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林 孝夫; 櫻井 真治; 逆井 章; 柴沼 清; 河野 渉*; 大縄 登史男*; 松陰 武士*
Fusion Engineering and Design, 101, p.180 - 185, 2015/12
被引用回数:4 パーセンタイル:32.74(Nuclear Science & Technology)JT-60SAはITERへの支援研究および原型炉に向けた補完研究を担うトカマク型核融合実験装置である。JT-60SAではプラズマから発生するDD中性子による放射化のため真空容器内への人によるアクセスは制限される。そのため真空容器内機器を交換および修理するために遠隔保守(RH)システムが必要とされている。本発表ではJT-60SAのRHシステムの一部として開発した、下部ダイバータカセット内の冷却水配管接続に用いる溶接装置について述べる。ダイバータカセットの配管と真空容器外から入ってくる配管を溶接するために、冷却水配管(SUS316L製、内径54.2mm、肉厚2.8mm)の内部から円周溶接が可能な溶接ヘッドを開発し、溶接試験を行った。配管溶接の技術的課題を解決するため配管突合せ部のギャップと芯ずれがどの程度まで許容できるかを調べた。溶接対象の配管は実機と同様に鉛直方向に配置し、その先端を突合せ溶接した。上管先端の内径側に突起部を設けることにより、最大ギャップ0.7mm、最大芯ずれ0.5mmまでの溶接裕度を確保することができた。
鈴木 克樹*; 林 健太郎*; 栗原 孝平*; 中垣 隆雄*; 笠原 清司
ISIJ International, 55(2), p.340 - 347, 2015/02
被引用回数:19 パーセンタイル:65.27(Metallurgy & Metallurgical Engineering)製鉄におけるCO排出量削減のために炭素循環製鉄(iACRES)が提案された。iACRESの効果を定量的に評価するために、化学プロセスシミュレータAspen PlusによりiACRESのプロセスフローモデルを作成し、熱物質収支からCO排出量とエクセルギー収支の解析を行った。高温ガス炉(HTGR)のエクセルギーを用いた固体酸化物電解(SOEC)と逆シフト反応をCO再生法として想定し、SOECではCO回収貯蔵の有無も考慮した。iACRESによってCO、Hが高炉に循環されたことによりCO排出量は3-11%削減されたが、CO再生のためにHTGRからのエクセルギーを投入したためエクセルギー有効率は1-7%低下した。
林 健太郎*; 笠原 清司; 栗原 孝平*; 中垣 隆雄*; Yan, X.; 稲垣 嘉之; 小川 益郎
ISIJ International, 55(2), p.348 - 358, 2015/02
被引用回数:8 パーセンタイル:39.23(Metallurgy & Metallurgical Engineering)炭素循環製鉄(iACRES)のフローモデルによるプロセス評価により、iACRESへの高温ガス炉(HTGR)の適用性を評価した。高温電解で高炉ガス中のCOをCOに還元して高炉にリサイクルするSOECシステムと、ISプロセスで製造したHによる逆シフト反応でCOをCOに還元して高炉にリサイクルするRWGSシステムを検討し、通常の高炉製鉄と比較した。逆シフト反応で消費されない分のHが高炉で鉄源の還元に使われたことが、RWGSシステムの方が原料炭節約とCO排出削減への効果が大きくなった原因であった。どの機器の改良がHTGR熱の効率的利用のために有用化を示すために、HTGR, SOEC, RWGSの熱収支解析を行った。SOECについては、ジュール熱の削減のためにCO電解温度の最適化が求められ、RWGSについては高いISプロセス水素製造効率が要求された。HTGR単位熱量当たりCO排出削減量の比較から、SOECシステムの方がより効率よくHTGR熱を利用できることが示された。
林 健太郎*; 笠原 清司; 栗原 孝平*; 中垣 隆雄*; Yan, X.; 稲垣 嘉之; 小川 益郎
炭素循環製鉄研究会成果報告書; 炭素循環製鉄の展開, p.42 - 62, 2015/02
