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論文

J-PARC RCSの縦方向ビーム操作の現状

沖田 英史; 田村 文彦; 足立 恭介; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.795 - 800, 2026/03

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、設計強度1MWの大強度陽子加速器である。近年、RCSでは、消費電力のより少ない新しいビーム加速装置(RF空胴)の実装や、加速中のビーム損失のさらなる低減を目的としたビーム進行方向(縦方向)のビーム操作パラメータの調整を実施している。RCSにおける1MW加速時のビーム挙動を正しく理解することを目的に、新型RF空胴に発生する加速電圧や、最新の縦方向ビーム操作パラメータを精度良く反映した縦方向ビームシミュレーションを実施した。その結果、1MW運転中に新型RF空胴に発生する加速周波数よりも高い周波数の高調波電圧は、ビームの運動量広がりに対する加速電圧の裕度を示す指標であるモーメンタムフィリングファクタ(MF)に数%程度の変化を与えるものの、その影響は小さいことが確認された。また、RCSで加速中の縦方向の振動を抑制する位相フィードバックのパターンを調整することでMFを最大で10%程度低減でき、ビーム損失に対する裕度をより高められることを確認した。本発表では、近年のRCSにおける1MW運転時の新型RF空胴の運用状況と縦方向ビーム操作の現状、ならびに縦方向ビームシミュレーションによるビーム挙動評価の結果について報告する。

論文

J-PARC RCSにおけるシングルエンド金属磁性体空胴の運転経験

田村 文彦; 沖田 英史; 山本 昌亘; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 杉山 泰之*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.269 - 273, 2026/03

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)の金属磁性体(MA)加速空胴の交換計画が数年にわたり進行中である。従来の空胴は加速ギャップの上流側と下流側の電極に一対の四極空管から交互に高周波(RF)電流を供給するプッシュプル(PP)型であり、これを新たに開発されたシングルエンド(SE)型空胴に全て置き換える予定である。広帯域のMA空胴では、大強度ビーム加速時のビーム負荷補償のために大振幅のマルチハーモニックRF信号が必要となるが、PP空胴では上流側、下流側の四極管動作に大きなアンバランスが生じ、このアンバランスがビーム強度を制限する要因のひとつとなっていた。このアンバランスはSE空胴では原理的に生じないものである。現在までに6台の置き換えが完了している。SE空胴は偶数次の高次高調波をキャンセルする構成を持たないため、高調波成分が従来のPP空胴とは異なる。本発表では、J-PARC RCSでの大強度ビームを用いたシングルエンド空胴の運転経験について報告する。

論文

J-PARC RCSにおける2倍高調波を用いたバンチ平坦化操作の最適化

足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 沖田 英史; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.280 - 284, 2026/03

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、後段施設であるメインリング(MR)や物質・生命科学実験施設(MLF)での中性子利用運転のために大強度陽子ビームを供給する。現在の運転条件において、RCSが供給するビームの進行方向(縦方向)分布は後段施設の要求する縦方向ビーム分布に対して短い。その改善のため、RCSでの加速終盤に加速周波数の2倍の周波数である高周波電圧(2倍高調波)を導入し、ビーム分布を縦方向に引き延ばす手法を検討した。実験の結果、縦方向ビーム分布が引き延ばされることを実証した。さらに、2倍高調波の導入方法を工夫することによるビーム縦方向分布の微細な調整の可能性も確認した。この手法により、MRやMLFが要求するビームの縦方向分布に適合する細かなビーム縦方向分布の調整が可能となる。本発表では、RCSにおける実証試験の結果を報告するとともに、最適な2倍高調波の導入方法の考察について報告する。

論文

Consideration for improving the longitudinal beam matching between RCS and MR at the J-PARC

沖田 英史; 足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; et al.

