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荒殿 保幸; 和田 晃*; 秋山 和彦; 北澤 真一; 北條 喜一; 楢本 洋*
Chemical Physics Letters, 408(4-6), p.247 - 251, 2005/06
被引用回数:1 パーセンタイル:3(Chemistry, Physical)1.5Kの超流動液体ヘリウム中において、レーザーアブレーションで生成した炭素粉末の中にフラーレンCが検出された。質量分析からC-12, C-13の分子内分布は、原材料のそれと異なりC-12が多いことがわかった。初期反応過程として、バブル状炭素のトンネル反応によるC2分子形成を提案した。
Gordon, E. B.*; 熊田 高之; 石黒 正純; 荒殿 保幸
Journal of Experimental and Theoretical Physics, 99(4), p.776 - 783, 2004/10
固体ヘリウム中への重水素分子のドープ法の開発と、1.3K, 3Mpaの固体ヘリウム中にドープされた重水素クラスターのCARS(Coherent anti-Stokes Raman spectroscopy)法による分光研究を行った。ドープされた重水素のオルト,パラ体の含有量,クラスターサイズを関数としてスペクトルの、強度,線幅,シフト等を検討し、オルト,パラ体のラマン散乱断面積の比が、気相とは10000倍異なることなどを明らかにした。
中村 龍也; 片桐 政樹; 荒殿 保幸; 神野 郁夫*; 菱木 繁臣*; 杉浦 修*; 村瀬 徳博*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 529(1-3), p.399 - 401, 2004/08
被引用回数:1 パーセンタイル:10.3(Instruments & Instrumentation)液体ヘリウム3を中性子コンバータとしInSb半導体検出素子で二次粒子を検出する低温中性子検出器を開発した。本低温検出器では液体状態にあるヘリウム3を中性子コンバータとして用いることで中性子とヘリウム3との核反応の結果生じた二次粒子飛程が100ミクロン以下となるため高位置分解能が期待される。また、液体ヘリウム3ではコンバータ厚さを容易に均一制御できることから検出効率の空間一様性にも優れることが予想される。試作した中性子検出器を1.6Kにて動作させ中性子検出特性試験を行い、本検出器が中性子を安定に検出することを確認し、高い位置分解能,高い効率一様性,薄い検出厚さ等を有する低温中性子検出器の実現可能性を検証することができた。
中村 龍也; 片桐 政樹; 荒殿 保幸; 神野 郁夫*; 菱木 繁臣*; 杉浦 修*; 村瀬 徳博*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 520(1-3), p.76 - 79, 2004/03
被引用回数:8 パーセンタイル:48.81(Instruments & Instrumentation)InSb半導体検出素子と高密度ヘリウム3ガスとからなる低温中性子検出器を開発し、その中性子検出性能を評価した。ヘリウム3ガスを中性子コンバータとする中性子検出器では、チャンバー内に封入されるヘリウム3ガスの密度が高い程、位置分解能等の検出器性能が向上する。しかしながら、チャンバー内に封入可能なガス圧はその機械的強度により制限されること、また、高ガス圧下ではガス増幅率が低減するため良好な信号対雑音比で信号を読み出すことが困難となる、といった問題があった。そこでわれわれは4.2Kの低温環境を利用することで10気圧程度のガス圧においても常温,数100気圧に相当するガス密度を実現し、かつ、中性子捕獲反応の結果生成される二次粒子を低温動作可能なInSb半導体素子で直接検出することによりそれらの問題の解決を図った。4.2K,12.5気圧で動作させた試作低温中性子検出器によりその中性子検出特性試験を行い、低温,高ガス圧下においても本検出器は中性子を安定に検出できることを確認し、高い位置分解能,高い効率一様性,薄い検出厚さ等を有する低温中性子検出器としての実現性を検証することができた。
中村 龍也; 片桐 政樹; 荒殿 保幸; 神野 郁夫*; 菱木 繁臣*; 杉浦 修*; 村瀬 徳博*
Review of Scientific Instruments, 75(2), p.340 - 344, 2004/02
