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論文

Effects of low- and high-LET radiation on the salt chemotaxis learning in ${it Caenorhabditis elegans}$

坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 浜田 信行*; 下澤 容子; 深本 花菜*; 横田 裕一郎; 楚良 桜*; 柿崎 竹彦*; 和田 成一*; 舟山 知夫; et al.

Biological Sciences in Space, 26, p.21 - 25, 2012/10

神経系のモデル生物として知られる線虫を用いて、化学走性学習に対する低LET及び高LET放射線の影響について調べた。また、野生型及び${it gpc-1}$変異体の結果を比較した。高LET炭素線($$^{12}$$C, 18.3MeV/u, LET=113keV/$$mu$$m)及び$$^{60}$$Co $$gamma$$線照射実験を行った結果、学習後期よりも初期の影響が大きい傾向及び${it gpc-1}$変異体で応答が消失する点は両放射線で同じであった。以上の結果から、化学走性学習に関して低LET及び高LET放射線の両放射線とも影響を与えること、及びその作用メカニズムには${it gpc-1}$遺伝子が関与していることが示唆された。

論文

Behavioral resistance of ${it Caenorhabditis elegans}$ against high-LET radiation exposure

坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 浜田 信行*; 下澤 容子; 深本 花菜*; 横田 裕一郎; 楚良 桜*; 柿崎 竹彦*; 和田 成一*; 舟山 知夫; et al.

Biological Sciences in Space, 26, p.7 - 11, 2012/07

本論文では神経系のモデル生物として知られる線虫を用いて、運動と化学走性に対する高LET放射線耐性について調べた。また、放射線耐性の比較対象として孵化率を同時に観察した。高LET炭素線($$^{12}$$C, 18.3MeV/u, LET=113keV/$$mu$$m)及び$$^{60}$$Co $$gamma$$線照射実験を行った結果、孵化率の生物学的効果比(Relative biological effectiveness: RBE)が4.5であるのに対して、運動と化学走性のRBEは、それぞれ1.4, 1.1であった。80%効果線量は、9.2Gy(孵化率), 272Gy(運動), 899Gy(化学走性)であった。以上の結果から、線虫の運動と化学走性は、孵化率と比較して顕著に高LET放射線に耐性であることが明らかになった。また、運動と化学走性に対する放射線照射効果の機序が、孵化率に対する機序とは異なることが予想された。

論文

Heavy ion irradiation induces autophagy in irradiated C2C12 myoblasts and their bystander cells

日野 瑞城*; 浜田 信行*; 多鹿 友喜*; 舟山 知夫; 森村 吉博*; 坂下 哲哉; 横田 裕一郎; 深本 花菜*; 武藤 泰子; 小林 泰彦; et al.

Journal of Electron Microscopy, 59(6), p.495 - 501, 2010/12

 被引用回数:15 パーセンタイル:62.06(Microscopy)

Autophagy is one of the major processes involved in the degradation of intracellular materials. Here, we examined the potential impact of heavy ion irradiation on the induction of autophagy in irradiated C2C12 mouse myoblasts and their non-targeted bystander cells. In irradiated cells, ultrastructural analysis revealed the accumulation of autophagic structures at various stages of autophagy (i.e. phagophores, autophagosomes and autolysosomes) within 20 min after irradiation. Multivesicular bodies (MVBs) and autolysosomes containing MVBs (amphisomes) were also observed. Heavy ion irradiation increased the staining of microtubule-associated protein 1 light chain 3 and LysoTracker Red (LTR). Such enhanced staining was suppressed by an autophagy inhibitor 3-methyladenine. In addition to irradiated cells, bystander cells were also positive with LTR staining. Altogether, these results suggest that heavy ion irradiation induces autophagy not only in irradiated myoblasts but also in their bystander cells.

論文

Targeted heavy-ion microbeam irradiation of the embryo but not yolk in the diapause-terminated egg of the silkworm, ${it Bombyx mori}$, induces the somatic mutation

古澤 壽治*; 深本 花菜*; 坂下 哲哉; 鈴木 英子*; 柿崎 竹彦*; 浜田 信行*; 舟山 知夫; 鈴木 ひろみ*; 石岡 憲昭*; 和田 成一*; et al.