Journal of Physics; Conference Series, 3094(1), p.012027_1 - 012027_7, 2025/09

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、物質・生命科学実験施設(MLF)での中性子ユーザへの利用運転と同時にメインリング(MR)に大強度の陽子ビームを供給している。RCSとMRはMW級の大強度陽子加速器で安定したビーム運転には陽子の電荷同士の反発(空間電荷効果)を緩和させることが重要である。空間電荷効果の強さはビーム進行方向(縦方向)のビーム電流分布と関係しており、バンチングファクタ(平均電流値を縦方向ビーム電流分布のピーク値で除した値)が高いほど軽減できる。現在、RCSがMRに供給するビームのバンチングファクタは0.2と低く、これが原因でMR入射直後でビームロスが発生している。そこで、RCSの加速後半で基本周波数の二倍の周波数の加速電圧を重畳して不安定動作点を生成し、これを用いてバンチングファクタを増加させる手法を考案した。考案した手法で、RCSの出射ビームのバンチングファクタを0.4まで引き上げられることをビームシミュレーションで確認した。また、MRの加速電圧をRCSの出射ビーム形状に適合するように調整し、MR入射後のバンチングファクタを0.4で一定に保つことを可能とする条件を取得した。本成果は、RCSのビーム供給先であるMRのビームロス低減につながるものだけでなく、MLFに供給するビームに関しても縦方向ビーム電流分布の細かな調整を可能とするもので、RCSのビーム利用の成果創出に資する。

論文

J-PARC RCSでの大強度ビーム取り出し時の空胴電圧跳ね上がりの抑制

田村 文彦; 杉山 泰之*; 沖田 英史; 山本 昌亘; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.774 - 776, 2024/10

大強度陽子加速器J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は金属磁性体(MA)空胴の特長を生かしビーム出力1MWでの陽子ビーム加速を行っている。ビームはキッカー電磁石により1周で取り出されるが、ビームの取り出し直後、空胴に短時間電圧の跳ね上がりが発生する。これは電圧制御フィードバックに遅延があり、1ターン取り出し時のステップ状のビーム電流の減少に対する応答には一定の時間がかかることが理由であり、広帯域(Q=2)MA空胴ではこの応答の遅れは電圧の跳ね上がりとして観測される。跳ね上がりは取り出し時の電圧が高い場合には空胴機器の損傷の原因となりうるものである。電圧制御フィードバックのゲインパターンを用いて取り出しと同時に出力を抑止すればこの跳ね上がりを抑制できるが、RCSのようなマルチハーモニック運転の場合、パターン設定が煩雑である。このため、低電力高周波(LLRF)制御システムの機能としてビーム取り出しに同期し出力を抑止する仕組みを用意した。機能の詳細、試験結果、活用方法について報告する。

論文

縦方向計算コードBLonDのGPUバックエンドのベンチマーク

足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 宮越 亮輔*; 沖田 英史; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; et al.

Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.543 - 546, 2024/10

欧州原子核研究機構(CERN)により開発が進められているシミュレーションコードBLonDは、ビーム進行方向(縦方向)の運動を正確に計算する能力と優れた拡張性を有している。先行研究により、J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)における縦方向のビーム挙動をよく再現するモデルを構築することができることが確かめられ、現在は安定したビーム運転のために活用されている。近年、J-PARCではビームのさらなる大強度化に向けた検討を進めている。大強度ビームにおいては、空間電荷効果といったビーム粒子間の相互作用を考慮したビーム挙動の評価が重要となるが、BLonDでは特に空間電荷効果を含めたシミュレーションに計算時間が長くかかることが課題となっていた。最新のBLonDではGPUバックエンドによるシミュレーションの高速化が可能となった。本発表では、RCSの縦方向シミュレーションを主な題材として、BLonD GPUバックエンドの評価を行った結果について報告する。

論文

High-temperature antiferromagnetism in Yb based heavy fermion systems proximate to a Kondo insulator

鈴木 慎太郎*; 田久保 耕*; 久我 健太郎*; 髭本 亘; 伊藤 孝; 冨田 崇弘*; 志村 恭通*; 松本 洋介*; Bareille, C.*; 和達 大樹*; et al.

Physical Review Research (Internet), 3(2), p.023140_1 - 023140_12, 2021/05

本論文では常圧において転移温度が20Kに達するYb化合物の発見について報告している。価数揺動物質$$alpha$$-YbAlB$$_4$$のAlサイトをMnに置換することで、反強磁性転移温度が極めて高くなるだけでなく、重い電子状態から近藤半導体に近い抵抗の大きな金属状態へと変わることが見出された。

論文

Real-time ${{it in vivo}}$ dosimetry system based on an optical fiber-coupled microsized photostimulable phosphor for stereotactic body radiation therapy

矢田 隆一*; 前中 一介*; 宮本 修治*; 岡田 豪*; 笹倉 亜規*; 芦田 基*; 足立 真士*; 佐藤 達彦; Wang, T.*; 赤坂 浩亮*; et al.