被引用回数:6 パーセンタイル:35.7(Instruments & Instrumentation)数10ミクロン以下の位置分解能と数ナノ秒の時間分解能を持つ中性子検出器として、InSb半導体素子と超臨界ヘリウム3ガスとからなる低温中性子検出器を提案し試作検出器によりその検出原理を確認した。従来のヘリウム3ガスを使用した中性子検出器において数10ミクロンの高い位置分解能を得るには100気圧を超えるガスを封入する必要がある。そのような条件下では、十分なガスゲインが得られないこと、また、チャンバの機械的制限を受ける等の問題があった。われわれは、4.2Kという低温環境を積極的に利用することで常温100気圧以上に相当するヘリウム3ガス密度を数気圧のガス圧で実現し、かつ、低温下で高速に動作するInSb半導体検出素子で中性子捕獲反応により生じるプロトン,トリトンを直接検出しその解決を図った。本検出手法によると4.2K, 10気圧程度のヘリウム3ガス圧下で数10ミクロン以下の位置分解能と数ナノ秒の時間分解能も期待される。試作検出器を用いて4.2K, 1.6気圧以下のガス圧において中性子検出性能を評価した結果、中性子を検出できること,現状で約80nsecの時間分解能を持つことなどを確認した。
荒殿 保幸
波紋, 13(3), p.168 - 172, 2003/07
JRR-3Mを利用した低温(1-2K)でのトリチウムの関与する水素引抜き反応や再結合反応について著者らの最近の研究結果を紹介した。
荒殿 保幸; 井口 一成; 奥野 健二*; 熊田 高之
Journal of Physical Chemistry A, 107(19), p.3741 - 3746, 2003/05
被引用回数:4 パーセンタイル:11.72(Chemistry, Physical)ヘリウム-3,ヘリウム-4量子媒体中におけるH+THT,T+TT再結合反応への超流動の影響を1.6Kで調べた。その結果、超流動,常流動の相転移点で反応が変化することを見いだした。また、反応の同位体効果が非常に大きいことから、H,Tバブル原子のトンネル反応機構を提案した。
和田 晃; 荒殿 保幸
Chemistry Letters, 32(2), p.200 - 201, 2003/02
被引用回数:6 パーセンタイル:30.03(Chemistry, Multidisciplinary)超流動ヘリウム中において炭素分子ラジカル(C)のレーザー蒸発により誘起された発光(d-a, スワンバンド)を観測した。観測された発光はa状態の振動基底状態を始状態とする遷移のみであり、超流動ヘリウム中において速い振動緩和が起こっていることを示唆している。
井口 一成*; 熊田 高之; 奥野 健二*; 荒殿 保幸
Chemical Physics Letters, 349(5-6), p.421 - 425, 2001/12
被引用回数:4 パーセンタイル:12.25(Chemistry, Physical)1.42-2.50Kの液体ヘリウム中で中性子吸収反応により生成するトリウチム原子同士の再結合反応において、オルソT分子が90%以上生成することがわかった。これは統計論的な値である75%をはるかに越える値である。トリチウムと同じ1/2の核スピンを持つ水素原子でも同様な傾向が報告されていることから両者同様な反応機構が考えられる。現在理論計算が進行中であるる。
立川 圓造*; 星 三千男; 荒殿 保幸; 橋本 和幸
原子炉水化学ハンドブック, p.57 - 66, 2000/12
原子炉冷却系の水化学管理が発電プラントの安全性と信頼性を確保するうえできわめて重要な技術である。本ハンドブックは原子炉水化学の分野における今日までの我が国のみならず世界の知識と経験を基礎データを含めてまとめたものである。これらの土台となる放射性核種の生成・崩壊,挙動など放射化学の基本的な知識を解説した。
熊田 高之; Shevtsov, V.*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎
Journal of Chemical Physics, 113(4), p.1605 - 1608, 2000/07
