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林 孝夫; 櫻井 真治; 逆井 章; 柴沼 清; 河野 渉*; 大縄 登史男*; 松陰 武士*
Fusion Engineering and Design, 101, p.180 - 185, 2015/12
被引用回数:4 パーセンタイル:33.25(Nuclear Science & Technology)JT-60SAはITERへの支援研究および原型炉に向けた補完研究を担うトカマク型核融合実験装置である。JT-60SAではプラズマから発生するDD中性子による放射化のため真空容器内への人によるアクセスは制限される。そのため真空容器内機器を交換および修理するために遠隔保守(RH)システムが必要とされている。本発表ではJT-60SAのRHシステムの一部として開発した、下部ダイバータカセット内の冷却水配管接続に用いる溶接装置について述べる。ダイバータカセットの配管と真空容器外から入ってくる配管を溶接するために、冷却水配管(SUS316L製、内径54.2mm、肉厚2.8mm)の内部から円周溶接が可能な溶接ヘッドを開発し、溶接試験を行った。配管溶接の技術的課題を解決するため配管突合せ部のギャップと芯ずれがどの程度まで許容できるかを調べた。溶接対象の配管は実機と同様に鉛直方向に配置し、その先端を突合せ溶接した。上管先端の内径側に突起部を設けることにより、最大ギャップ0.7mm、最大芯ずれ0.5mmまでの溶接裕度を確保することができた。
島田 耕史; 亀高 正男*; 中山 一彦; 瀬下 和芳; 田中 義浩; 林 俊夫*; 田中 遊雲; 下釜 耕太*; 岡崎 和彦*
地質学雑誌, 119(11), p.727 - 731, 2013/11
脆弱で細粒かつ少量の断層中軸部の試料から、できるだけ多くの微細構造観察機会を得ると共に、化学分析等に供せられる試料量を確保する観点から、微小な試料の走査型電子顕微鏡(SEM)の利用は有効と考えられる。その際に課題となるのは、脆弱な試料の定方位情報を保持させたまま、SEMの試料室へ入れる方法の確立であり、実用上可能とされ得る迅速な試料採取方法の確立である。本稿では、ステープラー(ホチキス)の針を、互いに直角な小平面を持っている事を活かした定方位用の枠として用い、特殊な薬品や高度な備品類の使用を抑え、野外での迅速な定方位試料採取、貴重な試料からの採取を可能とする、SEM観察用定方位試料作製手法の手順を紹介する。
柳澤 孝一; 林 俊夫*; 生沼 優*; 竹森 基*; 石川 貴則*; 岡谷 智一*; 西垣 誠*
社団法人物理探査学会第129回(平成25年度秋季)学術講演会講演論文集, p.287 - 288, 2013/10
湖沼・河川・海底等の堆積物からの放射線量の計測を目的とした測定器の開発を行った。湖底等の堆積物中については、拡散した放射性物質が雨水によって池や河川、湖沼などに集積され、局所的に高い放射線量を示すことが予想される。今回開発した放射線測定システムは、プローブと称する検出器を湖底等に着底した状態でけん引し線測定を行う装置であり、広域的に放射線量を把握することができる。また、湖底の比抵抗が同時に測定可能であり堆積物の状況が推定できる。
冨田 健司; 土谷 邦彦; 小沼 勇一; 井上 修一; 渡邊 浩之; 斎藤 隆; 菊地 泰二; 林 君夫; 北島 敏雄
JAEA-Technology 2008-036, 61 Pages, 2008/06
材料試験炉(JMTR)を照射場として、トリチウム増殖材(LiTiO)微小球充填体を装荷した照射試験体を用いた第2期照射試験(ORIENT-II,JMTRキャプセル名:99M-54J)の終了に伴い、JMTR炉心からの照射試験体の取出方法の検討及び取出試験を行った。まず、照射試験体,スイープガス配管,接続箱・保護管等に残留するトリチウムの除去試験を行うとともに、微小球を充填した充填体の配管からのトリチウム漏洩を防止するための閉止栓の溶封試験を行った。次に、得られた試験結果に基づき、照射試験体の取出方案を策定し、試験体の取出試験を行った。本報告書は、LiTiO微小球充填体を装荷した照射試験体の取出しに備えて行った、トリチウム除去に関する特性試験及び閉止栓の溶封試験結果、並びに、照射試験体の取出し試験及びそこから得られた知見についてまとめたものである。
林 君夫; 中川 哲也; 小野瀬 庄二; 石田 卓也; 小高 英男; 勝山 幸三; 北島 敏雄; 高橋 孝三; 土谷 邦彦; 中道 勝; et al.
