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関尾 佳弘; 山県 一郎; 赤坂 尚昭; 坂口 紀史*
Proceedings of International Conference on Fast Reactors and Related Fuel Cycles; Next Generation Nuclear Systems for Sustainable Development (FR-17) (USB Flash Drive), 8 Pages, 2017/06
改良316オーステナイト鋼(PNC316)のスエリング特性に直接的に影響を及ぼす照射点欠陥挙動(特に空格子の拡散挙動)を定量的に評価することを目的として、異なる温度で中性子照射されたPNC316に対してランダム粒界近傍に形成されたボイド欠乏帯の幅をそれぞれ測定し、温度とボイド欠乏幅の関係からPNC316の空格子移動エネルギーを評価した。その結果、その値は1.46eVと評価され、既存の評価手法である電子線その場観察試験(転位ループの成長速度評価)の結果とよく一致した。このことは、ボイド欠乏帯解析が特に照射中の空格子移動エネルギー評価に有効な方法であり、このエネルギー評価が照射損傷形態が異なる電子線照射からではなく、中性子照射後試験から直接的に評価できることを示している。
矢野 康英; 大塚 智史; 山下 真一郎; 小川 竜一郎; 関根 学; 遠藤 敏明; 山県 一郎; 関尾 佳弘; 丹野 敬嗣; 上羽 智之; et al.
JAEA-Research 2013-030, 57 Pages, 2013/11
安全性並びに経済性に優れた高速増殖炉を実現させるためには、燃料の高性能化が不可欠であり、そのためには高温・高燃焼度条件での使用に耐えうる炉心材料の開発と照射挙動(=照射健全性)の把握が重要な課題である。このため、耐スエリング性能に優れるフェライト鋼を炉心材料に選定し、被覆管材料としてはODSフェライト鋼、ラッパ管材料としては11Cr-フェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS)を第一候補材料として開発を実施している。そこで、照射挙動評価に資するために、「常陽」MK-III炉心材料照射用CMIR-6で照射したODSフェライト鋼の照射後強度特性並びに組織観察を行い、挙動評価を行った。
矢野 康英; 小川 竜一郎; 山下 真一郎; 大塚 智史; 皆藤 威二; 赤坂 尚昭; 井上 賢紀; 吉武 庸光; 田中 健哉
Journal of Nuclear Materials, 419(1-3), p.305 - 309, 2011/12
被引用回数:22 パーセンタイル:82.57(Materials Science, Multidisciplinary)高速実験炉「常陽」のCMIR-6で照射したODS鋼被覆管のリング引張特性に及ぼす照射効果に関して調査を行った。照射条件範囲は、照射温度6931108Kと照射量16
33dpaであった。照射温度923K未満では強度特性に変化は見られなかったが、1023Kでは20%の強度低下が見られた。一方、照射後の一様伸びは、すべての照射条件で2%以上確保されていた。本照射条件範囲ではODS鋼被覆管は、一般的な11Crフェライト/マルテンサイト鋼であるPNC-FMS被覆管と比較しても優れた引張特性を維持していることが明らかになった。
山県 一郎; 赤坂 尚昭
Journal of Nuclear Science and Technology, 47(10), p.898 - 907, 2010/10
被引用回数:1 パーセンタイル:9.64(Nuclear Science & Technology)高速炉で照射した改良型316オーステナイト鋼燃料集合体について、ラッピングワイヤとラッパ管のスエリング挙動を調査した。スエリングの温度依存性については、スエリングピーク温度がラッピングワイヤとラッパ管で異なっていた。また、走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡で材料中のボイド分布を観察し、表面からおよそ100m以内でボイドが成長していることを確認した。この現象は、中性子照射における表面効果によるものであると推察した。
矢野 康英; 山下 真一郎; 大塚 智史; 皆藤 威二; 赤坂 尚昭; 柴山 環樹*; 渡辺 精一*; 高橋 平七郎
Journal of Nuclear Materials, 398(1-3), p.59 - 63, 2010/03
