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大久保 綾子; 小畑 元*; 蒲生 俊敬*; 山田 正俊*
Earth and Planetary Science Letters, 339-340, p.139 - 150, 2012/07
被引用回数:38 パーセンタイル:71.42(Geochemistry & Geophysics)Th-U放射非平衡についてのモデル計算とThの分布から、海洋環境中の微量元素の物質循環を調査した。北太平洋におけるThの分布については、モデルによる解析が確立しているが、実測した結果、深層において、これまでの知見にない著しい濃度の欠損をとらえた。海底付近でのThの除去過程と複雑な海底地形で生じる物理混合によって、低いTh濃度の海水が拡散したと考えられた。
大久保 綾子; 小畑 元*; 蒲生 俊敬*; 山田 正俊*
no journal, ,
太平洋中緯度について、Thの分布を観測した。分布の東西断面図を見ると、東経170度及び西経110度付近に強い勾配が見られた。Thの平均滞留時間を考慮すると、深度2000mから4000m及び4000mから海底までの層では、拡散による影響が及ぶ範囲は、それぞれ1100から1400km、400から700kmまでと推定される。この結果から、拡散によるThの輸送は各観測点どうしの分布には影響しないと考えられた。
小畑 元*; 三輪 一爾*; 近藤 能子*; 蒲生 俊敬*; 乙坂 重嘉; 鈴木 崇史
no journal, ,
北極域は、人為的な環境変化による影響を受けやすいことが知られている。本研究では、北極域の縁辺海であるチュクチ海及びベーリング海において、海水中のヨウ素濃度分布を化学種(ヨウ素酸イオン, ヨウ化物イオン, 有機態ヨウ素)別に調査し、これらの海域へのヨウ素の供給経路について解析した。加えて、人為起源ヨウ素の分布を明らかにするために、海水中のI濃度分布を調査した。多くの観測点で、海水中のヨウ素濃度は海底付近で増加傾向を示した。この傾向はヨウ化物イオンや有機態ヨウ素で顕著で、これらの化学種が大陸棚の海底から溶出していることがわかった。海水中のI濃度は、0.82.910 atom/Lの範囲であった。この濃度は北太平洋における濃度の数倍であり、北大西洋からの海水の流入を示す顕著な濃度増加は見られなかった。調査海域が高緯度であることを考慮すると、本研究で観測されたIは欧州を起源とするIが大気経由で沈着したものと推測された。