Medical Physics, 47(10), p.5235 - 5249, 2020/10

 被引用回数:10 パーセンタイル:48.41(Radiology, Nuclear Medicine & Medical Imaging)

光ファイバーとマイクロサイズ光刺激蛍光体を組み合わせた定位放射線治療のためのリアルタイム体内線量評価システムを開発した。開発したシステムの線量応答の線形性,線量率依存性,温度依存性などを医療用Linacを用いて検証した。また、測定値と粒子・重イオン輸送計算コードPHITSによる計算値を比較し、その妥当性を確認した。これらの結果より、開発したシステムが定位放射線治療のリアルタイム体内線量評価システムとして十分な性能を有することを確認した。

論文

Intrinsic 2D ferromagnetism in V$$_{5}$$Se$$_{8}$$ epitaxial thin films

中野 匡規*; Wang, Y.*; 吉田 訓*; 松岡 秀樹*; 真島 裕貴*; 池田 啓祐*; 平田 靖透*; 竹田 幸治; 和達 大樹*; 小濱 芳允*; et al.

Nano Letters, 19(12), p.8806 - 8810, 2019/12

 被引用回数:63 パーセンタイル:89.73(Chemistry, Multidisciplinary)

The discoveries of intrinsic ferromagnetism in atomically thin van der Waals crystals have opened a new research field enabling fundamental studies on magnetism at two-dimensional (2D) limit as well as development of magnetic van der Waals heterostructures. Here we demonstrate that V$$_{5}$$Se$$_{8}$$ epitaxial thin films grown by molecular-beam epitaxy exhibit emergent 2D ferromagnetism with intrinsic spin polarization of the V 3d electrons although the bulk counterpart is originally antiferromagnetic. Moreover, thickness-dependence measurements reveal that this newly developed 2D ferromagnet could be classified as an itinerant 2D Heisenberg ferromagnet with weak magnetic anisotropy.

論文

Magnetic and electronic properties of B-site-ordered double-perovskite oxide La$$_{2}$$CrMnO$$_{6}$$ thin films

吉松 公平*; 石丸 純也*; 渡会 啓介*; 山本 航平*; 平田 靖透*; 和達 大樹*; 竹田 幸治; 堀場 弘司*; 組頭 広志*; 坂田 修身*; et al.

Physical Review B, 99(23), p.235129_1 - 235129_8, 2019/06

 被引用回数:17 パーセンタイル:56.90(Materials Science, Multidisciplinary)

We report on magnetic and electronic properties of the B-site-ordered double-perovskite La$$_{2}$$CrMnO$$_{6}$$ films grown by pulsed-laser deposition. The magnetic-field dependence of magnetization curves showed hysteresis at low temperatures regardless of the degree of Cr/Mn order and the saturation magnetization became smaller for the higher-Cr/Mn-ordered film. The X-ray absorption spectroscopy and X-ray magnetic circular dichroism measurements suggested antiferromagnetic coupling between Cr$$^{3+}$$ and Mn$$^{3+}$$ ions, resulting in ferrimagnetism of the B-site-ordered double-perovskite La$$_{2}$$CrMnO$$_{6}$$. A band structure was established by combining these results together with the synchrotron-radiation photoemission and optical spectra. We discuss the magnetic states among the $$B$$-site-ordered La$$_{2}$$$$B'$$MnO$$_{6}$$ ($$B':3d$$ transition-metal elements from V to Ni) being basically consistent with the Kanamori-Goodenough rule.

論文

Seven cysteine-deficient mutants depict the interplay between thermal and chemical stabilities of individual cysteine residues in mitogen-activated protein kinase c-Jun N-terminal kinase 1

仲庭 哲津子*; 深田 はるみ*; 井上 達矢*; 合田 正貴*; 中井 良子*; 桐井 康行*; 安達 基泰; 玉田 太郎; 瀬川 新一*; 黒木 良太; et al.

