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阿部 賢一郎*; 三好 芳洋*; 芦田 淳*; 脇田 和樹*; 大島 武; 森下 憲雄; 神谷 富裕; 渡瀬 星児*; 伊崎 昌伸*
Japanese Journal of Applied Physics, 44(1B), p.718 - 721, 2005/01
被引用回数:1 パーセンタイル:4.7(Physics, Applied)耐放射線性を有する宇宙用太陽電池の材料候補であるカルコパイライト系半導体の電子線照射により発生する結晶欠陥をフォトルミネッセンス(PL)法により調べた。試料はCuInS単結晶を用い、室温にて3MeV電子線を照射した。PL測定の結果、電子線の照射とともに自由励起子(1.535eV)及び束縛励起子(1.530eV, 1.525eV)のピーク強度が減少し510/cmの照射で未照射の1/30となった。また、ドナー,アクセプタペアのピークは510/cmの照射で未照射の1/3となった。これは照射により結晶性が低下したことで説明できる。一方、照射量の増加とともに0.73eVから1.20eV付近に欠陥形成に由来するブロードなピークが新たに出現することが見いだされた。このブロードピークの温度依存性を解析することで、このブロードピークが11個のピークの重ね合わせによることが決定された。さらにこれらのうち特長的な2つのピークについて、発光強度の温度依存性より活性化エネルギーを求めたところ0.07から0.09eVであることが判明した。
村上 剛*; 阿部 賢一郎*; 芦田 淳*; 脇田 和樹*; 渡瀬 星児*; 伊崎 昌伸*; 大島 武; 森下 憲雄; 伊藤 久義
no journal, ,
次世代の宇宙用高効率薄膜太陽電池材料として有望視されるCuInS結晶の放射線損傷効果を調べるため、Arを照射したCuInS結晶のX線光電子分光(XPS)測定を行った。試料はトラベリングヒーター(THM)法によって作製したCuInSバルク単結晶を用い、Ar(加速エネルギー:3kV)の照射時間は1, 60, 180分とした。XPS測定の結果、452.9eVと445.3eVに現れるIn原子の3d, 3dピークの約1.5eV低エネルギー側にAr照射による新たなピークが見いだされた。またS原子のXPSスペクトルでは、163.4eV及び162.4eVの2p, 2pピークの約0.7eV低エネルギー側にAr照射により新たなピークが生成していることも明らかとなった。一方、Cu原子のXPSスペクトルにはAr照射による顕著な変化は観測されなかった。これらの結果より、Ar照射により生成した欠陥の構成原子又は欠陥との結合原子がIn及びSであることが示唆される。