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藤井 大輔; 保坂 淳*; 岩中 章紘*; 酒井 忠勝*; 橘 基*
Physical Review D, 113(3), p.034003_1 - 034003_17, 2026/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Astronomy & Astrophysics)強結合領域におけるQCD物質の理解は、その非摂動的性質ゆえに依然として困難を伴う。本研究では、クォーク質量が非ゼロの場合の有限密度、零温度のQCDの性質を調べるために、2フレーバーのハードウォール型ホログラフィック模型を用いて解析を行う。高密度相は、斉一なアンサッツのもとで運動方程式の古典的解として記述される。ホログラフィー対応辞書を定式化するため、ホログラフィック正則化を適用し、バルクのUV境界データとQCDにおける物理量との関係を明らかにする。相構造の解析においては、ハードウォールのIR境界における境界作用が重要な役割を果たすことを強調する。この枠組みにおいて、高いバリオン数密度とほぼ消失したカイラル凝縮を特徴とするバリオン物質相が現れることが示される。得られた状態の状態方程式を導出し、それを用いて中性子星の質量半径関係式を算出する。
藤井 大輔; 中山 勝政*; 鈴木 渓
Physical Review D, 113(3), p.036002_1 - 036002_12, 2026/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Astronomy & Astrophysics)ディラックフェルミオンの異常磁気モーメント(AMM)が磁場中のフェルミオン・カシミール効果に及ぼす影響について、理論的に検討する。この解析では、既存のリフシッツ公式を拡張するかたちでAMMの効果を組み込む。我々の導出した拡張公式により、AMMの存在がフェルミオン・カシミールエネルギーを増加させることが明らかになる。特に、AMMが十分大きい場合、最低ランダウ準位のギャップレスな性質によってカシミールエネルギーが大きく強化される。さらに、電子、ミューオン、構成クォークといった異なるフェルミオンに対して、磁場下でのカシミールエネルギーを定量的に評価する。
藤井 大輔; 保坂 淳*; 岩中 章紘*; 酒井 忠勝*; 橘 基*
Proceedings of Science (Internet), 500, p.135_1 - 135_6, 2026/01
強結合QCD物質の理解は、その非摂動的性質のため依然として困難である。われわれは、クォーク質量が非零の二フレーバー・ハードウォール型ホログラフィック模型において、有限密度・零温度のQCDを研究する。高密度相は、一様アンサッツの下で古典的運動方程式を解くことで得る。バルク場と境界観測量を結び付けるため、ホログラフィック正則化を施して対応辞書を構築し、ハードウォールのカットオフにおけるIR境界項が本質的役割を果たすことを強調する。この枠組みで、バリオン数密度が大きくカイラル凝縮が強く抑制されたバリオン物質相を見出す。得られた解から状態方程式を導出し、中性子星の質量半径関係を計算すると、広いパラメータ領域で2太陽質量を超える星が実現し得ることが分かる。
藤井 大輔; 川口 眞実也*; 田中 満*
Proceedings of Science (Internet), 500, p.239_1 - 239_6, 2026/01
クォークやグルーオンがハドロンの中に閉じ込められる機構の解明は、QCDにおける最も基本的な課題である。この課題を解決するためには、クォーク凝縮やグルーオン凝縮と、それに伴う自発的対称性の破れのハドロン形成における役割を理解することが重要である。近年、陽子内部の応力分布が実験的に測定できるようになった。これは陽子に対するエネルギー運動量テンソルの行列要素を特徴付ける重力形状因子から抽出される。この応力分布は、クォークやグルーオンをハドロン内部に閉じ込める力そのものであり、応力分布の観点から上記の課題にアプローチする道が拓かれた。本トークでは、クォーク凝縮やグルーオン凝縮など、カイラル対称性やスケール対称性の破れを反映する現象が、核子内部の圧力分布にどのように寄与するかを調べた結果、これらの寄与が核子を安定化させるために不可欠であることを示す。
藤井 大輔; 岩中 章紘*; 田中 満*
Physical Review D, 112(9), p.094051_1 - 094051_12, 2025/11
被引用回数:1 パーセンタイル:34.33(Astronomy & Astrophysics)本研究では、トップダウンホログラフィックQCDにおいて得られる重力形状因子を用いて、パイオン内部のエネルギー密度および応力分布を解析する。特に、核子においてインスタント形式で示されていたように、閉じ込め圧力がQCDのスケール異常によって支配されるという特徴が、パイオンにおいてもライトフロント形式で成り立つことを示す。さらに、このホログラフィック模型で記述されるラージ