被引用回数:12 パーセンタイル:57.83(Materials Science, Multidisciplinary)11Crフェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS)についてFFTF/MOTAで炉内クリープ破断試験を823Kから943Kで実施した。また、引張及び急速加熱バースト試験用の被覆管は照射温度693から1013K、照射量3.5から102dpaで高速実験炉「常陽」を用いて照射された。引張及び急速加熱バースト試験では、照射温度873K以下での強度低下は確認されなかったが、照射温度903K以上では顕著な強度低下がみられた。一方、炉内クリープ破断強度は、すべての照射温度で炉外のクリープ強度と同等あるいはそれ以上の強度を示した。このクリープ破断特性は、短時間強度と異なる挙動を示すことが明らかとなった。
山下 真一郎; 矢野 康英; 舘 義昭; 赤坂 尚昭
Journal of Nuclear Materials, 386-388, p.135 - 139, 2009/04
被引用回数:14 パーセンタイル:65.88(Materials Science, Multidisciplinary)FFTF及び常陽を用いて11Cr系耐熱フェライト/マルテンサイト鋼を400670
Cの温度範囲で約100dpaまで照射した。一部の材料は組織変化挙動に及ぼす熱的効果を明らかにするために、原子炉照射相当の長時間熱時効試験も行った。照射前の組織は、ラスマルテンサイト組織(ラス組織),転位,炭化物で構成されており、旧オーステナイト粒界のほとんどは部分的に炭化物で被覆されていた。照射後組織観察の結果から、照射により誘起される組織が照射温度に応じて次の3つに分類されることが示された。(1)照射温度が400
450
Cの低温域の場合、フェライト相内に直径30nm以下の微細な転位ループやキャビティが形成するが、ボイドスエリング量としては0.05%に留まる程度であった。(2)温度が500
600
Cの中温域で照射されると炭化物の析出が支配的な組織変化となり、M
C
やM
Cが旧オーステナイト粒界を広範囲に被覆することで、粒界強化やラス組織回復の遅滞化に寄与していることが明らかとなった。(3)照射温度が650
Cを超える高温になった場合、ラス組織の完全回復,炭化物の著しい粗大化に加え、再結晶粒の形成,成長が同時に生じてしまうことが明らかとなった。この組織変化は、650
C以上では不可避な組織変化と考えられ、機械的特性の著しい劣化と密接な関係があると推察される。
矢野 康英; 山下 真一郎; 吉武 庸光; 赤坂 尚昭; 高橋 平七郎
まてりあ, 47(12), P. 625, 2008/12
実用化段階の高速炉用炉心材料として開発された11Crフェライト/マルテンサイト鋼について、高速実験炉「常陽」を用いて照射温度7731013K,照射量11
117dpaで照射した後、引張試験及び微細組織観察を実施した。117dpaまでの重照射環境においても、照射温度873Kまでは、旧オーステナイト粒界に炭化物の優先的析出は観察されるが、ラス組織は維持されていた。高温照射の938Kではラス組織の回復,再結晶が促進されていた。照射後の引張強度は、照射温度873Kまでは強度低下が小さく、903K以上では顕著な強度低下が生じていた。これらの結果を考慮すると、本鋼の強度は本照射範囲では照射量に依存せず、873Kまではラス組織の回復が抑制され強度低下が小さいこと、及び938K以上ではラス組織の回復,再結晶が促進される結果、強度低下が生じることが明らかになった。873Kまでのラス組織の回復の抑制は、粒内の過飽和な炭素が優先的に炭化物として旧オーステナイト粒界に析出し、粒内の炭素が最適化され、コットレル雰囲気を形成し、その結果、転位がトラップされ転位の上昇運動が抑制されることによると推察される。
山下 真一郎; 関根 学*; 赤坂 尚昭
まてりあ, 47(12), P. 624, 2008/12
高速炉燃料被覆管用として開発された改良SUS316鋼(以下、PNC316鋼)は、高温強度特性と耐スエリング性の飛躍的向上を目的に、SUS316ステンレス鋼をベースに、(1)P, B, Ti, Nbなどの元素を0.1%未満の範囲内で微量添加している点、(2)約20%の冷間加工を施している点、に特徴がある。本研究成果は、高速炉炉心材料の照射特性評価に資するために、高速実験炉「常陽」で重照射したPNC316鋼製燃料被覆管の内部組織観察結果の一部である。この被覆管の詳細な組織観察から、中性子照射下の核変換反応で生成したHeは、照射環境下においてより安定な組織形態であるバルブへと変化し、微細析出物の界面にトラップされていることが示された。この析出物形成の影響で、Heバブルの微細分散がなされ、結果的にボイドスエリングを抑制されていた。また、電子顕微鏡組織からの結晶構造解析と微細析出物の元素分析結果をもとに、ボイドトラップ効果の大きいこれらの微細析出物は、六方晶構造のFeP型析出物であり、面心立方格子構造の母相に対して(021)
