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海老原 健一; 藤原 比呂*; 清水 一行*; 山口 正剛; 戸田 裕之*
International Journal of Hydrogen Energy, 136, p.751 - 756, 2025/06
被引用回数:0高強度のAl-Zn-Mg合金へのSn添加は水素脆化を抑制する効果があるとの実験的報告があり、これは、Snの第二相粒子による水素吸収に起因すると考えられる。この事実を検証するため、第一原理計算で評価した水素の固溶エネルギーを取り入れた反応拡散方程式に基づくモデルを用い、アルミ中のSn相への水素侵入のシミュレーションを実施した。その結果、Sn第二相粒子による水素吸収が水素脆化を抑制するには、第二相粒子の水素固溶サイト濃度がAl相の5倍以上必要であることが分かった。このことから、実際にはSn第二相粒子のHE抑制効果は限定的であり、実験における水素脆化抑制には他の要因の影響が考えられる。
清水 一行*; 戸田 裕之*; 平山 恭介*; 藤原 比呂*; 都留 智仁; 山口 正剛; 佐々木 泰祐*; 上椙 真之*; 竹内 晃久*
International Journal of Hydrogen Energy, 109, p.1421 - 1436, 2025/03
被引用回数:2 パーセンタイル:93.94(Chemistry, Physical)我々の先行研究では、MgZn析出物の整合界面における複数の水素トラップが自発的な界面剥離を引き起こし、Al-Zn-Mg合金に水素誘起擬へき開割れを引き起こすことを明らかにした。本研究では、析出物の整合/半整合界面にトラップされた水素が時効を通じてMgZn
の整合界面を調整し、マクロ的な水素脆化に影響を与えるメカニズムを識別するために定量的かつ体系的な調査を行った。析出物界面での水素捕捉に基づくこの水素脆化現象を調査するために、第一原理計算により半整合MgZn
界面の水素捕捉エネルギーを決定した。空孔、粒界、整合および半整合MgZn
界面を含むすべての水素捕捉サイトの水素分配は、過時効合金では90%を超える水素が半整合界面に隔離されていることを明らかにした。MgZn
界面の固有の特性により、半整合界面に隔離された水素は界面凝集エネルギーを減少させ、Al-Zn-Mg合金で界面の半自発的剥離と擬へき開破壊を引き起こした。これらの結果は、粒界破壊は粒界に捕捉された水素によって直接誘発されるのではなく、粒界に沿った析出物界面の剥離によって引き起こされることを示唆している。
藤原 理賀; 萩原 雅人; 幸田 章宏*; 中村 惇平*; 松尾 晶*; 金道 浩一*; 石角 元志*
Physical Review Materials (Internet), 9(1), p.014406_1 - 014406_9, 2025/01
被引用回数:1 パーセンタイル:82.77(Materials Science, Multidisciplinary)We reported the magnetic behavior of a rhombic lattice quantum antiferromagnet KCoPOH
O. The rhombic lattice model is equivalent to a model of a square lattice with two different diagonal components, and competing exchange interactions potentially produce exotic quantum states. This compound is well characterized by the
= 1/2 state. The magnetic structure of KCoPO
H
O is identified as an incommensurate helical structure, characterized by a magnetic modulation propagation vector
= (0.1747(1) 0 0) with an in-plane moment rotating along the
axis. Moreover, a magnetic field-induced phase transition is observed at approximately 1 T. The application of a magnetic field suppresses spin ordering and enhance spin fluctuations. Our experimental results suggest the presence of a quantum phase in the magnetic phase diagram of the spin-1/2 Heisenberg rhombic lattice antiferromagnet with easy-plane anisotropy.
下村 浩一郎*; 幸田 章宏*; Pant, A. D.*; 砂川 光*; 藤森 寛*; 梅垣 いづみ*; 中村 惇平*; 藤原 理賀; 反保 元伸*; 河村 成肇*; et al.