高温ガス炉(HTGR)を適用した炭素循環製鉄(iACRES)のフローモデルによるプロセス評価を行った。高温電解で高炉ガス中のCOをCOに還元して高炉にリサイクルするSOECシステムと、ISプロセスで製造したHによる逆シフト反応でCOをCOに還元して高炉にリサイクルするRWGSシステムを検討し、通常の高炉製鉄と比較した。原料炭消費量はSOECシステムで4.3%、RWGSシステムで10.3%削減され、CO排出量はSOECシステムで3.4%、RWGSシステムで8.2%削減された。逆シフト反応で消費されずに残存したHが高炉で鉄源の還元に使われることが、RWGSシステムにおいて原料炭消費の節約割合とCO排出削減率が大きくなった原因であった。SOECシステムではCO電解、RWGSシステムではISプロセス水素製造が最も多くの熱量を消費し、HTGR熱の効率的利用のために、CO電解温度の最適化や高いISプロセス水素製造効率が求められた。典型的な高炉1基あたり、SOECシステムでは0.5基、RWGSシステムでは2基のHTGRが必要となった。逆シフト反応で未反応のHを再利用することで、RWGSシステムのHTGR熱の効率的利用と、CO排出量削減が期待される。
林 健太郎*; 鈴木 克樹*; 栗原 孝平*; 中垣 隆雄*; 笠原 清司
炭素循環製鉄研究会成果報告書; 炭素循環製鉄の展開, p.27 - 41, 2015/02
炭素循環製鉄(iACRES)によって、製鉄における石炭消費量とCO排出量の削減が期待される。iACRESの効果を定量的に評価するために、化学プロセスシミュレータAspen PlusによりiACRESプロセスにおける高炉のフロー図を作成し、熱物質収支からCO排出量とエクセルギー収支の解析を行った。高温ガス炉(HTGR)のエクセルギーを用いた固体酸化物電解(SOEC)と逆シフト反応をCO再生法として想定し、SOECではCO回収貯蔵の有無も考慮した。iACRESによって石炭消費量が削減されたことによりCO排出量は3-11%削減されたが、CO再生のためにHTGRからのエクセルギーを投入したためエクセルギー有効率は1-7%低下した。
中村 誠; 飛田 健次; Gulden, W.*; 渡邊 和仁*; 染谷 洋二; 谷川 尚; 坂本 宜照; 荒木 隆夫*; 松宮 壽人*; 石井 響子*; et al.
Fusion Engineering and Design, 89(9-10), p.2028 - 2032, 2014/10
被引用回数:13 パーセンタイル:69.72(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所事故を受けて、日本国内の核融合研究コミュニティにおいて、核融合炉の安全性に対する関心が高まっている。そこで幅広いアプローチ原型炉設計活動(BA-DDA)では、核融合炉の安全性研究に着手した。本論文は、BA-DDAで行っている核融合原型炉安全性研究の進展について報告するものである。まず本研究での安全確保の考え方を明確化し、事故時の放射性物質放出に対する敷地境界での公衆被ばく線量の目標値を設定した。次に、核融合原型炉が内包する放射性物質とエネルギーの量の評価を行った。ここでの原型炉は、我が国で開発しているブランケット工学技術(水冷却、固体ペブル増殖ブランケット)に基づくものとする。さらに、マスター・ロジック・ダイアグラム法と機能FMEA法を用いて原型炉で考えられる事故シナリオの分析を行った。分析したシナリオのうち、とりわけ重要な事故事象を選定した。
林 孝夫; 櫻井 真治; 柴沼 清; 逆井 章
Fusion Engineering and Design, 89(9-10), p.2299 - 2303, 2014/10
被引用回数:13 パーセンタイル:69.72(Nuclear Science & Technology)JT-60SAはITERへの支援研究及び原型炉に向けた補完研究を担うトカマク型核融合実験装置である。JT-60SAではプラズマから発生するDD中性子による放射化のため真空容器内への人によるアクセスは制限される。そのため真空容器内機器を交換及び修理するために遠隔保守(RH)システムが必要とされている。本発表はJT-60SAのRHシステムに関するものであり、下部ダイバータカセット内の冷却配管の切断装置について述べる。ダイバータカセットを交換する際には、アウトボード側冷却水配管は真空容器内において、遠隔保守システムで切断及び再溶接を行う。切断対象の配管は配管外径:59.7mm、肉厚:2.8mm、材質:SUS316Lであり、空間的制限により配管の内側から切断を行う必要がある。切断はディスクカッター刃及び反力支持ローラを押し出す機構を備えた切断ヘッドを、カッター刃を押し出しながら回転させることにより行う。カッター刃の最大押し出し時の到達径を半径30.5mm(直径換算で61mm)としてヘッド製作及び切断試験を行い、下部ダイバータカセット内の冷却配管の切断が可能であることを示した。
中村 誠; 飛田 健次; 染谷 洋二; 谷川 尚; Gulden, W.*; 坂本 宜照; 荒木 隆夫*; 渡邊 和仁*; 松宮 壽人*; 石井 響子*; et al.
