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論文

照射が向きそうな食品向きそうにない食品

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

放射線と産業, (137), p.29 - 32, 2014/12

世界では食品照射が実用化されているが、日本では照射じゃがいも以外は食品衛生法で禁止され体験的な判断が難しい状況にある。本稿では我々の体験実験から、食品照射の良さを伝えやすい具体例を挙げ、健全なリスコミを推進したい。ニンニク, 次郎柿(甘柿), 白桃(モモ), ぶどう(4種), グリーンピース, 筍, 梨(新高・幸水), リンゴ(つがる・ふじ・シナノスイート), 乾燥果実(ブルーベリー・イチジク), 栗, ちりめんじゃこ, 茶(緑茶・紅茶・ウーロン茶), 牛乳, おつまみ昆布, かつお節削り節, 香辛料の保存性と食味の観点から照射の向き・不向きについて紹介した。りんごやぶどうは品種により向き不向きが異なる。乾燥果実では、脱酸素剤なしのブルーベリーは異臭がしたが、イチジクは問題なかった。照射時の酸素の有無等の条件や、料理の種類を含む使い方等により照射の向き不向きは異なり、限定的にしか使えない食品が多い。結果がばらつき向き不向きが判然としないものも多い。これまでの体験から、照射が非常に向くものは限られ、消費者は「今後、照射を許可される食品が増えても、適用対象は限定的」と冷静に考えられるだろう。

論文

放射線照射によるニンニクの萌芽発根抑制効果

小林 泰彦; 菊地 正博; 等々力 節子*; 齊藤 希巳江*; 桂 洋子*; 亀谷 宏美*; 市川 まりこ*; 飯塚 友子*; 千葉 悦子*; 鵜飼 光子*

食品照射, 45(1-2), p.26 - 33, 2010/09

収穫から約2か月後の青森県産ニンニクに30Gy以上の$$gamma$$線を照射することによってほぼ完全に萌芽と発根を抑制できることがわかった。現在行われている低温倉庫でのCA貯蔵と高温処理の組合せよりも、低コストでニンニクの品質保持と周年供給が可能になるかもしれない。照射時期が1か月遅くなると萌芽抑制の効果は若干低下した。照射後の貯蔵温度による影響も考えられる。我が国で照射によるニンニク芽止め処理を実用化するには、生産地での収穫から出荷までの貯蔵環境を模擬しつつ、現在行われている周年供給のための長期貯蔵法と、品質及びコストの両面で比較検討する必要がある。

口頭

市民が体験した食品照射の素朴な実感

市川 まりこ*; 飯塚 友子*; 蒲生 恵美*; 小堀 恵美子*; 渋谷 美智子*; 志保沢 久子*; 千葉 悦子*; 横山 勉*; 福冨 文武*; 等々力 節子*; et al.

no journal, , 

食品照射は、殺菌・殺虫・芽止め技術としての有用性と、食品としての健全性・安全性の知見に基づき、世界各国で実用化が進められ、特にアジア地域での拡大が著しいと言われている。しかし日本では、馬鈴薯の芽止め照射を除いて法的に禁止され、諸外国で多く実用化されている香辛料の照射殺菌も禁止されたままとなっている。その理由の一つが、リスク管理やリスク評価機関,研究者,事業者,一般市民の間での、相互理解の不足と考えられる。食品照射については、実際の照射食品を見る機会がなく、照射の現場も見たことがないままに、イメージや感情に左右された議論しかできていない現状にある。そこで、食品照射に関する生活科学の視点による実験体験を通して得られた素朴な実感を率直なメッセージとして発信することにより、一般の消費者にとってわかりやすい建設的な議論を広げるための取り組みを始めた。

口頭

照射処理による野菜等の日持ち向上効果に関する検討

飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 小堀 恵美子*; 渋谷 美智子*; 志保沢 久子*; 等々力 節子*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