Interactions (Internet), 245(1), p.31_1 - 31_6, 2024/12
J-PARC Muon Facility: MUSE (Muon Science Establishment) is responsible for the inter-university user program and the operation, maintenance, and construction of the muon beamlines, namely D-line, S-line, U-line, and H-line, along with the muon source at J-PARC Materials and Life Science Facility (MLF). In this paper, recent developments are briefly presented.
藤原 理賀; 岡部 博孝*; 幸田 章宏*
Interactions (Internet), 245(1), p.13_1 - 13_6, 2024/12
量子状態を実験的に観測することは難しい。さらに、エキゾチックな量子状態が実現すると予測されている格子系の中には、理想的なモデル物質が見つかっていない系も存在する。銅鉱物の中には、未研究の低次元量子磁性体がまだまだ多く存在し、その数は年々増加している。我々は、銅鉱物が発見された自然環境を模倣することで7種類の銅鉱物の人工合成に成功し、さらにその量子状態を報告した。パルスミュオンの特性は、人工銅鉱物のスピン状態の調査に大変適している。その有用性を、fedotoviteのSR測定の結果を示しながら、紹介する。
比嘉 良太*; 藤原 比呂*; 戸田 裕之*; 小林 正和*; 海老原 健一; 竹内 晃久*
Materials Transactions, 65(8), p.899 - 906, 2024/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)Al-Zn-Mg合金では、水素(H)によって機械的特性が著しく劣化することから、そのような合金の強度を向上させるためには、水素脆化(HE)と呼ばれるこの現象を抑制することが不可欠である。粒界破壊(IGF)は主にHE発生時に観察されるため、HEを抑制するためにはIGFの発生挙動を理解する必要がある。通常、応力、ひずみ、H濃度の不均一な分布は、多結晶材料におけるIGFの発生に影響を与える。本研究では、X線イメージング技術により得られた多結晶体の3次元微細構造データをもとに作成した3次元イメージベースモデルを用いた結晶塑性有限要素法とH拡散解析によるシミュレーションから、実際の破壊領域における応力、ひずみ、H濃度の分布を調べた。そして、シミュレーション結果とX線CTによる引張試験試料のその場観察を組み合わせ、実際のき裂発生挙動における応力、ひずみ、H濃度の分布を調べ、粒界き裂の発生条件を検討した。その結果、結晶塑性に起因する粒界垂直応力が粒界き裂の発生を支配することが明らかになった。一方、応力による内部Hの蓄積はき裂発生にほとんど影響しないことがわかった。
藤田 善貴; Hu, X.*; Yang, Y.*; 北川 大凱*; 藤原 靖幸*; 吉永 尚生*; 堀 順一*; Do, T. M. D.*; 鈴木 達也*; 末松 久幸*; et al.
KURNS Progress Report 2023, P. 122, 2024/07
核セキュリティ等の観点から放射化法((n,)法)による
Mo製造の研究開発が進められている。この方法を
Mo/
Tcジェネレータに適用するためには、Mo吸着材として用いられるアルミナ(Al
O
)の特性改善が不可欠である。本報告では、高いMo吸着特性を有すると報告されている2つの文献を基に3種類のアルミナを合成し、ジェネレータへの適用性を評価した。京都大学研究用原子炉(KUR)で照射したMoO
を溶解した溶液(Mo濃度10g/L、pH4)に、アルミナを添加し3時間静置した。静置後のアルミナをカラムに移し、24時間ごとに2日間ミルキングを実施した。その結果、全てのアルミナで現行のジェネレータに使用されているアルミナを大きく上回る90mg-Mo/g以上のMo吸着量を得た。一方で、表面に均一な細孔が観察されたアルミナではミルキングにおけるMo脱離量も多かった。したがって、本試験条件においては、アルミナの表面状態はMo吸着特性よりもMo保持能力に大きな影響を与える可能性が示唆された。今後、より実用的な条件下でのジェネレータへの適用性を評価する。