Journal of Radiation Research, 50(4), p.371 - 375, 2009/07

 被引用回数:8 パーセンタイル:32.13(Biology)

カイコの休眠覚醒させた卵を用いて、胚と卵黄への重イオンマイクロビーム照射の体細胞突然変異に与える影響を調べた。その結果、卵黄への照射は、5齢幼虫に成長した段階での体細胞突然変異を増加させないが、胚への照射は線量依存的に体細胞突然変異を増加させることがわかった。これらの結果から、体細胞突然変異に関して卵黄への照射によるバイスタンダー効果がないことを明らかにした。

論文

Effects of ionizing radiation on locomotory behavior and mechanosensation in ${it Caenorhabditis elegans}$

鈴木 芳代; 坂下 哲哉; 簗瀬 澄乃*; 菊地 正博; 大庭 寛史; 東谷 篤志*; 浜田 信行*; 舟山 知夫; 深本 花菜; 辻 敏夫*; et al.

Journal of Radiation Research, 50(2), p.119 - 125, 2009/04

 被引用回数:8 パーセンタイル:29.65(Biology)

We examined the effects of ionizing radiation (IR) on locomotory behavior and mechanosensation using a model organism, the nematode ${it Caenorhabditis elegans}$. Bacterial mechanosensation in ${it C. elegans}$ induces the dopamine-mediated slowing of locomotion in the presence of bacteria (food), known as the basal slowing response. We previously reported an IR-induced reduction of locomotory rate in the absence of food. In the present study, we observed a similar IR-induced reduction of locomotory rate in the ${it cat-2}$ mutant, which is defective in bacterial mechanosensation. The dose response pattern of the locomotory rate in the presence of food was relatively flat in wild-type animals, but not in ${it cat-2}$ mutants. This suggests that the dopamine system, which is related to bacterial mechanosensation in ${it C. elegans}$, might have a dominant effect on locomotory rate in the presence of food, which masks the effects of other stimuli. Moreover, we found that the behavioral responses of hydrogen peroxide-exposed wild-type animals are similar to those of IR-exposed animals. Our findings suggest that the IR-induced reduction of locomotory rate in the absence of food is mediated by a different pathway from that for bacterial mechanosensation, at least partially through IR-produced hydrogen peroxide.

論文

Insufficient membrane fusion in dysferlin-deficient muscle fibers after heavy-ion irradiation

日野 瑞城*; 浜田 信行*; 多鹿 友喜*; 舟山 知夫; 森村 吉博*; 坂下 哲哉; 横田 裕一郎; 深本 花菜*; 小林 泰彦; 依藤 宏*

Cell Structure and Function, 34(1), p.11 - 15, 2009/03

 被引用回数:12 パーセンタイル:20.86(Cell Biology)

Recently, SJL/J mice have been used as an animal model in studies of dysferlinopathy, a spectrum of muscle diseases caused by defects in dysferlin protein. In this study we irradiated muscle fibers isolated from skeletal muscle of SJL/J mice with heavy-ion microbeam, and the ultrastructural changes were observed by electron microscopy. The plasma membrane of heavy-ion beam irradiated areas showed irregular protrusions and invaginations. Disruption of sarcomeric structures and the enhancement of autophagy were also observed. In addition, many vesicles of varying size and shape were seen to be accumulated just beneath the plasma membrane. This finding further supports the recent hypothesis that dysferlin functions as a membrane fusion protein in the wound healing system of plasma membrane, and that the defect in dysferlin causes insufficient membrane fusion resulting in accumulation of vesicles.

