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富安 啓輔*; 伊藤 菜緒子*; 岡崎 竜二*; 高橋 佑生*; 小野寺 貢*; 岩佐 和晃*; 野島 勉*; 青山 拓也*; 大串 研也*; 石川 喜久*; et al.
Advanced Quantum Technologies (Internet), 1(3), p.1800057_1 - 1800057_7, 2018/12
スピンクロスオーバーとしても知られるスピン状態転移は、様々な物質において重要な役割をもつ。理論的に、低スピンと高スピン状態の境界近傍では、従来とは異なる物理状態を引き起こすと予想されている。しかしながら、外場を印加せずに、基底状態としてほぼ縮退した臨界の状態を実現する系は、いまだに実験的には確認されていない。本研究は、LaCoOへのSc置換が、非磁性の低スピン状態を不安定化させ、トランスポートギャップのエンハンスメントと磁気格子膨張、Co-O距離の縮みを伴う異常な常磁性状態を生み出すことを明らかにした。これらの現象は、通常の低スピン・高スピン状態の混合状態ではよく説明できず、スピン状態転移の境界で生じる量子重ね合わせで記述することができる。
小林 貴之; 諫山 明彦; 長谷川 浩一; 鈴木 貞明; 平内 慎一; 佐藤 文明; 和田 健次; 横倉 賢治; 下野 貢; 澤畠 正之; et al.
Fusion Engineering and Design, 86(6-8), p.763 - 767, 2011/10
被引用回数:6 パーセンタイル:44.28(Nuclear Science & Technology)JT-60SAの電子サイクロトロン波加熱装置アンテナ開発の進展を報告する。本アンテナにはポロイダル方向,トロイダル方向へのビーム入射角度の大きな自由度を持つ駆動機構が、100秒間のパルス幅を実現するための高い信頼性を持ったミラー冷却機構とともに求められる。現在、直線駆動型アンテナ方式によるランチャー(アンテナ,サポート及び駆動機構)の機械,構造設計を進めている。ポロイダル入射角度を変化させるための長尺ベローズと、トロイダル入射角度を変化させるためのベローズが本アンテナの重要な要素である。駆動部の試験体を製作してその性能を検証した結果、ポロイダル及びトロイダル入射角度として、それぞれ-10度から+45度, -15度から+15度の範囲を駆動できるアンテナが成立することを確認した。この角度はJT-60SAで求められる角度範囲と合致しており、本アンテナの実現に見通しが得られた。また、本アンテナの熱、構造解析の結果についても報告する。
小林 貴之; 諫山 明彦; 横倉 賢治; 下野 貢; 長谷川 浩一; 澤畠 正之; 鈴木 貞明; 寺門 正之; 平内 慎一; 佐藤 文明; et al.
Nuclear Fusion, 51(10), p.103037_1 - 103037_10, 2011/10
被引用回数:19 パーセンタイル:62.41(Physics, Fluids & Plasmas)電子サイクロトロン波加熱装置(ECRF装置)において、運転開始直後の短時間(100ミリ秒程度)にアノード電圧を制御することにより電子のピッチファクターを最適化することで効率を向上させる新手法を開発した。これにより高出力化の課題であったコレクタ熱負荷を低減することが可能となり、世界で初めて1.5MW, 4秒間のジャイロトロン出力を達成した。このときのコレクタ熱負荷は従来より約20%低いことが確認され、今後さらに長パルス化が可能と考えられる。長パルス運転を制限したジャイロトロン内の不要高周波による熱負荷を低減するため、モード変換器を改良したジャイロトロンを製作して、既に調整運転を開始し1MW出力で31秒までパルス幅が伸張した。また、課題であった不要高周波は約1/3に低減できたことが実験的に確認され、近い将来の定常運転に見通しが得られた。これらの成果はJT-60SAに向けたECRF装置の高出力・長パルス化に大きく貢献するものである。
森山 伸一; 小林 貴之; 諫山 明彦; 寺門 正之; 澤畠 正之; 鈴木 貞明; 横倉 賢治; 下野 貢; 長谷川 浩一; 平内 慎一; et al.
