解析評価モデルの適用性を確認することを目的として、幌延深地層研究で計画されている坑道掘削影響評価試験の予察解析結果について報告するものである。予察解析では、深度140mの声問層を対象として、坑道掘削に伴う坑道周辺岩盤の水理場と地下水水質の変化に着目し、地球化学反応を考慮した水理-物質移行連成解析を実施した。その結果、飽和度95%以下の不飽和領域は、坑道壁面より約5m程度の範囲で発生し、これに伴って、地下水中に高い濃度で溶解している炭酸が脱ガスし、地下水のpHが変化するなどの地球化学特性の変化を把握した。

報告書

熱-水-応力連成試験設備(COUPLE)を用いた室内試験結果に基づく熱-水連成モデルの信頼性確認

藤崎 淳; 鈴木 英明; 藤田 朝雄

JAEA-Research 2008-020, 62 Pages, 2008/03

JAEA-Research-2008-020.pdf:24.3MB

人工バリア定置後のニアフィールドの挙動を評価するためには、そこに生じる連成現象をモデル化し、その時間的,空間的変遷を把握することが必要である。しかしながら、ニアフィールドにおける連成現象は熱-水-応力-化学が相互に影響を及ぼしながら進行する複雑なものであるから、適用した連成モデルが現象を適切に表現可能か否かの判断は実現象との比較なしには困難である。したがって、室内あるいは原位置において、実際に連成現象を生起させて取得した結果に基づき、モデルの確証を行うことが必要である。このような観点から、室内において実施した工学的規模の熱-水-応力連成試験設備(COUPLE)を用いて連成試験を実施した。その結果、温度及び緩衝材中の水分量について、有意なデータを得ることができた。さらに、連成モデルを用いて計算した緩衝材中の温度及び水分量の変遷は試験結果と良い一致を示し、今回適用した連成モデルの妥当性が示された。

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