Plasma and Fusion Research (Internet), 9, p.1405139_1 - 1405139_11, 2014/10
水冷却核融合原型炉の安全性研究における重要側面について報告する。水冷却原型炉の内的ハザード(つまり放射性物質のインベントリ、これらを可動化するエネルギー、事故の起因事象と事故シナリオ)の分析を行った。第一壁/ブランケット冷却ループのエンタルピー、崩壊熱、ベリリウム-水蒸気反応で発生しうる化学反応エネルギーにとりわけ留意する必要があることを指摘した。第一壁/ブランケット冷却ループの真空容器外破断を定量的に解析した。この事象に対する核融合炉建屋の健全性について議論した。
朝倉 伸幸; 林 孝夫; 芦川 直子*; 福本 正勝
Journal of Nuclear Materials, 438, p.S659 - S663, 2013/07
被引用回数:6 パーセンタイル:43.64(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60Uにおけるダイバータ改造後12年の運転を経て容器内で収集されたダスト粒子の分析結果を発表する。ダスト収集は、運転開始6年後にプラズマが直接照射されるタイル表面や直接に照射されないダイバータやバッフルの裏部についてトロイダル一か所で行われたが(初回)、今回は複数のトロイダル箇所で実施され比較が行われた。タイル表面では、炭素の堆積層が多く観測される内側ダイバータでのエリア密度が高い。最も多くのダストはダイバータ下の排気経路に蓄積されることが、初回の結果と同様に観測された。トロイダル方向異なる場所の試料を分析した結果、それぞれのポロイダル位置におけるトロイダル方向の非対称性はファクター3程度であった。同じ収集位置におけるダスト蓄積量を初回と今回とで比較した結果、実験運転期間後半での蓄積量が大きく1放電の放電時間の延長が要因と考えられる。ダスト粒子の大きさや形状の特性は、顕微鏡画像解析により評価を行い、直径20マイクロm以下のダスト粒子数は統計分布を持つこと、20マイクロm以上の大きなダストは堆積層の一部が放出された可能性が高く総体積や重量に大きく寄与することなどが明らかとなった。
芦川 直子*; 朝倉 伸幸; 福本 正勝; 林 孝夫; 上田 良夫*; 室賀 健夫*
Journal of Nuclear Materials, 438, p.S664 - S667, 2013/07
被引用回数:9 パーセンタイル:57.11(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60Uで採取されたダストに対し、炭素主成分中のタングステン(W)含有量及びダストに含まれる水素同位体保持量の分析結果を発表する。Wタイルが設置されたダイバータ周辺で収集したダスト中のW含有量を評価した結果、ドーム下の3か所にてW含有ダストが検出された。微量であるダスト粒子の成分(さらにW含有量は1%以下)を分析するため、インジウムペーストにダストを固定し真空中でX線光電子分光法により分析する手法を確立した。ダストはプラズマ対向面で成長・生成したと考えられ、その場所はIMPGYROコードによる蓄積位置と比較するとよく一致しており、Wダイバータ配位時の堆積層からダストが生成されたと考えられる。さらに、ダストの水素同位体保持量については昇温脱離法で分析した。バルクタイルにおける蓄積量と比較すると単位質量あたりの保持量は1桁多く、1000K以上の高い温度にてピークを持つ特徴があり、これはダスト中の炭素構造に起因していると考えられる。
吉田 雅史; 田辺 哲朗*; 足立 歩*; 林 孝夫; 仲野 友英; 福本 正勝; 柳生 純一; 三代 康彦; 正木 圭; 伊丹 潔
Journal of Nuclear Materials, 438, p.S1261 - S1265, 2013/07
