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長嶺 竹明*; 阿久津 泰斗*; 佐藤 隆博; 江夏 昌志; 神谷 富裕
no journal, ,
赤血球はさまざまな微量元素を含み、病態により微量元素も変動する。赤血球の採取は侵襲性が少ない手法であり、疾患の診断や予防に赤血球の元素分析法を導入することは有意義である。われわれは空間分解能に優れ、細胞内微量元素の分布を網羅的に解析可能な大気マイクロPIXE法で、C型慢性肝患者の赤血球の元素分析を行い、C型慢性肝炎の病態や治療との関連を検討したところ、治療法の違いによる元素の変動を明らかになった。本研究の成果は、Peg-IFN+RBV併用療法の副反応である溶血性貧血の病態の解明に寄与すると考えられる。
阿久津 泰斗*; 富岡 智*; 長嶺 竹明*; 佐藤 隆博; 江夏 昌志; 神谷 富裕
no journal, ,
ペグインターフェロンとリバビリンとの2剤併用療法は、難治性C型慢性肝炎に対する標準的な治療法として用いられてきたが、その治癒率は4050%程度であり、貧血などの副作用がある。一方、インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤の3剤併用療法では、治癒率が70%以上になるものと期待されているが、貧血などの副作用も、より高頻度に起こり重症化する。本研究では、インターフェロン治療によって貧血を発症した患者の赤血球内の微量元素分布を、大気マイクロPIXE(particle induced X-ray emission)分析システムを用いて観察した。その結果、インターフェロン+リバビリン治療を受けた患者の赤血球内の鉄(Fe)の分布は、細胞の辺縁へ分布する傾向を示し、インターフェロン+リバビリン+プロテアーゼ阻害剤の3剤併用では、その傾向が顕著となることがわかった。このように、C型慢性肝炎患者の赤血球に対してマイクロPIXE分析技術を用いることにより、投与した薬剤の違いで赤血球中で酸素と結合する重要な元素である鉄の特徴的な分布を検出できたことから、今後これを応用して 薬剤投与の副作用として発症する貧血の病態解明が進むと期待される。