極限においては、スカラーグルーボールが閉じ込め圧力を媒介する役割を担っていることが明らかになる。これらの結果は、ハドロンの安定性におけるスケール異常の普遍的な役割を支持するものである。
藤井 大輔; 田中 満*
Physics Letters B, 870, p.139872_1 - 139872_7, 2025/11
被引用回数:2 パーセンタイル:72.94(Astronomy & Astrophysics)本研究では、エネルギー運動量テンソルのトレース成分とトレースレス成分への分解に基づき、ハドロン内部の圧力分布に対するQCDスケール異常の寄与を調べる。モデルに依存しない最近の重力形状因子の結果を入力として、パイオンおよび核子の圧力分布をインスタントフォームとライトフロントフォームの両方で解析する。その結果、すべてのケースにおいて、閉じ込め圧力の主な起源がスケール異常であることが明らかになる。このことは、スケール異常による圧力生成が、ハドロンの種類や使用する模型、フォームに依存しない普遍的な性質であることを示唆している。

藤井 大輔; 岩中 章紘*; 北澤 正清*; 末永 大輝*
Proceedings of Science (Internet), 483, p.235_1 - 235_8, 2025/10
虚数時間方向だけでなく、ある空間方向にも境界条件を課した
上のピュアヤン・ミル理論を考え、熱力学量とその相構造を議論する。境界条件の導入は回転対称性の破れにつながり、圧力の異方性をもたらす。格子QCDシミュレーションの結果は、臨界温度付近で空間的な広がりが著しく小さくなるまで、異方性の効果が抑制されることを示している。この結果は、質量のない自由ボソン系の振る舞いとは大きく異なる。この結果の背後にあるメカニズムを明らかにするために、時間方向と空間方向に2つのPolyakovループを持つ有効模型を用いる。2つのPolyakovループの相互作用を導入することで、以前の研究で示唆された高温領域の格子データをよく記述できることを示す。さらに、閉じ込め相転移とは区別される新しい一次相転移の存在を示唆する。
田中 満*; 藤井 大輔; 川口 眞実也*
Physical Review D, 112(5), p.054048_1 - 054048_18, 2025/09
被引用回数:3 パーセンタイル:66.91(Astronomy & Astrophysics)本研究では、核子の重力形状因子、特に
形状因子と、それに関連する応力分布および内部力構造に対するQCDスケール異常の影響を解析する。解析には、スケール対称なカイラル摂動理論に基づいて構築されたスカーミオン模型を用いる。この模型では、現在のクォーク質量の効果を担うパイオンと、グルーオンの量子的寄与を反映するスカラー中間子の両方を組み込んでいる点が特徴である。スカラー中間子の質量を変化させることで、スケール異常のグルーオン成分が核子の力学的性質にどのように影響するかを調べる。その結果、グルーオンに由来するスケール異常は、核子の安定性条件を満たすうえで本質的な役割を果たし、閉じ込め圧力の生成にも寄与することが示された。また、
の運動量移動依存性も計算し、その振る舞いが格子QCDの結果とよく一致することを確認した。
藤井 大輔; 中山 勝政*; 鈴木 渓
Physics Letters B, 868, p.139758_1 - 139758_6, 2025/09
被引用回数:1 パーセンタイル:51.17(Astronomy & Astrophysics)リフシッツ公式は、有限温度におけるカシミール効果を解析するための基本的な理論枠組みとして広く知られている。本研究では、この公式を有限化学ポテンシャルのもとでの量子場に由来するカシミール効果へと拡張する。得られた一般化された公式の有用性を示すために、境界条件の違いや有限温度、空間次元の一般化、化学ポテンシャルの不均衡など、さまざまな設定における典型的なカシミール効果の特徴を検討する。この枠組みは、密なクォーク物質やディラック/ワイル半金属といった系にも適用可能であり、そこでは化学ポテンシャルがカシミール効果を制御するための調整パラメータとして機能する。
藤井 大輔; 中山 勝政*; 鈴木 渓
Physical Review D, 112(3), p.034020_1 - 034020_17, 2025/08
被引用回数:1 パーセンタイル:34.33(Astronomy & Astrophysics)磁場中の有限密度物質において、ディラックフェルミオンに由来するカシミール効果を理論的に解析する。特に、強い相互作用をもつディラック系における不均一な基底状態の候補として知られる「磁気二重カイラル密度波(MDCDW)相」におけるクォーク場に注目する。この相では、化学ポテンシャル・外部磁場・基底状態の空間的変調が複雑に干渉することで、カシミールエネルギーが距離に対して非自明な振動的挙動を示す。全カシミールエネルギーをランダウ準位ごとに分解することで、最低準位と高次準位のどちらが寄与するかによって、異なるタイプのカシミール効果が現れることが明らかになる。さらに、アップクォークとダウンクォークといったフェルミオンのフレーバー間の準位分裂に起因する特徴的な振る舞いも指摘する。
