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金正 倫計; 神谷 潤一郎; 阿部 和彦*; 中村 止*
Proceedings of 10th International Particle Accelerator Conference (IPAC '19) (Internet), p.4161 - 4163, 2019/06
J-PARCの3GeVシンクロトロン(RCS)に使用されるアルミナセラミック真空チャンバーは、アルミナダクト,チタン(Ti)フランジ、およびTiスリーブで構成されている。アルミナダクトとTiスリーブをろう付けする前に、Tiスリーブを硝弗酸で処理した。この研究の目的は、チタン材料に対するこの処理の効果を明確にすることである。SEM観察により、硝弗酸処理後のチタン材の粗さが大きくなることが明らかとなった。また、チタン材表面の酸化皮膜の厚さは、処理前は12.7nm、処理後は6.0nmであった。これらの結果から、硝弗酸処理により、チタン表面の酸化膜が除去され、さらに表面粗さを大きくする効果があることが明らかとなった。さらに、アルミナセラミックと純チタンの間のろう付けには硝弗酸処理以外に、真空加熱炉の真空条件、及び昇温条件が重要であることが明らかとなった。この成果により、真空漏洩の低減、及び真空チャンバー製作時の歩留まりの大きな向上が見込まれ、加速器の安定運転に貢献するものである。
金正 倫計; 神谷 潤一郎; 阿部 和彦*; 中村 止*
Proceedings of 15th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1177 - 1179, 2018/08
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、真空チャンバーの約半数にセラミックス製のチャンバーを使用している。これらのチャンバーはアルミナセラミックス本体、その両端の純チタン製フランジ、及びその間の純チタン製の薄肉(約1mm程度)スリーブで構成されている。本真空チャンバーの製作工程で、アルミナセラミックスとチタンスリーブをろう付けする際に、チタンスリーブの前処理として、硝弗酸処理を行う。本件は、この硝弗酸処理がチタン材料にどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的とした。実験結果から、硝弗酸処理により、純チタン表面があらされ、さらに、純チタン表面の酸化被膜が除去されることが分かった。また、ろう付け時には、純チタン内に銀ろう材を拡散させず、さらに、チタン-銅リッチ層の厚さを制御することが重要であり、これらのためには、ろう付け時に使用する真空炉の圧力、特にベース圧力と昇温条件の制御が重要であることが分かった。
神谷 潤一郎; 金正 倫計; 阿部 和彦*; 比嘉 究作*; 小泉 欧児*
Journal of Vacuum Science and Technology A, 36(3), p.03E106_1 - 03E106_10, 2018/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Coatings & Films)J-PARC RCS入射部における懸案事項は、装置が密集しているため保守作業を円滑にするうえで理想的な箇所にベローズが配置できていないことであった。具体的には四極電磁石用と水平シフトバンプ電磁石用のセラミックスビームパイプどうしがフランジを介して接続されている。我々はRCS真空システムの構築を通じて得た、セラミックスビームパイプおよびチタン製低反力ベローズの知見を活用し、セラミックスの形状を改良して長手方向に空間を作り、そこへベローズを挿入するという新しい構造のビームパイプの製作を行うこととした。シフトバンプ電磁石用セラミックスビームパイプについては、フランジ温度がコイルからの漏えい磁場による発熱で、現状で120度にもなっているためこれ以上短くするのは望ましくないことから、四極電磁石用セラミックスビームパイプに対してベローズを有する構造を適用することとした。本報告では保守性を向上させるためにベローズを有する構造へ改良した大口径アルミナセラミックスビームパイプの開発について、設計思想、課題、および各コンポーネントの検証について発表する。
松浦 慧介*; 佐賀山 基*; 上原 周*; 新居 陽一*; 梶本 亮一; 蒲沢 和也*; 池内 和彦*; Ji, S.*; 阿部 伸行*; 有馬 孝尚*
Physica B; Condensed Matter, 536, p.372 - 376, 2018/05
被引用回数:2 パーセンタイル:10.36(Physics, Condensed Matter)We have investigated the temperature dependence of magnetic dynamics in a spinel-type vanadium oxide MnVO by inelastic neutron scattering. The scattering intensity of excitation around 20 meV disappears in the collinear intermediate-temperature cubic-ferrimagnetic phase, which reveals that this excitation should be peculiar to the orbital ordered phase. We have found a weakly dispersive mode emergent from a non-integer wavevector at 56 K, which lies in the cubic-ferrimagnetic phase between non-coplanar ferrimagnetic and paramagnetic phases. This indicates that the probable presence of an incommensurate instability in the simple collinear structure.