被引用回数:4 パーセンタイル:12.24(Chemistry, Physical)固相における放射線分解過程は、特有の拡散、緩和機構により、気相とは異なる様相を示す。われわれはX線照射した固体水素中に生成する水素原子収量の圧力依存性を見ることで、放射線分解過程が固相中でどのように進行するかを調べた。その結果、収量は圧力とともに減少し、22MPaにおいては0MPaに比べて約半分になっていることを見いだした。以上の結果は圧力によりかご効果が強くなったため、放射線分解過程における水素原子解離反応が起きにくくなったためであると考えられる。
Shevtsov, V.*; 熊田 高之; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎
Chemical Physics Letters, 319(5-6), p.535 - 541, 2000/03
被引用回数:14 パーセンタイル:40.89(Chemistry, Physical)5K以上の固体水素中における粒子のトンネル拡散は固体中に熱的に生成する空孔によって引き起こされ、拡散速度は空孔の数により決定されると言われてきた。しかしながら空孔の存在を示す直接的な証拠はなかった。そこでわれわれは空孔数が圧力により定量的に制御できる点に着目し、X線照射により固体水素中に生成した水素原子の拡散に伴う再結合速度の圧力依存性をESRを用いて観測することで、再結合速度から決定される水素原子の拡散速度と空孔との関係を調べた。その結果、圧力の上昇に伴い再結合速度は減少し、22MPa下において0MPa下の約1/1000になることを見いだした。また、再結合速度の圧力依存性と空孔数のそれとが定量的に一致することから、固体水素中における水素原子の拡散が空孔を媒介して引き起こされていることを明らかにした。
熊田 高之; 野田 知克*; 熊谷 純*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎
Journal of Chemical Physics, 111(24), p.10974 - 10978, 1999/12
被引用回数:10 パーセンタイル:31.1(Chemistry, Physical)固体HD及びD中におけるH及びD原子の捕捉サイトを電子スピンエコー法を用いて調べた。解析の結果、すべてのH及びD原子は置換型サイトに捕捉されること、またH原子周囲のHD及びD分子は0.15程度外側に押し出されていることを見いだした。置換型サイトに捕捉されるのは水素原子-分子間の相互作用と水素分子間の相互作用がほぼ等しく、最初に挿入型サイトに捕捉された水素原子もゼロ点運動によって容易に平衡距離に緩和するためと考えられる。H原子の周囲のHD及びD分子が押し出されるのはそのゼロ点運動の振幅がH原子の場合特に大きいためであると考えられる。これらの捕捉サイトに関する実験結果は、固体水素中におけるトンネル反応D+DH→D+Hにおいて実験的に観察した気相論で説明できない反応速度定数の温度依存性が、固体HD中におけるH原子周囲ひずみによって引き起こされている可能性によることを示唆している。
荒殿 保幸
日本原子力学会誌, 41(4), p.391 - 392, 1999/04
日本原子力学会40周年特集号への寄稿として、過去10年間のホットアトム化学分野の研究動向をまとめたものである。研究対象とされている核種はHからBkに至るまで非常に多いが、なかでも遷移金属,ハロゲンなどが最も良く研究されている。化合物としては、メタロセンとシクロデキストリンとの包接体の分子ロケットやフラーレンの研究が目新しい。ホットアトム化学の原子炉冷却水中挙動,宇宙化学,低温化学,ライフサイエンス分野等への展開もなされてきている。反応論の構築といった基礎分野から応用分野まで、幅広い発展の見られた10年間であった。
熊田 高之; 北川 尚紀*; 森 昇治*; 熊谷 純*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Low Temperature Physics, 114(5-6), p.413 - 429, 1999/00
