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笠木 治郎太*; 山崎 寛仁*; Galster, W.*; 斉藤 明子*; 原田 秀郎; 古高 和禎; Shcherbakov, O.
JNC TY8400 2002-002, 64 Pages, 2002/05
原子炉を利用した超ウラン核廃棄物の核変換システムを検討するためには、核変換システムの中性子経済を定量的に解析評価する必要がある。本解析評価の基礎基盤データとして、対象とする原子核の励起エネルギーに対する中性子放出数及びエネルギー分布に関する中性子データが不可欠である。しかしながら、従来比放射能の高い原子核に対して中性子データの測定は困難であった。そこで、本研究では、原子核に中性子を照射するのではなく、線を照射することにより原子核を励起し、励起状態から放出される中性子の多重度(放出数)を測定するための技術開発を行った。中性子検出系としては、同軸型中性子検出器を用い、中性子発生数及び中性子多重度測定法の開発を目指した。本検出器は、24本の3He比例計数管を用いて熱中性子を検出するものである。252Cf線源とモンテカルロシミュレーションにより検出系の最適化を行い、減速材ポリエチレン600mmで取り囲むよう改良を加えた。Pb(,xn)反応を用いた測定を、東北大学原子核理学研究施設で実施した。標識化線発生用実験コースを整備することにより、中性子発生数及び多重度を、原子核の励起エネルギーの関数として測定した。データ収集系としては、デジタルオシロスコープを用いて信号波形の情報をデータ収集用計算器に取り込むという新たな方法を開発した。鉛サンプルを用いた測定の結果、線入射から中性子が検出されるまでの時間分布、中性子収量の原子核励起エネルギー依存性、及び中性子検出器ヒット数の分布といった本検出システムの性能評価のために必要となる物理量が得られた。中性子の発生量が、中性子放出数毎に、原子核の励起エネルギーの関数として示され、本手法により、中性子の発生量を原子核の励起エネルギーの関数として定量的に測定可能であることが示された。しかしながら、中性子の多重度に関しては、詳細な解析と理論との比較によるさらなる検討の必要性が示された。