藤原 比呂*; 戸田 裕之*; 海老原 健一; 小林 正和*; 眞山 剛*; 平山 恭介*; 清水 一行*; 竹内 晃久*; 上椙 真之*
International Journal of Plasticity, 174, p.103897_1 - 103897_22, 2024/03
被引用回数:9 パーセンタイル:93.27(Engineering, Mechanical)高強度化したアルミ合金において水素脆化は、理解し解決すべき問題である。アルミ合金において、水素が析出物界面に蓄積し脆化の原因となっていると考えられている。しかし、き裂付近の水素分布と応力場の局所的な相互作用について、空間的な複雑さを考慮した定量的な知見は明らかでない。本研究では、結晶塑性有限要素法と水素拡散解析を組み合わせたマルチモーダル3次元画像ベースシミュレーションを用い、実際のき裂近傍の応力分布と、それが水素分布に及ぼす影響およびき裂発生確率に及ぼす影響を捉えることを試みた。その結果、粒界き裂は、その先端近傍の水素蓄積により、MgZn析出物の半整合界面の凝集エネルギーが低下した領域で擬へき開き裂に遷移することが分かった。この結果は、本シミュレーション手法がナノスケールの剥離とマクロスケールの脆性破壊の橋渡しに成功したことを示すものと考える。
Tang, J.*; Wang, Y.*; 藤原 比呂*; 清水 一行*; 平山 恭介*; 海老原 健一; 竹内 晃久*; 上椙 真之*; 戸田 裕之*
Scripta Materialia, 239, p.115804_1 - 115804_5, 2024/01
被引用回数:11 パーセンタイル:80.41(Nanoscience & Nanotechnology)Al-Zn-Mg-Cu合金の外部および内部水素(H)の組合せによって誘起される応力腐食割れ(SCC)の挙動をその場3次元評価技術を使い系統的に調べた。Al-Zn-Mg-Cu合金のSCCは水素濃度が臨界値を超える潜在的なクラック発生領域で発生・進展し、Hがナノスケール-MgZn
析出物界面での原子結合を弱め巨視的な割れを引き起こしていることが分かった。さらに、水環境からき裂へ浸透した外部Hが、き裂先端近傍に勾配を持つH影響ゾーンを作ることでSCCにおいて重要な役割を果たすことや、あらかじめ存在する内部Hが、塑性変形に伴いき裂先端に向かうことでSCCにおけるき裂の発生と進展の両方に関与することも分かった。
比嘉 良太*; 藤原 比呂*; 戸田 裕之*; 小林 正和*; 海老原 健一; 竹内 晃久*
軽金属, 73(11), p.530 - 536, 2023/11
Al-Zn-Mg合金において、その強度向上には水素脆化の抑制が必要である。本研究では、X線CTから得られた3次元多結晶微細構造データに基づくモデルによる結晶塑性有限要素法及び水素拡散解析を用いて、実際の破断領域における応力、ひずみ及び水素濃度の分布を調べた。さらに、引張試験のX線CTによるその場観察とシミュレーションを組み合わせて、応力、ひずみ、水素濃度の分布と実際のき裂発生挙動を比較した。その結果、結晶塑性に起因する粒界に垂直な応力負荷が主に粒界き裂発生を支配することが明らかになった。また、結晶塑性に起因する内部水素の蓄積は、き裂発生にほとんど影響しないことがわかった。
清水 一行*; 戸田 裕之*; 藤原 比呂*; 山口 正剛; 上椙 真之*; 竹内 晃久*; 西嶋 雅彦*; 鎌田 康寛*
Corrosion, 79(8), p.818 - 830, 2023/08
被引用回数:6 パーセンタイル:52.51(Materials Science, Multidisciplinary)7xxxアルミニウム合金は代表的な高強度アルミニウム合金であるが、水素による機械的特性劣化がさらなる高強度化の妨げとなっている。我々は、7xxxアルミニウム合金の水素脆化を防止するための新しい技術として、Mn系第2相粒子の分散を提案する。本研究では、Mnを0.0%および0.6%含有する高水素7xxx合金の変形および破壊挙動を放射光X線トモグラフィーを用いてその場で観察した。得られた巨視的な水素脆化は、合金中の水素分配に基づき定量的に解析された。0.6%Mnを添加することにより、高い水素トラップ能力を持つ第二相粒子を生成し、水素による擬劈開破壊を有意に抑制することができた。