神谷 潤一郎; 金正 倫計; 阿部 和彦*; 比嘉 究作*; 小泉 歐兒*
Proceedings of 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1222 - 1225, 2017/12
J-PARC RCSのビーム入射部は、入射および周回ビームをロスなく受け入れるために、大口径かつビームの形状に合わせた特殊断面形状のビームパイプを用いている。このビームパイプはパルス電磁による誘導連流による発熱と磁場の乱れを回避するためにアルミナセラミックスを材料としている。現状、入射部では四極電磁石用とシフトバンプ用のセラミックス製ビームパイプが、空間の制限からベローズを介さずに直接フランジ接続させている状態である。この状態の解決はメンテナンス性を向上させ、作業者の被ばくを低減するため、加速器の安定運転に必須である。我々は、大口径ながら短ピッチの超低反力ベローズの開発と、特殊形状の大口径アルミナセラミックスの加工技術の向上を行なってきた。これらの技術を組み合わせて、入射四極電磁石用アルミナセラミックス製ビームパイプについて、セラミックスの加工技術の向上により端部の構造を簡素化し、空いた空間に短ピッチのベローズを設けるという設計を行った。本発表では、この入射四極電磁石用アルミナセラミックスビームパイプの設計思想、ロウ付け試験結果、およびベローズの性能評価結果を報告する。
中島 健次; 川北 至信; 伊藤 晋一*; 阿部 淳*; 相澤 一也; 青木 裕之; 遠藤 仁*; 藤田 全基*; 舟越 賢一*; Gong, W.*; et al.
Quantum Beam Science (Internet), 1(3), p.9_1 - 9_59, 2017/12
J-PARC物質・生命科学実験施設の中性子実験装置についてのレビューである。物質・生命科学実験施設には23の中性子ビームポートがあり21台の装置が設置されている。それらは、J-PARCの高性能な中性子源と最新の技術を組み合わせた世界屈指の実験装置群である。このレビューでは、装置性能や典型的な成果等について概観する。
松浦 慧介*; 佐賀山 基*; 上原 周*; 新居 陽一*; 梶本 亮一; 蒲沢 和也*; 池内 和彦*; Ji, S.*; 阿部 伸行*; 有馬 孝尚*
Physical Review Letters, 119(1), p.017201_1 - 017201_6, 2017/07
被引用回数:13 パーセンタイル:66.28(Physics, Multidisciplinary)We investigate the magnetic dynamics in the spinel-type vanadium oxide MnVO. Inelastic neutron scattering around 10 meV and a Heisenberg model analysis have revealed that V spin-wave modes exist at a lower-energy region than previously reported. The scattering around 20 meV cannot be reproduced with the spin-wave analysis. We propose that this scattering could originate from the spin-orbital coupled excitation. This scattering is most likely attributable to V spin-wave modes, entangled with the orbital hybridization between orbitals.
前原 直; 助川 圭一*; 只野 秀哉*; 春日井 敦; 鈴木 寛光; 阿部 和彦*; 奥 隆司*; 杉本 昌義
Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1140 - 1142, 2015/09
国際核融合中性子照射施設(IFMIF)加速器系の工学設計工学実証活動((EVEDA)では、重陽子イオンビーム125mAを9MeVまで定常運転で加速するためにInjector(100kV-140mA)、運転周波数175MHzを採用したRFQライナック(0.1-5.0MeV-130mA)と超伝導RFライナック(5.0MeV-9MeV-125mA)の開発を進めている。RFQライナックでは8つのRFインプットカプラーを用いて1.4MWレベルのRF電力入射が要求されている。このために6 1/8インチ同軸導波管をベースにループアンテナを採用した定常化RFカプラーの設計を行った。この設計ではループアンテナ内部、内部導体及び高周波窓に冷却チャンネルを設けて常水圧にて数kWレベルの熱除去を施した。試作したRFカプラーの耐電力試験ではHigh-Q load circuitを用いて定在波による耐電力試験を行い、等価的なRFパワー200kW-14秒のCW運転を実証した。この200kW-CW運転のためにはパルス幅1msec Duty 1/2において5日間のRFエージングよる脱ガスを行いカプラーの高周波窓やRFコンタクト部からのガス放出に問題無いことを実証した。本講演では、試作したRFインプットカプラーのHigh-Q load circuitを用いた耐電力試験について発表する。
坂佐井 馨; 藤 健太郎; 中村 龍也; Harjo, S.; 盛合 敦; 伊藤 崇芳; 阿部 淳; 相澤 一也; 曽山 和彦; 片桐 政樹*; et al.
