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Sanial, V.*; Buesseler, K. O.*; Charette, M.*; Casacuberta, N.*; Castrillejo, M.*; Henderson, P.*; Juan Diaz, X.*; 神田 譲太*; Masque, P.*; 長尾 誠也*; et al.
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故の事故後の一年間で、福島沿岸の海水中の放射性セシウム濃度は数桁に亘って減少したものの、5年経過した現在においても、事故前に比べて高いレベルを維持している。本研究では、2015年10月に福島沿岸及び海底地下水中の放射性セシウムの分布を調査した。最も高い放射性セシウム濃度は、海水ではなく、福島第一原発から35km南の地下水から検出された。これは、事故直後に海底堆積物に蓄積した放射性セシウムが、地下水流動によって脱離したためと推察された。海底地下水の流出は、陸-海洋間の化学物質の重要な輸送経路であることが知られており、福島第一原発由来の放射性核種の輸送経路としても無視できないと考えられる。
Kenyon, J.*; Buesseler, K. O.*; Casacuberta, N.*; Castrillejo, M.*; 乙坂 重嘉; Drysdale, J.*; Pike, S.*; Juan Diaz, X.*
no journal, ,
福島周辺海域における表層海水中のCs/Sr濃度比から、これらの放射性核種の供給源や供給割合について議論する。事故以前の表層海水中のCs/Sr放射能比は1.6で、1960年代の核実験によるフォールアウトの影響を受けていた。このCs/Srは、事故直後に391まで上昇した。これらの2つの値を主要な供給源の情報とし、その後の議論に用いることとした。2011年から2016年にかけて、海水中の事故由来放射性核種濃度は減少を続けたが、福島第一原子力発電所施設の近傍では、2016年においても事故前に比べてやや高い濃度が観測された。なお沖合海域では、事故前に比べて有意に高い濃度およびCs/Sr比は、2016年の観測では観測されなかった。上記の結果から、これらの放射性核種は、福島第一原子力発電所施設からごくわずかずつ海洋に流出していると推測されるが、その流出率は十分に低いレベルにあると言える。