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論文

Study on the specifications of the basic core configurations of the modified STACY

郡司 智; 荒木 祥平; 井澤 一彦; 須山 賢也

Annals of Nuclear Energy, 209, p.110783_1 - 110783_7, 2024/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)

燃料デブリの組成や性状は不確実であるため、臨界安全性評価に使用される計算コードや核データを検証するには臨界実験が必要である。このため、原子力機構は、臨界集合体STACYの改造を行っている。STACY更新炉の初臨界は2024年春に予定されている。本稿では、STACY更新炉の初臨界時の基本炉心構成仕様の特性について事前解析の結果を報告する。初臨界時には中性子減速条件の異なる2種類の格子板(格子間隔は1.50cmと1.27cm)を用意される。一方で、利用可能なUO$$_{2}$$燃料棒の数には制限がある。これらの実験的制約を満たす最初の臨界のための炉心構成は、計算解析によって設計された。最適減速条件に近い1.50cmピッチの格子板を備えた円柱形の炉心構成では、臨界に達するには253本の燃料棒が必要となる。1.27cmピッチの格子板については、ピッチを2倍にして2.54cmピッチの炉心構成を検討した。この場合、臨界に達するには213本の燃料棒が必要となる。さらに、燃料デブリの様態をシミュレートするために、鉄またはコンクリート模擬棒を使用した実験炉心構成についても検討した。本稿では、これらの炉心構成と炉心特性の解析結果を示す。

報告書

Proceedings of the 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023); October 1-6, 2023, Sendai International Center, Sendai, Miyagi, Japan

須山 賢也; 郡司 智; 渡邉 友章; 荒木 祥平; 福田 航大; 島田 和弥; 藤田 達也; 植木 太郎; Nguyen, H.

JAEA-Conf 2024-001, 40 Pages, 2024/07

JAEA-Conf-2024-001.pdf:1.28MB
JAEA-Conf-2024-001-appendix(CD-ROM).zip:163.97MB

第12回臨界安全性国際会議(ICNC2023)は2023年10月1日から10月6日に仙台国際センター(〒980-0856宮城県仙台市青葉区青葉山)において、日本原子力研究開発機構(原子力機構)の主催、日本原子力学会炉物理部会と経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)の共催によって開催された。最終的に査読を通過した224件の発表と273名のテクニカルセッション参加登録があり、同伴者を含めた総登録数は289名であった。テクニカルツアーもi)東京電力福島第一原子力発電所及び中間貯蔵工事情報センター、ii)原子力機構原子力科学研究所(STACY更新炉及びFCA)、iii)東北大学ナノテラス(放射光施設)及び東北電力女川原子力発電所の3コースで実施された。会議の概要とともに、発表された論文で予稿集掲載に合意されたものを本報告書に取り纏めた。

論文

PHYSOR2024に参加して

郡司 智

炉物理の研究(インターネット), (77), 11 Pages, 2024/06

炉物理国際会議PHYSOR2024に参加し、会議の概要や感想等をまとめた。STACY更新炉におけるコンクリート模擬体を用いた実験に関する自発表の内容、質疑についてもあわせて示す。(本原稿は日本原子力学会炉物理部会編集小委員会からの執筆依頼に基づくものである)

論文

Production rates of long-lived radionuclides $$^{10}$$Be and $$^{26}$$Al under direct muon-induced spallation in granite quartz and its implications for past high-energy cosmic ray fluxes

櫻井 敬久*; 紅林 泰*; 鈴木 颯一郎*; 堀内 一穂*; 高橋 唯*; 堂下 典弘*; 菊地 聡*; 門叶 冬樹*; 岩田 尚能*; 田島 靖*; et al.

Physical Review D, 109(10), p.102005_1 - 102005_18, 2024/05

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Astronomy & Astrophysics)

銀河宇宙線の永年変化は銀河の活動に密接に関係しており、局所的な銀河磁場・星間雲・超新星残骸の近くの環境が反映される。高エネルギー銀河宇宙線によって大気中で生成される高エネルギーミューオンは、深い地層まで透過し、岩石中に放射性同位体を生成する。$$^{10}$$Beや$$^{26}$$Alのような長寿命の放射性核種は岩石中に蓄積されるため、高エネルギーミューオンの収量の長期変動、ひいては数百万年間の高エネルギー銀河宇宙線(GCR)の長期変動の調査に利用できる。本研究では、CERN SPSのCOMPASS実験ラインにて、160GeV/cの正ミューオンを合成石英プレートと花崗岩コアに照射して、岩石中の$$^{10}$$Beと$$^{26}$$Alの生成断面積を測定した。更に、ミューオンが直接起こす核破砕反応とミューオンが生成した二次粒子が引き起こす反応が、岩石中での長寿命核種の生成にそれぞれどの程度寄与するかを明らかにした。