被引用回数:6 パーセンタイル:43.64(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60U炉内全体での水素蓄積量を評価するために、これまで明らかにされていないプラズマに直接当たらない領域(タイル側面及びダイバータ下部)での水素蓄積速度及び炭素堆積速度を実測した。得られた結果を、これまで明らかにされているプラズマに当たる領域でのデータと合わせることにより、JT-60U炉内全体で、水素あるいは炭素がどこにどれだけ蓄積・輸送されるのかを明らかにした。その結果、JT-60U炉内全体の水素蓄積速度は1.310 H+Dsとなり、この値は他のプラズマ装置にて報告されている値よりも遅いことがわかった。これは、JT-60Uが高温で運転されていることに起因する。
吉田 雅史; 田辺 哲朗*; 林 孝夫; 仲野 友英; 福本 正勝; 柳生 純一; 三代 康彦; 正木 圭; 伊丹 潔
Fusion Science and Technology, 63(1T), p.367 - 370, 2013/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)JT-60U第一壁タイルの側面への水素蓄積量を評価するために、外側第一壁からポロイダル及びトロイダル方向に炭素タイルを数枚取り出し、タイル側面に蓄積した水素量を昇温脱離法(TDS)にて測定した。得られた結果をこれまでに測定されてきたプラズマ対向表面での結果と比較することで、タイル側面の温度は、プラズマ対向表面のように温度が上昇していること、タイル側面への水素蓄積量は時間とともに増加することが明らかとなった。その結果、JT-60U第一壁全体のタイル側面での水素蓄積速度は4e19 H+D/sと見積ることができた。これは、これまで水素蓄積量が最も多いとされるダイバータタイル表面の再堆積層でのそれ(3.4e19 H+D/s)とほぼ同等であることがわかった。このことは、第一壁タイル側面の単位面積当たりの蓄積速度は極めて低いものの、タイル側面の全面積が1桁以上大きいことに由来している。
逆井 章; 正木 圭; 芝間 祐介; 櫻井 真治; 林 孝夫; 中村 誠俊; 尾崎 豪嗣; 横山 堅二; 関 洋治; 柴沼 清; et al.
Proceedings of 24th IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2012) (CD-ROM), 8 Pages, 2013/03
原子力機構では、幅広いアプローチ(BA)活動の一環として、日欧共同でサテライトトカマク装置JT-60SA(JT-60の改修装置)の建設を実施している。JT-60SA真空容器は断面形状がD型のドーナツ状の高真空を維持する容器で、直径10 m,高さ6.6 mである。トカマク装置であるJT-60SAでは真空容器内に電磁誘導でプラズマ電流を発生させる必要があるため一周抵抗を上げ、かつ運転時の電磁力に耐える強度を得るために、二重壁構造を採用した。この二重壁構造の真空容器はリブ板を介して内壁板と外壁板が溶接接続され、インボードの直線部は20度単位、アウトボードは10度単位で製作される。非常に溶着量が多い溶接となるため、溶接変形が技術課題となる。これを解決するため、最適な3つの溶接方法による自動溶接を選択し、溶接変形を低減した。現在、40度セクター3体が完成し、4体目の現地溶接組立を実施中である。下側ダイバータ用として、遠隔保守が可能なダイバータカセットを設計、開発し、実機を製作している。ダイバータカセットは10度単位で製作され、この上に設置される内側と外側ダイバータターゲット及びドームのプラズマ対向機器はモジュール化されている。外側ダイバータの一部に設置される、15MW/mの高熱負荷に耐えるモノブロックターゲットの製作に対応するため、受入試験としてサーモグラフィー試験の技術開発を行っている。
林 孝夫; 朝倉 伸幸; 芦川 直子*; 仲野 友英
