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小川 数馬*; 向 高弘*; 浅野 大悟*; 河嶋 秀和*; 絹谷 清剛*; 柴 和弘*; 橋本 和幸; 森 厚文*; 佐治 英郎*
Journal of Nuclear Medicine, 48(1), p.122 - 127, 2007/01
転移性骨腫瘍の疼痛緩和を目的とした薬剤として、高い安定性を示すRe-MAG3錯体結合ビスホスホネート(Re-MAG3-HBP)を開発した。この化合物は、従来から検討されているRe-HEDPに比べて、正常マウスにおいて、骨指向性薬剤として優れた体内分布を示した。Re-MAG3-HBPの治療効果を骨転移モデル動物を用いて評価した。治療効果と副作用を評価するために、腫瘍の大きさと末梢血球数を計測し、骨痛の疼痛緩和は、機械刺激を加えるテスト法により評価した。その結果、Re-HEDP投与群においては、腫瘍の大きさは未治療群と同等であった。それに対して、Re-MAG3-HBP投与群においては、有意に腫瘍増殖は抑制された。さらに、骨転移によって生じる痛みは、Re-MAG3-HBP又はRe -HEDPの投与により減弱した。しかも、その効果は、Re-MAG3-HBP投与群の方が強い傾向を示した。これら結果は、Re-MAG3-HBPが転移性骨腫瘍の疼痛緩和薬剤として有用である可能性を示唆するものである。
小川 数馬*; 向 高弘*; 浅野 大悟*; 河嶋 秀和*; 橋本 和幸; 柴 和弘*; 森 厚文*; 佐治 英郎*
no journal, ,
われわれは、患者のQOL(生活の質)の向上を目指した癌性骨転移の疼痛緩和薬剤として、二官能性放射性医薬品の概念に基づき、安定なRe単核錯体であるRe-MAG3(メルカプトトリグリシン)をビスホスホネート骨格を持つ化合物に導入した新規薬剤Re-MAG3-HBPを開発し、その特性を調べてきた。本化合物は、従来から検討されているRe-HEDP(ビスホスホネートの一種)に比べて、高い骨への集積,速い血中クリアランス及び低い胃への集積を示し、癌性骨転移の疼痛緩和薬剤として優れた特性を有していることがわかった。さらに、骨転移がんモデルのラットを用いた実験から、本化合物は、疼痛緩和効果を示すこと及びRe-HEDPは、腫瘍の増殖を抑える効果は見られなかったのに対して、本化合物は、腫瘍増殖の抑制効果を示すことが明らかになった。以上の結果、Re-MAG3-HBPを用いた内部放射線治療は、骨転移がんモデルのラットにおいて有効であり、Re-HEDPより優れていることを示した。