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榎本 一之; 高橋 周一; Rohani, R.; 前川 康成
Journal of Membrane Science, 415-416, p.36 - 41, 2012/10
被引用回数:15 パーセンタイル:46.12(Engineering, Chemical)次世代燃料電池に不可欠な高温低加湿下でも高イオン伝導性と機械強度を併せ持つグラフト型電解質膜の合成を目的に、イオン伝導を担うスルホン酸と低加湿下での保水性が期待できる親水性水酸基を有するアルキルグラフト鎖を導入した電解質膜を作製し、その導電率の相対湿度依存性を評価した。VAcモノマーのETFE基材への放射線グラフト重合とその鹸化反応により得られたグラフト鎖の水酸基の1,3-プロパンスルトンへの求核開環付加反応で、スルホン化率が39%で目的のグラフト型電解質膜が得られた。同じイオン交換容量(IEC)のグラフト型電解質膜について、低加湿下(30%RH, 80C)での導電率を比較したところ、これまで報告してきた従来型のポリスチレンスルホン酸電解質膜を凌ぐ1.210 S/cmを示した。さらに、ナフィオンや芳香族炭化水素電解質膜の機械強度を凌ぐことから、水酸基を有するグラフト型電解質膜は、低膨潤(機械強度)を維持したまま、低加湿下での高導電性を実現することを明らかにした。
榎本 一之; 高橋 周一; 前川 康成
Macromolecular Chemistry and Physics, 213(1), p.72 - 78, 2012/01
被引用回数:10 パーセンタイル:33.08(Polymer Science)燃料電池開発において、その心臓部分である電解質膜の高温耐久性が自動車用電源の実現に必要不可欠である。グラフト型電解質膜は、熱的,化学的に安定なフッ素系基材膜にスチレンスルホン酸やアルキルスルホン酸を導入することで作製するため、そのグラフト鎖の構造,分子量等を詳細に調べることが困難であった。最近、グラフト鎖が高分子鎖切断など分解することなく基材膜界面から直接脱離することを見いだした。そこで、今回、フッ素系基材膜へのアクリル酸メチルのグラフト重合とグラフト鎖のスルホン化により得られる新規アルキルスルホン酸グラフト鎖を上記脱離法により単離し、その化学構造と分子量を解析した。その結果、スルホン化過程で、脱カルボニルが起こる場合と起こらない場合があり、結果として3つの異なるモノマーユニットからなる3元系グラフト鎖であることがわかった。さらに、分子量測定より、アルキルスルホン酸グラフト鎖の分子量は約7万と、これまでの報告にあるグラフト鎖同等であることが解析できた。今後、このようなグラフト鎖の構造の燃料電池特性に及ぼす効果を詳細に検討する。
榎本 一之*; 高橋 周一*; 岩瀬 崇典*; 山下 俊*; 前川 康成
Journal of Materials Chemistry, 21(25), p.9343 - 9349, 2011/07
被引用回数:38 パーセンタイル:72.35(Chemistry, Physical)燃料電池開発において、その心臓部分である電解質膜の高温耐久性が自動車用電源の実現に必要不可欠である。本研究では、炭化水素及びフッ素系基材膜にスチレンスルホン酸を導入したグラフト型電解質膜を作製し、燃料電池作動環境に近い高温水中での基材膜とグラフト鎖の化学構造及び高次構造を解析することで劣化機構を検討した。グラフト型電解質膜の耐久性は、グラフト鎖構造に依存するというこれまでの知見を覆し、グラフト鎖は高分子鎖切断など分解することなく、グラフト重合の開始点である基材膜界面から直接脱離すること、及び、この脱離は、疎水性基材膜と相分離した親水性グラフト鎖の含水膨張に起因することを見いだした。上記グラフト鎖の膨潤による界面脱離を利用することで、これまで基材膜からの単離が困難とされてきたグラフト鎖の構造や分子量が解析できる。
坂中 章悟*; 明本 光生*; 青戸 智浩*; 荒川 大*; 浅岡 聖二*; 榎本 収志*; 福田 茂樹*; 古川 和朗*; 古屋 貴章*; 芳賀 開一*; et al.
