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川口 和弘; 齋藤 正裕*; 高廣 克己*; 山本 春也; 吉川 正人
Plasmonics, 6(3), p.535 - 539, 2011/09
被引用回数:8 パーセンタイル:28.2(Chemistry, Physical)銀ナノ粒子の表面にガス分子が吸着し粒子近傍の誘電率が変化すると、銀ナノ粒子の局在型表面プラズモン共鳴(LSPR)によって生じる可視光領域の吸収ピークが変化する。この現象を漏洩ガスの光学的検知に応用し、ガスセンサーを作製しようとする試みが行われているが、センサー材料として応用するには、安定したLSPRを発現する銀ナノ粒子を再現性よく作製する技術が必要となる。このため銀ナノ粒子を着床させた透明基板を試料とし、作製手法と得られる吸収ピークの強度や位置との関連性が研究されているが、理論値と異なることが多く、その原因はよくわかっていない。筆者らは、銀ナノ粒子作製時に表面に付着するさまざまな付着物がその原因であると推定し、作製した銀ナノ粒子に表面洗浄法として知られているプラズマ処理を行い、吸収ピークの位置や強度の変化を調べた。その結果、プラズマ処理後吸収ピークの幅が狭くなり短波長側へとシフトして理論値に近づく傾向が認められた。さらに、プラズマ処理で銀ナノ粒子表面の炭素系付着物が減少することがラマン散乱分析からわかり、吸収ピークの実験値と理論値の違いは、銀ナノ粒子表面の炭素系付着物に影響することが示唆された。
水口 友貴*; 齋藤 正裕*; 一色 俊之*; 西尾 弘司*; 西山 文隆*; 山本 春也; 笹瀬 雅人*; 高廣 克己*
no journal, ,
金,銀等の金属微粒子を含有する石英ガラスは、透過光に対して、その含有金属に特有なプラズモン吸収を引き起こすが、このプラズモン吸収には接触ガスの識別検知につながる新たな応答挙動のあることが最近明らかになった。そこで本研究では、プラズモン吸収スペクトル強度の向上が期待できるAgナノ粒子の石英ガラス内への規則的形成を目指し、Si(111)基板を熱酸化させて形成した厚さ300nmのSiO膜中に、350keVのAgイオンを注入した。得られた試料について、ラザフォード後方散乱法,X線光電子分光法,X線回折法,透過電子顕微鏡観察等でAg粒子の形成状態を調べた結果、投影飛程である125nm近傍には粒径30nm程度、SiO/Si界面には2nm程度のAg粒子が、それぞれ規則的に配列していることがわかった。今後、Agイオン注入条件とプラズモン吸収特性との関連性を調べ、新光機能性材料の創製に役立てる予定である。