論文

Critical experiment plans on the new STACY to clarify the criticality characteristics of the molten core-concrete interaction products

郡司 智; 荒木 祥平; 井澤 一彦; 須山 賢也

Proceedings of International Conference on Physics of Reactors (PHYSOR 2024) (Internet), p.227 - 236, 2024/04

東京電力福島第一原子力発電所事故では大量の燃料デブリが発生したと考えられている。特に、溶融炉心-コンクリート相互作用(MCCI)の生成物であるコンクリート成分を含む燃料デブリの臨界特性はこれまで十分に調査されていない。本研究では、コンクリートを含む模擬燃料デブリ試料を用いた臨界集合体での臨界実験を計画するため、コンクリート成分におけるSi断面およびCa断面の実効増倍率に対する感度を、試作試料の元素分析に基づき計算解析を用いて評価した。これらの感度計算は、試料の装荷方法および組成ごとに実施・評価された。我々は、$$^{40}$$Ca捕捉反応の感度のエネルギープロファイルに注目し、試料組成や中性子減速条件によって感度エネルギープロファイルの形状が変化することを確認した。異なる実験ケースで得られた感度の傾向を明らかにすることで、各実験法の特徴を知見として得た。試料中のコンクリートの量を増やし、実験炉心構成における中性子減速条件を変更した場合にも、同様に感度エネルギープロファイルの形状に変化が生じることがわかった。この結果は、核分裂性物質を含まないコンクリート試料を用いた実施可能な臨界実験により、MCCI製品の核的特性を再現できる可能性を示す。

論文

Debris-simulated core analysis under fuel procurement constraints in new STACY experiments

荒木 祥平; 郡司 智; 新垣 優; 吉川 智輝; 村上 貴彦; 小林 冬実; 井澤 一彦; 須山 賢也

Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 8 Pages, 2023/10

福島第一原子力発電所で発生した燃料デブリの臨界管理に資するため、STACY更新炉においてデブリ模擬炉心の検討を進めている。燃料輸送の問題から実験に利用可能な燃料棒本数に制限がある中で、低減速条件の炉心を構成するため、テスト領域とドライバ領域からなる2領域炉心を検討した。中性子スペクトル及びコンクリート模擬体を装荷した際の感度をMCNPとENDF/B-VIIを用いて計算した。テスト領域が17$$times$$17の炉心は13$$times$$13サイズの領域において低減速条件のスペクトルをRMSPEが5%以下で模擬できることを明らかにした。

論文

Study on the basic core analysis of the new STACY

郡司 智; 吉川 智輝; 荒木 祥平; 井澤 一彦; 須山 賢也

Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 8 Pages, 2023/10

燃料デブリの組成や特性は不確かであるため、安全評価に用いる計算コードや核データの妥当性を検証するための臨界実験が必要である。このため、原子力機構は「STACY」と呼ばれる臨界実験装置の更新改造を進めてきた。新STACYの初臨界は、2024年春に予定されている。本論文では、新STACYの初臨界時の炉心構成について検討した結果を報告する。初臨界時には、中性子減速条件の異なる2組の格子板(間隔は1.50cmと1.27cm)が用意される。しかし、使用可能なUO$$_{2}$$燃料棒の本数には400本までの制限がある。また、初臨界の臨界水高さを95cm程度に設定したい。これは、アルミニウム合金製の中間格子板(高さ約98cm)の有する反応度影響を回避するためである。この条件を満たす初臨界の炉心配置を計算機解析で構築した。最適な減速条件に近い1.50cmの格子板を用いた正方形の炉心構成では、臨界に達するまでに261本の燃料棒が必要である。1.27cmの格子板については、1.80cm間隔で市松模様に燃料棒を配置した2つの炉心配置を検討した。一つは1.27cmと1.80cmの2つの領域を持つ炉心配置で、もう一つは1.80cmのみの炉心配置である。臨界に必要な燃料棒は、それぞれ341本と201本である。本論文では、これら3つの炉心構成とその計算モデルについて示す。