Proceedings of 1st International Particle Accelerator Conference (IPAC '10) (Internet), p.2338 - 2340, 2010/05
日本においてERL型放射光源を共同研究チームで提案している。電子銃,超伝導加速空洞などの要素技術開発を進めている。また、ERL技術の実証のためのコンパクトERLの建設も進めている。これら日本におけるERL技術開発の現状について報告する。
榎本 秀一*; 河村 弘; 白川 芳幸*; 中西 友子*; 中村 佳代子*; 矢野 恒夫*; 井戸 達雄*; 柴田 徳思
Isotope News, (657), p.2 - 11, 2009/01
新たな国内のアイソトープの利用促進のうち原子炉を用いたRI製造に関して、JMTRの再稼動後のRI産業利用としてシリコン半導体の製造及び医療診断用RIであるMoの国産化について、今後の展望を述べるとともに、供給体制などのシステム構築の必要性を示した。
坂中 章悟*; 吾郷 智紀*; 榎本 収志*; 福田 茂樹*; 古川 和朗*; 古屋 貴章*; 芳賀 開一*; 原田 健太郎*; 平松 成範*; 本田 融*; et al.
Proceedings of 11th European Particle Accelerator Conference (EPAC '08) (CD-ROM), p.205 - 207, 2008/06
コヒーレントX線,フェムト秒X線の発生が可能な次世代放射光源としてエネルギー回収型リニアック(ERL)が提案されており、その実現に向けた要素技術の研究開発が日本国内の複数研究機関の協力のもと進められている。本稿では、ERL放射光源の研究開発の現状を報告する。
永目 諭一郎; 塚田 和明; 浅井 雅人; 豊嶋 厚史; 秋山 和彦; 石井 康雄; 佐藤 哲也; 平田 勝; 西中 一朗; 市川 進一; et al.
Radiochimica Acta, 93(9-10), p.519 - 526, 2005/00
被引用回数:30 パーセンタイル:87.1(Chemistry, Inorganic & Nuclear)東海研究所タンデム加速器を用いて進めてきた超重元素(104番元素)ラザホージウム(Rf)の単一原子レベルでの化学挙動研究について報告する。特に短寿命(78秒)で数分間に1原子の割合で生成するRfのイオン交換挙動を調べるために開発した自動迅速イオン交換分離装置の概要を紹介する。また最近得られたRfのフッ化物錯体のイオン交換挙動について詳しく述べる。これはRfのフッ化水素酸溶液中での陰イオン交換挙動が、周期表同族元素であるジルコニウムやハフニウムの挙動とは大きく異なっていて、Rfのフッ化物形成に相対論効果が寄与している可能性を指摘する興味深い結果である。
羽場 宏光*; 塚田 和明; 浅井 雅人; 豊嶋 厚史; 秋山 和彦; 西中 一朗; 平田 勝; 矢板 毅; 市川 進一; 永目 諭一郎; et al.
Journal of the American Chemical Society, 126(16), p.5219 - 5224, 2004/04
被引用回数:43 パーセンタイル:72.51(Chemistry, Multidisciplinary)Cm(O,5n)Rf反応で生成する104番元素ラザホージウム(Rf)のフッ化物錯体のイオン交換挙動を単一原子レベルで明らかにした。Rfの陰イオン交換挙動は、周期表同族元素であるジルコニウム(Zr)やハフニウム(Hf)の挙動とは明らかに異なることがわかり、Rfのフッ化物形成に相対論効果が寄与している可能性を指摘した。
内田 滋夫*; 天野 光; 高橋 知之*; 千葉 長*; 久松 俊一*; 榎本 秀一*; 松本 史朗*
JAERI-Conf 2003-010, p.25 - 31, 2003/09
生態圏核種移行クロスオーバー研究第3期プロジェクトは、原研,放医研,気象研,理研及び環境科学技術研究所の5研究所が中心となり、第1期,第2期の成果をふまえ、さらに、大学及び国立研究所等の協力を得ながら進めている。第3期研究では、(1)土壌中における核種の存在形態変化を放医研・原研が,(2)核種の植物移行を環境研・理研・放医研が,(3)微生物にかかわる研究及び環境修復に関する研究を理研・原研・放医研が,(4)核種の大気から土壌・植物への移行を気象研・原研が,(5)移行パラメータのデータベース化を原研・放医研・気象研が中心となり、研究を進めている。そして、得られた環境挙動の知見を基に、原研・気象研・放医研が中心となり、大学等の協力を得ながら動的解析モデルを開発している。本発表では、これまでに得られた第3期研究の成果を中心に報告する。