Nuclear Fusion, 49(8), p.085001_1 - 085001_7, 2009/07
被引用回数:21 パーセンタイル:61.72(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60U電子サイクロトロン周波数帯(ECRF)装置のジャイロトロンにおいて、1.5MW, 1秒間(110GHz)の出力が得られた。これは1秒以上のパルス幅では世界最高値である。熱応力の観点で注意深く設計された共振器,ミラー駆動ベローズのRFシールド,誘電損失の小さいセラミックを用いたDCブレークがこの出力を可能にした。一方、5kHzという高い周波数でパワー変調を行うことに成功しJT-60Uの新古典テアリングモード(NTM)抑制実験の成果につながった。ジャイロトロンのカソードヒーターパワーとアノード電流の実時間制御によって0.4MW, 30秒の長パルス入射をデモンストレーションし、伝送系部品の温度上昇を測定するとともにその健全性を確認し、さらなる長パルス入射の見通しを得た。また、4本のジャイロトロンを同時に発振させ2.9MW, 5秒の高パワー入射を行って、高いシステム総合性能を示すことができた。信頼性の高い長パルス対応水冷式アンテナとして、革新的な直線駆動ミラーを用いる方式を設計した。ビームプロファイルと機械強度を評価する計算を行って実現可能性を確証した。
森山 伸一; 小林 貴之; 諫山 明彦; 寺門 正之; 澤畠 正之; 鈴木 貞明; 横倉 賢治; 下野 貢; 長谷川 浩一; 平内 慎一; et al.
Proceedings of 22nd IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2008) (CD-ROM), 8 Pages, 2008/10
JT-60Uの電子サイクロトロン周波数帯(ECRF)加熱電流駆動装置のジャイロトロン開発において、1.5MW,1秒間(110GHz)の出力を得ることに成功した。これは1秒以上のパルス幅では世界最高値である。熱応力の観点で注意深く設計された共振器,ミラー駆動ベローズのRFシールド,誘電損失の小さいセラミックを用いたDCブレークがこの出力を可能にした。一方、5kHzという高い周波数でパワー変調を行うことに成功しJT-60Uの新古典テアリングモード(NTM)抑制実験の成果につながった。ジャイロトロンのカソードヒーターパワーとアノード電圧の実時間制御によって0.4MW,30秒の長パルス入射をデモンストレーションし、伝送系部品の温度上昇を測定するとともにその健全性を確認し、さらなる長パルス入射の見通しを得た。また、4本のジャイロトロンを同時に発振させ2.9MW,5秒の高パワー入射を行って、高いシステム総合性能を示すことができた。信頼性の高い長パルス対応水冷式アンテナとして、革新的な直線駆動ミラーを用いる方式を設計した。ビームプロファイルと機械強度を評価する計算を行って実現可能性を確証した。
樋口 秀和; 大杉 武史; 中塩 信行; 門馬 利行; 藤平 俊夫; 石川 譲二; 伊勢田 浩克; 満田 幹之; 石原 圭輔; 須藤 智之; et al.