JAEA-Technology 2008-010, 68 Pages, 2008/03
原子力機構では、国際熱核融合実験炉(ITER)に装荷するテストブランケット・モジュール(TBM)を用いて、核融合炉用増殖ブランケットの炉内機能試験を実施することを計画している。本報告書は、炉内機能試験の準備として材料試験炉(JMTR)で照射試験を行った照射キャプセルの解体プロセスの概念検討及び基本設計について述べるものである。本設計においては、照射キャプセルはバンドソー(帯のこぎり)で切断され、放出されたトリチウムは、パージガス系によって安全に回収され、固化されて放射性廃棄物となる。さらに、事故時にトリチウムが解体装置外へ放出される可能性があることに対する安全対策として、解体装置を覆うインナーボックスを採用することにより、通常のトリチウム透過性材料を用いた既存のホットセル(ベータ・セル)を、大きな改造を行うことなく使用できる見通しを得た。以上により、トリチウムを含有する照射済みJMTRキャプセルについて、本解体プロセスが実現可能であることを示した。
石川 正男*; 糸賀 俊朗*; 奥地 俊夫*; Nakhostin, M.*; 篠原 孝司; 林 孝夫; 助川 篤彦; 馬場 護*; 西谷 健夫
Review of Scientific Instruments, 77(10), p.10E706_1 - 10E706_3, 2006/10
被引用回数:22 パーセンタイル:69.46(Instruments & Instrumentation)JT-60Uでは、中性子発生分布計測においてスチルベン中性子検出器を使用して中性子の計測を行ってきた。しかし、このスチルベン中性子検出器は中性子と線との弁別性能に優れた特徴を有するが、アナログ回路を利用して弁別を行っているため、最大計数率は10cps程度となり、統計誤差が大きくまたダイナミックレンジが低い等の欠点もあった。この度、これを克服するためにFlash-ADCを用いて直接アノード信号の波形を取得,保存し、ソフトウェアによって波形弁別をする手法を開発した。これにより10cps以上の高計数率での測定を可能になる。本講演では、JT-60Uにおける初期の実験結果を報告する。
中村 博雄; 井田 瑞穂*; 松廣 健二郎; Fischer, U.*; 林 巧; 森 清治*; 中村 博文; 西谷 健夫; 清水 克祐*; Simakov, S.*; et al.
JAERI-Review 2005-005, 40 Pages, 2005/03
国際核融合材料照射施設(IFMIF)は、核融合炉材料の開発のために、十分な照射体積(500cm)を有し照射量200dpaまで照射可能な強力中性子束(2MW/m)を発生可能な加速器型中性子源である。このような中性子を発生させるために、最大エネルギー40MeV,最大電流250mAの重水素ビームを、最大流速20m/sの液体リチウム流ターゲットに入射させる。ターゲット系では、7Be,トリチウムや放射化腐食生成物等が発生する。また、背面壁は、年間50dpaの中性子照射下で使用する必要がある。本報告では、平成16年度の原研におけるターゲット系の活動主要なトピックスとして、ターゲットアセンブリの熱・熱応力解析、放射化腐食性生物によるリチウムループ近接性の影響評価,トリチウムインベントリと透過量評価を取りまとめた。
藤川 正剛; 林 秀行; 中澤 利雄; 川崎 幸三; 伊与久 達夫; 中川 繁昭; 坂場 成昭
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(12), p.1245 - 1254, 2004/12