藤井 大輔; 川口 眞実也*; 田中 満*
Physics Letters B, 866, p.139559_1 - 139559_7, 2025/07
被引用回数:10 パーセンタイル:97.98(Astronomy & Astrophysics)我々は、スカーミオンを用いたスケール不変カイラル摂動理論に基づく枠組みにおいて、核子内部の閉じ込め圧力と、それに関連する重力形状因子であるD項を調査する。このアプローチでは、核子は量子化されたソリトンとして現れ、スケール対称性の破れは、低エネルギー定理に従ってスカラーメソン場をスケール異常に結合させることで効果的に取り入れられる。基礎理論であるQCDとの対応付けを通じて、スケール対称性の明示的および異常による破れは、それぞれパイオン質量とスカラーメソン質量を通じて記述される。核子のエネルギー運動量テンソルを分解することで、スケール異常の各成分が内部圧力にどう寄与するかを明らかにする。その結果、グルーオンによるスケール異常が閉じ込め圧力を支配していることが示される。従来のカイラル摂動理論のカイラル極限での結果と比較して、本研究の全体的な圧力分布はラティスQCDの結果とより良く一致している。さらに、グルーオン異常による圧力は広い空間領域にわたって分布しており、D項への顕著な寄与をもたらす。
藤井 大輔; 中山 勝政*; 鈴木 渓
International Journal of Modern Physics A, 40(10-11), p.2543022_1 - 2543022_9, 2025/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Nuclear)本発表では磁場がゼロかゼロでない場合の、高密度で薄いクォーク物質において、クォーク場から発現する新しいカシミア効果の発見について講演した。驚くべきことに、密なクォーク物質の基底状態の候補である二重カイラル密度波(DCDW)相では、カシミアエネルギーが厚さの関数として振動する。この発見は、極限状態におけるQCDダイナミクスによって駆動されるユニークな振動カシミール現象を浮き彫りにするものである。
藤井 大輔; 中山 勝政*; 鈴木 渓
International Journal of Modern Physics A, 40(10-11), p.2543020_1 - 2543020_8, 2025/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Nuclear)本講演では、有限の化学ポテンシャル、特に、有限密度系の量子場から誘起されるカシミール効果について議論する。有限温度系のカシミール効果には長い歴史があり、実験による検証も含めて一定の理解が得られているが、有限密度系のカシミール効果についての先行研究は非常に少ない。これは、平衡状態として光子場の化学ポテンシャルを実験的に制御することが困難なためである。一方、フェルミオン系に着目したとき、フェルミオンの化学ポテンシャルは実験で比較的制御可能なパラメータであり、カシミール効果の性質を制御するのに役立つことが期待される。さらに、有限密度フェルミオン系で実現する多彩な量子多体現象は、カシミール効果の典型的な性質を劇的に変化させる可能性がある。本研究では、有限密度のディラック場から誘起されるカシミール効果を定式化し、カシミール効果に起因する物理量が境界条件間の距離や化学ポテンシャルの関数として振動することなどを示す。このような「有限密度カシミール効果」が現れる物理系の例として、ディラック半金属薄膜や高密度クォーク物質が平たく広がった状態への応用について議論する。
Yang-Mills theory in

北澤 正清*; 藤井 大輔; 岩中 章紘*; 末永 大輝*
Proceedings of Science (Internet), 466, p.163_1 - 163_9, 2025/02
本研究では、二方向をコンパクト化した時空
上で定式化された
ヤン・ミルズ理論の熱的性質と相構造を調べる。ユークリッド時空での格子数値シミュレーションと有効模型の両方を用い、異方的な空間体積条件のもとで解析を行う。格子上での応力テンソルは、グラディエントフロー法により定義されるエネルギー運動量テンソルを通じて評価される。その結果、自由スカラー理論とは対照的に、明確な圧力異方性はコンパクト化方向の長さが十分に短い場合にのみ現れることが分かった。これに基づき、コンパクト化方向に沿った2つのポリヤコフループを動的変数として取り入れた有効模型を構築し、格子上の熱力学量を再現するよう調整した。この模型の解析から、新たな一次相転移が存在し、それが臨界点で終端することが示された。特に、2つのポリヤコフループの相互作用がこの相転移の発現に重要な役割を果たしていると考えられる。
藤井 大輔; 中山 勝政*; 鈴木 渓