食品照射は、食品や農産物の保存,食中毒防止,検疫処理に有効な技術の一つとして世界各国で実用化が進められているが、日本では馬鈴薯の芽止め照射を除いて法的に禁止されている。国民の不安が根強く、国民的コンセンサスが不足との意見もあるが、一般の消費者は、照射とはどんなものか、何も実感が持てないまま、自分の考えで判断したいと願う消費者でさえ、具体的な情報が得られずに途方に暮れているのが現状である。そこで、食のコミュニケーション円卓会議では、実験観察の体験を通して照射のメリットやデメリットを自分たちで実感してみようと思い立った。まず、傷みやすい野菜類の照射による日持ち向上効果について検討した予備的な結果を報告する。

口頭

放射線照射によるニンニクの発芽抑制効果

小林 泰彦; 菊地 正博; 等々力 節子*; 齊藤 希巳江*; 桂 洋子*; 亀谷 宏美*; 市川 まりこ*; 飯塚 友子*; 千葉 悦子*; 鵜飼 光子*

no journal, , 

収穫から約2か月後の青森県産ニンニクに30Gy以上の$$gamma$$線を照射することによってほぼ完全に萌芽と発根を抑制できることがわかった。現在行われている低温倉庫でのCA貯蔵と高温処理の組合せよりも、低コストでニンニクの品質保持と周年供給が可能になるかもしれない。照射時期が1か月遅くなると萌芽抑制の効果は若干低下した。照射後の貯蔵温度による影響も考えられる。我が国で照射によるニンニク芽止め処理を実用化するには、生産地での収穫から出荷までの貯蔵環境を模擬しつつ、現在行われている周年供給のための長期貯蔵法と、品質及びコストの両面で比較検討する必要がある。

口頭

放射線殺菌処理した香辛料と加熱殺菌処理した香辛料の味くらべ

市川 まりこ*; 飯塚 友子*; 千葉 悦子*; 岡村 弘之*; 田部井 豊*; 森田 満樹*; 横山 勉*; 福冨 文武*; 坂上 千春*; 鵜飼 光子*; et al.

no journal, , 

日本では、食生活の変化に伴い、香辛料の消費量が増大してきているが、国内での生産は極めて少なく、大部分は熱帯,亜熱帯地方からの輸入に依存している。香辛料は熱に弱いので、加熱殺菌すると容易に色や香りや風味に影響を受けやすい。放射線照射はそのような品質劣化を回避できる優れた殺菌殺虫手段であり、EU全加盟国,米国,カナダ,豪州など、ほとんどすべての先進国で香辛料の放射線殺菌が許可され、照射されたスパイス・ハーブ類が国際的に流通している。しかし日本では、ジャガイモの芽止め以外の食品照射は法律で禁止されているため、放射線殺菌した香辛料の品質の良さを消費者が経験する機会はない。そこで、放射線処理したものと加熱処理したものに差があるのかないのか、自分の目で見て、においを嗅いで、実際にカレーを作って、体験してみようと思い立った。カレーの試食前の香りについては11名中10名が、試食中の風味については11名中9名が、照射品の方が加熱品より香りが強いと答えた。カレーの風味についての好みでは、11名中7名が照射品を用いた方が好きと答えた。試食後の感想には、「香辛料をミックスしてグツグツ煮込んだらわからなくなるのではないかと思っていたが、食べ比べると思っていたより差があり、照射品で作ったカレーの方がスパイシーな香りが強く感じられた」などがあった。今回の食べ比べの結果から、人によって程度の違いはあるが、全体としては放射線殺菌した香辛料の方が加熱殺菌したものよりも香りがよく、美味しかったと言える。

口頭

食品への照射効果の体験実験; リスクコミュニケーションを目指して

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 横山 勉*; 坂上 千春*; 鵜飼 光子*; 等々力 節子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