被引用回数:89 パーセンタイル:97.75(Nuclear Science & Technology)日本初の高温ガス炉HTTRは、2004年4月19日に最大熱出力30MWで、原子炉出口冷却材(ヘリウムガス)温度950Cを達成した。出力上昇試験の最終段階として実施された高温試験運転では、原子炉の特性及び性能が確認され、また安全,安定運転のための種々の運転データが蓄積された。原子炉出口冷却材温度950Cの達成により、高温ガスタービンによる高効率発電が可能になるとともに、水を原料とした水素製造に十分な温度を達成したこととなり、原子力の非電力分野での利用の可能性が広がったことになる。今回の成功により、高温ガス炉を用いた水からの水素製造の実現に向けて大きく前進した。本報は、HTTRの高温試験運転の試験結果について述べたものである。
川崎 幸三; 伊与久 達夫; 中澤 利雄; 林 秀行; 藤川 正剛
日本原子力学会誌, 46(8), P. 510, 2004/08
日本原子力研究所の高温工学試験研究炉(HTTR)は、平成16年6月24日までに原子炉出口温度950C運転(高温試験運転)にかかわる性能試験を計画どおり全て終了した。高温試験運転は、本年、3月31日から開始し、4月19日には1次加圧水冷却器のみを用いた単独運転により、世界で初めて950Cの高温のヘリウムガスを原子炉から取出すことに成功し、引き続いて、6月2日からは1次加圧水冷却器のほかに中間熱交換器を用いた並列運転での性能を確認してきた。並列運転での性能試験の結果、HTTRの冷却系統の除熱性能、1次遮へい体の遮へい性能及び高温機器の特性等全ての試験項目について設計どおりの性能を有していることを確認、6月24日使用前検査に合格し、HTTRの性能試験を全て終了した。
川崎 幸三; 伊与久 達夫; 中澤 利雄; 林 秀行; 藤川 正剛
日本原子力学会誌, 46(5), P. 301, 2004/05
日本原子力研究所の高温工学試験研究炉(HTTR)は、平成16年3月31日より冷却材の原子炉出口温度950Cを目指した試験を実施してきたが、4月19日14時27分に、最大熱出力30MWで原子炉出口での冷却材(ヘリウムガス)温度950Cに到達した。
林 君夫; 沢 和弘; 白鳥 徹雄; 菊地 啓修; 福田 幸朔; 北島 敏雄; 伊藤 忠春; 藁谷 兵太
JAERI-Research 2000-001, p.116 - 0, 2000/01
JMTRに設置された高温・高圧の炉内ガスループOGL-1において照射した第13次~第15次燃料体の製造、照射及び照射後試験の結果をまとめた。第13次、第15次燃料はHTTR用初装荷仕様燃料であり、前者は製造時破損率を大幅に低下させた高品質燃料、後者はHTTR初装荷燃料と同一の製造装置で製造した燃料である。両者とも、照射中のFPガス放出率、照射後試験結果とも極めて良好であった。第14次燃料は高燃焼度用改良燃料の試作品であり、過渡的昇温後の約1500照射中にFPガスのスパイク的放出が検出された。全体としては、第13次~第15次燃料体のいずれについても、照射中のFPガス放出率、照射後の被覆燃料粒子貫通破損率とも、HTTR初装荷燃料の設計における基準値に比べて十分低い値であり、良好な照射健全性が確認された。
小出 洋; 平山 俊雄; 村杉 明夫*; 林 拓也*; 笠原 博徳*
Int. Conf. on Supercomputing,Workshop 1;Scheduling Algorithms for Parallel-Distributed Computing, p.63 - 69, 1999/00
メタスケジューリング手法の目的は、異機種並列計算機クラスタを使用した、ひとつの科学計算プログラムの計算時間の最小化である。メタスケジューリング手法では、逐次プログラムから、サブルーチンやループ等のマクロタスクを生成するため、OSCARマルチグレイン並列化コンパイラを使用する。資源情報サーバから得られる異機種並列計算機クラスタの負荷に関する情報とコンパイル時に得られるマクロタスクの予測処理時間を使用し、マクロタスクを異機種並列計算機クラスタに動的スケジューリングする。COMPACSのDNYX,SX-4,SR2201,SR2201小型モデル上で、トカマク・プラズマの電場/粒子連成シミュレーションに、メタスケジューリングを適用し、性能評価を行った結果、SX-4の負荷が高いとき、マクロタスクは、SR2201,SR2201小型モデルに自動的に分散され、SX-4一台で計算を行った場合よりも22.7%計算時間が短縮された。