固体パラ水素中に生成したHアニオンは、固体水素の量子性を反映した非古典的減衰挙動を示す。本論文において、その減衰機構とそれに伴うHアニオンの量子拡散挙動を解明した。実験の結果、減衰速度が(1)Hやカチオンの濃度ではなくHDのそれに比例する、(2)添加したNeの量にも比例する、(3)3K以下では温度とともに正比例的に増加、3-5Kにおいては逆に減少、5K以上では指数関数的に増加することを新たに見いだした。これらはそれぞれ、(1)Hの減衰がカチオンとの中和やH原子への電子移行反応:H+HH+Hではなく、HDとの反応によること、(2)拡散種はHDではなくHであること、(3)3K以下、3-5Kの結果はそれぞれ、one-phonon relaxation,two-phonon assistを伴った量子拡散過程によりHが固体中を拡散していることを示している。特に3-5Kの温度依存性の逆転は、Meyerovich等が提唱するBiased Diffusionによるものであると思われる。
熊田 高之; 森 昇治*; 熊谷 純*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Physical Chemistry A, 103(45), p.8966 - 8968, 1999/00
被引用回数:13 パーセンタイル:39(Chemistry, Physical)固体パラ水素(p-H)中に捕捉されたラジカル種のESRスペクトルは、マトリックス中の核スピンによる局所的な磁気摂動がないために、高感度、高分解能で測定される。われわれはこのような特徴を生かして、線照射した固体para-H-D(HD)混合系中に、高感度、高分解能のエレクトロンバブルのESRスペクトルを得ることに成功した。このエレクトロンバブルは、para-H中のD(HD)の濃度が大きいほど多くの収量が得られ、逆にこれらの同位体不純物を含まない純粋なpara-H中では観測されない。以上のことから、エレクトロンバブルは固体中のD(HD)が作るひずみにトラップされていると考えられる。また、減衰速度が温度にほとんど依存しないことから、量子力学的トンネリングにより拡散、消滅していることが示唆される。
宮崎 哲郎*; 荒殿 保幸; 市川 恒樹*; 塩谷 優*
JAERI-Conf 98-014, 99 Pages, 1998/10
1998年8月3,4日に開催した、先端基礎研究センター主催の第4回低温化学セミナーのプロシーディングスである。トンネル反応の理論を中心に11件の講演がまとめられている。
宮崎 哲郎*; 荒殿 保幸; 市川 恒樹*; 塩谷 優*
JAERI-Conf 98-002, 101 Pages, 1998/02
1997年10月13,14日に開催した第3回低温化学セミナーのプロシーディングスである。今回の主題は「トンネル反応と量子媒体」であり、物理、化学分野からの14件の講演がまとめられている。
熊田 高之; 北川 尚紀*; 野田 知克*; 熊谷 純*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Chemical Physics Letters, 288(5-6), p.755 - 759, 1998/00
被引用回数:27 パーセンタイル:64.55(Chemistry, Physical)固体水素中におけるH原子の捕捉の研究は、固体水素の量子固体としての物性を研究する上のみならず、固相中における原子引き抜きトンネル反応:H+HH+Hを理解する上でも大変興味深い。今回、我々は新たにENDOR(電子、核二重共鳴)法を用い、線照射した4.2K固体水素中に生成したH原子の捕捉状態を調べた。ENDORスペクトルの解析結果から、H原子は固体水素中の置換型サイトのみに存在すること、また、その最近接のオルソ水素分子はパラ水素に変換されることが確かめられた。前者はH-H間の分子間力がH-H間のものと同等であること、後者は近接のオルソ水素がH原子の不対電子により禁制がやぶられパラ水素に変換されたことを示したものである。ENDOR法を用いることでこのように固体水素中の微視的情報が直接的に得られた。
熊田 高之; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Low Temperature Physics, 111(3-4), p.509 - 514, 1998/00
この論文はHアニオンの今までの成果をまとめたオートレビューである。一般の固定水素と比べ、パラ水素をアイソレーションマトリックスとして用いると、捕捉されたラジカルのESRスペクトルの分解能が大幅に改善される。われわれはこのパラ水素マトリックス中を用いHアニオンの観測に初めて成功した。またH分子とは逆に、このHは極低温でパラオルソ変換が起きていることが確認された。この逆方向の変換はH分子とHアニオン中のプロトンの交換に対する波動関数の対称性から説明される。