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高橋 伸明; 金谷 利治*; 西田 幸次*; 高橋 良彰*; 新井 正敏
Physica B; Condensed Matter, 385-386(1), p.810 - 813, 2006/11
被引用回数:5 パーセンタイル:31.27(Physics, Condensed Matter)われわれはポリビニルアルコールの重水素化ジメチルスルホキシド/重水混合溶液の物理ゲル化過程におけるせん断流動印加効果を時間分割二次元小角中性子散乱測定により研究した。サンプル溶液を100Cから25Cへクエンチした直後から定常せん断を印加し、時間分割測定を行った。観測した二次元散乱パターンは等方的であったが、散乱強度はゲル化に伴い増加した。また散乱強度の増加の度合いは、印加したせん断速度に依存することが明らかとなった。これまでの研究から本系のゲル化プロセスは、高分子鎖の結晶化により形成した微結晶が網目の架橋点として働くことが明らかとなっており、測定Q範囲は架橋点、及び網目構造を反映したものであることから、当該Q範囲の散乱強度から結晶化速度を評価し、定常せん断速度に対してプロットした。その結果、結晶化速度は、せん断速度5sec以下ではせん断速度の増加に伴いエンハンスされること,それ以上の高速せん断下においては結晶化速度が静置場よりも下がることが明らかとなった。この結果は、フレキシブルな高分子鎖の部分的な配向が、微弱な定常せん断を印加することにより誘起されていることを示唆しており、同時に、高速せん断下においては高分子鎖がより強く配向されているはずであるが、一旦形成した結晶核が破壊されることによるものと推測される。