2009年9月に原子力機構・高崎量子応用研究所のCo-60線源を用いて$$gamma$$線照射したにんにくを3名が自宅に持ち帰り、玄関や居間などで翌年4月まで保管し、発芽と発根の状態を観察した。各家庭での室温など条件が多少違っても「照射による発芽の抑制」は一目瞭然だった。むしろ「発根の抑制」が明確であることに驚き、照射の効果を鮮明に感じた。400Gy照射した2009年産秋田県産あきたこまち玄米を、3日後に精白、さらに2週間後に非照射対照試料とそれぞれ白飯とし、16名で簡易な官能検査をブラインドで行った。新米のせいか照射による違いは小さく、安価な給食や食堂といった場面なら十分使えそうと感じた。量が多い状態では照射すると多少黄みがかかるが、少量では違いがわからなかった。敏感な人には、照射した白飯の方が少し軟らかかった。市中で購入したいちご(群馬県産やよいひめ)をプラスチック・パックのままラップで包んで3kGy照射し、当日試食し、さらに冷蔵庫内で保存性を観察した。香りが薄い・やや軟らかい・酸味がやや弱いと感じる人もいたが、パックの照射臭を除けば十分食べられた。家庭用冷蔵庫保存では、1週間後もあまり変化せず、パックの外からでは照射の効果が確認できないうちに、両方が悪くなった。なお、いちごの品種や産地により、ついている微生物や収穫後の貯蔵・輸送条件も異なると考えられるので、今回の試食や保存の様子だけから「使えない技術」と結論を出すことはできないと考えた。

口頭

照射が向きそうな食品、向きそうにない食品

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 等々力 節子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

食品照射が日本で普及しない理由として、情報不足からくる漠然とした不安や、国民的合意の不足が挙げられる。われわれは種々の食品を照射し、食味や保存性について実感した情報を発信している。本発表では、これまでの実験結果に基づき照射の向き不向きを分類した。照射に対する食品の適性を正しく知ると、消費者は冷静に対処できると思われる。われわれは、照射食品の食味試験で体験した事実を示し、健全なリスクコミュニケーションを推進したい。$$<$$照射が向きそうな食品$$>$$にんにく,白鳳,ロザリオビアンコ・瀬戸ジャイアンツ・甲斐路,ちりめんじゃこ,新高,幸茜,シナノスイート,柿,栗,脱酸素剤入りドライフルーツ,香辛料,おつまみ昆布。$$<$$向きそうにない食品$$>$$グリーンピース,ピオーネ,幸水,つがる,ふじ,だし用昆布,かつお節削り節,牛乳。体験実験の結果、ドライフルーツのブルーベリーは、脱酸素剤の有無で臭いの発生が影響され、また、そのままでは照射が向かないとされた食品でも味付けにより評価は改善した。したがって、照射条件や調理法等により同じ食品でも評価は変化するため、照射が適した食品や線量は限定的と考えられた。

口頭

ドライフルーツへの放射線照射の効果や影響

飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 千葉 悦子*; 鵜飼 光子*; 等々力 節子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

食品照射が日本で理解されない理由として、国民の不安や、国民的コンセンサスの不足が言われる。食のコミュニケーション円卓会議の有志は、食品照射について体験実験を通して自ら実感し、その情報を発信している。今回、ドライフルーツなどの乾燥食品に対して、菌数低減目的の線量で、外観や風味の変化など品質と嗜好性への影響を検討した。ぶどう,アプリコット,プルーン,クランベリー,ブルーベリー,マンゴー,イチジクの7種類のドライフルーツに照射処理して試食したが、個体差による違いの方が大きく、ブルーベリー以外は照射したことを知らなければ十分食べられる程度だった。ブラインドではない検査ではあるが、多くの食品は高線量では食味や風味が低下し、比較的低線量でも照射が適さないものがあった。ドライフルーツについては一部の例外を除いて、適していると感じた。また、新鮮なフルーツに比べて、ドライフルーツの方が照射による影響が小さく、照射がより向いているようだと実感した。さらに、同じベリー類であってもクランベリーは照射による変化がほとんどないにもかかわらず、ブルーベリーは風味が変化しており、興味深く感じた。

口頭

新鮮果物への放射線照射の効果や影響

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 等々力 節子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

