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山本 春也; 箱田 照幸; 吉川 正人
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 129, 2015/03
白金(Pt),パラジウム(Pd)等は、有機水素化合物の脱水素触媒や高分子形燃料電池の酸素還元触媒などに用いられる触媒材料であり、高活性な触媒材料の研究開発を進めるためには、触媒反応過程を理解するとともに結晶方位を制御した高い結晶性のエピタキシャル膜が必要とされる。本研究では、サファイア単結晶基板上にスパッタリング法により成膜中の基板温度をパラメータとし、X線回折法及びラザフォード後方散乱(RBS)法により、作製した厚さ100nmのPt及びPdのエピタキシャル膜の結晶方位、深さ方向の結晶性を評価した。その結果、(0001)面のサファイア基板上に基板温度600C及び500CでPt及びPdを蒸着することにより結晶性の高いPt(111)膜及びPd(111)膜が形成できることがわかった。さらに、基板温度600Cでサファイア基板上に厚さ約1nmのPt(111)のバッファー層を設けることより、基板温度300CでAu(111)膜が形成できることがわかった。
山本 春也; 箱田 照幸; 宮下 敦巳; 吉川 正人
Materials Research Express (Internet), 2(2), p.026401_1 - 026401_8, 2015/02
被引用回数:4 パーセンタイル:13.94(Materials Science, Multidisciplinary)有機ハイドライド(シクロヘキサン等)は、水素を可逆的に放出・吸蔵できることから水素の貯蔵・輸送媒体として有望視されている。しかし、揮発した有機ハイドライドは、可燃性ガスであるため、漏洩する有機ハイドライドを安全に検知するセンサーの開発が求められている。本研究では、揮発した有機ハイドライドを光学的に検知できる材料の開発を目的に、反応性スパッタリング法を用いて石英基板上に三酸化タングステン膜を成膜時の基板温度(300550C)及び膜厚(2m)をパラメータに作製し、濃度5%のシクロヘキサンに対する着色特性を系統的に調べた。その結果、基板温度が400450Cで形成される(001)結晶配向した柱状構造から成る厚さ1m程度の三酸化タングステン膜が光学検知に適していることを明らかにした。
下山 巖; 箱田 照幸; 島田 明彦; 馬場 祐治
Carbon, 81, p.260 - 271, 2015/01
被引用回数:23 パーセンタイル:57.06(Chemistry, Physical)イオン注入法で作製したPドープグラファイトのドーパントサイトの局所構造と触媒活性との相関関係をX線吸収微細構造(NEXAFS)分光法と電気化学的手法により調べる。室温ドーピングを行った試料と高温でドーピングを行った試料はNEXAFSスペクトルの偏光依存性が異なり、高温ドーピングの試料はグラファイトのような明瞭な偏光依存性を示す。NEXAFSスペクトルを密度汎関数理論計算により解釈し、Pサイトの化学結合状態について考察する。また、酸水溶液を用いた電気化学測定において、偏光依存性の大きい試料は酸素還元反応の触媒活性をほとんど示さなかったが、偏光依存性の小さい試料では触媒活性を示す。このことはドーパントサイトの立体配置が触媒活性に影響することを示唆しており、曲面構造の導入が炭素系触媒設計において重要であるとの指針を与える。
箱田 照幸; 山本 春也; 有谷 博文*; 吉川 正人
JAEA-Review 2013-059, JAEA Takasaki Annual Report 2012, P. 127, 2014/03
放射線還元法は水中の貴金属イオンを還元析出させて微粒子を作製できる方法である。われわれは、これまでに試みられたことのなかった低エネルギー電子線を用いて、エタノールを含む水中の貴金属イオンの放射線還元を試行したところ、その水溶液表面に貴金属微粒子からなる薄膜が形成されることを初めて見いだした。本研究では、この薄膜の原子組成,生成量,化学組成をラザフォード後方散乱法で、その構造を電子顕微鏡により調べ、薄膜の形成条件、原子組成や構造の解明を目指した。1mmol/Lの塩化白金酸イオンとOHラジカル捕捉剤である0.5-20v%のエタノールを含む水溶液に、電子の水中飛程が20mの低エネルギー電子線を2kGy照射して得た薄膜を調べた結果、薄膜形成には低濃度エタノールが不可欠であった。また、得られた薄膜が2-5nmの金属Pt粒子が互いに接合して連なった網目状構造物であることが初めてわかった。このことから、低エネルギー電子線による放射線還元法が、蒸着法でしか形成できなかった薄膜状貴金属の新規作製法となる可能性があることがわかった。