山岡 光明; 石川 眞; 林 秀行; 若林 利男
PNC TN9410 91-365, 368 Pages, 1991/11
本報告書は、高速炉によるTRU消滅処理に関する研究のうち、下記の項目についての検討結果をまとめたものである。(1)超長寿命炉心の検討: TRU燃料の核的な特性を生かし、30年間燃料交換をしないTRU装荷超長寿命炉心の可能性について検討した。このTRU装荷超種妙命炉心は放射能の高いTRUを長期間炉内に貯蔵しながら消滅できるためTRU消滅炉心として適している。検討の結果、燃焼による反応度や出力変動は、TRU装荷量や装荷領域を最適化することにより大幅に低減できること、1000MWe超長寿命炉心は10年間に10トン(軽水炉13基からのTRUに相当する)のTRUを消滅できることがわかった。(2)非均質炉心への装荷検討: 径方向非均質炉心はブランケットに論燃料よりも大量のTRUを装荷できる可能性があることから、TRU消滅炉心の候補の一つである。検討の結果、内部ブランケットへの大量の装荷(2030%)により均質炉心の数倍の消滅量が得られること、大量装荷しても炉心特性への影響が小さいことが示された。(3)燃料ピン単位装荷方法の検討: TRU燃料ピン本数を減らすため、集合体にTRU燃料ピンと通常のMOX燃料ピンを装荷する方法について検討した。出力分布への影響に着目した解析結果について示した。
石川 真; 林 秀行*; 亀井 孝信*; 三田 敏男*; 河北 孝司*
動燃技報, (77), p.92 - 96, 1991/03
大型炉の炉心核設計精度の向上を図るため,JUPITER臨界実験解析結果に基づいて設計用の炉定数を修正する手法の研究を行っている。本報告では,炉定数調整法の原理を紹介し,炉心核設計手法として従来採用されてきたバイアス補正法との比較を行うとともに,炉定数調整による大型炉核設計手法の高度化研究の現状について述べる。
林 英幸; 中桐 俊男; 八巻 徹也; 浅野 雅春
no journal, ,
原子力機構が開発・提案しているハイブリッド熱化学法プロセスの水素発生部で使用する陽イオン交換膜について、複数の候補材料を使用した亜硫酸透過抑制能の評価実験を実施した。
石川 正男*; 糸賀 俊朗*; 奥地 俊夫*; Nakhostin, M.*; 篠原 孝司; 林 孝夫; 森岡 篤彦; 馬場 護*; 西谷 健夫
no journal, ,
JT-60Uでは、中性子発生分布計測においてスチルベン中性子検出器(SND)を使用して中性子の計測を行ってきた。しかし、SNDは中性子と線との弁別機能に優れた特徴を有する反面、内蔵されたアナログ回路を利用して弁別を行っているため、最大計数率は10cps程度に制限され、統計誤差が大きくまたダイナミックレンジが小さい等の欠点もあった。この度、この問題を克服するためにFlash-ADCを用いて直接アノード信号の波形を取得,保存し、ソフトウェアによって波形弁別をする手法を開発を行った。これにより10cps以上の高計数率での測定が可能になると期待される。本講演では、JT-60Uにおける初期の実験結果を報告する。
石川 正男; 糸賀 俊朗*; 奥地 俊夫*; 馬場 護*; 篠原 孝司; 林 孝夫; 助川 篤彦
no journal, ,
JT-60Uでは、スチルベン中性子検出器(SND)を使用して、中性子発生分布計測を行ってきた。しかし、SNDは中性子と線との弁別機能に優れた特徴を有する反面、内蔵されたアナログ回路を利用して弁別を行っているため、最大計数率は約10[cps]に制限されていた。このため、統計誤差が大きく、またダイナミックレンジが小さいなどの欠点もあった。この問題を克服するために、Flash-ADCを用いて検出器のアノード信号を直接デジタル化して保存し、その後ソフトウェアによって中性子と線との弁別を行うデジタル信号処理(DSP)システムの開発を行った。本DSPシステムをJT-60Uでの中性子計測に適用した結果、従来のアナログ回路を有するスチルベン中性子検出器を用いた測定では計数率が飽和してしまう領域でも、計数率が飽和することなく、より高い計数率領域(これまでの最大計数率は約10[cps])での測定に成功した。
