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恵谷 玲央*; 片岡 隆浩*; 神崎 訓枝*; 迫田 晃弘; 田中 裕史; 石森 有; 光延 文裕*; 田口 勇仁*; 山岡 聖典*
Journal of Radiation Research, 58(5), p.614 - 625, 2017/05
被引用回数:13 パーセンタイル:56.15(Biology)ラドン(Rn)ガスを用いたラドン療法は、ラドンガスの吸入とラドンを含む水の摂取の2種類の治療に分類される。温泉水の短期または長期の摂取は胃粘膜血流を増加させ、温泉水治療が慢性胃炎および胃潰瘍の治療に有効であることはわかっているが、粘膜障害に対するラドンの正確な影響やそのメカニズムは不明である。本研究では、マウスのエタノール誘導胃粘膜障害に対する温泉水摂取およびラドン吸入の抑制効果を検討した。マウスを用いて、ラドン2000Bq/mを24時間吸入、または温泉水を2週間摂取させた。水中Rn濃度は、663Bq/l(供給開始時)から100Bq/l(供給終了時)の範囲にあった。その後、マウスに3種類の濃度のエタノールを経口投与させた。粘膜障害の指標である潰瘍指数(UI)は、エタノールの投与量に依存して増加した。しかし、ラドン吸入または温泉水による処理は、エタノールによるUIの上昇を抑制した。ラドン処理群と無処理対照群では抗酸化酵素の有意差は認められなかったが、ラドンまたは温泉水で事前処理したマウスの胃の過酸化脂質レベルは有意に低かった。これらの結果は、温泉水摂取とラドン吸入がエタノール誘導胃粘膜障害を抑制することを示唆している。
恵谷 玲央*; 片岡 隆浩*; 神崎 訓枝*; 迫田 晃弘; 田中 裕史; 石森 有; 光延 文裕*; 山岡 聖典*
Journal of Radiation Research, 57(3), p.250 - 257, 2016/06
被引用回数:10 パーセンタイル:45.81(Biology)本研究では、ラドン療法の適応症である高尿酸血症について、吸入と飲泉による抑制効果を比較検討した。マウスにラドン吸入または飲泉させた後、オキソン酸カリウムを投与して高尿酸血症を誘導した。この結果、吸入と飲泉のいずれもキサンチンオキシダーゼ活性が抑制され、血清尿酸値の上昇も有意に抑えられた。また、ラドン吸入では肝臓と腎臓の抗酸化機能の亢進がみられた。高尿酸血症の抑制効果には、ラドン吸入では抗酸化機能の亢進が、飲泉では温泉水中の化学成分による薬理作用がそれぞれ寄与していることが示唆された。
石森 有; 迫田 晃弘; 田中 裕史; 光延 文裕*; 山岡 聖典*; 片岡 隆浩*; 恵谷 玲央*
JAEA-Research 2015-024, 41 Pages, 2016/03
岡山大学と日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センター(原子力機構人形峠)は、低線量放射線域でのラドン吸入に起因する影響効果に係る共同研究を実施している。岡山大学病院三朝医療センターは臨床的な知見に基づく研究課題設定を、岡山大学大学院保健学研究科は研究管理および生体応答評価を、原子力機構人形峠はラドン吸入試験設備の開発、ラドン濃度の制御、ラドンの体内挙動・線量評価をそれぞれ分担することとした。平成21年度から平成25年度は、ラドン温泉の適応症とされる活性酸素種関連疾患のモデルマウスなどで、ラドン吸入等による生体応答を確認し、その結果を解析評価することで、ラドン温泉の効果の機構解明を進め、同時に、吸入ラドンによる生体応答を定量的に議論し、また、リスクと比較して議論するため、吸入ラドンのマウスでの体内動態について把握し、各臓器・組織での吸収線量と関連付けて評価する方法について検討し、以下の成果を得た。(1)本研究の課題設定にあたり、温泉水の飲用効果について文献調査した。(2)ラドン吸入試験設備の機能を活用して作製したラドン水による飲泉試験を実施した。本飲泉条件下では、温泉含有成分(ラドンを含む)による影響効果は確認できなかった。(3)肝臓と腎臓の酸化障害の緩和症状について、事前の抗酸化物質(ビタミンC, ビタミンE)の投与とラドンの吸入効果を肝・腎機能などの観点から比較検討した。(4)吸入ラドンによる生体応答を定量的に議論するため、前期に引き続き、吸入ラドンの体内動態を評価解析した。(5)ラドンまたはその子孫核種の吸入で考えられる被ばく経路について、各経路におけるマウスの臓器線量を計算し、比較検討した。