食品照射が日本で理解されない理由として、国民の不安や、国民的コンセンサスの不足が言われる。食のコミュニケーション円卓会議の有志は、これまでの野菜,果物,米,海産物等を用いて照射効果や食味変化の有無について体験実験を進めてきた。今回は、放射線処理の実用化が予想される食品として新鮮果実に注目して、これまでの桃,梨,西洋梨,りんご,渋柿,みかんとの比較で、甘柿と金柑について検討した。甘柿には個体差があったが、全体的には照射品の方がやや軟らかくなる傾向があり、味や風味については照射で変化がないと評価された。金柑では、硬さに関しては照射品の方がやや軟らかくなる傾向があったが、同じ柑橘類であるみかんほどは風味が悪くならなかった。ぶどう・梨・りんごは、品種により照射の向き不向きが異なったが、今回の甘柿「次郎柿」は渋柿の「たねなし柿」同様、照射が合いそうと実感できた。今後、じゃがいもの芽止め以外に食品照射が拡大されるとしても、食品には向き不向きがあり、対象品目や線量は限定されると再認識した。消費者利益のために、今回の結果をリスクコミュニケーションに役立てて行きたい。

口頭

日本料理の食材への、放射線照射の効果や影響

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

世界で実用化されている食品照射が日本で進展しない理由として、国民の不安や国民的コンセンサスの不足が挙げられる。これを打開するには消費者目線での情報発信が有効と考えて、日本料理食材への放射線照射の効果や影響を検討した。季節食材の筍と「うま味」の素である干し椎茸を試した。筍は照射後、下ゆでしたものと、さらに味付けしたものを比較した。干し椎茸は照射後、水で戻して経時的に観察し、食味試験は戻し汁で煮た後と、さらに調味後にも行った。筍は調理前の外観が照射品の方が悪く、試食前のにおいや味も悪く、アクが強いと感じる人がいた。照射品の方が硬くなる傾向があったが、照射の有無より、筍上下の差が大きかった。筍に照射は向かないと思われる。干し椎茸の戻り方には、照射による差がほとんどなかった。戻し汁の香りや味では違いを感じる人もいたが、味をつけると違いがわからなくなった。これまでの結果と合わせると、日本料理の食材は、必ずしも照射が合うとは限らないと考えられる。したがって、食品照射の適用拡大の場合でも適用対象は限定的となり、伝統的な日本食文化が失われることはないだろうと結論した。

口頭

新しい形の食品照射のリスクコミュニケーション

市川 まりこ*; 飯塚 友子*; 千葉 悦子*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

食品照射は、日本では、馬鈴薯の芽止め照射を除いて法的に禁止され、諸外国で多く実用化されている香辛料の照射殺菌も未だに許可されていない。その理由の一つとして、行政側は、社会受容性の低さ、つまり、消費者のニーズの無さを指摘するのが常である。日本では実際の照射食品に触れる機会はほとんどないため、漠然とした拒否感や先入観を持っている人もいる。今回は、照射した牛の冷凍生レバーや浅漬けの参加体験型のリスクコミュニケーション法を報告する。食品照射のような新しい技術を社会が受け入れるには、リスクコミュニケーション活動が欠かせないが、その普及にはたくさんの課題がある。われわれの実感を伝えることにより、少しでも建設的な議論が広がることを期待している。われわれのリスクコミュニケーション法は、食品への放射線利用のみならず、必ずしも科学的に理解することが容易でないさまざまな課題についても、消費者への理解促進に繋がる可能性がある。

口頭

柿への放射線照射の効果や影響

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 内田 健*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

世界の多くの国で実用化されている食品照射が日本で理解されない理由として、国民の不安や、国民的コンセンサスの不足が言われる。そこで食のコミュニケーション円卓会議の有志は、食品照射について体験実験を通して自ら実感し、その情報を発信している。2011年に実験した柿の結果を踏まえ、照射後長く保存した場合の、照射の影響の有無や照射による食味の変化について実験を進めた。今回は、硬めだが何とか食べられる程度に熟した柿を照射し、20日間前後まで保存した試料について検討した結果を報告する。2011年に未熟柿を用い同じ産地・品種で実験した際にも、照射すると軟らかく熟す傾向が見られたが、今回、食べ頃の最後ぎりぎりまで追熟したところ、必ずしも照射品が軟らかいわけではなかった。このことから、照射後低温で保管すると食べ頃の時期がやや長くなる傾向があると考えられ、「熟度の調整」がしやすいようだ。今回、長期保存による著しい劣化はなかったので、柿の検疫処理として照射を検討する価値があるだろう。