榎本 一之; 高橋 周一; 前川 康成
no journal, ,
量子ビーム及び有機合成技術を利用したグラフト鎖高分子変換反応により、新規スルホン酸構造を有するグラフト型電解質膜の合成法について検討した。具体的には、ポリ酢酸ビニルグラフト鎖をけん化することで得られるポリビニルアルコール(PVA)の求核付加反応に着目し、1,3-propanesultoneを作用することで、アルキルエーテルスルホン酸の合成を行った。機械特性や耐熱性に優れたETFE膜に対して酢酸ビニルをグラフト後、アセトキシル基を塩基条件下でけん化することで定量的にPVAグラフト鎖を得た。次いで、PVAと1,3-propanesultoneの求核付加反応は、トルエン溶媒中、塩基試薬にトリエチルアミンを用いて行った。PVAの求核付加に伴う1,3-propanesultoneの開環反応が進行し、70%の反応率でアルキルエーテルスルホン酸を与えた。赤外分光法を用いた構造解析により、アルキルエーテルスルホン酸由来のピークを確認した。SEM-EDS分析により、アルキルエーテルスルホン酸は膜中において均一に分布していることがわかった。上記反応で得られた電解質膜のイオン交換容量及びイオン導電性は、それぞれ、1.6mequiv g, 0.12S cmと、ナフィオンに匹敵する値を示した。
榎本 一之; 高橋 周一; Rohani, R.*; 前川 康成
no journal, ,
放射線グラフト重合法では、グラフト鎖へのスルホン化反応とラジカル重合可能なグラフトモノマーの制約から、電解質グラフト鎖はスチレン誘導体のみであるため、得られた芳香族スルホン酸が熱平衡に起因する脱離のため高温耐久性に限界があった。そこで、有機合成技術を利用したグラフト鎖高分子変換反応により、新規スルホン酸構造を有するグラフト型電解質膜の合成を試みた。具体的には、ポリ酢酸ビニルグラフト鎖をけん化することで得られるポリビニルアルコール(PVA)の求核付加反応に着目し、1,3-propanesultoneを作用することで、アルキルエーテルスルホン酸の合成を行った。機械特性や耐熱性に優れたETFE膜に対して酢酸ビニルをグラフト後、アセトキシル基を塩基条件下でけん化することで定量的にPVAグラフト鎖を得た。次いで、PVAと1,3-propanesultoneの求核付加反応は、トルエン溶媒中、塩基試薬にトリエチルアミンを用いて行った。PVAの求核付加に伴う1,3-propanesultoneの開環反応が進行し、70%の反応率でアルキルエーテルスルホン酸を与えた。赤外分光法を用いた構造解析により、アルキルエーテルスルホン酸由来のピークを確認した。SEM-EDS分析により、アルキルエーテルスルホン酸は膜中に均一分布を有していることがわかった。上記反応で得られた電解質膜のイオン交換容量及びイオン導電性は、それぞれ、1.6mequiv g, 0.12S cmと、ナフィオンに匹敵する値を示した。
榎本 一之; 高橋 周一*; 岩瀬 崇典*; 山下 俊*; 前川 康成
no journal, ,
燃料電池開発において、その心臓部分にあたる電解質膜の高温耐久性が自動車用電源への適用に必要不可欠である。現在、高温での機械特性やイオン伝導性に優れた電解質膜は、その合成の難しさから実現していない。その中で、高温耐久性の高分子基材膜に電解質をグラフト鎖として導入できる放射線グラフト重合は有力な合成手法の一つである。本研究では、2種類のフッ素系基材膜にスチレンスルホン酸を導入したグラフト型電解質膜を作製し、燃料電池の高温作動を考慮した熱水(85C)中におけるフッ素系基材膜とグラフト鎖の化学構造及び高次構造を解析することで分解機構を検討した。熱水中の電解質膜重量とスルホ基(-SOH)濃度の変化及び脱離したグラフト鎖の構造解析により、グラフト型電解質膜の劣化は、これまで考えられてきたスルホ基のスチレンスルホン酸単位からの熱的脱離やグラフト鎖主鎖の分解ではなく、グラフト鎖が基材から直接脱離していることが明らかになった。グラフト鎖脱離による劣化は、電解質膜の高次構造(相分離)が支配因子となる新たな分解機構を見いだした。
前川 康成; 高橋 周一; 岩瀬 崇典*; 榎本 一之; 山下 俊*
no journal, ,