International Journal of Modern Physics A, 40(10-11), p.2543017_1 - 2543017_8, 2025/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Nuclear)本研究では、格子正則化された時空におけるカシミールエネルギーの特性を解析する。カシミールエネルギーは一般に、量子場のゼロ点エネルギーによる発散を取り除くための正則化を必要とする。本研究では、格子間隔が有限である限り格子効果が残るという点を活かして、格子正則化によりカシミールエネルギーを定義する。まず、ナイーブ型およびウィルソン型フェルミオンを用いた計算手法を示す。格子効果がごく限られた点にのみ現れる場合には、連続極限を取ることで連続時空におけるカシミールエネルギーを得ることが可能である。具体的な物理系としては、格子効果が重要となるディラック/ワイル半金属における電子場や、連続極限が正確に再現されるアクシオン電磁気学における光子場のカシミールエネルギーを調べている。
藤井 大輔; 岩中 章紘*; 田中 満*
Physical Review D, 110(9), p.L091501_1 - L091501_8, 2024/11
被引用回数:15 パーセンタイル:88.06(Astronomy & Astrophysics)トップダウンのホログラフィック量子色力学(QCD)アプローチから、パイ中間子の重力形状因子(GFF)を運動量移動依存性を含めて初めて計算した。ハドロンのGFFは内部応力分布に関する情報を持っており、QCDがハドロンを形成するメカニズムの解明につながる可能性があるため重要である。このGFFsの前方極限値、すなわちD項も得られた。さらに、このアプローチでは、パイ中間子が無限個のグルーボールスペクトルを介して重力相互作用をする、いわゆるグルーボールドミナンスを観測した。
藤井 大輔; 岩中 章紘*; 北澤 正清*; 末永 大輝*
Physical Review D, 110(9), p.094016_1 - 094016_16, 2024/11
被引用回数:1 パーセンタイル:14.16(Astronomy & Astrophysics)ユークリッド時空の
上の
ヤンミルズ理論の熱力学と相構造を有効模型によるアプローチで調べる。このモデルは、コンパクト化された2方向に沿った2つのポリアコフ・ループを力学変数として取り入れ、格子上で測定された
上の熱力学を再現するように構成されている。モデル解析の結果、非閉じ込め相において
上の新しい一次相転移が存在することが示され、この相転移は二次元
普遍クラスに属するべき臨界点で終端する。この一次転移は、ポリアコフ・ループ・ポテンシャルにおける交差項によって誘起されるポリアコフ・ループの相互作用が原因であることを議論する。
藤井 大輔; 中山 勝政*; 鈴木 渓
Physical Review D, 110(1), p.014039_1 - 014039_15, 2024/07
被引用回数:6 パーセンタイル:61.62(Astronomy & Astrophysics)カシミア効果は、微小体積に閉じ込められた光子場から誘起されることが知られており、また、そのフェルミオン的な対応物も、幅広い量子系で予言されている。ここでは、薄い有限密度クォーク物質において、どのような種類のカシミア効果がクォーク場から起こりうるかを調べる。特に、有限密度クォーク物質の基底状態の候補である二重カイラル密度波において、カシミアエネルギーが物質の厚さの関数として振動することを見いだした。この振動するカシミア効果は、Weyl半金属におけるカシミア効果と類似しており、クォーク場の運動量空間におけるWeyl点に起因すると考えることができる。さらに、クォークのフェルミ海からも振動が誘起され、全カシミアエネルギーは複数の振動の重ね合わせから構成されることを示す。
藤井 大輔; 岩中 章紘*; 保坂 淳*
Physical Review D, 106(1), p.014010_1 - 014010_6, 2022/07
被引用回数:5 パーセンタイル:34.50(Astronomy & Astrophysics)核子の第一励起状態であるローパー共鳴は、最もよく確立されたバリオン共鳴の一つである。しかし、その性質は非相対論的クォーク模型のようなQCDの有効模型では一貫して説明できていない。本論文では、QCDのホログラフィック模型の一つである酒井・杉本模型における別のアプローチを提案する。本論文では、QCDのホログラフィック模型の一つである・酒井杉本模型において、特に、't Hooft結合
のleadingにおける電磁遷移のヘリシティ振幅を解析する。このモデルは、長距離のメソンクラウドに囲まれた、近距離の非線形メソン場によってバリオンを取り扱う。CLASで最近観測されたデータがこのアプローチで説明できることを示す。
(1535) in the holographic QCD岩中 章紘*; 藤井 大輔*; 保坂 淳
Physical Review D, 105(11), p.114057_1 - 114057_6, 2022/06
被引用回数:5 パーセンタイル:34.50(Astronomy & Astrophysics)核子の第一励起状態である
(1535)のパイ中間子放出崩壊をホログラフィックQCDによって調べた。軸性結合定数の解析的表式を得て、その崩壊に対する巾として約30MeVを得た。これは実験データよりも小さいもののそれほど離れていない値である。