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松井 邦浩; 小泉 徳潔; 辺見 努; 高野 克敏; 中嶋 秀夫; 木村 諭*; 飯島 亜美*; 酒井 正弘*; 大勢持 光一*; 嶋田 守*
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 22(3), p.4203005_1 - 4203005_5, 2012/06
被引用回数:6 パーセンタイル:37.82(Engineering, Electrical & Electronic)原子力機構は、国内機関として9個のITER TFコイル調達を担当している。TFコイルの製作では、熱処理によって長さが変化する超伝導導体を、電磁力の支持及び電気絶縁の信頼性向上の役割を果たすラジアル・プレートの溝に挿入する。このTFコイルの製作では、0.01%程度の高精度の巻線技術、導体長さ及び巻線形状の変化を評価する熱処理技術、耐放射線性の高いシアネート・エステルとエポキシの混合樹脂による絶縁含浸技術の確立が重要である。そのため、TFコイルの製作に向けた上記技術の確立のために、2009年3月から小規模及び実規模の試作を実施している。実規模試作では、TFコイルの1/3規模のダブルパンケーキ(DP)の巻線を行い、目標精度で巻線できることを確認した。また、それらの1/3規模DPを使用して、熱処理及び絶縁含浸試験を実施した。熱処理試験では、熱処理による導体の長さ及び巻線形状の変化を評価しており、これらを考慮してTFコイルの巻線製作を実施する必要がある。絶縁含浸試験では、要求性能である2.2kVの耐電圧性能を有すること、巻線の内部まで十分に含浸されていることを確認した。
小泉 徳潔; 松井 邦浩; 清水 辰也; 中嶋 秀夫; 飯島 亜美*; 牧野 吉延*
低温工学, 47(3), p.186 - 192, 2012/03
ITER-TFコイルのダブル・パンケーキ(DP)は、高さ14m,幅9m,厚さ0.1mの薄肉大型構造物である。DPでは、ラジアル・プレート(RP)の溝内に導体を挿入し、その上にカバー・プレート(CP)を被せて、RPとCPをレーザー溶接することで、導体をRP溝内で固定する構造を採用している。このCP溶接の長さは約1.5kmにも及ぶが、これによる溶接変形は平面度で1mm、輪郭度で約5mmの高い精度が要求されている。さらに、CPとRP間のギャップは、CP及びRPの製作精度から0.5mm以下となり、通常のレーザー溶接では溶接品質の確保が困難である。そこで、0.5mmの幅広のギャップに対してレーザー溶接を可能とする技術を開発し、さらに、実機短尺RPサンプルを用いて、面外変形を1mm以下に抑える溶接手順を確立した。加えて、実機短尺RPサンプルの試験結果から固有歪を導き、これを用いて解析的に、実機DPの面内変形が約5mmと評価できることを示した。RPの側面にビード・オン溶接することで、この面内変形を矯正する方法も考案し、TFコイルのCP溶接技術に目途を立てた。
辺見 努; 松井 邦浩; 小泉 徳潔; 中嶋 秀夫; 飯島 亜美*; 酒井 正弘*
低温工学, 47(3), p.172 - 177, 2012/03
ITERトロイダル磁場(TF)コイルでは、20年間の運転により約10E22n/mの高速中性子に曝されるため、耐放射線性能として、中性子線と線を併せて10MGyを超える照射に耐えることが要求される。そこで、耐放射線性が優れ、粘性が低いシアネートエステル(CE)・エポキシ(EP)混合樹脂を用いて、ダブル・パンケーキ(DP)及び巻線部(WP)の含浸を実施する必要がある。開発した混合樹脂をTFコイルの製作に使用するためには、気泡等が残らない含浸プロセスの開発及び絶縁層の品質確認を実施する必要がある。そこで、著者らは、含浸条件を選定するためにアクリル・モデル試験、硬化後のボイドの残留状況等を確認するために金属モデル試験、絶縁プロセス全体を確認するために1/3規模試験を段階的に実施し、TFコイルの電気絶縁に関する製作方法の検証を行った。その結果、耐放射線性に優れた混合樹脂を用いて想定した約60時間内に実機TFコイルの含浸が実施できる見通しが得られた。加えて、絶縁施工から耐電圧試験までの一連の作業プロセスを1/3規模試験を通じて検証することができた。