JAEA-Technology 2007-038, 189 Pages, 2007/07
高減容処理施設は、放射性廃棄物の廃棄体を作製する目的で日本原子力研究開発機構原子力科学研究所(旧日本原子力研究所東海研究所)に建設された施設である。施設は、大型金属廃棄物の解体・分別及び廃棄体等の保管廃棄を行う解体分別保管棟と溶融処理等の減容・安定化処理を行って廃棄体を作製する減容処理棟からなる。減容処理棟には、金属溶融炉,プラズマ溶融炉,焼却炉,高圧圧縮装置といった減容・安定化処理を行うための設備が設置されている。本報告では、施設建設の基本方針,施設の構成,各設備の機器仕様と2006年3月までに行った試運転の状況などについてまとめた。
高橋 正己*; 関 正美; 下野 貢; 寺門 正之; 五十嵐 浩一*; 石井 和宏*; 春日井 敦
JAERI-Tech 2003-080, 27 Pages, 2003/11
JT-60Uでは、局所的な加熱・電流駆動によるプラズマの安定性改善や予備電離の実験を行うことを目的として、電子サイクロトロン加熱(ECH)装置を導入してきた。JT-60UのECH装置は、動作周波数110GHz・高周波出力約1MWの発振管(ジャイロトロン)4基を持ち、2基の可動ミラー型アンテナを使用してJT-60Uプラズマへ入射するシステムである。110GHzを含む極めて高い周波数のミリ波帯での高出力発振は10年前まではなく、近年ITER用に開発されてきたジャイロトロンで初めて実現された。そのため、ジャイロトロンの運転にはさまざまな調整が必要である。ヒーターエージング後に、磁場調整,アノード電圧調整により1MWの発振条件を見つけ、その後、パルス幅を伸ばすエージングを行い、秒オーダーの運転を実現した。さらに、高出力,長パルスで安定な運転を行うため、ジャイロトロン管内で発生する不要高周波を吸収するRF吸収体を内蔵する改良を行った。その結果、1MW-5秒の設計目標を達成するとともに、4基のジャイロトロンでプラズマに約10MJの世界最高のミリ波エネルギーを入射できた。
石井 和宏*; 関 正美; 下野 貢; 寺門 正之; 五十嵐 浩一*; 高橋 正己*
JAERI-Tech 2003-079, 22 Pages, 2003/10
JT-60Uでは、定常化運転を目指した開発研究の一つとして、低域混成波帯(LHRF)の高周波を用いた電流駆動の研究を行っている。その研究において、装置技術的課題は、LHRF加熱装置の重要な機器である大電力LHRFアンテナの開発である。LHRFアンテナは、効率的に高周波をプラズマに入射するために、プラズマから近い位置に置かれている。そのためLHRFアンテナは常にプラズマからの熱にさらされ、また大電力高周波の入射が要請されるため、先端部におけるプラズマからの熱負荷による溶融や高周波放電による溶融・変形が問題となっていた。その結果、プラズマへの入射パワーは徐々に減少してきた。この対策として、LHRFアンテナのエージングを行って、耐高周波電界性能の向上を図った。また、赤外線カメラによるLHRFアンテナの温度監視,LHRFアンテナ位置の調整,入射パワーを断続的に変調する電流駆動法の開発、そしてアークセンサによる高周波放電を検知して、LHRFアンテナ先端部の損傷を防止する保護対策を実施してきた。
下野 貢; 関 正美; 寺門 正之; 五十嵐 浩一*; 石井 和宏*; 高橋 正己*; 篠崎 信一; 平内 慎一; 佐藤 文明*; 安納 勝人
JAERI-Tech 2003-075, 29 Pages, 2003/09
第一壁洗浄に有効な電子サイクロトロン共鳴(ECR)放電洗浄(DC)をJT-60Uで実証するために、高周波源としてJT-60U低域混成波(LHRF)加熱装置用クライストロンの低出力・長パルス試験を行った。LHRF加熱装置用クライストロンは、2GHz帯で単管当たり1MW-10秒出力性能を持つが、長パルス運転のために動作条件を変更しなければならない。そのために、まず電源性能から長パルス運転が可能となるビーム電流を評価した。この結果、ビーム電圧72kV,ビーム電流4.4Aにおいて電源は定常運転が可能であることが判明した。このビーム電圧及び電流において空洞共振器を調整した結果、クライストロン出力40kWを得た。さらに、出力40kWレベルで模擬負荷を用いて60秒の長パルス試験を行い、クライストロンのコレクター温度が約20秒で120Cの飽和温度になり、コレクター冷却性能から定常運転が可能と判断した。JT-60UでのECR-DC実験では、約30kW-45分の運転に成功した。