Biochemistry, 51(42), p.8410 - 8421, 2012/10

 被引用回数:22 パーセンタイル:46.67(Biochemistry & Molecular Biology)

タンパク質キナーゼは、さまざまな疾病の治療のための創薬標的タンパク質となっている。C-Jun-N末端キナーゼ1(JNK1)に存在する遊離型システインの機能・安定性・構造への効果を調べるために、そのシステイン残基に系統的に変異導入を実施した。JNK1の3つ及び7つのシステインに変異導入したM3変異体とM7変異体は、大腸菌発現実験において、M0野生型JNK1よりも、それぞれ5及び2倍高く発現した。凝集の時間依存性を分析したSDS-PAGEの結果から、M3とM7は凝集しにくいことが示された。走査型熱量計で熱安定性を評価したところ、M0野生型JNK1, M3変異体及びM7変異体は、いずれも3状態で遷移し、熱変性することが示された。2.6${AA}$分解能の結晶構造解析の結果、M3変異体の構造は野生型と同等であった。以上より、(1)最も高く生産され、(2)凝集に対する安定性が改善され、(3)構造も野生型と同等であったM3変異体が、今後JNK1の構造と機能の関係を調べるために最も適した変異体であると結論した。

論文

高速炭素クラスターイオンにおける薄膜透過後の平均電荷とその入射配向依存性

千葉 敦也; 齋藤 勇一; 鳴海 一雅; 阿達 正浩; 山田 圭介; 高橋 康之; 金子 敏明*

JAEA-Conf 2008-012, p.84 - 86, 2009/03

MeV領域のエネルギーを持つ重イオンクラスターと物質との衝突反応機構の解明に向け、薄膜を透過したクラスター解離イオンの電荷と薄膜入射時のクラスター構成イオンの空間配置との関係を調べている。今回は、薄膜(1$$mu$$g/cm$$^{2}$$)を透過したC$$_{2}$$$$^{+}$$(6MeV)の解離イオンの発散角と電荷の同時測定を試みた。解離した2つのイオンの電荷の組合せごとの発散角強度分布を粒子軌道計算で再現することにより、膜内での解離イオンの軌道を算出し、C$$_{2}$$$$^{+}$$の入射配向と発散角を対応づけることで、解離イオンの平均電荷と入射配向の関係を得た。その結果、入射配向が膜面に対して鋭角なほど解離イオンの平均電荷は大きくなる傾向にあることを実験により初めて明らかにした。

論文

小型高エネルギー集束イオンビーム装置の開発に向けて

石井 保行; 大久保 猛; 芳賀 潤二*; 足立 成人*; 吉田 栄治*

Proceedings of the Symposium on Accelerator and Related Technology for Application, Vol.10, p.9 - 10, 2008/06

MeV領域の集束プロトンビームを用いた有機物の微細加工(Proton Beam Writing)やマイクロPIXE分析による細胞内等の局所微量元素分析が注目されている。従来技術では、このMeV領域の集束イオンビームの形成に加速器、ビームライン及び集束プロトンビーム形成装置からなる巨大な装置構成を必要とする。本研究では飛躍的縮小したMeV領域の集束イオンビーム形成装置の開発を目指している。これを可能とするため、原子力機構で開発してきたkeV領域ながら高縮小率が得られる加速レンズ系を、シングルエンド型加速器の加速管と一体化して使用することによりMeV領域の集束イオンビーム形成装置を構成した。これまでに、加速管をレンズ系の一部に使用したときの性質をもとに、この加速管と既存の加速レンズとの組合せによる縮小率の計算を行い、2MeV領域で100nm径のビーム形成の実現性に関する検討を行った。