口頭

茶への放射線照射の効果や影響

飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 千葉 悦子*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

食のコミュニケーション円卓会議では、食品照射について体験実験を通して自ら実感し、その情報を発信している。以前、インド国内及び欧州向けに殺菌目的で照射されたフェアトレード商品のティーバッグが過って日本に輸入され自主回収となったことがある。われわれはできるだけ広範囲の食品について食品照射の体験を積み上げたいと考え、殺菌線量での茶の照射を試した。紅茶・緑茶・ウーロン茶の茶葉に対して、照射をしても十分に美味ならば、照射処理が実用化できるかもしれないと考え、香りや風味の変化など品質と嗜好性への影響を検討した。その結果、茶3種類とも、照射が向くようだとわかった。これまで照射して味や風味が良い意味で強くなることは、香辛料以外ではあまり体験したことがなかったので、興味深かった。有用な食品照射技術について社会に発信し、実りあるリスクコミュニケーションを通じて消費者利益に繋げたい。

口頭

香辛料への放射線照射の効果や影響

飯塚 友子*; 千葉 悦子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

放射線照射は香辛料の色や香り、風味などの品質劣化を回避できる優れた殺菌殺虫手段である。これまで香辛料の食味試験では計量スプーンを用いていたため、今回は秤を用いて重さを合わせて比較した。過熱蒸気殺菌処理済み及び未処理の香辛料11種: 桂皮,カルダモン,ターメリック,赤唐辛子,クミン,コリアンダー,タイム,オレガノ,白コショウ,黒コショウ(以上、粉末), ロリエの葉(原体)を入手し、未処理品の半分を10kGy照射することで、加熱品,未処理品,照射品を用意して、この3区について色や香りの官能評価を行った。このうち、7種類の香辛料を使ってチキンカレーを作り、加熱品と照射品の比較をした。11種類の官能検査では、照射品で違いを感じなかったが、加熱品については違いを感じている人がどの香辛料でも多かった。風味の官能検査では、加熱品では色も風味も大きくばらついたが、照射品では色も風味も変化が小さかった。辛口カレーにすると、加熱品より照射品の方が風味も辛味も強く、好ましいという結果になった。日頃食べ慣れているカレーの好みや違いもあり、辛味や刺激の強いものを官能検査する場合には、調理や量の工夫や改善が必要と感じた。

口頭

照射が向きそうな食品、向きそうにない食品

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

世界では食品照射が実用化されているが、日本では照射食品のメリットを知る機会が乏しいため合意形成が難しい状態となっている。そこで、食のコミュニケーション円卓会議の有志は、食品照射の良さを伝えやすい具体例を挙げ、健全なリスコミを推進してきた。食品照射について体験実験を重ね、その情報を発信している。これまでの5年間で試した実験結果を俯瞰し、ニンニク、グリーンピース、筍、柿(次郎柿・種無し柿)、桃(白桃・幸茜)、ぶどう(ロザリオビアンコ・瀬戸ジャイアンツ・甲斐路・ピオーネ)、梨(新高・幸水)、リンゴ(つがる・ふじ・シナノスイート)、乾燥果実(ブルーベリー・イチジク)、栗、ちりめんじゃこ、茶(緑茶・紅茶・ウーロン茶)、牛乳、おつまみ昆布、かつお節削り節、香辛料の保存性と食味の観点から照射の向き・不向きについて分類した。りんごやぶどうは品種により向き不向きが異なる。乾燥果実では、脱酸素剤なしのブルーベリーは異臭がしたが、イチジクは問題なかった。照射時の酸素の有無等の条件や、料理の種類を含む使い方等により照射の向き不向きは異なり、限定的にしか使えない食品が多く、照射が非常に向くものは限られる。