論文

重イオンマイクロビームを用いた生物学研究

小林 泰彦; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 坂下 哲哉; 横田 裕一郎; 深本 花菜; 鈴木 芳代; 田口 光正

放射線生物研究, 43(2), p.150 - 169, 2008/06

イオンビームをマイクロビーム化して体外から生物組織中の特定の組織,器官,細胞を狙って照射し、局部的に殺滅あるいは不活性化することが可能である。このようなラジオマイクロサージャリ技術は、特定の組織や器官を外科手術的に摘出する代わりに局部照射によって生体に引き起こされる影響を解析する、新しい生体機能解析法として利用できる。さらに、マイクロビームを用いて任意の標的に対して任意の個数の粒子(線量)を照射することによって、従来のランダムな照射方法で余儀なくされていた「平均値としての照射効果」の解析から脱却し、個々の細胞に対する真の放射線生物学的効果を追求することが可能となる。原子力機構・高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設(TIARA)の重イオンマイクロビーム細胞照射装置の概要と、本装置を用いて得られた研究成果を中心に、世界の重イオンマイクロビーム装置についてもあわせて紹介する。

論文

昆虫皮膚における創傷修復機構のモデル; シスト形成

深本 花菜

蚕糸・昆虫バイオテック, 77(1), p.17 - 18, 2008/04

昆虫にとって、創傷の修復は個体の生存に極めて重要である。しかしこのメカニズムに関しては、未だわかっていないことが多い。その原因として創傷部位においてメラニン形成など生理状態が複雑になり、観察が困難になることが挙げられる。そこで擬似的な創傷修復過程として、皮膚片をエビガラスズメ幼虫の個体内に移植し、その皮膚片がシストを形成するまでの過程を観察することにした。その結果皮膚片の真皮細胞の端だけではなく、広範囲にわたって一斉に分裂することでシストを形成することがわかった。すなわちこれまでは傷付近の真皮細胞のみが修復に参加すると考えられていたが、はるかに遠方の細胞にまで何らかのシグナルが伝達されることが示唆された。

論文

Food-NaCl associative learning in response of ${it C. elegans}$ to $$gamma$$-ray irradiation

坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 深本 花菜; 舟山 知夫; 和田 成一*; 小林 泰彦; 堀川 大樹*; Bolige, A.*

JAEA-Review 2007-060, JAEA Takasaki Annual Report 2006, P. 110, 2008/03

線虫のfood-NaCl連合学習(化学走性学習)に対する$$gamma$$照射効果について報告する。線虫には、本来、NaClに誘引される性質(化学走性)があるが、食物(大腸菌)がなくNaClを含んだ寒天培地上に線虫を数時間置くと化学走性が低下するように変化する。この食物とNaClとの間で成立する化学走性学習について、学習のさまざまな過程における$$gamma$$線被ばく後の化学走性の変化、及び他の誘引物質であるベンズアルデヒドに対する化学走性について調べた。その結果、学習前後においては何ら$$gamma$$照射の影響は認められないのに対して、学習中に被ばくをした場合には、照射直後の化学走性の低下及びその後の複雑な応答が生じることが明らかとなった。また、同時にベンズアルデヒドの化学走性について調べたが、何ら有意な変化は認められなかった。

論文

Influence of local irradiation with heavy-ion microbeam on the incidence of somatic mutation arising on the larvae in embryo and yolk in the egg of the silkworm, ${it Bombyx mori}$

古澤 壽治*; 鈴木 英子*; 長岡 俊治*; 鈴木 ひろみ*; 石岡 憲昭*; 浜田 信行*; 和田 成一*; 小林 泰彦; 坂下 哲哉; 柿崎 竹彦*; et al.

JAEA-Review 2007-060, JAEA Takasaki Annual Report 2006, P. 115, 2008/03

重イオンマイクロビームを用いて、カイコの体細胞突然変異が、照射部分のみに起こるのかそうでないかを調べた。非照射サンプルの突然変異発生頻度は、約12%であった。また、卵の中央部(胚が位置しない卵黄部分)に3Gyあるいは6Gy相当の炭素イオンマイクロビームを照射したサンプルも同程度の発生頻度であった。これに対して、卵の背側に位置する胚の尾部を含めた腹部にマイクロビームを照射したところ、3Gy照射では約63%, 6Gyの照射では約80%と発生頻度が増加した。卵黄部分への照射が未照射胚細胞へ影響を及ぼすことはなかった。

論文

Heavy-ion microbeam system at JAEA-Takasaki for microbeam biology

舟山 知夫; 和田 成一*; 横田 裕一郎; 深本 花菜; 坂下 哲哉; 田口 光正; 柿崎 竹彦*; 浜田 信行*; 鈴木 芳代; 古澤 佳也*; et al.

