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塚田 隆; 寺門 宙; 江幡 功栄; 上野 文義
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所の原子炉格納容器には冷却水が循環注入されており、容器構造材である炭素鋼の海水成分を含む水による腐食について検討する必要がある。前報では、鋼材試験片の腐食速度が希釈海水中と大気中を出入りする回転により常時水中で回転する場合に比べ増大することを報告した。現在、事故炉の格納容器内には水素爆発防止・鋼材腐食抑制のため窒素ガスが注入されているが、窒素中の残存酸素が鋼材腐食に影響し、また格納容器壁面の水面付近は気液相に交互に晒される。このため、鋼材試験片を酸素の微量を含む窒素中と希釈人工海水中を交互に出入りさせる回転腐食試験を30Cで500時間実施しその腐食挙動を検討した。
井岡 郁夫; 寺門 宙*; 江幡 功栄*; 小河 浩晃; 逢坂 正彦
no journal, ,
使用済み燃料プール(SFP)の冷却機能が喪失した場合、使用済み燃料ピンは崩壊熱により加熱され、冷却水の蒸発に伴い水蒸気・空気混合環境下に曝される。使用済み燃料ピンには、初期封入Heガスと運転中に発生したFPガスにより数MPaの内圧がかかっている。SFPのドライアウト時、被覆管は原子炉内での冷却水の外圧による圧縮応力でなく、内圧による引張応力下で酸化される。この引張応力は、被覆管の酸化挙動に影響を及ぼすものと考えられる。そこで、引張応力状態でのジルカロイ2被覆管の酸化挙動を調べるため、内圧を最大1.1MPaまで負荷した状態で、飽和水蒸気中、600Cで酸化試験を実施し、表面に形成された酸化皮膜(ZrO2)の厚さや結晶構造を測定した。その結果、ZrO厚さは、内圧負荷に応じて減少することがわかった。これは、ZrOの単斜晶からより密度が小さい正方晶への変態が引張応力により抑制されたことが原因と考えられる。
塚田 隆; 大谷 恭平; 寺門 宙*; 江幡 功栄*; 上野 文義
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既報(日本原子力学会2016/2017年春の年会)では炭素鋼試験片の腐食速度を回転型腐食試験法により調べ、大気中室温において希釈海水中と気中を出入りする気液交番環境条件では常時水中で回転させた場合に比べ腐食速度が35倍程度に増大することを示した。本研究では、浸漬溶液を純水から海水相当濃度の溶液まで変えて500時間までの腐食試験を実施し腐食挙動に与える溶液濃度の影響を検討した。その結果、200倍希釈海水相当の溶液中で腐食加速は最大となることが明らかになった。本報では実施した回転型腐食試験法の詳細と利点についても述べる。
大谷 恭平; 塚田 隆; 寺門 宙*; 江幡 功栄*; 上野 文義
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1F PCV内部のロボットによる調査の結果、PCV内壁の炭素鋼の一部は気中と液中が交互に浸漬する環境にあることが明らかになった。先行研究より、乾湿繰り返し環境下において鋼の腐食は加速されることが報告されており、気液交番環境下のPCV内壁部の腐食が加速していることが予想される。しかし、これまでに気液交番環境における鋼の腐食研究は実施されていない。本研究では、炭素鋼が水中と気中を交互に出入りする回転型腐食試験装置を新たに構築し、気液交番環境を模擬した環境での腐食試験を実施した。試験前後の鋼材試験片の質量変化測定より、気液交番環境における鋼の腐食速度は常に水中に浸漬された場合より3倍以上早いことがわかった。回転試験における鋼材が気中に出ている期間は、鋼材表面は完全に乾燥せず薄い水膜が形成している状態にあることを確認した。鋼材は薄い水膜環境におかれることによって気中から鋼材表面への酸素の物質移動量が増大するため、水中に比べると表面に多量の酸素が供給されて酸素還元反応が加速されると報告されている。すなわち、気液交番環境における鋼材は気中に出ている期間の水膜の影響によって酸素還元反応が促進されて、腐食速度が増大したと考えられる。