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武内 伴照; 蔵本 明*; 亀田 純*; 外山 健*; 永井 康介*; 長谷川 雅幸*; 大久保 忠勝*; 義家 敏正*; 西山 裕孝; 鬼沢 邦雄
Journal of Nuclear Materials, 402(2-3), p.93 - 101, 2010/07
被引用回数:59 パーセンタイル:96.23(Materials Science, Multidisciplinary)中性子照射した原子炉圧力容器鋼でのミクロ組織変化と硬化との関係を、3次元アトムプローブ,陽電子消滅,ビッカース硬度測定を用いて調べた。試料には不純物濃度を変じた2種のA533B-1鋼を用い、材料試験炉(JMTR)において照射速度はほぼ一定に揃えつつ照射量を大きく変じた(0.329.910n cm(E1MeV))加速照射を行った。その結果、低照射量領域における急激な硬化はおもにマトリックス損傷の形成によるものであり、中照射量高照射量領域における緩やかな硬化は、不純物濃度の高い鋼材中では銅富裕クラスター(CRCs)、低い鋼材ではSi-Mn-Ni富裕クラスター(MNSCs)の形成によるものであることがわかった。ラッセルブラウンモデルにより見積もられた、CRCs及びMNSCsが転位の運動を阻害する強さはほぼ同じであった。また、最も高い照射量において、不純物濃度の高い鋼材においてもMNSCsが形成することが示された。
西山 裕孝; 鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀; Anderegg, J. W.*; 永井 康介*; 外山 健*; 長谷川 雅幸*; 亀田 純*
Acta Materialia, 56(16), p.4510 - 4521, 2008/09
被引用回数:67 パーセンタイル:92.13(Materials Science, Multidisciplinary)中性子照射した原子炉圧力容器鋼で、粒界のリン偏析と照射硬化が延性脆性遷移温度(DBTT)に及ぼす影響を、オージェ電子分光分析,局所電極型アトムプローブ、及び陽電子消滅法による組織分析を用いながら検討した。中性子照射により粒界のリン偏析が誘起されることを示した。また、材料中のリン含有率が高くなると照射硬化が大きくなることを示した。これは、照射によって生成した空孔によって安定化されたリン集合体によるものであることを明らかにした。粒界のリン濃度及び照射硬化とDBTTの関係、並びに破面観察から、中性子照射によって粒界におけるリンの脆化能が小さくなる現象を見いだし、脆化の主要因は照射硬化によることを示した。
近藤 啓悦; 根本 義之; 三輪 幸夫; 加治 芳行; 塚田 隆; 永井 康介*; 長谷川 雅幸*; 大久保 忠勝*; 宝野 和博*
JAEA-Research 2006-013, 39 Pages, 2006/12
沸騰水型軽水炉(BWR)炉心シュラウドなどにおいて低炭素オーステナイト系ステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)発生が報告されている。機構解明のためにBWR炉心シュラウドから採取されたサンプル(SUS316L)の3次元アトムプローブ分析を行った。その結果、粒内において偏析及び析出物生成,スピノーダル分解などに伴う溶質元素の不均一分布は観察されなかった。また、結晶粒界の分析の結果、粒界において原子層レベルでも明確なCrの欠乏層が存在しなかったことから、低炭素ステンレス鋼のSCCにはCr欠乏による耐食性劣化とは異なるき裂進展機構が存在することが明確に示された。他の溶質元素についてはMo及びSiが、粒界において従来のFE-TEM/EDSによって分析された濃度値よりも高濃度で濃縮している可能性が示唆された。
永井 康介*; 外山 健*; 西山 裕孝; 鈴木 雅秀; Tang, Z.*; 長谷川 雅幸*
Applied Physics Letters, 87(26), p.261920_1 - 261920_3, 2005/12
被引用回数:27 パーセンタイル:67.53(Physics, Applied)原子炉圧力容器鋼における照射脆化は安全上極めて重要な問題であり、その予測は実機、及び照射速度が高い材料試験炉による照射データに基づいて行われている。ここで、材料試験炉による加速照射が、照射速度が低い実機の照射脆化をどの程度再現できるかについて、脆化機構の観点から明らかにすることが重要である。本研究では、照射速度が約4桁異なる原子炉圧力容器鋼の中性子照射材について、陽電子消滅法を用い、照射脆化の原因の一つとなるナノサイズの銅析出物の分析を行った。その結果、極めて低い照射速度の中性子照射によって銅析出が加速されることを明らかにした。これは、実機の原子炉圧力容器鋼における銅析出による照射脆化は、加速照射データで予測されるよりも低い照射量、すなわち短時間で起きることを意味するものである。