山本 春也; 箱田 照幸; 吉川 正人
JAEA-Review 2013-059, JAEA Takasaki Annual Report 2012, P. 123, 2014/03
シクロヘキサンなどに代表される有機ハイドライドは、水素を可逆的に放出・吸蔵できることから水素の貯蔵・輸送媒体として有望視されている。しかし、揮発した有機ハイドライドは、可燃性ガスであるため、漏洩する有機ハイドライド及び水素を安全に検知するセンサーの開発が水素社会を実現するうえでの課題の一つとなっている。本研究では、揮発した有機ハイドライド及び水素を光学的に検知できるガスクロミック材料の開発を目的に、反応性スパッタリング法を用いて成膜中の石英基板温度(室温-400C)及び成膜後の熱処理温度(400C)をパラメータに三酸化モリブデン(MoO)膜を作製し、走査型電子顕微鏡観察, X線回折法,ラザフォード後方散乱法により薄膜試料の表面形態,結晶構造,組成,膜厚などの評価を行うとともに、試料表面に白金(Pt)触媒を担持し、濃度5%のシクロヘキサンに曝した際に生じる着色特性の変化を調べた。その結果、基板温度: 300Cで成膜し、空気中において250Cで熱処理して作製した(011)結晶配向した単斜晶のMoO膜がシクロヘキサンに対して光学検知に十分な着色特性を示すことがわかった。
八巻 徹也; Nuryanthi, N.*; 越川 博; 浅野 雅春; 澤田 真一; 箱田 照幸; 前川 康成; Voss, K.-O.*; Severin, D.*; Seidl, T.*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 314, p.77 - 81, 2013/11
被引用回数:3 パーセンタイル:26.05(Instruments & Instrumentation)本研究では、より速く効率的にポリフッ化ビニリデン(PVDF)イオン穿孔膜を作製することを目指し、ドイツ重イオン研究所(GSI)における"その場"かつ"オンライン"分析によって、潜在飛跡内に存在する化学種の構造や反応性を調べた。その結果、照射と同時に生成したラジカルを介して、PVDF鎖中及び切断末端の不飽和結合が主に生成することがわかった。このような飛跡内の生成物にのみ作用しエッチングを加速するための改質過程、いわゆる前処理の方法を検討した。
加藤 翔; 八巻 徹也; 山本 春也; 箱田 照幸; 川口 和弘; 小林 知洋*; 鈴木 晶大*; 寺井 隆幸*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 314, p.149 - 152, 2013/11
被引用回数:3 パーセンタイル:26.05(Instruments & Instrumentation)本研究では、イオン注入と電気化学エッチングを組合せて、グラッシーカーボン基板上に炭化タングステン(WC)のナノ微粒子を作製した。実験では、100keV Wをグラッシーカーボン基板に照射して注入試料を作製した後、水酸化ナトリウム水溶液中で注入試料の表面をアノード酸化によりエッチングした。試料の分析にはX線光電子分光(XPS), ラザフォード後方散乱分析(RBS), 透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた。XPS, RBSの結果から、試料中でWCが形成されていたことと、電気化学エッチングによってその高濃度導入面が表面に露出したことが確認できた。断面TEMによって直径約10nmのナノ微粒子が表層に存在している様子が観察された。
加藤 翔; 八巻 徹也; 山本 春也; 箱田 照幸; 川口 和弘; 小林 知洋*; 鈴木 晶大*; 寺井 隆幸*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 38(1), p.81 - 84, 2013/03
本研究では、タングステンイオンを未研磨のグラッシーカーボン基板に注入することによって、ナノ微粒子を作製した。注入イオンのエネルギーは100keV、フルエンスはからions/cmの範囲であった。試料の分析にはX線光電子分光,ラザフォード後方散乱分析,回転ディスク電極法による対流ボルタンメトリー,電界放出型電子顕微鏡を用いた。顕著なスパッタリング効果によって、注入イオン分布が変化するとともに、基板内へ導入可能なタングステン量は約ions/cmが上限であった。形成された微粒子はタングステンカーバイドであり、その直径は10nm程度で面内に一様に分布していた。
箱田 照幸; 五十嵐 英寿*; 五十住 幸大*; 山本 春也; 有谷 博文*; 吉川 正人