Fusion Science and Technology, 60(4), p.1548 - 1551, 2011/11
被引用回数:2 パーセンタイル:18.18(Nuclear Science & Technology)JT-60U(臨界プラズマ試験装置)の真空容器内に堆積したダストをエリアごとに収集し、電子天秤を用いた重量測定を実施することにより真空容器内のダストの重量分布を評価した。ダストはJT-60U真空容器内でフィルターと真空ポンプを用いて収集した。JT-60Uにおけるトロイダル方向の全18セクションのうち、ポートセクション16のダイバータ及びバッフル領域のダスト収集及び分析を実施した。プラズマ対向面に加えてタイルの下やダイバータの下からもダストを収集した。ダスト収集には、0.1mの小孔の空いたポリマーフィルムを用いた。ダストの量を定量化するため、ダスト収集前後にフィルターの重量を電子天秤(最小読み取り値:0.01mg)により測定した。収集されたダストの面密度が最も大きかったのは、プラズマ対向面では内側ダイバータ(610mg/m)で、非プラズマ対向面ではドーム下部(5,100g/m)であった。またトロイダル方向に均等に分布すると仮定すると、真空容器内全体ではプラズマ対向面で1.3g、非プラズマ対向面で22.2gのダストが堆積していることがわかった。
朝倉 伸幸; 林 孝夫; 芦川 直子*; 波多江 仰紀; 仲野 友英
Fusion Science and Technology, 60(4), p.1572 - 1575, 2011/11
被引用回数:5 パーセンタイル:38.41(Nuclear Science & Technology)JT-60Uにおける実験中及び実験終了後に容器内で収集されたダスト粒子の測定結果を発表する。レーザー散乱によりダスト粒子からの散乱光の分布測定し、プラズマ放電中は周辺部で多くのダストが昇華されることを明らかにした。散乱光強度からダスト粒子の大きさを評価した。さらに、実験期間後に収集されたダストの分析結果から、特にダイバータ下の排気経路部分に多くのダストが蓄積され、粒子の大きさや形状の特性も定量的に評価を行い水素同位体の蓄積量の評価を行った。堆積したダストに蓄積される水素同位体量を、ダスト内部及び表面に蓄積される場合について推定評価を行った。
林 孝夫; 櫻井 真治; 柴沼 清; 逆井 章
Fusion Science and Technology, 60(2), p.549 - 553, 2011/08
被引用回数:6 パーセンタイル:44.02(Nuclear Science & Technology)JT-60SAはITERへの支援研究及び原型(DEMO)炉に向けた補完研究を担うトカマク型核融合実験装置である。JT-60SAの大きな特徴のひとつはその高パワー及び長時間放電であり、プラズマから発生するDD中性子による放射化のため真空容器内への人によるアクセスは制限される。そのため真空容器内機器を交換及び修理するために遠隔保守(RH)システムが必要とされている。本発表はJT-60SAのRHシステムに関するものであり、下部ダイバータカセット(高さ1.25m,幅0.57m,長さ1.62m,重さ800kg)の交換について詳細に述べる。JT-60SAのRHシステムは、全18セクションのうち4か所の水平部大口径ポート(高さ1.83m,幅0.66m)を用いる。またRHシステムは、重量物用と軽量物用の2種類のマニピュレータを備えている。ダイバータカセット等は重量物用マニピュレータを用いて交換し、第一壁アーマタイル等は軽作業用マニピュレータを用いて交換する。これらのマニピュレータはビークル式であり、真空容器内にトロイダル方向に敷設したレール上を移動しながら作業することができる。
飛田 健次; 西尾 敏*; 榎枝 幹男; 中村 博文; 林 巧; 朝倉 伸幸; 宇藤 裕康; 谷川 博康; 西谷 健夫; 礒野 高明; et al.
