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草野 完也*; 一本 潔*; 石井 守*; 三好 由純*; 余田 成男*; 秋吉 英治*; 浅井 歩*; 海老原 祐輔*; 藤原 均*; 後藤 忠徳*; et al.
Earth, Planets and Space (Internet), 73(1), p.159_1 - 159_29, 2021/12
被引用回数:6 パーセンタイル:51.19(Geosciences, Multidisciplinary)PSTEPとは、2015年4月から2020年3月まで日本国内の太陽・地球惑星圏に携わる研究者が協力して実施した科研費新学術領域研究である。この研究枠組みから500以上の査読付き論文が発表され、様々なセミナーやサマースクールが実施された。本論文では、その成果をまとめて報告する。
早川 弘毅*; 森本 昌規*; 池田 直*; 米田 安宏; 小原 真司*; 吉井 賢資; 松尾 祥史*; 道内 尊正*; 森 茂生*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 34(1), p.51 - 54, 2009/05
最近われわれは、LuFeOが、鉄3d電子の局在化により強誘電性を示す新規なタイプの強誘電体であると報告したが、この物質の詳細な性質はいまだわかっていないことが多い。このことを鑑み、本研究では、LuFeOに対し高エネルギー放射光X線を用いた局所構造解析を行った。Pair-distribution functionに対するフィッティングの結果、強誘電相における局所構造は、これまで報告されている結晶構造とは異なり、ルテチウム原子が変位した構造を持っていることがわかった。このことは、この物質の結晶構造を再検討する必要性を示す。また、局所構造解析の結果を誘電率測定・磁化測定や電子線回折などから得られた結果とあわせて議論し、LuFeOの性質を明らかにすることを試みる。
道内 尊正*; 横田 祐輔*; 小松 拓磨*; 早川 弘毅*; 黒田 朋子*; 真栄田 大介*; 松尾 祥史*; 森 茂生*; 吉井 賢資; 花咲 徳亮*; et al.
Ferroelectrics, 378(1), p.175 - 180, 2009/00
被引用回数:18 パーセンタイル:59.66(Materials Science, Multidisciplinary)鉄イオンの電荷秩序により強誘電体となる標記物質LuFeOにつき、合成条件を変えることにより酸素量を変えた試料に対する磁性と誘電性について報告する。試料作成はCO-CO混合ガスフロー中で行い、COとCOの比を変えることで酸素量を変えた。CO:COのフロー比が1:5付近において、磁気転移温度が最高の240250K近傍となったことから、この試料が最良のものと判断される。本試料の誘電率は、室温で10000近傍であった。誘電率の虚数部分から求めた活性化エネルギー0.40.5eV程度であり、これまでLuFeOにおいて報告されていた0.3eVよりも大きい傾向が見られた。今後さらに測定を行い、物性の詳細のわかっていないLuFeOの性質とその起源を明らかにする予定である。
早川 滋雄*; 友澤 浩二*; 竹内 孝江*; 荒川 和夫; 森下 憲雄
Physical Chemistry Chemical Physics, 5(11), p.2386 - 2390, 2003/05
被引用回数:15 パーセンタイル:44.45(Chemistry, Physical)電荷逆転質量分析における負イオンは、正イオンとアルカリ金属との衝突により励起中性化を経て、自動解離後にさらにアルカリ金属からの電子移動により負イオンを生成する。異性体であるアセチレンとビニリデンクロライドから生成されるCHは、アルカリ金属(Na, K, Rb及びCs)の種類により、生成負イオンのスペクトルが異なることを見いだした。このスペクトルでは、両異性体からのCHは、アルカリ金属のイオン化電圧が低いほどCHに対してCイオンの強度の割合が大きく、さらにCとCHイオン生成量の比がHCCHとHC=C:で大きく異なることを見いだした。この結果の解析により、高励起中性種CHの内部エネルギーは、アルカリ金属種により異なり、内部エネルギーの違いにより解離反応が異なることを明らかにし、さらに高励起中性種を経ずに、CHとHに直接解離する反応が存在することを明らかにした。
早川 滋雄*; 原田 謙吾*; 渡辺 信明*; 荒川 和夫; 森下 憲雄
International Journal of Mass Spectrometry, 202(1-3), p.A1 - A7, 2000/10
