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近藤 悟*; 青柳 純次*
PNC TN941 85-44, 75 Pages, 1985/03
SIMMER―2コードによるHCDAの炉心膨張過程の解析によると,発生する機械的エネルギーが種々の熱流力現象により大きく低減される可能性が示された。SIMMER―2コードを標準的な安全評価手法として確立して行くためには,エネルギー低減効果に関する実験的検証が不可欠である。本研究では,我が国におけるSIMMER―2の検証の初の試みとして,米国Purdue大学で実施された炉心膨張模擬試験(Omega実験)の解析を行った。この実験では,室温における高圧ガス,高温・高圧の2相混合物を,原子炉容器の上部プレナムを模擬した水プール中に噴出・膨張させ,気泡の挙動,液体スラグの運動を側定している。SIMMER―2による室温におけるN/2ガス膨張試験の解析では,入力パラメータを調節することなく,スラグインパクト時間(液体スラグの運動に対応)を再現することが示された。従って,SIMMER―2の全体的流体力学モデルの妥当性はほぼ検証されたと考えられる。一方,高温流体の膨張実験では,伝熱・相変化等のrate-limitedprocessが存在し,実験データとの一致は室温実験ほど良くない。その理由は,気泡界面においてSIMMERではモデル化されていない。entrainment(低温液体が高温蒸気泡に取り込まれることによる凝縮の促進の効果)が発生しているためである。本研究では,液体問の熱伝達係数を増加することで,この効果を近似的に模擬できることが示された。この結果をそのまま実機解析に外挿することは出来ないが,少くともこれまでの解析は蒸気の凝縮に関しては十分な保存性を有していると判断できる。今後も同種の実験の継続によるデータベースの拡充が重要である。特に今回検討した蒸気泡の挙動よりもさらに大きなェネルギー低減が期待できる炉心上部構造における熱的・流体力学的損失に関するSMMERの検証が重要となる。