Proceedings of 19th Meeting of the International Collaboration on Advanced Neutron Sources (ICANS-19) (CD-ROM), 5 Pages, 2010/07
英国ラザフォードアップルトン研究所との国際協力の下、J-PARC工学材料回折装置(匠)用中性子検出器の開発を行い、2009年3月にはすべての検出器の設置を完了した。本検出器は、外形寸法8051370217mmを有し、中性子検出には、Li(n,)H反応に基づくZnS/LiFシンチレーション反応を利用している。製作した検出器は、位置分解能3mm、中性子検出効率は中性子波長1で50%以上、線感度はCo換算で10以下である。匠では、製作した検出器を90度方向に5台ずつ、全10台が設置された。匠は順調に稼動を開始し、現在では広くユーザーに供用を行っている。
金正 倫計; 齊藤 芳男*; 壁谷 善三郎*; 田尻 桂介*; 中村 止*; 阿部 和彦*; 長山 毅俊*; 西澤 代治*; 荻原 徳男
Vacuum, 73(2), p.187 - 193, 2004/03
被引用回数:17 パーセンタイル:54.99(Materials Science, Multidisciplinary)J-PARC 3GeV-RCS用アルミナセラミックス真空ダクトの開発を行っている。このダクトは、四極電磁石用として使用される長さ約1.5m円形断面の円筒形状のものと、偏向電磁石用として使用される長さ約3.5mレーストラック形断面の15度湾曲した形状のものに大別される。これらダクトは、長さ0.5-0.8mのユニットダクトをメタライズ後ロウ付けにより必要な長さに成形される。このダクトの最大の特徴は、ビームが誘起する電磁波を遮蔽し、さらにビームが誘起する映像電流を円滑に流すために、ダクト表面に銅箔を電鋳により施している。また、内面には二次電子を抑制するために、TiNコーテイングを施してある。今回、開発に成功したので報告を行う。
杉本 誠; 高野 克敏*; 辻 博史; 阿部 和彦*; 長山 俊毅*; 奥 隆司*
低温工学, 33(11), p.716 - 723, 1998/00
室温では優れた電気絶縁性能を有するアルミナ・セラミックスの極低温機器への応用を目指して、その機械的特性を測定した。セラミックス絶縁継手は、その構造から金属との接合部を有する。これは通常、銀ろう付けされている。この強度を測定するとともに、アルミナ・セラミックスの強度を測定した。強度測定の温度は4.2K,77K,室温である。測定の結果、4.2Kでのアルミナ・セラミックスの引張強さは、室温のそれに比べ若干増加した。また、4.2Kでのアルミナ・セラミックス(純度95%)と銅のろう付け強度が、最も良好な値(270MPa)を示した。銀ろう部に発生する応力を評価するために、有限要素法による解析を併せて行った。試験した結果をもとに、アルミナ・セラミックスを用いた電気絶縁継手を試作した。試作の結果、この電気絶縁継手は極低温への適用に十分な機械・電気的性質を有することを示した。
鈴木 和彦*; 亀山 嘉正*; 佐山 隼敏*; 渡邉 憲夫; 及川 哲邦; 阿部 清治
システムと制御, 30(2), p.109 - 119, 1986/00
本報では、フォールト・ツリー作成のために開発した基本アルゴリズムを紹介する。併せて、同アルゴリズムをリレーコイルや接点などから構成されるシーケンス制御回路のフォールト・ツリー作成に適用し、その有用性を示す。同アルゴリズムは、信頼性ブロック線図を基礎とし、故障モードブロック線図を作成するものである。この線図には、システムを構成する要素における入出力の関係や故障の種類などが記述される。したがって、同アルゴリズムの特徴は、フォールト・ツリー作成に際し、(1)全ての構成要素の故障状態を明確に記述できる、(2)システムのフローシートとの照合が容易で、一義的なツリー作成が可能である、(3)フォールト・ツリー作成時の思考過程を把握でき、作成したフォールト・ツリーの見直しや検討に有用な情報を与える、ことである。
坂佐井 馨; 中村 龍也; 盛合 敦; Harjo, S.; 伊藤 崇芳; 阿部 淳; 相澤 一也; 曽山 和彦; Rhodes, N. J.*; Schooneveld, E. M.*