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 74(2), p.200 - 204, 2013/02
被引用回数:3 パーセンタイル:16.35(Chemistry, Multidisciplinary)水素の輸送・貯蔵媒体として期待されているシクロヘキサン等の有機ハイドライドに接触すると着色する光学検知材料として、脱水素触媒を担持した三酸化タングステン(WO)粉体の開発を進めてきた。光学検知材料の着色性能を決定する脱水素触媒とその担持量を得るため、脱水素触媒として白金(Pt),パラジウム、及びロジウムを、WO粉体に重量比で0.1, 0.5, 1.0wt%担持させた試料を作製し、5v%のシクロヘキサンに対する脱水素反応生成物の量や着色開始温度を比較した。その結果、Ptを担持させたWO粉体が、最も低い温度で脱水素反応が起こり着色した。また0.5wt%のPt担持量のときに最大の着色変化率が得られたことから、0.5wt%のPt担持量が適切であることを見いだした。この紛体を130Cに加熱すると、爆発限界値以下(1.3v%)のシクロヘキサンに対しても十分な着色変化を示すことから、光学検知材料として十分な性能を有することがわかった。
五十住 幸大; 箱田 照幸; 山本 春也; 有谷 博文*; 吉川 正人
Radioisotopes, 61(6), p.289 - 296, 2012/06
触媒能を有する貴金属ナノ粒子の作製方法として、貴金属イオン水溶液の表面に高密度電子層を誘発する低エネルギー電子線を用いた放射線還元法の有効性を調べた。高線量率照射が実現できる55keVの電子線を用いて、酸化種の補足剤であるエタノールを含む0.5mMの白金(Pt)イオン水溶液10mLを照射し、Ptイオンの還元、Pt粒子の生成、得られた粒子の触媒能を調べた。その結果、電子線照射により水溶液表層でしか還元反応が進行しないにもかかわらず、水溶液全体でPtイオンの還元反応が進行し、一次粒子として2から5nmの白金ナノ粒子が生成することがわかった。このPtナノ粒子を三酸化タングステン粉体に担持させて1%水素に接触させると、青く変色してガスクロミック性能を示した。このことから、得られたPtナノ粒子には、水素を解離する触媒能があることが確かめられ、低エネルギー電子線によりPtイオン水溶液の表層に形成された高密度電子層を利用した放射線還元法が、水素解離能を有する5nm未満の白金ナノ粒子を再現性よく作製する技術として有効であることがわかった。
吉村 公男; 箱田 照幸; 山本 春也; 吉川 正人
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 73(5), p.696 - 698, 2012/05
被引用回数:4 パーセンタイル:19.35(Chemistry, Multidisciplinary)水素の輸送・貯蔵媒体として期待されているシクロヘキサン等の有機ハイドライドの光学検知材料の開発を目的として、水素に対して着色する三酸化タングステン(WO)粉末に、含浸焼成法を用いて脱水能を有する白金(Pt)を0.1wt%担持させた粉末試料を作製した。200Cまで加熱した粉末試料を1-13%のシクロヘキサンガスに接触させた結果、13%のシクロヘキサンに対して100C以上、爆発下限濃度以下の1%のシクロヘキサンに対して、200C以上で着色することがわかった。また、着色に伴うWO粉末の構造変化をX線構造解析により調べた結果、着色が水素化酸化タングスンに由来することを突き止めた。さらに、担持されたPt上ではシクロヘキサンが水素とベンゼンに解離する反応のみが生じており、着色過程で触媒劣化の主原因となる炭素析出等が生じていないことが示唆された。以上の結果から、100C以上に加熱した白金担持WO粉末は有機ハイドライドの検知材料になり得ることがわかった。
清藤 一; 箱田 照幸; 花屋 博秋; 春山 保幸; 金子 広久; 山下 俊*; 小嶋 拓治
JAEA-Review 2011-043, JAEA Takasaki Annual Report 2010, P. 150, 2012/01
数十keV-EB発生器を用い、透明PI試料の照射を行った。試料を非破壊で(切削せずに)屈折率分布評価が行え、かつ試料表面及び屈折率の異なる層間の界面からの反射光を検出する特長を持つ分光エリプソメータを用いて定量化を試みた。その結果、波長域400-1600nmにおいて試料表面から20nm層分について、屈折率が照射前と比べて1MGyについては6%, 5MGyについては10%変化していることがわかった。しかし、表面から20nm以降の層については、照射前の屈折率とほぼ同じであった。これは、透明PI試料バルク中の照射により生じた屈折率勾配において、層間における屈折率差が小さいことが考えられる。これより、数十keV-EB照射試料の屈折率評価から、極表面層(20nm厚)における相対線量値については定量化できることが明らかとなった。