Journal of Radiation Research, 49(1), p.71 - 82, 2008/01

 被引用回数:46 パーセンタイル:78.79(Biology)

近年の放射線生物研究領域では、細胞の低線量放射線応答機構や、放射線誘発バイスタンダー効果の分子機構,生物学的イオントラック構造などの解明が大きな課題となっているが、これらの問題の解決には、マイクロビームによる生物試料の局部照準照射が有効である。原子力機構高崎量子応用研究所の生物照射用重イオンマイクロビームシステムは、大気中でさまざまな生物試料に局部照準照射を実現することができるシステムである。このシステムは、放射線生物研究領域で課題となっているさまざまな生物応答現象の機構解明に役立つのみならず、生理学,発生学,神経生物学などの広範な生物領域における問題を解決することができるため、広く「マイクロビーム生物学」と呼べる研究領域の創成に貢献するだろう。

論文

Development of the irradiation method for the first instar silkworm larvae using locally targeted heavy-ion microbeam

深本 花菜; 白井 孝治*; 佐方 敏之*; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 和田 成一*; 柿崎 竹彦; 志村 幸子*; 小林 泰彦; et al.

Journal of Radiation Research, 48(3), p.247 - 253, 2007/05

 被引用回数:17 パーセンタイル:47.82(Biology)

本研究では、これまで不可能だった孵化直後の蚕幼虫に対する重イオンビームの局所的な照射方法を新たに開発し、特徴的な皮膚形態の発現過程に介入することによって、発生・変態時における形質発現過程をラジオマイクロサージャリ技術を用いて解析することを可能にした。具体的には、幼虫の大きさの穴を開けた薄いアルミニウムプレート内に虫を入れ、上下をフィルムで挟むことによって固定し、体長約2mmの孵化直後幼虫の特定部位に重イオンマイクロビームを局部照射する方法を考案した。この方法を用いて、蚕の突然変異の一系統であるコブ突然変異個体のコブ形成予定領域に対して照射を行った。この幼虫は4齢頃になると斑紋部がコブ状に突出するが、孵化直後にはまだ形成していない。照射後の幼虫を飼育したところ炭素イオン250Gyの以上の線量で、半数以上の幼虫のコブが欠失した。また、120Gyでは5.6%の幼虫にのみコブの欠失が認められたことから、コブ欠失の閾値が120Gyと250Gyの間にあることが示唆された。今回新たに可能になった孵化幼虫への局部照射法は、発生・変態時におけるさまざまな組織を対象とした研究に役立つと考えられる。

論文

Bystander effect studies using heavy-ion microbeam

小林 泰彦; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 古澤 佳也*; 和田 成一*; 横田 裕一郎; 柿崎 竹彦; 浜田 信行*; 原 孝光*; 深本 花菜; et al.

JAEA-Conf 2007-002, p.28 - 35, 2007/02

放射線の生物作用は、生体分子に対する局所的なエネルギー付与、すなわち空間的にも時間的にも離散的な物理的相互作用の過程から始まる。そのため低線量(低フルエンス)被曝においては、照射された細胞と非照射の細胞が試料中に混在することになる。したがって、照射細胞における直接の放射線障害だけでなく、照射細胞と非照射細胞が互いに影響を及ぼし合う過程を定量的に解析することが、放射線適応応答やホルミシス効果など低線量域放射線に特有の生体応答を解明する鍵となる。そこでわれわれは、TIARA(高崎研イオン照射研究施設)の重イオンマイクロビームを用いて個別の細胞を狙って正確な個数の重イオンを照射し、その影響を長時間追跡観察するシステムを開発した。重イオンマイクロビームを用いて照射細胞と非照射細胞を明確に区別して個々の細胞の放射線応答を解析することが可能な本照射実験システムの概要を紹介するとともに、バイスタンダー効果の分子機構に関する最近の研究成果を報告する。

論文

Regeneration mechanism of hemopoietic organs in the silkworm, ${it Bombyx mori}$, after heavy-ion irradiation; Analysis by transplantation of the irradiated organs using a transgenic silkworm strain