五十嵐 浩一*; 関 正美; 下野 貢; 寺門 正之; 石井 和宏*; 高橋 正己*
JAERI-Tech 2003-030, 40 Pages, 2003/03
JT-60Uにおける電子サイクロトロン加熱(ECH)装置は、局所加熱あるいは電流駆動をすることが可能であり、動作周波数110GHzにおいて、出力約1MW,最大パルス幅5秒を出力するジャイロトロン4基を用いる。電子サイクロトロン波によるジャイロトロンが110GHzの高周波を発振するために必要な超伝導コイル(以降SCMと記す)は、ジャイロトロン内部のキャビティ付近に最大4.5Tの強磁場を発生する。この超伝導コイルの特徴は、4Kヘリウム冷凍機をコイルに搭載することによって、液体窒素を全く使用することなく運転することが可能であり、メンテナンス性が非常に優れていることである。ジャイロトロン用超伝導コイルを高出力・長パルスの環境で長期間継続運転した経験の報告は、これまであまりなく、大変貴重である。ジャイロトロン用超伝導コイルの運転経験から、ECH装置の運転における以下のような重要な知見を得た。4Kヘリウム冷凍機の交換時期の推定方法を試案して、ECH装置の順調な運転に寄与した。さらに、4Kヘリウム冷凍機停止が、150時間以下の場合には再起動後200時間程度以内でSCMの温度が通電可能温度(5.0K以下)まで到達することを実証できた。
寺門 正之; 下野 貢; 五十嵐 浩一*; 高橋 正己*; 石井 和宏*; 関 正美
平成14年度東京大学総合技術研究会技術報告集, 3 Pages, 2003/03
JT-60電子サイクロトロン加熱(ECH)装置は、周波数110GHz,出力約1MWの大電力電子管(ジャイロトロン)を使用した発振器を4系統有している。ECH装置は、局所的な加熱・電流駆動によるプラズマの安定性改善や予備電離の実験に使用されている。現在使用しているジャイロトロンは3電極を持ち、ビーム加速電源から分圧されたアノード電圧を変調することで、その発振パワーを可変できる。すなわち、アノード電圧を分圧するために使用しているツェナーダイオードの数を制御することによって、数十数百Hzで変調制御できるようにした。これにより、ジャイロトロンの出力を変調できる運転を実現した。
池田 佳隆; 春日井 敦; 森山 伸一; 梶原 健*; 関 正美; 恒岡 まさき*; 高橋 幸司; 安納 勝人; 濱松 清隆; 平内 慎一; et al.
Fusion Science and Technology (JT-60 Special Issue), 42(2-3), p.435 - 451, 2002/09
被引用回数:26 パーセンタイル:82.31(Nuclear Science & Technology)JT-60Uにおける局所加熱と電流駆動を目的として、電子サイクロトロン周波数(ECRF)加熱装置を設計,開発し、運転を行った。周波数は、弱磁場側からの基本波Oモードを入射する110GHzを採用した。本システムは、単管出力1MWレベルのジャイロトロンを4本,その大電力を伝送する4本の伝送系,さらに2基のアンテナから構成される。エネルギー回収機構とダイヤモンド出力窓が、ジャイロトロンの特徴である。エネルギー回収機構を利用するとともに、その発振動作を考慮して高圧電源の改造を行うことにより、主電源が一定電圧制御の無いJT-60高周波加熱設備においてもジャイロトロンの発振を可能とした。またダイヤモンド出力窓の採用により、伝送系の伝搬モードに効率よく変換できる出力モードを実現し、低損失導波管の採用とあわせ、60mの長距離伝送においても約75%の高効率伝送を実現した。2基のアンテナは、高周波の入射方向をプラズマ放電中に制御可能であり、これにより局所的な加熱/電流分布制御を実現した。2000年には3系統によりプラズマ総入射パワー1.5~1.6MW,3秒までの運転を行い、電子温度15keVの達成や、MHD制御等の実験に用いられた。2001年には4系統のシステムが完成し、約3MWレベルの運転が実施された。
松村 明*; 山本 哲哉*; 柴田 靖*; 中井 啓*; Zhang, T.*; 阿久津 博義*; 松下 明*; 安田 貢*; 高野 晋吾*; 能勢 忠男*; et al.