//(111)
の関係にあることが明らかとなった。
矢野 康英; 吉武 庸光; 山下 真一郎; 赤坂 尚昭; 小野瀬 庄二; 渡辺 精一*; 高橋 平七郎
Journal of Nuclear Science and Technology, 44(12), p.1535 - 1542, 2007/12
被引用回数:13 パーセンタイル:62.80(Nuclear Science & Technology)高速実験炉「常陽」で燃料照射をした高強度フェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS)及びHT9M被覆管の照射後強度試験、具体的には、引張及び急速加熱バースト試験を実施し、両鋼の照射後強度特性評価を行った。
岡 桂一朗*; 大貫 惣明*; 山下 真一郎; 赤坂 尚昭; 大塚 智史; 谷川 博康
Materials Transactions, 48(10), p.2563 - 2566, 2007/10
被引用回数:32 パーセンタイル:79.51(Materials Science, Multidisciplinary)ナノサイズ酸化物粒子の微細構造上の詳細を把握するために、超高圧電子顕微鏡(HVEM),エネルギー分散型X線分光法(EDS),アトムプローブ電界イオン顕微鏡(AP-FIM)等の各種手段により3種類の異なるODSフェライト鋼及びODSオーステナイト鋼を調査した。酸化物はイットリウム(Y),チタン(Ti)及び酸素(O)などの成分を含んでおり、粒子の内側と外側で組成が異なる殻状の複層構造(以下、シェル状構造と称す)になっていることが示された。シェル状構造は、製造段階における母相の結晶構造と因果関係のあることが示唆された。酸化物粒子の照射下安定性を評価するために実施した電子照射試験(照射温度:室温923K,照射量47dpa)の結果からは、酸化物粒子の明確なサイズ変化は認められなかった。本研究で取得した実験結果をほかの研究成果と比較・検討し、酸化物の照射下安定性は酸化物の化学組成によって大きく異なることが明らかとなった。
矢野 康英; 山下 真一郎; 赤坂 尚昭; 渡辺 精一*; 高橋 平七郎
Proceedings of 9th China-Japan Symposium on Materials for Advanced Energy Systems and Fission & Fusion Engineering jointed with CAS-JSPS Core-university Program Seminar on Fusion Materials, System and Design Integration, p.2 - 5, 2007/10
PNC-FMS被覆管の照射後引張特性に及ぼす高速中性子照射効果の影響を組織面から調査した。試験片は高速実験炉「常陽」の材料照射リグを用いて照射した。照射温度は、7731013Kで、照射量は11
102dpaであった。組織の安定性については、北海道大学超高圧電子顕微鏡を用いた電子線照射試験により中性子照射後の組織との比較検討を行った。
堂野前 貴子; 舘 義昭; 関根 学*; 諸橋 裕子; 赤坂 尚昭; 小野瀬 庄二
Journal of the Ceramic Society of Japan, 115(1345), p.551 - 555, 2007/09
被引用回数:4 パーセンタイル:28.48(Materials Science, Ceramics)高速炉で効率的に核分裂生成物を核変換するためには減速材の利用が有効であり、B
Cはその候補の1つとされているが、
B
Cの照射挙動は制御材用の
B
Cと異なりほとんどデータが得られていない。そこで本論文では、高速炉で照射した
B
Cペレットの外観・微細組織観察及び熱伝導率測定を行い、
B
Cの照射挙動を明らかにした。照射
B
Cの外観は
B
Cと異なり、クラックは観察されなかったが、微細組織には
B
Cと同様に粒内及び粒界にバブルが確認された。
B
Cの熱伝導率は
B
Cよりも大きく、室温から1400
Cの間には、
B
Cと同様に3つの回復ステージが観察され、B
Cの回復とヘリウムの分散挙動の関連性が示された。以上から、
B
Cペレットは照射下での安定性が高いことが確認され、減速材適用の可能性が示された。