小澤 竜也*; 藤原 理賀; 内原 猛*; 満田 節生*; 矢野 真一郎*; 玉造 博夢; 宗像 孝司*; 中尾 朗子*
Scientific Reports (Internet), 13, p.13750_1 - 13750_8, 2023/08
被引用回数:2 パーセンタイル:20.69(Multidisciplinary Sciences)圧力は、電子状態と原子配列の両方に作用し、物性を劇的に変化させる可能性を持つ。リン化マンガンMnPでは、約8GPaの等方圧力下において、Mn化合物で初めて、超伝導状態が観測された。本研究では、一軸応力がMnPの磁性および結晶構造に及ぼす影響を調査した。磁化測定と中性子回折実験により、0.04GPaという極めて低い一軸応力で、不可逆的な磁化応答が観測され、同時に、MnP型構造に特有の擬回転対称性を満たす結晶ドメインが誘起されることがわかった。不可逆的な磁化応答は、誘起された新たなドメインの構造により説明できることが判明した。一軸応力によって誘起される結晶ドメインに関する研究は過去に例がなく、我々はこの新現象を「原子再構成(AR)」と名付けることとした。我々は、AR現象に対する理解の深化は、誘電性、弾性、電気伝導、磁性、超伝導を含む物質の異方性を制御する結晶ドメイン工学の創出につながると期待している。
藤田 善貴; Hu, X.*; 武内 伴照; 武田 遼真; 藤原 靖幸*; 吉永 尚生*; 堀 順一*; 鈴木 達也*; 末松 久幸*; 井手 広史
KURNS Progress Report 2022, P. 110, 2023/07
ウランを使用しないテクネチウム-99m(Tc)の国産化を目的に、(n,
)法によるモリブデン-99(
Mo)製造に関する研究を行っている。この方法で生成される
Mo比放射能は低いことから
Moの娘核種である
Tcを濃縮するため、メチルエチルケトン(MEK)を用いた溶媒抽出法によって
Tcを抽出し、アルミナカラムによって
Tcを濃縮する技術に着目した。還元された
TcはMEKに抽出されないとの報告があることから、本試験では、モリブデン酸ナトリウム水溶液への水素バブリングによる
Tc還元を試み、
Tc収率への影響を調査した。その結果、論文で報告されたMEKへの
Tc抽出に対する影響は確認されず、酸性カラムへの
Tc吸着を阻害する可能性が示された。また、
Tcの化学形を把握するための基礎的データとして、回収した
Tc溶液のラマン分光分析を実施した結果、1050cm
あたりにシャープな弱いピークが確認された。今後、Tcの還元を確認するため、Tcの化学形の違いによるラマンピークの違いなどを調査していく。
藤原 理賀; 萩原 雅人; 森田 克洋*; 村井 直樹; 幸田 章宏*; 岡部 博孝*; 満田 節生*
Physical Review B, 107(5), p.054435_1 - 054435_8, 2023/02
被引用回数:3 パーセンタイル:37.63(Materials Science, Multidisciplinary) = 1/2ハイゼンベルグ直線鎖反強磁性体は、最も単純なスピンモデルであるが、様々な量子多体現象のプラットフォームを提供する。この論文では、準一次元反強磁性体KCuPO
H
Oの磁性を報告した。
= 11.7(1)Kにおいて、格子整合な長距離反強磁性秩序が形成され、その磁気モーメントの大きさは0.31(1)
である事がわかった。また鎖内相互作用
と鎖間相互作用
の大きさはそれぞれ172Kと4.25(4)Kと見積もられ、
/
の比は0.0247(3)である。中性子非弾性散乱実験により、
より高温では、一次元ハイゼンベルグ量子スピン鎖の特徴である連続体励起スペクトルが観測され、
より低温では、分散励起にスピンギャップが観測された。これらの結果は、弱く結合した
= 1/2ハイゼンベルグスピン鎖系で観測される性質と一致する。
藤原 理賀; Jeschke, H. O.*; 森田 克洋*; 桑井 智彦*; 幸田 章宏*; 岡部 博孝*; 松尾 晶*; 金道 浩一*; 満田 節生*