木口 憲爾*; 白井 孝治*; 佐方 敏之*; 深本 花菜; 柿崎 竹彦; 和田 成一*; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 小林 泰彦

JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 117, 2007/02

これまでに、カイコ幼虫の造血器官に重イオンビームを照射して機能破壊すると、その後、高い確率で再生し再び血球を生成することを報告したが、そのメカニズムには不明な点が多い。造血器官の再生には、照射を免れた器官内の造血幹細胞,体液中を循環している造血幹細胞、あるいはその両方が関与する可能性がある。そこで、重イオン照射を受けた造血器官の再生に関与する血球の由来を明らかにするため、オワンクラゲ緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を組み込んだトランスジェニックカイコ体内への重イオン照射造血器官の移植実験を行った結果、重イオン照射造血器官の再生に体液中の循環血球が関与することが示唆された。

論文

Process of ${it in vivo}$ cyst formation from the implanted larval integument in the sweet potato hornworm, ${it Agrius convolvuli}$; A Simple model for studying wound healing

深本 花菜; 白井 孝治*; 佐藤 茂*; 金勝 廉介*; 木口 憲爾*; 小林 泰彦

Journal of Insect Biotechnology and Sericology, 75(3), p.99 - 106, 2006/10

昆虫の体内に、別の幼虫から採取した皮膚片を、真皮細胞層を外側にして半分に折りたたみ移植すると、その後移植された真皮細胞の端が互いに癒着し内側にクチクラを分泌して、シストと呼ばれる真皮細胞の球を形成する。エビガラスズメ幼虫を用いて、経時的にシスト形成過程を光学顕微鏡並びに電子顕微鏡観察し、真皮細胞の検出のためにeCBP(epidermal carotenoid binding protein)を、真皮細胞のDNA合成の検出にはBrdUを使用した結果、シスト形成は大きく分けて五つの過程を経ることが明らかになった。(1)まず移植直後に皮膚の切断面に血球が集まり、(2)その後、それらの血球が細胞塊を形成する。(3)さらに切断面付近だけではなく比較的広範囲にわたって真皮細胞がDNA合成を行い、(4)前述の細胞塊の間を縫うようにして伸張する。(5)最後に、互いに伸張することで断絶部分が閉塞した真皮細胞から、内側に向かってクチクラを分泌する。この一連のシスト形成過程は、観察が容易であることや比較的単純な系であることなどから、創傷の治癒機構、特にダメージを受けた領域を閉塞する真皮細胞の伸張を詳細に研究するうえで非常に有用であると考えられる。

論文

Effects of heavy-ion irradiation on the differentiation of epidermal cells in the silkworm, ${it Bombyx mori}$

深本 花菜; 志村 幸子*; 白井 孝治*; 金勝 廉介*; 木口 憲爾*; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 小林 泰彦

Journal of Insect Biotechnology and Sericology, 75(3), p.107 - 114, 2006/10

カイコ幼虫の真皮細胞に重粒子線を照射した後の分化過程への影響を調査した。5齢一日目のカイコ幼虫に400Gy相当の炭素イオンを照射しても形態上の変化は観察されず、TUNEL法によるアポトーシス細胞の検出頻度も対照と同程度であったが、成虫になると照射領域で鱗毛の欠失が生じた。光学顕微鏡及び電子顕微鏡による観察で、照射領域の真皮細胞は成虫のクチクラを正常に分泌できるが、成虫鱗毛を形成するための細胞(ソケット細胞,生鱗細胞)への分化抑制や、コブ形成阻害が観察された。これは照射後に真皮細胞の分裂が阻害されることによると考えられた。

論文

Regeneration of hemopoietic organs in the silkworm, ${it bombyx mori}$, after locally targeted irradiation with heavy ion beams

Ling, E.*; 深本 花菜*; Xu, S.*; 白井 孝治*; 金勝 廉介*; 小林 泰彦; Tu, Z.; 舟山 知夫; 渡辺 宏; 木口 憲爾*

Journal of Insect Biotechnology and Sericology, 72(2), p.95 - 100, 2003/09

家蚕4齢幼虫の造血器官に重イオンビームを局部照射した後に組織を観察すると、照射個体の5齢初期では造血器官内の多くの細胞がネクローシス様の異常形態を示し、造血器官を包む無細胞性の被膜組織が消失するが、5齢後期では器官内部が再び多くの血球細胞で満たされる。これは、重イオン照射によって傷害を受けた造血器官がその後の発育過程で再生することを示している。