被引用回数:16 パーセンタイル:60.07(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)励起種の解離は、化学反応で最も重要な過程の一つであり、これまで主として分子衝突法や光励起法によって調べられてきた。質量分析計は、気相における不安定な中間体を生成させるのに適しているため、種々の安定・不安定イオンの解離課程を研究することができる。しかし、この方法は、電荷を持たない中性種を研究することが難しい。そこで本研究ではCDOHとCHODの衝突誘起解離(CID)スペクトルと電荷逆転スペクトルを用いて中性種の解離課程の検討を試みた。CIDにおける主な解離課程は、メチル基からの水素原子の脱離であり、他方電荷逆転質量分析においては、ヒドロキシル基から水素原子の脱離を経ていることがわかった。ヒドロキシル基からの水素原子の脱離は、メタノールの光誘起解離における主な課程であることも報告されており、中性中間種の解離課程の研究に電荷逆転質量分析法が有用であることを証明している。
早川 滋雄*; 原田 謙吾*; 荒川 和夫; 森下 憲雄
Journal of Chemical Physics, 112(19), p.8432 - 8435, 2000/05
被引用回数:19 パーセンタイル:50.82(Chemistry, Physical)MS/MS(Mass Separation/Mass Spectral Characterization)システムの質量分析計を用いた電荷逆転実験において、質量弁別した正イオンがアルカリ金属ターゲットとの衝突により、二電子移動反応で生成した負イオンの質量分析を行った。thermometer molecule(温度計分子)W(CO)等を用いて内部エネルギーを測定した結果、W(CO)による測定値と先駆体イオンのエネルギーレベルの差は、Csターゲットのイオン化エネルギーと良く一致した。この一致は、電荷逆転法における中性化が、近共鳴でおこるため、特定のエネルギー状態の中間体となり、この中間体が解離していることを示している。
早川 滋雄*; 高橋 光人*; 荒川 和夫; 森下 憲雄
Journal of Chemical Physics, 110(6-8), p.2745 - 2748, 1999/02
被引用回数:21 パーセンタイル:55.28(Chemistry, Physical)MS/MS装置を使って、W(CO)(n=4~6)の電荷逆転スペクトルとCIDスペクトルを測定した。CIDスペクトルでは非解離のピークが最も強く、主なピークはいくつかのCOを脱離した正イオンによる。CO脱離の数が大きくなるにつれて、ピーク強度は小さくなった。電荷逆転スペクトルでは非解離のピークは検出されず、主要なピークは、どのような入射イオンに関しても親イオンから2つのCOを失った負イオンであった。これらのスペクトルから内部のエネルギー分布を熱化学定数を用いて見積もった。電荷逆転質量分析法において得られた内部のエネルギー分布は、入射イオンのエネルギーレベルから約4eV低い位置に集中していた。この4eVのエネルギーはCsのイオン化エネルギー3.89eVと一致し、電荷逆転質量分析法では近共鳴の電子移動で生成した励起中性種から解離が起こるのを証明した。
早川 滋雄*; 遠藤 博久*; 荒川 和夫; 森下 憲雄
Int. J. Mass Spectrom. Ion Process, 171(1-3), p.209 - 214, 1997/00
アルカリ金属ターゲットを用いた電荷逆転質量分析法により、CH異性体の中性ラジカルへの解離機構を研究した。電子励起したアレンとプロピンはそれぞれ相当する正イオンからアルカリ金属との中性化により得られる。その励起分子の解離によって生成する中性フラグメントは、再度の電子移動により負イオンとして質量分析される。電荷逆転スペクトルでのピーク強度とピーク中の比較から、電子励起したCHの解離機構を検討した。その結果2つの水素原子の脱離は、2つの独立なC-H結合解離においては結合エネルギーが小さいほど、その結合が解離し易い。C-C結合の解離は水素原子の脱離に比べて実質的にかなり小さい。このことはC-C結合の振動数がC-H結合の振動数に比べて低いためであると推測される。
池田 直*; 神戸 高志*; 小松 拓磨*; 道内 尊正*; 早川 弘毅*; 花咲 徳亮*; 吉井 賢資; 松尾 祥史*; 森 茂生*
no journal, ,
われわれが放射光などを用いて最近発見した、新しいタイプの標記強誘電体について解説する。通常の強誘電体では、正と負のイオン位置の重心がずれることにより電気双極子を生み出し、それが強誘電性の起源となることはよく知られている。一方、標記物質では、三角格子上の2+と3+の鉄イオンが特殊な配列構造をすることで電気双極子を発生し、それが強誘電性の起源となることがわかった。本発表では、この系の交流誘電率・分極測定・磁化測定などの結果について紹介し、新規強誘電体の興味深い性質について、基礎・応用両面から解説する。
松尾 祥史*; 森 茂生*; 吉井 賢資; 早川 弘毅*; 池田 直*
no journal, ,
RFeO(R:希土類)は、三角格子上で鉄イオンが整列することで強誘電性を発現する。本研究では、この物質の鉄イオンの半分を他のイオンで置換した標記物質について、その局所構造を電子線回折によって調べた。室温での回折実験からは、基本反射のほかに散漫散乱が観測された。考えられるモデルを用いた計算により、鉄及びコバルト(あるいは銅)イオンが三角錘構造を持つ4点クラスターを形成していることが示唆され、これが室温で10-1000程度の誘電率の起源であると考えられる。