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藤田 啓恵*; 湯山 健太*; Li, X.*; 波多野 雄治*; 外山 健*; 太田 雅之; 落合 謙太郎; 吉田 直亮*; 近田 拓未*; 大矢 恭久*
Physica Scripta, 2016(T167), p.014068_1 - 014068_5, 2016/02
被引用回数:30 パーセンタイル:82.55(Physics, Multidisciplinary)この研究では、鉄イオン(Fe)照射W試料、核分裂反応より発生した中性子を照射したW試料、D-T核融合反応から生成した14MeV中性子照射されたW試料を用い、それらに重水素イオン(D)を照射し、昇温脱離法(TDS)で重水素滞留挙動を評価した。さらに、シミュレーションにより、得られたTDSスペクトルからW中の重水素捕捉サイトの捕捉エネルギーを評価した。実験結果より、Fe照射試料では欠陥が表面付近の浅い領域に集中することが確認された。また照射損傷量増加に伴い原子空孔やボイドが増加し、ボイドがより安定なD捕捉サイトであることが示唆された。核分裂反応中性子照射試料は、Dは主に表面吸着または転位ループによる捕捉により試料中に滞留することがわかった。しかし低損傷量のため、原子空孔やボイドの形成は見られなかった。一方、核融合反応中性子照射試料は他の試料と比較して低損傷量にも関わらず、原子空孔及び原子空孔集合体の形成が示唆された。以上から、照射欠陥の形成及びD滞留挙動は中性子の照射エネルギーに大きく影響を受けることがわかった。
藤田 啓恵*; 湯山 健太*; 植村 有希*; 桜田 翔大*; Hu, C.*; 近田 拓未*; 大矢 恭久*; 太田 雅之; 落合 謙太郎
no journal, ,
核融合炉のプラズマ対向材料候補であるタングステン(W)は炉運転中における14MeV中性子の照射により、水素同位体の安定な捕捉サイトとなる照射欠陥が導入される。また中性子照射はバルク中へ均一に照射欠陥が導入されるため、表面付近に照射欠陥が集中する重イオン照射と水素同位体滞留挙動は大きく異なる。本研究では、W試料に鉄イオン(Fe)、核分裂反応による中性子、またはD-T核融合反応による14MeV中性子を照射し照射欠陥を導入した後に重水素照射を行い昇温脱離法によって重水素滞留挙動を評価した。さらに、シミュレーションにより捕捉エネルギーを評価した。実験結果から、中性子のエネルギー分布により形成される欠陥種が異なり、14MeV中性子による照射欠陥はFe照射に比べ低損傷量から安定な重水素捕捉サイトを形成するが、核分裂反応中性子は低エネルギーの捕捉サイトのみ形成された可能性が示唆された。