矢野 康英; 吉武 庸光; 山下 真一郎; 赤坂 尚昭; 小野瀬 庄二; 高橋 平七郎*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.127 - 131, 2007/08
被引用回数:12 パーセンタイル:60.25(Materials Science, Multidisciplinary)被覆管の引張特性及び急速加熱バースト特性に及ぼす高速中性子照射効果の影響を調査した。試験片は、材料照射リグを用いて照射した。照射温度は、7731013Kで、照射量は11
102dpaであった。照射後引張試験と急速加熱バースト試験を実施した。873K以下の照射温度では、引張強度と破裂強度の低下は見られなかった。このように強度を維持した理由は析出物が優先的に旧オーステナイト粒界に析出し、粒界強化に寄与したためだと考えられた。また、903K以上の照射温度では、両強度とも低下していた。これは、ラス組織の回復と再結晶に起因していると考えられる。
山下 真一郎; 赤坂 尚昭; 鵜飼 重治; 大貫 惣明*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.202 - 207, 2007/08
被引用回数:73 パーセンタイル:97.09(Materials Science, Multidisciplinary)中性子照射した酸化物分散強化型(ODS)フェライト鋼(MA957)の微細構造観察を実施した。MA957は既にさまざまな観点で調査が進められているため、本研究では973Kの高温環境下で重照射した酸化物の挙動(相安定性も含む)に着目した。TEM観察からは、Y-Ti複合酸化物粒子は相対的にTi酸化物よりも粒子径が細かく、約10分の1程度であることが明らかとなった。照射後の酸化物の平均径,数密度の変化は、照射下における酸化物粒子の反跳溶解を示唆している。一方、973Kで照射したサンプルにおいては、Y-Ti複合酸化物が転位と相互作用している様子が捉えられており、酸化物粒子が転位の回復を遅滞化させ、かつよりマクロな伸長結晶粒をも安定化していることが示された。100dpa程度の高温照射下で、ODS鋼中の酸化物粒子が転位運動を阻害し有効な転位ピニング効果が発揮されていることを示した例は過去に報告されておらず、ODS鋼の照射研究において大変貴重な知見が得られたものと考える。
矢野 康英; 岡 桂一朗*; 赤坂 尚昭; 吉武 庸光; 阿部 康弘; 大貫 惣明
Journal of Nuclear Science and Technology, 43(6), p.648 - 654, 2006/06
被引用回数:4 パーセンタイル:30.06(Nuclear Science & Technology)実用化段階の高速炉炉心材料としては、耐スエリング性に優れたフェライト鋼を候補材として研究開発を進めている。一方、フェライト鋼を炉心材料として適用する上では高速中性子照射に伴う材料の照射脆化挙動評価が重要な課題である。そこで、「常陽」で照射したPNC-FMS鋼のシャルピー衝撃試験及び微細組織観察を行い、衝撃特性に及ぼす組織の影響について評価した。
山下 真一郎; 赤坂 尚昭; 小野瀬 庄二
材料開発のための顕微鏡法と応用写真集, P. 133, 2006/03
酸化物分散強化型(MA957)合金中の酸化物粒子の照射下相安定性や転位との相互作用を把握し、次世代原子炉材料の設計に反映することを目的とし、高速実験炉「常陽」で中性子照射したMA957の微細組織観察を行った。観察の結果、982Kで100dpa程度中性子照射した場合においても、微細な粒子が転位と相互作用し、転位のピン止めに寄与していることが明らかとなった。また、微細粒子の元素分析からは、この粒子がチタンとイットリウムを含んでおり、チタンの適量添加により微細化した複合酸化物粒子である可能性が高いことが示された。
山下 真一郎; 赤坂 尚昭
JNC TN9400 2005-018, 54 Pages, 2005/05