口頭

ヒト正常二倍体細胞における放射線誘発遅延的増殖死のLET依存性

浜田 信行*; 原 孝光*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 和田 成一*; 柿崎 竹彦; 鈴木 芳代; 深本 花菜; 小林 泰彦

no journal, , 

放射線照射生存子孫細胞において遅延的に増殖死が引き起こされることが知られているが、そのLET依存性は解明されていない。そこで、本研究では、高密度接触阻害培養したヒト正常二倍体線維芽細胞AG01522に$$^{60}$$Co$$gamma$$線(0.2keV/$$mu$$m)及び6種のイオンビーム(16.2-1610keV/$$mu$$m)を照射し、1次及び2次コロニーを形成させ、2次コロニー形成能の喪失を指標として、遅延的細胞増殖死のLET依存性を明らかにすることを目的とした。1次コロニー及び2次コロニーにおいて、$$gamma$$線の一定の生存線量に対するRBEは、ともに100keV/$$mu$$m近傍で最大となったことから、遅延的増殖死にもLET依存性があることがわかった。その一方、1次コロニーでの10%生存線量における2次コロニーの生存率は、LETによらず一定であったことから、遅延的増殖死の起因は1次コロニー形成期間に固定される可能性が考えられる。

口頭

重イオン照射造血器官の再生機構; トランスジェニックカイコを用いた造血器官移植実験による解析

佐方 敏之*; 白井 孝治*; 木口 憲爾*; 深本 花菜; 柿崎 竹彦; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 小林 泰彦

no journal, , 

これまでに、カイコ幼虫の造血器官に重イオンビームを照射して機能破壊すると、その後、高い確率で再生し再び血球を生成することを報告したが、そのメカニズムには不明な点が多い。造血器官の再生には、(1)照射を免れた器官内の造血幹細胞,(2)体液中を循環している造血幹細胞,(3)あるいはその両方、が関与する可能性がある。そこで、重イオン照射をうけた造血器官の再生に関与する血球の由来を明らかにするため、オワンクラゲ緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を組み込んだトランスジェニックカイコ体内への重イオン照射造血器官の移植実験を行った結果、重イオン照射造血器官の再生に体液中の循環血球が関与することが示唆された。

口頭

Inhibition of abnormal proliferation of epidermal cells in the knobbed mutant silkworm larva by the heavy-ion microbeam irradiation

深本 花菜; 佐方 敏之*; 白井 孝治*; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 和田 成一*; 浜田 信行*; 柿崎 竹彦; 原 孝光*; 鈴木 芳代*; et al.

no journal, , 

蚕は、発生及び細胞分化を研究するための良い実験材料である。蚕のコブ突然変異${it K}$は幼虫背面の斑紋が瘤状に突出する。現在、コブの主な原因は真皮細胞が異常分裂して局所的に多層になるためと考えられるが、コブの形成時期など、不明な点が多い。発表者らがこれまでに行った蚕4齢幼虫のコブ形成領域への重イオン局部照射によって、この形質の顕著な抑制は認められなかった。そこで、外見上コブが形成されていない、孵化直後の幼虫への重粒子線局部照射を行い、コブ形質発現の抑制の有無を調べた。まず孵化幼虫の特定領域に限定して照射するため、孵化幼虫サイズの穴を多数有するアルミ板を作成し、その穴に孵化幼虫を入れ上下面にOHPフィルムを貼ることで、幼虫の動きを抑制した。孵化幼虫の、コブが将来形成される領域に炭素イオンマイクロビーム照射を行ったところ、コブ形質発現の消失が認められる個体は全照射個体の7割以上であった。またコブ消失部位では真皮細胞の異常分裂が抑制され、正常蚕の真皮細胞層と同じ1層のままであった。これらの結果から、コブ形質の発現及び形成が孵化直後には未だ完了していないことが明らかになった。

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