長谷川 雅幸*; 永井 康介*; Tang, Z.*; 湯葢 邦夫*; 鈴木 雅秀
JAERI-Tech 2003-015, 137 Pages, 2003/03
材料試験炉(JMTR)で中性子照射した原子炉圧力容器銅のモデルFe‐Cuについて陽電子消滅実験を行い、照射によって生じたナノボイドや超微小Cu析出物を調べた。その結果、ナノボイドの表面は、Cu原子で覆われていること、このようなナノボイドは、約400の焼鈍でその内部の空孔が解離・消滅するために超微小Cu析出物となることを見いだした。また、照射脆化に重要な役割を果たすと考えられているNi,Mn,PなどをFe‐Cuモデル合金に添加した効果を調べた結果、(1)NiやPは、ナノボイド形成を促進するが、Mnは逆に遅らせること,(2)約400の焼鈍によって生ずる超微小Cu析出物はほぼ純銅でこれら添加元素を含んでいないこと、などを見いだした。さらに単結晶Fe‐Cuの陽電子消滅2次元角相関(2D‐ACAR)測定から、Fe中に埋め込まれた超微小Cu析出物(体心立方結晶構造)のFermi面を求めた。この結果はバンド計算の結果と良く一致した。FeCuモデル合金中のCu集合体の陽電子親和力閉じ込めの理論計算を行い、約1nm以上の埋め込み粒子になると陽電子量子ドット状態が実現することがわかった。
河裾 厚男; 長谷川 雅幸*
まてりあ, 35(2), p.130 - 139, 1996/00
本論文は、日本金属学会会報における「陽電子消滅法による材料評価の進展」と題する特集号に掲載されるもので、特に、普及型陽電子消滅法を用いて近年行われているバルク半導体中の欠陥挙動解析の現状をレビューしたものである。本論文では、シリコン及びガリウム砒素にスポットをあて、照射誘起欠陥、変形誘起欠陥そして育成時導入欠陥に関して得られた知見について述べた。前半部では、半導体中の欠陥と陽電子の相互作用過程(陽電子捕獲や消滅)について特徴的な事柄を金属結晶の場合と対比させて述べた。後半部では、陽電子消滅法によって明らかにされた空孔クライスターの形成過程や転位芯における陽電子消滅、空孔周りに誘起されている格子緩和などユニークで学問的にも工業的にも有用な知見について詳述した。
西山 裕孝; 鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀; 永井 康介*; 外山 健*; 長谷川 雅幸*; 亀田 純*
no journal, ,
中性子照射した原子炉圧力容器鋼で、粒界のリン偏析と照射硬化が延性脆性遷移温度(DBTT)に及ぼす影響を、オージェ電子分光分析,局所電極型アトムプローブ、及び陽電子消滅法による組織分析を用いながら検討した。中性子照射により粒界のリン偏析が誘起されることを示した。また、材料中のリン含有率が高くなると照射硬化が大きくなることを示した。これは、照射によって生成した空孔によって安定化されたリン集合体によるものであることを明らかにした。粒界のリン濃度及び照射硬化とDBTTの関係、並びに破面観察から、中性子照射によって粒界におけるリンの脆化能が小さくなる現象を見いだし、脆化の主要因は照射硬化によることを示した。
武内 伴照; 蔵本 明*; 外山 健*; 永井 康介*; 長谷川 雅幸*; 義家 敏正*; 勝山 仁哉; 西山 裕孝; 鬼沢 邦雄
no journal, ,
中性子照射した原子炉圧力容器(RPV)鋼において、ミクロ組織と硬さの相関の照射量依存性を陽電子消滅,3次元アトムプローブ,ビッカース微小硬度を用いて調べた。分析試料には、不純物濃度の異なる2種のA533B鋼を、材料試験炉(JMTR)において照射速度を1.6-1.910n cm sとし、ほぼ揃えつつ、照射量を0.32-9.910n cmの範囲で約30倍に変じたものを用いた。結果から、高不純物濃度鋼の中照射量から高照射量にかけての緩やかな硬化は、Cu, Si, Ni, Mn主体の溶質ナノクラスターが主因であることが明らかとなった。また、低照射量における急激な硬化は両鋼材ともおもにマトリックス損傷によるものであり、特に単空孔や転位といったサイズの小さな欠陥によるものであることが示唆された。
武内 伴照; 西山 裕孝; 鬼沢 邦雄; 亀田 純*; 外山 健*; 永井 康介*; 長谷川 雅幸*
no journal, ,
熱時効によるステンレスオーバーレイクラッドの組織変化を定量的に分析するため、熱時効前及び400C10000時間時効後のクラッドについて、レーザー3次元アトムプローブで微細な領域の元素濃度揺らぎの分析を行うとともに、硬さとの相関を調べた。フェライト相において熱時効前でもCr濃度は有意に変動しており、熱時効によってその振幅は12%程度から25%程度にまで増大することがわかった。一方、濃度振幅の波長は熱時効によってほとんど変化せず、810nm程度であった。こうした特徴から、濃度変動はスピノーダル分解によるものと示唆され、これが硬度上昇の主因と考えられた。