酸化物分散強化型(ODS)鋼は、耐照射損傷性能が高く、かつ長時間の高温環境下で優れた熱的および機械的強度を有する材料である。これらの特性は、先進ナトリウム冷却型高速炉の燃料被覆管材料において最も重要視される特性であり、核燃料サイクル開発機構(以下サイクル機構)では、高性能化に向けて長年精力的に同鋼の研究開発に取り組んできた。 本報告書は、サイクル機構で独自に研究開発したODS鋼の照射下および照射後特性を評価する目的で実施した照射後の微細組織観察結果を纏めたものである。中性子照射は、高速実験炉「常陽」のCMIR-4とSVIR-1にて行い、報告対象となる鋼種は1DS、1DK(いずれも1989年度に開発)およびM93、F94、F95(いずれも1997年度に開発)の計5鋼種である。観察により得られた知見は、以下のようである。1) 中性子照射下において転位ループおよびキャビティが形成した。これらの形成には、照射温度および照射前シンクサイト密度(転位密度、析出物と母相の界面総面積、粒界総面積)が密接に関係し、鋼種により形成量は大きく異なる。2) メカニカルアロイングに使用する不活性雰囲気ガスの影響を比較すると、アルゴンガスの方がヘリウムガスよりもキャビティ形成・成長を助長する効果が小さかった。3) いずれのODS鋼においても、'相、
相の形成は認められなかった。タングステン濃度が高い場合は、高温照射下でFe
W型のLaves相が粒界上に析出した。マルテンサイト系ODS鋼では、M
C
が照射前後で安定な炭化物として存在していた。一方、フェライト系ODS鋼では、マルテンサイト系に比較し少量かつ局所的になるが、照射下で母相から拡散したCとTi、W、Cr、Feの金属元素が結合し、MC、M
Cを形成していた。4) 照射前後において同定された酸化物の大部分は、イットリウムとチタンで構成される複合酸化物であった。21dpaまでの中性子照射では、酸化物粒子個々の変化(結晶構造および界面構造の乱れなど)は認められなかったが、分散パラメーターの推移から酸化物粒子の反跳溶解が示唆された。
山下 真一郎; 吉武 庸光; 赤坂 尚昭; 鵜飼 重治; 木村 晃彦*
Materials Transactions, 46(3), p.493 - 497, 2005/05
被引用回数:5 パーセンタイル:43.21(Materials Science, Multidisciplinary)酸化物分散強化型(ODS)鋼をさまざまな製造パラメータで製造し、照射挙動評価のため「常陽」で中性子照射試験した。応力-歪線図から、当該鋼は673Kで優れた照射後材料挙動を示した。すなわち、それは照射硬化による引張強度の増加及び全伸びの保存に見られる。また、引張特性の照射温度依存性からは、高温での引張特性の低下(照射下での相安定性と密接に関係)は、化学組成,メカニカルアロイング中の不活性ガス種,熱処理温度及び初期母相などの製造パラメータを最適化することで回避可能となることが示された。
山下 真一郎; 吉武 庸光; 赤坂 尚昭; 鵜飼 重治; 大貫 惣明
The fifth Pacific Rim International Conference on, 0 Pages, 2005/00
3種類のODS鋼被覆管(マルテンサイト系1鋼種とフェライト系2鋼種)を高速実験炉「常陽」で中性子照射し、照射下におけるナノ-メソ構造変化、リング引張強度変化をそれぞれ評価した。内部構造、とりわけ結晶粒の形態あるいは転位構造などのマクロ構造については、明確な照射後変化が認められなかったが、炭化物や酸化物分散粒子などのナノ構造については、全てのODS鋼で照射後変化が認められた。一方、リング引張特性に関しては、各種ODS鋼の照射温度依存性に有意な変化が現われた。これは、鋼種毎に微細構造変化が異なることを反映した結果と考えられる。
栗下 裕明*; 山本 琢也*; 鳴井 實*; 吉武 庸光; 赤坂 尚昭
JNC TY9400 2004-006, 48 Pages, 2004/04
高速実験炉「常陽」で照射された高強度フェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS(2WFK、63WFS))および酸化物分散強化型マルテンサイト鋼(H35)のハーフサイズと微小サイズ(1.51.5
20mm)試験片について計装化シャルピー衝撃試験を行い、照射脆化を評価した。また、照射脆化に及ぼす熱時効と組織の効果を検討した。次に、シャルピー衝撃試験における延性脆性遷移温度(DBTT)に及ぼす試験片サイズ・ノッチ形状の効果を解明するために、塑性拘束係数
を次式で定義する。a=s*/sy*ここで、s*はへき開破壊の臨界応力、sy*はDBTTにおけるシャルピー衝撃試験と同一ひずみ速度での単軸降伏応力である。s*とsy*を評価する方法を示し、その方法により2WFKの試験片サイズ・ノッチ形状の異なる計12種類の試験片についてaを評価した。 aは試験片サイズを表す (A*/b2) と次の関係にあることが示される。a=a0.k(A*/b2)0.4但し、A*はs*に対応する臨界面積、bはリガメントサイズである。また、a0とkはa/W(aはノッチ深さ、Wは試験片の幅)に依存する定数であり、a/W が大きいほどaは大きい。