Physical Review Materials (Internet), 6(11), p.114408_1 - 114408_8, 2022/11
被引用回数:2 パーセンタイル:12.33(Materials Science, Multidisciplinary) = 1/2ハイゼンベルグ
-
反強磁性鎖は、エキゾチックなスピン状態の発現が予想されており、広く研究されている。この論文では、birchiteと呼ばれる銅鉱物、化学式Cd
Cu
(PO
)
SO
5H
Oの磁気挙動とその有効スピンモデルについて報告する。帯磁率,磁化,比熱,
SR測定による実験的研究から、0.4Kまで長距離秩序を示さないことがわかった。理論研究から、birchiteは
-
反強磁性鎖のモデル化合物であり、鎖内相互作用
、
は反強磁性的で、その大きさは鎖間相互作用の約100倍であることがわかった。
の大きさは
の大きさの2
3倍であるため、スピンギャップは
の数%に過ぎないと予想される。比熱の温度依存性は約1Kでブロードなピーク(
0.036
)を示し、スピンギャップの存在が示唆された。
藤田 善貴; 関 美沙紀; Ngo, M. C.*; Do, T. M. D.*; Hu, X.*; Yang, Y.*; 武内 伴照; 中野 寛子; 藤原 靖幸*; 吉永 尚生*; et al.
KURNS Progress Report 2021, P. 118, 2022/07
核セキュリティ等の観点から放射化法((n,)法)による
Mo製造の研究開発が進められている。この方法を
Mo/
Tcジェネレータに適応するためには、Mo吸着材として用いられるアルミナ(Al
O
)の特性改善が不可欠である。これまで、開発したAl
O
試料から得られる
Tc溶液の品質を評価してきたが、溶液中への
Mo脱離が課題だった。本研究では、市販のジェネレータを模した形状のカラムにAl
O
試料を充填し、
Mo脱離低減のためのいくつかの措置を施して
Tc溶液の品質を評価した。以前実施した、Al
O
試料をMo溶液に浸漬させる静的吸着の条件と比較した結果、Mo溶液をAl
O
カラムに流す動的吸着の適用、Mo溶液の高濃度化、Mo添加量の低減により
Mo脱離量が大幅に改善された。したがって、吸着方法および吸着条件の最適化による品質向上の可能性が示唆された。今後、本結果に基づきカラム形状およびMo吸着条件の最適化を図る。
関 美沙紀; 藤田 善貴; 藤原 靖幸*; Zhang, J.*; 吉永 尚生*; 佐野 忠史*; 堀 順一*; 永田 寛; 大塚 薫; 大森 崇純; et al.
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(1), p.2 - 9, 2022/06
材料試験炉(JMTR)の炉心構造材はステンレス鋼の他、アルミニウム(Al)やベリリウム(Be)が多く使用されている。廃止措置に当たって、放射性雑固体廃棄物(廃棄体)を作製するが、その埋設基準はドラム缶内に健全性を損なう物質を含まないことおよび最大放射能を超えないことが要求されている。とくに、Alはコンクリート等のアルカリ物質と反応し水素を発生することから、固化体の強度低下、内圧上昇による破損等が課題となっている。本研究では、バイヤー法を応用したAlの安定化処理技術の確立を目的とし、コールド試験にて基本的な処理工程を確立した。また、京都大学研究用原子炉(KUR)にてAl試験片を中性子照射し、本処理工程によるAl中に含まれる添加元素や不純物元素で生成する放射性核種の除去特性を調査した。結果として、本処理工程によりAlをアルミナ(AlO
)に変換可能であり、通常の放射性廃棄物の処理方法と同様にセメント系充填剤によって固化できる見通しが得られた。さらに、不溶解残渣物の除去により、廃棄物の放射能量を1
2桁減らすことができることが示唆された。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 滑川 要二*; 西方 香緒里; 大伍 史久; 井手 広史; 土谷 邦彦; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; 堀 順一*; et al.