報告書

パルス時間間隔を利用したバックグラウンド補償型$$alpha$$線測定装置の開発

眞田 幸尚; 野原 尚史*; 安達 康敬*; 根本 和彦*; 川井 啓一*; 小林 博英; 橋本 哲夫*

JAEA-Technology 2005-009, 33 Pages, 2006/01

JAEA-Technology-2005-009.pdf:1.42MB

時間間隔解析法を利用したウラン系列子孫核種によるバックグラウンドを低減し$$alpha$$線を測定する方法を開発した。まず、時間間隔解析法の理論を用いて$$^{222}$$Ruの子孫核種で半減期の短い$$^{214}$$Po(164$$mu$$s)とその上位核種である$$^{214}$$Biの相関事象ペアを測定する方法について検討を行った。検討結果から、測定に必要な装置の設計・開発を行った。測定システムには、検出器にSi半導体検出器を用い、システム全体として不感時間ができ得る限り短くなるような設計とした。製作したシステムについて、$$^{230}$$Th電着線源を使用し相関事象を測定できることを確認するとともに、測定効率である相関事象率の測定を行った。また、実際に作業環境中で空気粉塵を採取し、相関事象の測定を行った。今回の研究から以下の事項が確認された。(1)時間間隔解析法による$$^{214}$$Poの測定理論が示された。(2)$$^{214}$$Poを測定できる装置を開発した。(3)相関事象測定の確認方法として、$$^{230}$$Th電着線源を使用する方法を示した。(4)空気粉塵試料中の$$^{214}$$Poを測定し、検出効率を評価した。(5)$$^{230}$$Thの添加試験により、ランダム事象混入時の相関事象の測定方法を示した。今後、トリウム系列の子孫核種の減算方法等を検討し、実際の放射線管理に反映する予定である。

口頭

集束イオンビーム発生に向けた高輝度マルチカスプイオン源の開発,1

辻 敏之*; 小林 明*; 吉田 栄治*; 一原 主税*; 足立 成人*; 石井 保行; 芳賀 潤二

no journal, , 

タンデム加速器にMeV領域イオンビーム形成装置を接続してプロトンナノビームを形成するには、物点に設置した開口がマイクロメートル級のスリットと荷電変換部におけるビーム損失が大きいため、集束点でのビーム電流が極めて少ない。このため10pA以上のビーム電流を必要とする微細加工や局所元素分析等に本イオンナノビームを用いるには、輝度の高い水素負イオンビームを生成するイオン源の使用によりビーム減少を緩和することが不可欠である。マルチカスプイオン源で生成される水素負イオンは数eVのイオン温度と、大きな体積のプラズマ生成室を有するため、高輝度イオンビームの成生が期待できる。本研究では、16極のカスプ磁場,大気中で交換可能なフィルター磁石、及びアルカリ金属が不要である特徴を有するマルチカスプイオン源を試作して特性試験を行っている。これまで高輝度化の第1段階として負イオン電流を増大させる条件を探索し、適切なイオン源内真空度とアーク電流及び電圧等を見いだした。発表ではイオン源の概要を紹介するとともに、得られた条件をもとに高輝度化への問題点を議論する。

口頭

J-PARC RCSにおける大強度陽子ビームの安定な高周波加速のための取り組み

田村 文彦; 沖田 英史; 山本 昌亘; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 杉山 泰之*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; et al.

no journal, , 

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は現在までに設計ビーム出力1MWでのユーザー運転を実現している。RCSの 高周波(RF)加速システムは、高い加速電圧が発生可能でありまた広帯域特性を持つ金属磁性体(MA)を採用した空胴の特性を生かすことで、2倍高調波を用いたビーム進行方向の分布形状(バンチ)整形によってビーム密度の低減を行うことができる。これにより、ビームを構成する荷電粒子同士に発生する空間電荷効果の緩和など、大強度ビームのビーム損失の最小化に貢献してきた。一方で広帯域空胴特有の課題である、加速で使用する周波数の高調波成分の誘起に対する解決も必要であった。これらの課題とその解決について述べる。また、設計ビームパワー以上のビーム出力を目指した取り組みについても報告する。

口頭

J-PARC RCSにおける縦方向ビームのバンチ平坦化操作の最適化検討

足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 沖田 英史; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; et al.

no journal, , 

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は大強度陽子ビームを供給しているが、現在の運転条件下ではRCSが供給するビームの進行方向(縦方向)ビーム分布と供給先である後段施設が要求する縦方向ビーム分布の形が合っておらず、後段施設でのビーム損失を招いている。この改善のために、RCSでの加速終盤に加速周波数の2倍の周波数である高周波電圧(2倍高調波)を導入し、縦方向ビーム分布を平坦化する手法を検討した。本検討では、2倍高調波電圧の導入方法を最適化し、RCSが供給する縦方向ビーム分布を後段施設の要求に適合させる条件を探索した。最適化結果を踏まえて後段施設への供給を含む一連のビーム試験を実施した結果、後段施設の要求する縦方向ビーム分布に適合させることができた。本発表では、シミュレーションによる最適化手法とビーム試験の結果を報告する。