ポストシークエンス時代における脳腫瘍の研究と治療, p.427 - 435, 2002/07
新しく整備されたJRR-4号炉にて混合(熱・熱外)中性子を用いた術中中性子捕捉療法(粒子線治療)のphaseI/II臨床治験を行い、その有用性を検討し、さらに患者位置セッテイングシステムと線量評価システムの検証も行う。1999年10月よりJRR-4号炉にて混合中性子を用いてPhaseI/IIの臨床研究を開始した。対象は7例で悪性神経膠腫GradeIII)3例・神経膠芽腫(GradeIV)が4例の初発例で、治療対象は以前に放射線治療を受けていないもの,一側の脳半球に限局している,全身的な合併症や多重癌なし,年齢は18-70歳までとした。Follow up期間は2ヶ月から21ヶ月であり、平均(median生存期間は神経膠芽腫で15.7ヶ月でこれまでに1例が腫瘍の遠隔再発により死亡し、もう1例は脳以外の原因で15ヶ月目に死亡したが腫瘍再発はなかった。悪性神経膠腫は平均(median)生存期間 16.3ヶ月であり、3例中1例が脳以外の原因で死亡したが、残り2例は生存中で経過観察中である。神経膠芽腫は1年生存率が75%,悪性神経膠腫は1年生存率は100%で、全体としても1年以内の死亡は1例のみである。症例数も少なく、症例選択の問題もあり、他の成績と直接比較できないが、初期段階としては満足すべき成績と考えられる。今後さらに症例を増やして検討したい。なお、原研の本研究に対する協力は、臨床研究を補助する熱中性子及び血液中ホウ素濃度測定並びに物理線量評価,患者セッティングシステムについて行った。
池田 佳隆; 春日井 敦; 高橋 幸司; 梶原 健; 諫山 明彦; 井手 俊介; 寺門 正之; 篠崎 信一; 横倉 賢治; 安納 勝人; et al.
Fusion Engineering and Design, 53(1-4), p.351 - 363, 2001/01
被引用回数:40 パーセンタイル:92.11(Nuclear Science & Technology)JT-60Uの高周波加熱として、電子サイクロトロン(EC)波による局所加熱/電流駆動の初期運転及び実験結果を報告する。本システムは、固体電流スイッチと高安定加速電源を従来の高周波加熱装置に付加することによりEC波を発振させるものであり、現在まで発振出力1MW,2秒,プラズマ入射電力0.75MW,2秒に成功した。局所加熱においては、アンテナの準光学可動鏡により、プラズマ中心から端まで、約15cmの中で加熱位置を制御できることを確認するとともに、入射の偏波条件を最適化することで、0.75MW,0.3秒の入射で中心電子温度を4.4keV上昇することに成功した。さらにNBIによる高 HモードプラズマにEC波を入射し、中心電子温度を約10keVに維持することを確認した。
能勢 忠男*; 松村 明*; 山本 哲哉*; 柴田 靖*; 吉田 文代*; 阿久津 博義*; 安田 貢*; 松下 明*; 中井 啓*; 山田 隆*; et al.
UTRCN-G-29, p.114 - 123, 2001/00
JRR-4は熱中性子ビーム(Thermal beam mode II; TNB-II)、熱及び熱外中性子の混合ビーム(Thermal beam mode I; TNB-I)並びに熱外中性子ビーム(Epithermal beam mode;ENB)を供給できるような新しく開発された研究用原子炉である。本報告はJRR-4のそれぞれのビームに対する基礎的放射線生物学的研究と熱及び熱外中性子の混合ビームを用いた術中ホウ素中性子捕捉療法のPhaseI/II Studyについて報告する。生物学的基礎研究において、ENBでは速中性子線量を減衰させながら、深部に熱中性子を補えることが細胞生存率曲線から明かとなった。また、2000年5月までに5名の患者に対してTNB-Iを用いた術中BNCTを実施した。外部照射と比較して、術中BNCTは皮膚反射とボイド効果のために高い治癒線量を与えることができる。
松村 明*; 山本 哲哉*; 柴田 靖*; 阿久津 博義*; 安田 貢*; 松下 明*; 中井 啓一*; 山田 隆*; 高野 晋吾*; 水谷 太郎*; et al.