石川 正男; 糸賀 俊朗*; 奥地 俊夫*; Nakhostin, M.*; 馬場 護*; 篠原 孝司; 林 孝夫; 助川 篤彦; 西谷 健夫
no journal, ,
JT-60Uでは、スチルベン中性子検出器(SND)を使用して、中性子発生分布計測を行ってきた。しかし、SNDは中性子と線との弁別機能に優れた特徴を有する反面、内蔵されたアナログ回路が律速となり、最大計数率は10cpsに制限されていた。このため、統計誤差が大きく、高速計測は困難であった。この問題を克服するために、Flash-ADCを利用したデジタル信号処理(DSP)システムの開発を行った。本DSPシステムでは、検出器のアノード信号を直接デジタル化して保存し、その後、ソフトウェアを用いて中性子と線との弁別を行うことによって、中性子を計測する。本DSPシステムをJT-60Uでの中性子計測に適用した結果、約10cpsに至るまで計数率が飽和せずに中性子の計測を行うことに成功した。
鈴木 喜雄; 西田 明美; 山田 知典; 新谷 文将; 林 幸子; 中島 憲宏; 平山 俊雄
no journal, ,
われわれは、「思考的コンピューティングCMC」を構築することにより、シミュレーション結果の妥当性を評価することを目指している。シミュレーション結果の妥当性を推定することは、シミュレーションを用いて現象を正確に予測するために不可欠である。しかしながら、シミュレーションは、不確実性・不確定性を含んでいるため、一つだけのシミュレーションから妥当性を推定することは不可能である。そこで、われわれは、人間の思考過程のように多様なアプローチから得られる結果を統合的に処理することにより妥当性を推定できるコンピューティングとして、思考的コンピューティングCMCを提案した。また、CMCを実現するため、多様なアプローチとして演繹シミュレーションと帰納シミュレーションを実行し、統合処理としてシミュレーション結果を結合できるシステムを提案している。さらに、本システムを原子炉の熱変位解析に適用し、システムの有用性を確認した。
中山 一彦; 島田 耕史; 瀬下 和芳; 田中 義浩; 亀高 正男*; 岡崎 和彦*; 下釜 耕太*; 林 俊夫*
no journal, ,
断層破砕帯にはさまざまなスケールの変形構造が形成されており、これらをもとに断層の運動方向を特定することができる。細粒な断層破砕物質には、露頭スケールで明瞭な変形組織が認定できない場合も多く、薄片観察などのよりマイクロスケールでの観察が必須となっている。また、断層面上に残された条線は、断層のずれの方向を特定するための重要な手がかりとなる。しかし、肉眼による条線観察では、コメットマークなどの運動方向を1方向に特定する構造が見られない場合には、断層の運動方向を2方向から絞れない場合も多い。一方、走査型電子顕微鏡を用いた断層面や断層破砕物質の観察は古くから行われている(例えば、宇井、1986など)。筆者らは、断層破砕帯の性状観察・分析による断層活動の評価手法について研究を行っている。その一環として、破砕帯から採取した定方位試料、又は断層破砕帯そのものからSEM観察用の定方位試料を作製し、観察を実施した。断層破砕物質のSEM観察では、定方位で観察を実施することが望ましい。しかし、軟質かつ脆い断層破砕物質を、方位情報を保持たせたままSEMの試料室に入るサイズに整形することはしばしば困難を伴う。この問題をクリアし簡便かつ的確にSEM観察用の定方位試料を作製する手法を紹介する。そして、有馬高槻構造線・六甲断層や塩ノ平断層などを対象にした、破砕帯試料のSEM観察の結果を報告する。