片岡 隆浩*; 迫田 晃弘; 恵谷 玲央*; 石森 有; 光延 文裕*; 山岡 聖典*
温泉科学, 64(4), p.380 - 387, 2015/03
岡山大学病院三朝医療センターではラドン温泉を活用したラドン療法が実施されてきており、適応症として変性性関節症に伴う疼痛などがある。臨床試験による実証報告例は多くあるが、そのメカニズムの解明に関する研究報告例は少ない。本稿では、近年得られた筆者らのラドン健康効果の研究成果を中心に概説した。近年開発した小動物用ラドン吸入装置(三朝医療センターに隣接した三朝ラドン効果研究施設内に設置)を用い、例えば、正常マウスを用いて、諸臓器中の抗酸化酵素活性のラドン濃度・吸入時間依存性を検討した。この結果、多くの臓器でsuperoxide dismutase活性が増加したことから、ラドン吸入は抗酸化機能を亢進させることがわかった。また、疾患モデルマウスも用いて、例えば、I型糖尿病の症状緩和を検討した。この結果、ラドン吸入によって、膵臓中の抗酸化機能の亢進と膵島の酸化ストレスの緩和によって、インスリン分泌機能の低下が抑制され、I型糖尿病が緩和されることがわかった。以上の所見などから、ラドン吸入は抗酸化機能などを亢進させ、活性酸素由来の疾患の症状を緩和するというメカニズムの一端が明らかにできた。
吉田 浩子*; 野村 直希*; 河野 恭彦; 迫田 晃弘; 黒田 佑次郎*; 内藤 航*; 廣田 誠子*; 工藤 伸一*; 恵谷 玲央*; 近本 一彦*; et al.
no journal, ,
本WGでは、IRPAが加盟学会に行ったコンサルテーションにおいてRP専門家・実務家からの意見として、放射線防護システムにおけるもっとも必要であるとされた項目(Key issues)の一つであるPublic Understandingをテーマとして、IRPAが加盟学会に向けて2020年に発行した"Practical Guidance for Engagement with the Public on Radiation and Risk"を日本語に翻訳し、国内の放射線防護専門家をはじめとした本テーマに関心を有する関係者へ提供することを目的とし活動を進めている。シンポジウムにおいては、各担当委員より、翻訳の進捗およびガイダンスの要点を紹介する。
吉田 浩子*; 野村 直希*; 河野 恭彦; 迫田 晃弘; 黒田 佑次郎*; 内藤 航*; 廣田 誠子*; 工藤 伸一*; 高原 省五; 恵谷 玲央*; et al.
no journal, ,
本WGでは、国際放射線防護学会(以下「IRPA」)が加盟学会に向けて、2020年に発行した"Practical Guidance for Engagement with the Public on Radiation and Risk"(以下「IRPAガイダンス」)を日本語に翻訳し、国内の放射線防護専門家をはじめとした本テーマに関心を有する関係者へ情報を提供することを目的とし、作業を進めてきた。
吉田 浩子*; 野村 直希*; 河野 恭彦; 迫田 晃弘; 黒田 佑次郎*; 内藤 航*; 廣田 誠子*; 工藤 伸一*; 川口 勇生*; 恵谷 玲央*; et al.
no journal, ,
本WGでは、国際放射線防護学会(以下「IRPA」)が加盟学会に向けて、2020年に発行した"Practical Guidance for Engagement with the Public on Radiation and Risk"(以下「IRPAガイダンス」)を日本語に翻訳し、国内の放射線防護専門家をはじめとした本テーマに関心を有する関係者へ情報を提供することを目的とし、作業を進めてきた。IRPAガイダンスの内容については2020年6月に行われた保健物理学会企画シンポジウムで発表し、多くの専門家の方々に聴講いただき、ご意見をいただいた。本企画セッションではpublic engagementと関連する具体例/状況にテーマを絞り議論を進める。なお、ガイダンス全体の活動報告はポスターでの発表を予定しているので、併せてご確認いただきたい。