清藤 一; 松井 信二郎*; 箱田 照幸; 石川 昌義*; 春山 保幸; 金子 広久; 木村 純*; 小嶋 拓治
材料技術, 30(1), p.10 - 16, 2012/01
加速電圧110kVの電子加速器で得られるビーム取り出し窓からある距離における平面上の照射場について、最終的にはフィルム線量計で1点を測定することにより照射場の特性把握や工程管理をすることを目的に、(1)熱量測定による照射場全領域の吸収線量とモンテカルロ計算(PENELOPEコード)の比較、(2)放射線着色フィルム線量計による照射場領域の線量分布と(1)の結果に基づき補正した計算値との比較を行うことにより、実測及び計算の両方法を補間的に組合せた線量評価法を検討した。この結果、ビーム窓からの距離40mmにおける照射場(直径100mm)においては、アルミ吸収体(厚さ2-5mm)を用いた熱量計の測定値と計算値は照射場全領域の吸収線量値が4.0%以内で整合すること、2MeV電子線を用いて校正したフィルム線量計(FWT-60)による吸収線量分布測定結果は中心から直径0.5cmの応答の飽和領域を除き5.0%以内で整合することがわかった。言い換えると、実プロセスにおいてフィルム線量計により1点のモニター値が得られれば、照射場の特性把握や工程管理が可能である見通しが得られた。
下山 巖; 箱田 照幸; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 平尾 法恵; Koswattage, K.
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, p.93_1 - 93_2, 2012/00
近年、共役系炭素材料にBやN等のヘテロ原子をドーピングすることで酸素還元反応(ORR)の触媒活性機能が現れることが報告され、注目を集めている。われわれはPドーピングによる触媒活性と結合状態との相関関係を調べるため、イオンビームを用いて高配向グラファイトにPドーピングを行い、PK端NEXAFSスペクトル測定によるキャラクタリゼーションを行った。NEXAFSスペクトルはPドーピング時の試料温度により偏光依存性が大きく変化し、室温ドーピングで作成した試料よりも高温ドーピングで作製した試料に対して明瞭なグラファイト的な偏光依存性が観測された。この結果はPサイトでの局所的な立体配置がドーピング条件により異なり、高温ドーピングで作成した試料ではグラファイト的な平面構造をとるのに対し、室温ドーピングとポストアニーリングを行った試料では歪んだ平面構造が形成されたことを示唆している。われわれは偏光依存性の異なる試料に対して電気化学実験を行い、偏光依存性の大きい試料ではほとんど触媒活性が観測されなかったが、偏光依存性の小さい試料に対して触媒活性を観測した。このことはPの局所的な立体配置がORR触媒活性に影響する可能性を示唆している。
Chmielewski, A. G.*; 箱田 照幸
放射線と産業, (130), p.15 - 19, 2011/06
本報告は、放射線利用振興協会が発行する雑誌「放射線と産業」第130号で特集される「国際的に展開する放射線産業利用の潮流」に、ポーランドの核化学研究所のAndrzej G. Chmielewski博士が寄稿した論文"Success of Flue Gas Cleaning by Electron Beam and Other Industrial Applications of Radiation Processing in Poland"の邦訳である。ポーランドにおける電子線排ガス浄化技術の開発状況,同研究所が所有する殺菌や高分子改質用などの電子線,線照射施設や、これらの施設を利用して開発された製品などについて紹介されている。
広田 耕一; 箱田 照幸; 島田 明彦; 田口 光正; 木村 敦; 小嶋 拓治
Proceedings of 12th International Conference on Radiation Curing in Asia (RadTech Asia 2011) (Internet), p.108 - 109, 2011/06
電子線によるVOC処理において最も困難なプロセスに、VOCの電子線照射によって生成する副産物の処理がある。この副産物を完全に酸化するため、オゾン分解触媒である二酸化マンガン触媒を導入した。この触媒は、照射により生成するオゾンを分解して活性酸素を発生させ、これにより副産物を酸化することができる。そこで、ガス処理専用の電子加速器と二酸化マンガンを備えたハイブリットVOC処理装置用いてトルエンとキシレンの混合ガスを処理したところ、11kGyでVOCを完全に無機化することができた。また、電子線によるダイオキシン類分解に関する研究では、高浜クリーンセンターの実ガス1,000m/hを用いてパイロット試験を行った。その結果、14kGyで排ガスに含まれるダイオキシン類の90%以上を分解することができた。