Proceedings of 9th International Symposium on Neutron Capture Therapy for Cancer, p.29 - 30, 2000/10
1999年10月から新しいBNCT試験は術中BNCTの状態で混合熱-熱外ビームを用いてJRR-4医療照射設備で開始された。これまでに5名の患者はこの試験に参加した。最大表面B(n,)線量は第一グループにおいて正常脳内10.4Gyと計画され、重大な障害がなければ13Gyへ10%の線量増加を行う。すべての患者は明白な腫瘍の可能性となく、1~7ヶ月間の観察中であるが存命している。しかし過剰線量を受けた放射線損傷の1例がある。ほかには軽い脳神経障害が2例観察された(1例は脳神経麻痺、1例は構語障害)。純熱ビームモードと比較するとIOBNCTでのTMIの強い浸透度と2次線のために注意深く線量増加は計画されるべきである。(構語障害とは少し喋りづらい症状で、ろれつがまわりにくいようなものである。)
大川 慶直; 村野 佳大*; 岡田 健一*; 河上 邦雄*; 泉 敬介*; 高橋 貢*; 佐々木 崇*; 中山 豊*
平成12年度電気設備学会全国大会講演論文集, p.315 - 316, 2000/00
核融合の高磁場中において、回路保護システムの要素であるヒューズが正常に動作することが可能であるかを短絡・過電流など各特性試験を行い検証した。
梶原 健; 春日井 敦; 高橋 幸司; 池田 佳隆; 今井 剛; 安納 勝人; 芳賀 浩一*; 坂本 慶司; 横倉 賢治; 下野 貢; et al.
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.3, p.372 - 375, 2000/00
ITERや定常トカマク炉においてはECRFによる局所的な電流駆動により電流分布を制御しMHD不安定性を抑制することが期待されている。これを達成するために電子サイクロトロン周波数帯での発振管であるジャイロトロンの長パルス化や、入射位置の実時間制御の技術が不可欠である。現在、JT-60U用の高パワー長パルスECRFシステムを構築している。本システムは1MWジャイロトロン3本からなり、5秒以上の入射を目標としている。これまでにすでに1系統が稼動し、1MW-2秒、0.5MW-6秒の世界トップクラスの運転に成功した。この時の各部の温度上昇を調べたところ、いずれも設計値に近く長パルス化に対して熱負荷による問題は起こらないことを確認した。また、低電力RF試験により、アンテナからのビームの広がりがプラズマ位置で約10cm程度であり計算値に近いことを確認した。さらに、高パワーのプラズマ入射においては局所的な電子加熱を検証した。今後、アンテナの位置の実時間制御を実現し、3MW化と合わせ不安定性抑制の本格的な実証実験を行う予定である。
池田 佳隆; 藤田 隆明; 濱松 清隆; 井手 俊介; 今井 剛; 諫山 明彦; 岩瀬 誠; 春日井 敦; 近藤 貴; 草間 義紀; et al.
AIP Conference Proceedings 485, p.279 - 287, 1999/09
最近のJT-60Uにおける高周波実験の成果を報告する。低域混成波(LHCD)では、閉じ込めの良い負磁気シア配位を、4.7秒定常的に保持することに成功した。またLHCD単独による中心電子温度11keVを越える高温プラズマ加熱を確認した。イオンサイクロトロン波(ICRF)では、負磁気シア配位での、ICRFによる高速イオンの閉じ込め減少の原因を明らかにするとともに、粒子補給の少ない状態での負磁気シア特性を調べた。電子サイクロトロン波(ECH)では、大型トカマクとして初めて、入射に成功するとともに、局所加熱制御及び中心加熱において、5.5keVの高温プラズマ加熱に成功した。
竹村 友之*; 迫垣内 薫*; 高橋 英一郎*; 武部 晃充*; 中嶋 敏秀*; 山下 貢*; 山之内 浩文*
JNC TJ7420 2005-041, 129 Pages, 1999/03
岐阜県北端の神岡鉱山茂住孔には,跡津川断層系の茂住祐延断層を横断する活断層調査坑道があり,本坑道を利用して活断層に関する様々な研究が行われている。本調査では,活断層調査坑道における茂住祐延断層周辺の水理特性を把握することを目的とし,試錐コア調査・透水試験・湧水の分析を実施した。