no journal, ,
J-PARCの物質・生命科学研究施設(MLF)に設置された工学材料装置「匠」は2008年12月の共用開始に向け、2008年9月に中性子ビームを受け入れコミッショニングが開始された。匠は主に中性子による残留応力測定や内部観察による新材料開発を目的とし、このため中性子検出器として、大面積の1次元シンチレーション検出器を製作した。製作した検出器は本体外形8051370217mm,重量120kgの大型検出器で、検出器1台あたり360chのピクセル数を有し、位置分解能性能は3mm、中性子検出効率は50%@1である。9月のコミッショニング時には90度位置に本検出器が2台設置され、試料のTOF回折実験を行い、エレクトロニクスを含めて良好に作動することを確認した。本年度末には残り8台が設置予定である。本発表では、匠用に開発・設置された中性子検出器の現状について報告する。
坂佐井 馨; 中村 龍也; 盛合 敦; Harjo, S.; 伊藤 崇芳; 阿部 淳; 相澤 一也; 片桐 政樹; 曽山 和彦; Rhodes, N.*; et al.
no journal, ,
大強度陽子加速器(J-PARC)計画における中性子散乱実験施設、特に残留応力解析装置として用いられる工学回折計(匠)に必要な中性子検出器として、われわれは英国ラザフォードアップルトン研究所にあるISISに設置されているものと同タイプのZnSシンチレーション検出器を試作し、その概要及び基本的な作動試験結果についてこれまで報告してきた。製作した検出器はMLFのビームラインに設置され、2008年9月に中性子ビームを受け入れコミッショニングを行った。その結果、試料として直径10mmの単相鉄に中性子を照射した場合、鉄の面間隔dに起因した散乱ピークがはっきりと確認でき、検出器が正常に動作していることが確認できた。
坂佐井 馨; 中村 龍也; Harjo, S.; 伊藤 崇芳; 阿部 淳; 相澤 一也; 片桐 政樹*; 曽山 和彦; Rhodes, N.*; Schooneveld, E.*
no journal, ,
J-PARCの物質・生命科学研究施設に設置された工学材料回折装置「匠」は2008年9月に中性子ビームを受け入れコミッショニングが開始され、2009年3月には全検出器の据付が完了した。本発表では、匠用に開発・設置された中性子検出器の構造及び性能について報告する。製作した検出器の有感面積は1m20cmで曲率R=2mを有し、位置分解能は3mm,ピクセル数は1台あたり360ch,中性子感度50%以上(1)である。「匠」では本検出器を90度位置(南北バンク)に左右に5台ずつ、計10台設置した。サンプルとして、鉄系サンプルを用いた場合、分解能は0.2%程度となった。
中山 卓也; 大杉 武史; 嶋崎 竹二郎; 阿部 智久; 八木 直人; 中澤 修; 佐藤 治夫*; 鈴木 和彦*
no journal, ,
セメント固化体の廃棄時において、隣接する固化体の放射線により発生する水素量とその影響について、PHITSコードにより評価した。放射能濃度が高い固化体を連続して配置しないこと、放射能濃度が低い場合は廃棄体の距離の調整により水素発生量を抑制できることを見出した。
金正 倫計; 神谷 潤一郎; 阿部 和彦*; 中村 止*
no journal, ,
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)で使用しているセラミックス製真空チャンバーは、アルミナセラミックス本体、その両端の純チタン製フランジ、及びその間の純チタン製の薄肉(約1mm程度)スリーブで構成されている。製作工程でアルミナセラミックスとチタンスリーブをろう付けする際に、チタンスリーブの前処理として、硝弗酸処理を行った。本件は、この硝弗酸処理がチタン材料にどのような影響を与えているかを明らかにし、予備品製作での処理方法の簡素化を目的とする。試料を分析した結果、硝弗酸処理により表面の荒れが大きくなることがSEMにより観察された。また、酸化層の深さ方向の分布をAESにより測定した結果、処理前では12.7nmであったものが、処理後6.0nmとなり、硝弗酸処理により純チタン材表面の酸化膜が低減されることが確認できた。今後は、処理方法の簡素化を検討する。