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松谷 悠佑; McMahon, S. J.*; Ghita, M.*; 吉井 勇治*; 佐藤 達彦; 伊達 広行*; Prise, K. M.*
Scientific Reports (Internet), 9(1), p.9483_1 - 9483_12, 2019/07
被引用回数:13 パーセンタイル:65.07(Multidisciplinary Sciences)放射線治療において、強度変調放射線場と複雑な線量伝達を使用して腫瘍へ高線量を処方する。しかしながら、それらを組み合わせた照射中の細胞応答は未だ明らかになっていない。そこで、強度変調放射線場が放射線感受性と照射中の回復に与える影響を解析した。先ず、培養細胞を含む培養フラスコの50%(半照射野)もしくは100%(全照射野)の面積に照射を行った。また、線量率と細胞間シグナルの両効果を考慮した細胞死を表現しうるモデルを構築した。その結果、(i)同吸収線量被ばく時の全照射野被ばくと比較し、半照射野被ばく時の照射野内細胞は高い生存率を示し、(ii)半照射野下におけるヒト正常皮膚線維芽細胞の亜致死損傷 回復の重要度が低減することが分かった。さらに、(iii)半照射野時の生存率の増加はレスキュー効果(修復の増加)ではなく防御効果(初期DNA損傷生成率の低減)に起因する知見を得た。これらの知見は、不均一被ばく後の照射細胞と非照射細胞に対する放射線感受性の新たな理解に貢献するものである。
松谷 悠佑; McMahon, S.*; Ghita, M.*; 佐藤 達彦; 吉井 勇治*; 甲斐 健師; 伊達 広行*; Prise, K.*
no journal, ,
現在の放射線療法(例、IMRT, VMAT, サイバーナイフ等)で用いられる不均一照射下では、細胞間シグナル効果ならびに照射中のDNA修復が、細胞生存率の増加(放射線抵抗性)を誘導する重要な役割を果たす。しかしながら、不均一照射時に誘導される放射線抵抗性の根本的なメカニズムは未だ解明されていない。本研究では、不均一照射が放射線照射後の細胞生存率に与える影響を解明するため、細胞実験と開発した放射線感受性モデルを用いた解析により、DNA主鎖切断率と細胞生存率の関係を評価した。細胞実験においては、培養細胞を含む培養皿の50%の面積に対してX線照射(半照射)を行った。また、モデル開発においては、線量率効果と細胞間シグナル効果を考慮した細胞応答をモデル化した。実験との比較の結果、不均一照射が、照射細胞における初期のDNA損傷生成率を減少させ、細胞生存率の増加を誘導する一方、照射時間中の細胞回復効果(線量率効果)の重要性が低下する知見を得た。本研究により、不均一照射下では、初期の防御応答により、照射細胞において放射線抵抗性が誘導されることが示された。