KURNS Progress Report 2020, P. 136, 2021/08
高濃縮ウランの利用低減や核不拡散及び核セキュリティ、核分裂生成物の処理の観点から放射化法((n,)法)による
Mo製造の研究開発が進められている。放射化法で生成される
Moの比放射能は極めて低いことから、娘核種である
Tcを濃縮するためメチルエチルケトン(MEK)を用いた溶媒抽出法に着目した。照射ターゲットであるMoO
ペレットは、長時間照射すると還元されることが分かっている。本試験では、MoO
が還元した際に酸化剤としてNaOClを使用する可能性を考慮し、MoO
を溶解して得られたモリブデン酸ナトリウム水溶液中へのNaCl添加の有無が
Tc回収率に及ぼす影響を調べた。その結果、NaClはMEKへの
Tc抽出率を低下させる可能性が示唆された。
関 美沙紀; 石川 幸治*; 佐野 忠史*; 永田 寛; 大塚 薫; 大森 崇純; 花川 裕規; 井手 広史; 土谷 邦彦; 藤原 靖幸*; et al.
KURNS Progress Report 2019, P. 279, 2020/08
JMTR施設の廃止措置を進めるにあたり、多くの放射性廃棄物が発生するが、これらはドラム缶等に格納し、コンクリートを充填して、廃棄体とする計画である。しかし、アルミニウムは、コンクリートと反応し水素ガスが発生し、廃棄体を破損することが懸念されている。本研究は、これまで行ってきた湿式法によるアルミニウムの安定化処理法の溶液pHの最適条件を求めることを目的とした。JMTRで多く使用されている2種類のアルミニウム試料を準備し、KURで照射した後、強塩基であるNaOHに溶解した。溶解液をろ過した後、中和処理をしてpH=511にてAl(OH)
を生成した。それぞれの工程で得た残差及び溶液は放射化分析を行った。この結果、pH=7, 9にてAl全量の固体としての回収が可能であることが分かった。また、廃液中にはCr-51及びNa-24が含まれることが分かった。Cr-51は全ての条件にて同等の回収率であった。一方でNa-24は中和の際に生成されるNaCl量が相対的に多いことから、溶液中のNa-24が増加したと考えられる。
藤原 理賀*; 森田 克洋*; Mole, R.*; 満田 節生*; 遠山 貴巳*; 矢野 真一郎*; Yu, D.*; 曽田 繁利*; 桑井 智彦*; 幸田 章宏*; et al.
Nature Communications (Internet), 11, p.3429_1 - 3429_7, 2020/07
被引用回数:52 パーセンタイル:92.32(Multidisciplinary Sciences)Observation of a quantum spin liquid (QSL) state is one of the most important goals in condensed-matter physics, as well as the development of new spintronic devices that support next-generation industries. The QSL in two-dimensional quantum spin systems is expected to be due to geometrical magnetic frustration, and thus a kagome-based lattice is the most probable playground for QSL. Here, we report the first experimental results of the QSL state on a square-kagome quantum antiferromagnet, KCuAlBiO
(SO
)
Cl. Comprehensive experimental studies via magnetic susceptibility, magnetisation, heat capacity, muon spin relaxation, and inelastic neutron scattering measurements reveal the formation of a gapless QSL at very low temperatures close to the ground state. The QSL behavior cannot be explained fully by a frustrated Heisenberg model with nearest-neighbor exchange interactions, providing a theoretical challenge to unveil the nature of the QSL state.