論文

Inter-codes and nuclear data comparison under collaboration works between IRSN and JAEA

郡司 智; 荒木 祥平; 渡邉 友章; Fernex, F.*; Leclaire, N.*; Bardelay, A.*; 須山 賢也

Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 9 Pages, 2023/10

フランス放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)と日本原子力研究開発機構(JAEA)は、臨界安全分野において長年のパートナーシップを築いている。今回の共同研究でIRSNとJAEAは、JAEAが更新する新しい臨界実験装置STACYを用いた共同実験を計画している。STACY実験の計画で両機関が使用するコード(MVP3, MORET6など)や核データ(JENDL, JEFF)を比較するため、両機関がかつて所有していた臨界集合体であるApparatus BとTCAのICSBEPハンドブックからのベンチマーク、新しいSTACYの計算モデルについて計算結果の比較が実施された。新STACYの計算モデルを含め、数種類の中性子減速条件と臨界水高さを含む計算を行い、その計算結果には、核データライブラリの処理や形式に起因すると思われるわずかな系統的な差異があった。しかし、新しいコードと新しい核データを含む計算結果は、概して実験値とよく一致することがわかった。したがって、双方の有する計算ツールを新STACYの実験設計に利用することに問題はない。加えて、JENDL-5に含まれる新しいTSLデータが実効増倍率に与える影響についても計算解析で調査した。これらの計算結果に対する実験的検証は、両研究機関共同による新STACYの臨界実験によって行われる予定である。

論文

Planning of the debris-simulated critical experiments on the new STACY

郡司 智; 荒木 祥平; 新垣 優; 井澤 一彦; 須山 賢也

Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 9 Pages, 2023/10

原子力機構は、東京電力福島第一原子力発電所の事故で発生した燃料デブリの臨界特性の解析結果を検証するために、STACYと呼ばれる臨界集合体を溶液体系から軽水減速非均質体系に更新している。燃料デブリの組成や特性を実験的に模擬するために、特定の中性子減速条件を作る格子板や、棒状のコンクリートやステンレス鋼材を複数用意する予定である。これらの装置や材料を用いて、燃料デブリの臨界特性を評価する実験が予定されている。この一連のSTACY実験では、燃料デブリを模擬した試料の反応度測定、コンクリートやステンレス鋼などの構造材を含む炉心構成の臨界量測定、それらの配置が不均一になった場合の臨界量変化などが含まれている。さらに、燃料デブリの落下を静的に模擬した2つの分割炉心実験と、部分的に異なる中性子減速条件での未臨界測定実験などを予定している。これらの実験計画は、いくつかの実験的制約を考慮して検討された。本論文では、これらの実験のスケジュール、最適化された炉心構成の計算結果、及び各実験で期待される結果について示す。

論文

Preliminary analyses of modified STACY core configuration using serpent with JENDL-5

川口 真穂*; 柴 茂樹*; 岩橋 大希*; 大川 剛*; 郡司 智; 井澤 一彦; 須山 賢也

Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 8 Pages, 2023/10

原子力規制委員会は、2014年から日本原子力研究開発機構(JAEA)と共同で、福島第一原子力発電所事故で発生した燃料デブリの臨界性を評価するための実験的アプローチに取り組んでいる。その一環として、擬似燃料デブリの特性を評価する臨界実験を実施するため、原子力機構は臨界実験装置STACY(STAtic experiment Critical facilitY)を改良した。予備解析として、提案した炉心配置パターンについて、主要な核データライブラリを用いて臨界特性を検証した。3次元連続エネルギーモンテカルロ中性子・光子輸送コードSERPENT-V2.2.0と最新のJENDL-5を用いた。その結果、STACY更新炉の炉心配置パターン全てにおいてJENDL-5による中性子増倍率は、他のライブラリを使用した結果と比較して大きく評価された。また、JENDL-5の$$~{1}$$H散乱反応及び$$^{238}$$U核分裂反応断面積の感度係数は他のライブラリとは異なっていた。これらのライブラリとの比較から、JENDL-5の更新されたS($$alpha$$, $$beta$$)は、STACY更新炉の臨界特性の評価結果に影響を与える可能性があることがわかった。

論文

Study on criticality safety control of fuel debris for validation of methodology applied to the safety regulation

須山 賢也; 植木 太郎; 郡司 智; 渡邉 友章; 荒木 祥平; 福田 航大; 山根 祐一; 井澤 一彦; 長家 康展; 菊地 丈夫; et al.

Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 6 Pages, 2023/10

2011年の福島第一原子力発電所の事故により発生した燃料デブリの臨界安全性評価において採用される手法の妥当性を臨界実験で得られたデータに基づいて検証するため、NRAからの委託により原子力機構は2014年から関連研究開発プロジェクトを実施している。このプロジェクトにおいては、i)燃料デブリの臨界特性の網羅的計算とデータベース化(燃料デブリ臨界マップの開発)、ii)新しい連続エネルギーモンテカルロコードの開発、iii)臨界事故の評価、iv)臨界安全性評価手法の検証実験のための臨界集合体STACYの改良などが行われている。前回のICNC2019以降、本プロジェクトは2024年5月に正式運転を開始するSTACYの改造やパワースペクトルに準拠した空間ランダム分布を持つ物質の臨界計算に適したモンテカルロコード「Solomon」の開発で大きな進展があった。本発表では、この研究開発プロジェクトの全体像と各技術トピックの状況について紹介する。

論文

Validation of integrated thermal power measurement using solution fuel STACY experimental data for modified STACY performance test

荒木 祥平; 郡司 智; 新垣 優; 村上 貴彦; 吉川 智輝; 長谷川 健太; 多田 裕太; 井澤 一彦; 須山 賢也

Proceedings of 4th Reactor Physics Asia Conference (RPHA2023) (Internet), 4 Pages, 2023/10

STACY更新炉における熱出力校正試験に向けて、放射化箔を用いた積算出力の評価方法の妥当性を検証するため、溶液系STACYで測定された放射化実験データを用いて、積算出力を評価した。放射化法による評価結果と溶液系STACYにおいて出力評価に用いられていた核分裂生成物の測定による評価結果とを比較し両者がよく一致することを確認した。

論文

Development of experimental core configurations to clarify k$$_{eff}$$ variations by nonuniform core configurations

郡司 智; 荒木 祥平; 須山 賢也

Nuclear Science and Engineering, 197(8), p.2017 - 2029, 2023/08

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)

東京電力福島第一原子力発電所の事故で発生した燃料デブリには、非均質な組成だけでなく、不均一な組成も予想される。同様に原子炉容器内に残っている損傷した燃料集合体も一部の燃料棒が欠損しているため組成が不均一になっている。これらの不均一性は中性子増倍率の変化を引き起こす可能性がある。このような不均一性が中性子増倍率に及ぼす影響を計算により明らかにして、臨界管理に用いる計算の実験的検証の可能性を検討する。本研究では、日本原子力研究開発機構の新臨界集合体STACYにおいて、ウラン酸化物燃料棒,コンクリート棒,ステンレス鋼棒を不均一に配置した複数の炉心構成の臨界効果を調べ、ベンチマーク化の可能性を確認した。これらの配置の違いによって、中性子増倍率は1$以上変化し、局所的な中性子減速条件の変化と特定の部材のクラスター化がこの効果をもたらすことを確認した。さらに不均一配置のベンチマーク実験炉心の実現可能性も評価した。このような実験のベンチマークデータ化を実現できれば、計算コードの妥当性の検証、計算コードの検証、及び機械学習による臨界管理手法の開発に役立つと考えられる。

論文

Revision of the criticality safety handbook in light of the reality of the nuclear fuel cycle in Japan; With a view to transportation and storage of fuel debris

須山 賢也; 植木 太郎; 郡司 智; 渡邉 友章; 荒木 祥平; 福田 航大

Proceedings of 20th International Symposium on the Packaging and Transportation of Radioactive Materials (PATRAM22) (Internet), 5 Pages, 2023/06