口頭

浅漬けへの放射線照射の品質についての影響

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

食品照射技術は世界の多くの国で実用化されているが、日本では照射食品への理解が進んでいない。札幌市を中心として白菜浅漬けによる腸管出血性大腸菌O157の食中毒が発生し、死者が出たことを受け、その対策として非加熱殺菌ができる放射線処理が有効かもしれないと考え、照射した漬け物(白菜と野沢菜の浅漬け・さくら漬け)の食味試験を実施した。その結果、浅漬けらしい爽やかな香りや風味を大事にしたい場合、照射は向きそうにないが、「これはこれでかまわない」という人には、照射処理が許容されるかもしれないという結果だった。「さくら漬け」については、着色料が使用されていたため外観の違いを感じた人はおらず、照射が向くという結果だった。今後、香辛料などいくつかの食品に照射が許可されるとしても、すべての食品が照射される訳ではなく、適用される対象は限定されると再認識した。

口頭

放射線照射した蜂蜜・パン・餅の品質に関する検討

飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 千葉 悦子*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

食品照射は世界で実用化されているが、日本では理解が進んでいない。ノロウイルス付着によって集団食中毒が発生したパンや、ときどき食中毒の原因となっている蜂蜜、切り餅について放射線処理が有効かもしれないと考え、殺菌線量の$$gamma$$線照射後の外観や風味の変化など品質と嗜好性への影響を検討した。照射した蜂蜜の味はほとんどの人が「変わらない」としたが、風味が弱くなる傾向があった。照射したパンは試食すると本来の風味が弱く、そのうえ異臭を感じた。異臭の程度は、菓子パンより食パンの方が強く、クロワッサンは一番強かった。10kGy照射した「パン」は風味が悪く、特に油の多い「クロワッサン」は一番風味が悪かった。餅は10kGyでは茶色っぽく変化し、照射品は餅特有の粘りが減少した。食中毒の対策として放射線殺菌が有効かもしれないと考えたが、ウイルスは10kGyよりも高線量を照射しなければ不活性化しないことから、異臭が強くなるだけでとても食べられないと実感できた。

口頭

放射線殺菌と過熱蒸気殺菌の香辛料の食味比較

千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

放射線照射した香辛料は国際的に広く流通するが、日本では許可されていない。その理由として国民の不安や国民的合意の不足が指摘されるので、我々の実験結果を公表して健全なリスクコミュニケーションを推進したい。食のコミュニケーション円卓会議の有志は、香辛料について照射品と過熱蒸気殺菌品、および、それを使う料理を外観や食味について比較検討を重ねた。今回は、等量の香辛料の食味に注目して、黒コショウ等でも殺菌方法の違いを知覚できるかについて調べた。殺菌方法の違いによる統計的な差は明確ではなかったが、傾向は得られた。香辛料単体の比較では、照射殺菌の方が未処理品に近い傾向があることも考え合わせると、比較しやすい条件を見つける工夫も必要である。条件により、よく訓練されたパネルで統計的に有意な差が出ても、一般消費者では違いを感知しにくい場合がある。また、食べ慣れた過熱蒸気殺菌品を好む人もいる。これらの結果を踏まえ、香辛料が日本人にとって塩分の低減に役立つ大事な食品であることも考え合わせ、香辛料の色調や香気成分の変化なく菌数低減ができる放射線照射の長所について、冷静に受け止めるよう願う。

口頭

消費者の立場からみた日本の食品照射の状況

市川 まりこ*; 飯塚 友子*; 千葉 悦子*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

日本の消費者は食品照射についてほとんど何も知らない状況である。この状況を何とかしたいと思い、学びや体験を重視する新しい消費者団体を設立した。消費者の立場で興味ある食品の照射実験を行い、その結果を様々な学会で継続的に発表してきた。これらの体験を通して、「低温のまま殺菌などの処理ができるメリットがある」「どんな食品にも使える訳ではない。向き不向きがある」「線量は多過ぎても少な過ぎてもダメである」などのことが実感できた。世界的には食品照射が進展しても、日本では食品衛生法で禁止されているため、行政関係者を含めた多くの国民は、「照射食品の安全性に問題があるから法律で禁止している」と思っているかもしれない。食品照射技術を進める際には、安全性確認、技術的可能性、消費者受容性が大切である。まず安全性が確認されたら、その先は、消費者や経済界の自由意思に委ねられるべきであるが、日本では最初から選択肢として存在していない。日本の食品照射の明日のために情報を共有して専門家,事業者,消費者それぞれの立場で役割を果たし、議論することが必要である。

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