口頭

イオンビーム解析法による低エネルギーC$$_{60}$$イオンのスパッタリング効果の評価,2

鳴海 一雅; 楢本 洋*; 高橋 康之; 山田 圭介; 齋藤 勇一; 千葉 敦也; 阿達 正浩; 前田 佳均

no journal, , 

20$$sim$$100keV C$$_{60}$$$$^{+}$$, 200$$sim$$400keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$イオンを照射したSi(100)ウェハーについて、Siのスパッタリング収量を評価した。Si(100)試料は、事前に200keV Ar$$^{+}$$イオンを5$$times$$10$$^{15}$$ Ar/cm$$^{2}$$照射して表面近傍を非晶質化し、非晶質層の厚さの変化をチャネリング法を併用したラザフォード後方散乱(RBS)法によって測定した。得られたスパッタリング収量は入射C$$_{60}$$イオン1個あたり100$$sim$$600Si原子という値になり、100keV近辺にピークを持つ。炭素原子1個あたりのスパッタリング収量に換算すると、等速のXeイオンによるスパッタリング収量と同程度か倍程度に相当し、非常に顕著なクラスター効果を示すことがわかった。講演では、単原子イオンによるスパッタリングに対するSigmundの理論等と比較して、スパッタリング収量のエネルギー依存性を議論する。

口頭

東海再処理施設における手部被ばく管理,2; 管理の考え方

塩谷 聡; 作山 光広*; 安達 康敬*; 佐藤 健一郎*; 眞田 幸尚; 並木 篤; 百瀬 琢麿

no journal, , 

東海再処理施設では、セル内などの高放射線作業環境で保守作業等を行っている。これらの作業は高放射性物質が付着した機器等を手作業で取扱うことがあるため、$$gamma$$線と同様に$$beta$$線の等価線量(手部)の被ばく管理が重要となる。これまで$$beta$$線の手部被ばく管理における計画線量は、(1)作業対象物の$$beta$$線線量率の測定結果、(2)作業時間と作業回数、(3)距離による実測減衰率、(4)過去の同種作業結果から得られた被ばく実績、をもとに推定し、過度の被ばくが予想される場合は、防護装備として鉛含有防護手袋を装着することにより手部被ばくの低減を図ってきた。本報告では防護装備の最適化に向け、各種防護装備について実試料及び標準線源を用いた試験を行い、減衰ファクターを求めた。

口頭

小型高エネルギー集束イオンビーム形成装置のための加速レンズ系の設計

石井 保行; 大久保 猛; 芳賀 潤二; 小林 明*; 足立 成人*

no journal, , 

MeV級集束イオンビーム形成には、現在、加速器から集束イオンビーム形成装置まで、全体で数10mにも及ぶ巨大な装置を必要としている。これがMeV級集束イオン形成装置のさまざまな分野への普及を阻害する一因となっており、小型形成装置の開発が切望されている。本研究では、原子力機構で開発してきた加速・集束一体型のkeV級の加速レンズ系と神戸製鋼所で開発した1MeVの小型加速器とを融合させ、加速器と集束レンズ系が一体化したコンパクトな形成装置の開発を目的としている。これまでにコンパクトなMeV級高縮小率レンズ系としてkeV用の加速レンズ系の後段にMeV用の加速管を直列に配置した加速レンズ系の設計を行った。この設計ではレンズパラメータと色・球面収差係数の値を必要とする。これらの値に対して加速レンズ系にはこれまでに原子力機構で研究したデータを、加速管には今回、電極間の電場と荷電粒子軌道の計算により算出した値を使用した。この設計を進める中で、ビームを加速管外に結像させるため、加速管での縮小率に上限があることがわかった。さらに、加速管での収差を低減するため、加速管への小発散角のビームの入射と、加速管での高い電圧安定度が必要であることもわかった。

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