1990年代以降計算機能力が向上して連続エネルギーモンテカルロコードが広く使用されるようになってから、どのような複雑な体系であっても必要なときに高精度な臨界計算が可能となり、臨界安全評価におけるハンドブック類の存在意義は大きく変化した。大量の計算をあらかじめ行ってデータを整理しておくことの価値は低下したため、1999年に第2版が公刊されて以降、過去四半世紀近く我が国では臨界安全ハンドブックの改訂は行われて来なかった。2011年に福島第一原子力発電所事故が発生した我が国では、複雑な構成元素を含む燃料デブリの輸送や貯蔵における臨界安全問題を取り扱う必要に迫られており、そのような複雑な物質の臨界安全管理のためのデータの整理が喫緊の課題となっている。また、燃焼度クレジットの分野では、事故の影響のために到達燃焼度の低い燃料集合体の輸送や貯蔵も課題となる。そして、連続エネルギーモンテカルロコードの入力となる核データは1990年代から数回改訂されてJENDL-5が2021年末から利用できるようになるなど、その取り入れも現場のニーズとして上がってきている。本報告では我が国における最新の臨界安全研究の概要と、輸送や貯蔵分野に適用することも可能な我が国における臨界安全ハンドブックの改訂計画について報告する。

論文

Preliminary analysis of randomized configuration patterns in modified STACY core

柴 茂樹*; 岩橋 大希*; 大川 剛*; 郡司 智; 井澤 一彦; 須山 賢也

Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 9 Pages, 2023/05

原子力規制委員会は2014年より日本原子力研究開発機構と共同して実際の燃料デブリを模擬した模擬燃料デブリの臨界性を判断するための実験に取り組んでいる。日本原子力研究開発機構は模擬燃料デブリの特性を解明することを目的とした燃料デブリを模擬した臨界実験を実施するためSTACY(STAtic experiment Critical facilitY)を改造した。そこでは3種類のSTACY更新炉の炉心構成が提案されている。STACY更新炉での臨界実験では、提案した炉心構成が溶融炉心-コンクリート相互作用デブリを代表するものかどうかを判断することが重要である。本研究では、擬似燃料デブリと減速材の体積比(V$$_{m}$$/V$$_{f}$$)を考慮した擬似燃料デブリ・モデルを構築し、SCALE6.2の感度及び不確かさ解析手法の実装のためのツール-指標及びパラメータ(Tools for Sensitivity and Uncertainty Analysis Methodology Implementation-Indices and Parameters: TSUNAMI-IP)を用いて、修正STACY炉心形状と疑似燃料デブリ・モデルの間の不確かさに基づく類似性値(C$$_k$$)の算出を行った。その結果、我々が提案したSTACY更新炉の炉心に装荷される構造材棒は、V$$_{m}$$/V$$_{f}$$値を通じて疑似燃料デブリ模型と高い類似性を持つことが示された。C$$_k$$値への主な寄与は、極めて高いコンクリート成分を含む疑似燃料デブリモデルを除き、$$^{235}$$U $$bar{nu}$$, $$^{235}$$U $$chi$$, $$^{56}$$Fe (n,$$gamma$$)であった。

論文

Evaluation of critical experimental core configurations to simulate non-uniform fuel debris

郡司 智; 荒木 祥平; 須山 賢也; 井澤 一彦

Proceedings of International Conference on Physics of Reactors 2022 (PHYSOR 2022) (Internet), 10 Pages, 2022/05

燃料デブリには、非均質な組成だけでなく、不均一な組成も想定される。そのため、その臨界管理に用いられる計算方法を実験的に検証する必要がある。本研究では、燃料デブリを構成するウラン酸化物燃料棒,コンクリート棒及びステンレス鋼棒を不均一に配置した原子力機構の臨界集合体「STACY」の炉心構成を複数検討し、燃料デブリの不均一な状態を模擬した炉心構成について解析的に検証を行った。本論文では、異なる構成要素を持つ15$$times$$15の中央試験領域を持つSTACY炉心構成の4つのケースを示す。また、各ケースにおいて乱数に基づいて試験領域の配置パターンを100個作成し、その中性子実効増倍率を評価した。いずれの場合も、中央値が平均値よりも大きくなった。また、パターン変更により実効増倍率に1ドル以上の差があること、局所的な中性子減速条件を変更することで中性子スペクトルが大きく変化することが確認された。特に、熱中性子吸収量の増加により、局所的に水対燃料比の大きな中性子過減速領域が形成されると、実効増倍率が小さくなることを確認した。このような複数組成の不均一配置による臨界実験は、計算コードの妥当性を評価するために有用である。

論文

Criticality configuration design methodology applied to the design of fuel debris experiment in the new STACY

