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葉田野 希*; 吉田 孝紀*; 足立 佳子*; 笹尾 英嗣
Journal of Asian Earth Sciences, 184, p.103971_1 - 103971_13, 2019/10
被引用回数:4 パーセンタイル:21.13(Geosciences, Multidisciplinary)西南日本に分布する更新世堆積物の全岩主要成分と希土類元素組成,鉱物組成を調査した。その結果、化学的風化の強度、源岩の組成、粒径には延長方向にも水平方向にも広範なバリエーションがあり、化学組成は源岩の組成と堆積物の粒径に影響されるが、堆積環境と更新世温暖期の化学的風化の強度との間に関連があることが明らかになった。さらに、源岩の組成や粒度が異なる堆積物であっても、CIA値が90を超す堆積物の希土類元素組成とカオリナイトに富む粘土鉱物の含有量は、西南日本において更新世(34Ma)における激しい風化条件を示すことがわかった。
葉田野 希*; 吉田 孝紀*; 笹尾 英嗣; 安江 健一; 足立 佳子*; 岩野 英樹*; 檀原 徹*
no journal, ,
土岐口陶土層は東海地域から岐阜県南東部の小盆地に堆積した、主に泥質岩からなる中部中新統であり、近年、土岐口陶土層に古土壌層が発達することが明らかにされ、当時の古風化環境の解明がなされている。本論では、土岐口陶土層の砂質堆積物に含まれる砕屑性ジルコンのU-Pb年代と泥岩の微量元素組成(特に希土類元素)を測定し、その起源となる岩石の多様性について検討した。その結果、泥質堆積物の微量元素組成、特に希土類元素の存在度パターンは、Eu異常が不鮮明なやや未分化な玄武岩類・安山岩類と類似するパターンや、Eu異常の鮮明な分化した火成岩類に類似するパターンまで様々なバリエーションが認められた。また、年代値としては12-15Maと70-90Maを示す粒子群が多く、200, 1700, 1800, 1900, 2900Maの年代を示す粒子も認められた。今回の検討結果から、供給源岩の組合せは頻繁に変化した可能性が示唆され、内陸堆積盆地では堆積場の位置や層準によって、堆積物中に記録される後背地の源岩構成が異なるため、綿密な供給源解析が必要であると考えられた。
葉田野 希*; 吉田 孝紀*; 笹尾 英嗣; 久保田 満; 足立 佳子*
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価では、地下に埋設した放射性廃棄物が地表の人間環境へ及ぼす影響が考慮される。人類が生活する生物圏と地質環境との間には風化帯が存在するため、安全評価上、その理解が必要である。岐阜県東濃地方から愛知県東部に分布する陶土層は、強風化をうけた花崗岩類を起源とする細粒砕屑物からなる。陶土を形成させた特異な環境の理解には、周辺の地質体や堆積盆内部の地形条件と風化条件との関連性を議論する必要がある。そこで、本研究では岐阜県土岐-多治見地域に分布する陶土層と、愛知県瀬戸地域に分布する陶土層を例に化学組成や鉱物組成などについて検討した。その結果、鉱物組成から、両地域に分布する陶土層では供給源となる花崗岩のタイプに違いがあるものの、花崗岩質な母岩を持つ点で類似する。さらに、陶土層のシリカ含有量は基盤岩や、地殻の平均的な化学組成を代表していると考えられているPAASと比較しても異常に高い値を示し、強烈な風化によって母岩の化学組成が大きく改変されている可能性が示唆された。また、陶土層のチタン含有量の地域的な違いは、後背地の地形・風化条件の違いに起因する可能性が考えられた。
葉田野 希*; 吉田 孝紀*; 笹尾 英嗣; 久保田 満; 足立 佳子*
no journal, ,
日本列島では、中部中新統鮮新統に粘土質の堆積物が含まれており、これらを風化条件の復元に活用することができる。そこで、本研究では、中部中新統(1011Ma)と下部鮮新統(34Ma)を用いて古土壌の記載および地球化学的研究を行った。主成分元素組成から、研究対象の中新統は非常に強く風化した基盤岩から供給されたこと、鮮新統は中新統と比べると比較的弱く風化した基盤岩から供給されたと考えられた。日本列島では、中期中新世鮮新世における風化条件は温暖な海流と東アジアモンスーンの開始に影響された可能性がある。一方で、中期中新世の方がより強い風化条件であったと考えられる。
葉田野 希*; 吉田 孝紀*; 入江 志織*; 森 沙織*; 名取 和香子*; 足立 佳子*; 笹尾 英嗣
no journal, ,
気候変動の幅の把握は、高レベル放射性廃棄物地層処分など将来の環境変動を検討する上で重要な課題である。新第三紀中期中新世鮮新世は、アジア全域で気候・風化条件が大きく変動した。そこで、本研究では、中部西南日本に分布する中新統鮮新統を対象に、古土壌相と泥質堆積物の鉱物・化学風化度から、風化条件の復元を試みた。その結果、中期中新世と前期鮮新世は土壌形成が促進される風化条件下にあったことが明らかになった。また、中期中新世は季節的な乾湿変動で特徴づけられる風化条件下にあったと考えられた。本研究の結果、中部西南日本では中期中新世と前期鮮新世に風化度のピークを示すことが明らかになった。中部西南日本の陸成層の風化記録は東アジアにおける広域的な風化変動とみなせる可能性はあるものの、時代ごとに異なる特徴を示す。これは局地的な影響や異なるスケールの気候変動に起因している可能性が考えられる。