燃料電池開発において、その心臓部分にあたる電解質膜の高温耐久性が自動車用電源への適用に必要不可欠である。現在、高温での機械特性やイオン伝導性に優れた電解質膜は、その合成の難しさから実現していない。その中で、高温耐久性の高分子基材膜に電解質をグラフト鎖として導入できる放射線グラフト重合は有力な合成手法の一つである。本研究では、3種類のフッ素系基材膜にスチレンスルホン酸を導入したグラフト型電解質膜を作製し、燃料電池の高温作動を考慮した熱水(85C)中におけるフッ素系基材膜とグラフト鎖の化学構造及び高次構造を解析することで分解機構を検討した。熱水中の電解質膜重量とスルホ基(-SOH)濃度の変化及び脱離したグラフト鎖の構造解析により、グラフト型電解質膜の劣化は、これまで考えられてきたスルホ基のスチレンスルホン酸単位からの熱的脱離やグラフト鎖主鎖の分解ではなく、グラフト鎖が基材から直接脱離していることが明らかになった。グラフト鎖脱離による劣化は、電解質膜の高次構造(相分離)が支配因子となる新たな分解機構を見いだした。
前川 康成; 榎本 一之; 高橋 周一*; 岩瀬 崇典*; 山下 俊*; 岩瀬 裕希*; 小泉 智
no journal, ,
燃料電池開発において、その心臓部分である電解質膜の高温耐久性が自動車用電源の実現に必要不可欠である。本研究では、炭化水素及びフッ素系基材膜にスチレンスルホン酸やアルキルスルホン酸を導入したグラフト型電解質膜を作製し、燃料電池作動環境に近い高温水中での基材膜とグラフト鎖の化学構造及び高次構造を解析することで劣化機構を検討した。グラフト型電解質膜の耐久性は、グラフト鎖構造に依存するというこれまでの知見を覆し、グラフト鎖は高分子鎖切断など分解することなく、グラフト重合の開始点である基材膜界面から直接脱離すること、及び、この脱離は、疎水性基材膜と相分離した親水性グラフト鎖の含水膨張に起因することを見いだした。グラフト鎖の膨潤による界面脱離を利用することで、これまで基材膜からの単離が困難とされてきたグラフト鎖の構造や分子量が解析できる。
榎本 一之; 高橋 周一; 大庭 遥奈*; 木原 伸浩*; 前川 康成
no journal, ,
次世代燃料電池に不可欠な高温低加湿下でも高イオン伝導性を示すグラフト型電解質膜の合成を目的に、イオン伝導を担うスルホン酸と低加湿下での保水性が期待できる水酸基を併せ持つアルキルグラフト鎖を導入した電解質膜を作製した。グラフト型電解質膜の合成は、基材膜としてエチレンテトラフルオロエチレン共重合体を用い、グラフト鎖の高分子変換反応によるスルホアルキル化を以下の2段階反応で行った。(1)線照射した基材膜に酢酸ビニルをグラフト後、アセトキシル基のけん化により定量的にポリビニルアルコール(PVA)グラフト鎖に変換した。(2)PVAグラフト膜は、スルホン化試剤である1,3-プロパンスルトンとトリエチルアミン触媒存在下、トルエン中24時間加熱還流することで、スルホン化率39%(残り61%が水酸基)のアルキルグラフト膜(イオン交換容量1.2mmol g)に変換した。得られた電解質膜は、80C, 30% RHと低加湿下で現在のところ低加湿下での伝導性が最も高いNafion膜に近い導電率(3.810S cm)を示した。
榎本 一之; 高橋 周一; 大庭 遥奈*; 木原 伸浩*; 前川 康成
no journal, ,
次世代燃料電池に不可欠な高温低加湿下でも高イオン伝導性を示すグラフト型電解質膜の合成を目的に、イオン伝導を担うスルホン酸と低加湿下での保水性が期待できる水酸基を併せ持つアルキルグラフト鎖を導入した電解質膜を作製した。グラフト型電解質膜の合成は、基材膜としてエチレンテトラフルオロエチレン共重合体を用い、グラフト鎖の高分子変換反応によるスルホアルキル化を以下の2段階反応で行った。(1)線照射した基材膜に酢酸ビニルをグラフト後、アセトキシル基のけん化により定量的にポリビニルアルコール(PVA)グラフト鎖に変換した。(2)PVAグラフト膜は、スルホン化試剤である1,3-プロパンスルトンとトリエチルアミン触媒存在下、トルエン中24時間加熱還流することで、スルホン化率39%(残り61%が水酸基)のアルキルグラフト膜(イオン交換容量1.2mmol g)に変換した。得られた電解質膜は、基材膜に近い機械強度(48MPa)を示し、現在のところ80C, 30%RHの低加湿下での伝導性が最も高いNafion膜に近い導電率(3.810S cm)を示した。