吉村 公男; 箱田 照幸; 杉本 雅樹; 山本 春也; 吉川 正人
Radiation Physics and Chemistry, 80(4), p.587 - 590, 2011/04
被引用回数:2 パーセンタイル:17.88(Chemistry, Physical)耐熱性で高温用の触媒基材として有望な炭化ケイ素(SiC)セラミックスに触媒能を付与するため、その前駆体高分子であるポリカルボシラン(PCS)高分子にパラジウム(Pd)イオンを配位する放射線グラフト処理を行った試料を高温の不活性ガス中で焼成転換し、Pdナノ粒子を含有する炭化ケイ素(SiC)セラミック粉末を作製した。この粉末のTEM観察、並びにXRD分析から、焼成温度が900Cでは25nmのPd粒子がその粉末微粒子表面に分散するが、1100Cでの焼成ではPd粒子は凝集して粗大化し、一部がシリサイドとなることがわかった。900Cで焼成したSiCセラミック粉末に分散したPdの触媒能を調べるため、250Cに加熱してシクロヘキサンに接触させたところ9201140ppmvの二酸化炭素が発生し、燃焼触媒として機能することがわかった。以上の結果から、放射線グラフト重合により作製したPdイオン配位PCS高分子を900Cで焼成転換することで、燃焼触媒として機能するPdナノ粒子を分散・析出させたSiCセラミック粉末が作製できることがわかった。
吉村 公男; 箱田 照幸; 山本 春也; 吉川 正人
Applied Surface Science, 257(9), p.4428 - 4431, 2011/02
被引用回数:5 パーセンタイル:24.39(Chemistry, Physical)有機ハイドライドに接触すると着色する(光学的検知)材料は、150C以下の低温で動作する水素の脱離反応を促進する脱水素触媒を、脱離した水素との反応により変色する着色材表面に着床させて作製する。低温で動作する脱水素触媒の選定では、300C以上の高温で動作する脱水素触媒であるPt, Pd, Rh, Ir, Ni, Cuを選び、それぞれ、アルミナ粒子に重量比で1%担持した試料を作製し、5%シクロヘキサンに対する脱水素能を評価した。その結果、脱水素能発現温度が100Cで水素発生量が多い触媒はPt及びPdであった。これらを着色材である三酸化タングステン(WO)膜表面にRFスパッタ法により堆積させ、150Cの加熱条件下で13%シクロヘキサン-Nガスに接触させたところ、WO膜を着色させることに成功した。Pt及びPdとWO膜を組合せにより、光学的に有機ハイドライドを検知可能な材料を開発できる見通しが得られた。
箱田 照幸; 山本 春也; 川口 和弘; 八巻 徹也; 小林 知洋*; 吉川 正人
Applied Surface Science, 257(5), p.1556 - 1561, 2010/12
被引用回数:14 パーセンタイル:49.96(Chemistry, Physical)固体高分子形燃料電池の実用化にあたって克服しなければならない問題の一つに白金触媒の使用量の低減があり、特にカソードにおける酸素還元反応を促進する白金代替触媒の開発が重要課題の一つとなっている。これまでに、コバルトフタロシアニンを含む熱硬化性樹脂を焼成することにより調製した炭素材料が白金と同等の酸素還元活性を発現することが報告されていることから、本研究では、焼成過程を必要としない、パルスレーザー蒸着法を用いて窒素ドープ炭素材料を作製するとともに、その酸素還元活性を調べた。その結果、蒸着中の基板温度の上昇に伴い酸素還元活性が向上して、最大の600Cで0.66V(vs. NHV)の酸還元電位を有する試料の作製に成功した。また、作製試料の構造評価の結果、この酸素還元活性がグラファイト構造内のピリジン結合などに起因することを明らかにした。
箱田 照幸
放射線と産業, (128), p.34 - 37, 2010/12
塗装・印刷工場などからの換気ガスに含まれる揮発性有機化合物(VOC)の電子線(EB)照射による分解処理を目的として、実験室規模の実験においてEB照射と触媒との組合せたVOCの分解や照射生成物の無機化技術の開発を進めてきた。この処理技術を、実際の大流量のVOC排ガスに適用するためには、実規模ガス流量条件に適した電子加速器や触媒装置の選定や、この条件下での動作確認並びに経済性評価などが必要である。本稿では、この目的のために実施した、数百m/hの実規模ガス流量条件のVOC含有空気に適した処理試験装置を構築や、これを用いたVOC分解や照射生成物の無機化に関する試験結果を中心に紹介する。