郡司 智; 外池 幸太郎; Clavel, J.-B.*; Duhamel, I.*

Journal of Nuclear Science and Technology, 58(1), p.51 - 61, 2021/01

 被引用回数:2 パーセンタイル:20.42(Nuclear Science & Technology)

新しい臨界実験装置STACY更新炉は、燃料デブリに関連する臨界計算の検証に貢献することができ、原子力機構(JAEA)と仏IRSNの共同研究として実験炉心設計が進行中である。この論文では、燃料デブリの溶融炉心コンクリート相互作用(MCCI)を模擬した模擬燃料デブリの臨界特性を測定するための新しいSTACYの炉心設計を最適化するために適用される方法を示す。炉心設計がコード検証に関連していることを確認するには、関心のある主要な同位体が持つ反応度価値と、断面積に対する実効増倍率k$$_{eff}$$の感度を評価することが重要である。この研究で説明されている燃料デブリの場合、特にそのコンクリート組成では、ケイ素が断面に対するk$$_{rm eff}$$感度が最も高くなる核種である。最適なアルゴリズムを使用して評価に最適な炉心設計を効率的に見つけ、ケイ素の捕獲断面積の高い感度を得るために、格子ピッチや炉心の寸法などのいくつかのパラメーターを調整した。これらの最適化手法の適用結果に基づいて、MCCIの興味深い感度フィードバックを得るための新しいSTACYでの燃料デブリの現実的な一連の実験を定義できた。この方法論は、新しいSTACYの他の実験条件を設計するのに役立てることができる。

論文

A New critical assembly: STACY

荒木 祥平; 郡司 智; 外池 幸太郎; 小林 冬実; 井澤 一彦; 小川 和彦

Proceedings of European Research Reactor Conference 2020 (RRFM 2020) (Internet), 7 Pages, 2020/10

原子力機構では、定常臨界実験装置STACYを更新することにより、ウラン燃料棒と軽水減速材で炉心を構成する新たな臨界実験装置を整備している。ウラン燃料棒はロシアのNCCP社で製造された。更新後、最初の実験キャンペーンとして、燃料デブリ模擬臨界実験を予定しており、そこで得られる実験データは、福島第一原子力発電所燃料デブリ取出しに係る臨界解析手法の検証に用いられる。STACY更新炉は汎用の臨界実験装置であり、軽水炉の炉心・燃料設計の高度化、臨界安全評価・管理の高度化、基礎的な炉物理研究、人材育成など、広い用途に供される。

論文

Design methodology for fuel debris experiment in the new STACY facility

郡司 智; Clavel, J.-B.*; 外池 幸太郎; Duhamel, I.*

Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC 2019) (Internet), 11 Pages, 2019/09

臨界実験施設STACY更新炉は、燃料デブリに関する臨界計算の検証に貢献することができる。実験炉心設計はJAEA/IRSNの共同研究で進行中である。本論文では、溶融炉心コンクリート相互作用(MCCI)デブリの擬似燃料デブリの臨界特性を測定するためのSTACY更新炉の実験炉心構成の設計を最適化するために適用した方法を示した。炉心構成がコード検証に資することを確認するために、模擬デブリに含まれる同位体の反応度価値と反応断面積に対するkeff感度を評価することが重要である。$$^{28}$$Siの捕獲反応の感度を最大化するために、例えば格子ピッチまたはコア寸法などのコア構成の複数のパラメータを最適化するアルゴリズムを使用して最適な炉心構成を効率的に研究した。

論文

Progress of criticality control study on fuel debris by Japan Atomic Energy Agency to support Secretariat of Nuclear Regulation Authority

外池 幸太郎; 渡邉 友章; 郡司 智; 山根 祐一; 長家 康展; 梅田 幹; 井澤 一彦; 小川 和彦

Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC 2019) (Internet), 9 Pages, 2019/09

福島第一原子力発電所の燃料デブリ取出しに係る臨界管理は、臨界を防止する決定論的な管理ではなく、臨界による影響を緩和するリスクの考え方に基づいた管理になる可能性がある。この課題に取り組むため、原子力規制委員会・規制庁は、2014年から、日本原子力研究開発機構に委託して研究開発を進めてきている。燃料デブリの臨界特性解析、臨界解析コードの整備、臨界実験の準備、リスク解析手法の開発の進捗について報告する。

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