榎本 一之; 高橋 周一*; 大庭 遥奈*; 木原 伸浩*; 前川 康成
no journal, ,
次世代燃料電池に不可欠な高温低加湿下でも高イオン伝導性を示すグラフト型電解質膜の合成を目的に、イオン伝導を担うスルホン酸と低加湿下での保水性が期待できる水酸基を併せ持つアルキルグラフト鎖を導入した電解質膜を作製した。グラフト型電解質膜の合成は、基材膜としてエチレンテトラフルオロエチレン共重合体を用い、グラフト鎖の高分子変換反応によるスルホアルキル化を以下の2段階反応で行った。(1)線照射した基材膜に酢酸ビニルをグラフト後、アセトキシル基のけん化により定量的にポリビニルアルコール(PVA)グラフト鎖に変換した。(2)PVAグラフト膜は、スルホン化試剤である1,3-プロパンスルトンとトリエチルアミン触媒存在下、トルエン中24時間加熱還流することで、スルホン化率39%(残り61%が水酸基)のアルキルグラフト膜(イオン交換容量1.2mmolg)に変換した。得られた電解質膜は、基材膜に近い機械強度(48MPa)を示し、現在のところ80C, 30% RHの低加湿下での伝導性が最も高いNafion膜に近い導電率(3.810Scm)を示した。
榎本 一之; 高橋 周一*; 岩瀬 崇典*; 山下 俊*; 岩瀬 裕希*; 小泉 智; 前川 康成
no journal, ,
耐熱性高分子膜にスチレンスルホン酸やアルキルスルホン酸を導入したグラフト型電解質膜は、高温水中、スルホ基の熱的脱離やグラフト鎖の主鎖切断など分解することなく、基材膜から直接脱離すること、及び、この脱離は、疎水性基材膜と相分離した親水性グラフト鎖の含水膨張に起因することを見いだした。本研究では、含水膨張によるグラフト鎖脱離を利用することで、これまで耐熱性高分子膜からの単離が困難とされてきたグラフト鎖の同定を行った。今回、ポリアクリル酸メチル(MA)をグラフト鎖として導入したエチレンテトラフルオロエチレン共重合体膜のクロロスルホン酸によるスルホン化反応で得られた電解質膜を85Cの高温水に100時間浸漬することで、基材膜からグラフト鎖を単離し、NMR及びGPC測定を行った。グラフト鎖構造は、ポリアクリル酸とポリビニルスルホン酸の共重合体及びMAのカルボニル炭素にスルホ基が付加した構造単位を有することがわかった。このことから、MA膜のスルホン化は、グラフト鎖の加水分解によるカルボン酸の生成及びスルホ基の付加に伴うカルボン酸の脱離が進行していることが示唆された。また、脱離グラフト鎖の分子量は71,900であることがわかった。
榎本 一之; 高橋 周一*; 大庭 遥奈*; 木原 伸浩*; 前川 康成
no journal, ,
次世代燃料電池に不可欠な高温低加湿下でも高イオン伝導性を示すグラフト型電解質膜の合成を目的に、イオン伝導を担うスルホン酸と低加湿下での保水性が期待できる水酸基を併せ持つアルキルグラフト鎖を導入した電解質膜を作製した。グラフト型電解質膜の合成は、基材膜としてエチレンテトラフルオロエチレン共重合体を用い、グラフト鎖の高分子変換反応によるスルホアルキル化を以下の2段階反応で行った。(1)線照射した基材膜に酢酸ビニルをグラフト後、アセトキシル基のけん化により定量的にポリビニルアルコール(PVA)グラフト鎖に変換した。(2)PVAグラフト膜は、スルホン化試剤である1,3-プロパンスルトンとトリエチルアミン触媒存在下、トルエン中24時間加熱還流することで、スルホン化率39%(残り61%が水酸基)のアルキルグラフト膜(イオン交換容量1.2mmol g)に変換した。得られた電解質膜は、80C, 30% RHと低加湿下で現在のところ低加湿下での伝導性が最も高いNafion膜に近い導電率(3.810S cm)を示した。
前川 康成; 榎本 一之; 高橋 周一; 濱川 翔太郎
no journal, ,
放射線グラフト重合によりフッ素系高分子膜中に成長したグラフト鎖が、膨潤により基材膜から脱離することを利用して、その分子量を詳細に解析した。その結果、(1)フッ素系基材へのスチレンのグラフト重合においては、グラフト率の増加に伴って、グラフト鎖の分子量は増加せず、グラフト鎖数が直線的に増加すること、(2)グラフト鎖の分子量は、吸収線量に依存しないという新たなグラフト重合機構に関する知見を得た。これらのことから、グラフト重合過程(数時間)において、グラフト鎖が成長し続けるポリエチレンなどの炭化水素系基材と異なり、フッ素系基材ではグラフト率に関係なくそのグラフト鎖はほとんど同じ分子量であることが明らかとなった。