JAEA-Research 2010-019, 194 Pages, 2010/08
発電実証だけでなく、最終的には経済性までを一段階で見通しうる核融合原型炉SlimCSの概念設計の成果を報告する。核融合の開発では、これまで、1990年に提案されたSSTR(Steady State Tokamak Reactor)が標準的な原型炉概念とされてきたが、本研究はSSTRより軽量化を図るため小規模な中心ソレノイドを採用して炉全体の小型化と低アスペクト比化を図り、高ベータ及び高楕円度(グリーンワルド密度限界を高めうる)を持つ炉心プラズマにより高出力密度を目指した。主要パラメータは、プラズマ主半径5.5m,アスペクト比2.6,楕円度2.0,規格化ベータ値4.3,核融合出力2.95GW,平均中性子壁負荷3MW/mとした。この炉概念の技術的成立性を、プラズマ物理,炉構造,ブランケット,超伝導コイル,保守及び建屋の観点から検討した。
櫻井 真治; 東島 智; 林 孝夫; 芝間 祐介; 増尾 大慈*; 尾崎 豪嗣; 逆井 章; 柴沼 清
Fusion Engineering and Design, 85(10-12), p.2187 - 2191, 2010/08
被引用回数:11 パーセンタイル:58.88(Nuclear Science & Technology)「幅広いアプローチ活動」におけるサテライトトカマクと国内計画の共同計画として臨界プラズマ試験装置JT-60SAの主要機器の製作が開始された。高加熱パワーでの長パルス放電に対応するため、すべてのプラズマ対向機器は水冷されるとともに、将来の高放射化時には遠隔保守装置での修理点検が必要となる。JT-60SAの下側ダイバータはITERと同様に垂直ダイバータターゲットとプライベートドームを有し、トロイダル方向に10度の幅を持つ36個のカセットから構成される。熱負荷が2MWm以下の領域には水冷ヒートシンクに炭素アーマタイルをボルト固定する。10-15MWmの高熱負荷領域には、ITERと同様のCFCモノブロックターゲットを試験的に導入する。ダイバータカセットの基本設計及び電磁力及び構造解析結果等について報告する。
林 孝夫; 神永 敦嗣; 新井 貴; 佐藤 正泰
Fusion Engineering and Design, 84(2-6), p.908 - 910, 2009/06
被引用回数:3 パーセンタイル:24.38(Nuclear Science & Technology)高分解能質量分析装置を用いて、JT-60U残留ガスの質量分析を行い、ヘリウムグロー放電洗浄(He-GDC)の効果を調べた。質量分析の分解能が高くDとHeの弁別が可能な質量分析装置を今回新たに導入した。He-GDCの開始後、Dガスの分圧が上昇し、最大分圧(3.810Pa)に到達した。これはHe-GDC開始前(3.510Pa)の約十倍の圧力であった。7時間のHe-GDC中に放出されたDガスの量は、4Pa mであった。He-GDC終了後、Dガスの分圧はHe-GDCの前よりも下がり、He-GDC(7時間)+約7時間経過後には5.710Paに到達した。これらの結果からHe-GDCがプラズマ対向機器の重水素除去に有効であることがわかった。
吉田 雅史; 田辺 哲朗*; 信太 祐二*; 林 孝夫; 正木 圭; 佐藤 正泰
Journal of Nuclear Materials, 390-391, p.635 - 638, 2009/06
被引用回数:9 パーセンタイル:53.00(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60Uの真空容器内壁(第一壁)のトーラス外側のカーボンタイルについて、昇温脱離法((TDS),二次イオン質量分析方(SIMS)、及び走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて水素同位体(重水素)蓄積に関して測定した。外側第一壁では、通説通り損耗していることを確認した。また外側第一壁では、ダイバータ領域と異なり重水素が多く蓄積しており、さらに表面からかなり深い位置にまで重水素が捕獲されていることをSIMSによる深さ測定から明らかとなった。測定された深さは、入射された高速中性粒子入射(NBI)のエネルギーに概略対応するので、この堆積はNBIに起因する高エネルギー重水素に起因することを示唆している。さらに、外側第一壁の水素蓄積量は、単位時間・面積あたりではダイバータ損耗領域のものとほぼ同じで、ダイバータ堆積領域のものと比べ少ない。SIMSから得られた重水素の侵入深さ、及び真空容器に占める第一壁の面積を考慮すると、外側第一壁の炉内全体の蓄積量への寄与は、ダイバータ堆積領域のものと同程度の寄与を与える可能性があることが今回の測定で明らかとなった。