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甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑*; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 横谷 明徳*
RSC Advances (Internet), 13(11), p.7076 - 7086, 2023/00
水の放射線分解に関する科学的知見は、生命科学などに幅広く利用されるが、水の分解生成物であるラジカルの生成メカニズムは未だ良く分かっていない。我々は、放射線物理の観点から、この生成メカニズムを解く計算コードの開発に挑戦し、第一原理計算により、水中の二次電子挙動は、水との衝突効果のみならず分極効果にも支配されることを明らかにした。さらに、二次電子の空間分布をもとに、電離と電子励起の割合を予測した結果、水和電子の初期収量の予測値は、放射線化学の観点から予測された初期収量を再現することに成功した。この結果は、開発した計算コードが放射線物理から放射線化学への合理的な時空間接続を実現できることを示している。本研究成果は、水の放射線分解の最初期過程を理解するための新たな科学的知見になることが期待できる。
小川 達彦; 平田 悠歩; 松谷 悠佑; 甲斐 健師
Isotope News, (784), p.13 - 16, 2022/12
入射荷電粒子が二次電子を生じる過程を原子サイズで明示的に計算する飛跡構造解析計算は、放射線生物影響,材料照射効果,放射線検出などの研究にとって重要な技術であり、近年主著者らの研究で新しい飛跡構造解析計算コードが開発された。従来の飛跡構造解析計算は標的物質の誘電関数を基に断面積を計算するため、誘電関数が良く測定されている水以外に、適用できるモデルは限られていた。本研究では誘電関数を使うことなく、二次電子エネルギー分布の系統式と阻止能を基に飛跡構造解析計算を行う手法により、誘電関数の測定値の有無にかかわらず、任意の物質で飛跡構造解析計算を実行することを可能とした。こうして開発したモデルで、陽子による水中の動径線量分布や二次電子生成量を計算したところ、従来のコードや実験値とよく一致した。このモデルは原子力機構の放射線輸送計算コードであるPHITS Ver3.25以降に実装され、任意物質に適用できる世界初の汎用飛跡構造解析コードとしてユーザーに提供されている。
平田 悠歩; 甲斐 健師; 小川 達彦; 松谷 悠佑; 佐藤 達彦
Japanese Journal of Applied Physics, 61(10), p.106004_1 - 106004_6, 2022/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Applied)検出器や半導体メモリなどのSiデバイスにおいて、パルス波高欠損やソフトエラーなどの放射線影響が問題となっている。このような放射線影響のメカニズムを解明するためには、放射線による精密なエネルギー付与情報が必要である。そこで、Siにおける電子線のエネルギー付与をナノスケールで計算できる電子線飛跡構造解析機能を開発しPHITSに実装した。開発した機能の検証として電子の飛程や付与エネルギー分布を計算したところ、既報のモデルと一致することを確認した。また、一つのキャリア生成に必要なエネルギー(値)について、実験値を再現する二次電子生成のエネルギー閾値は2.75eVであることを見出すとともに、このエネルギー閾値は解析的に計算された結果および実験値と一致することがわかった。本研究で開発した電子線飛跡構造解析機能はSiデバイスに対する放射線影響の調査に応用することが期待される。
谷内 淑恵*; 甲斐 健師; 松谷 悠佑; 平田 悠歩; 吉井 勇治*; 伊達 広行*
Scientific Reports (Internet), 12, p.16412_1 - 16412_8, 2022/09
被引用回数:1 パーセンタイル:0(Multidisciplinary Sciences)近年、腫瘍を見ながら治療する磁場共鳴誘導放射線治療法(MRgRT)が開発され、その装置が医療施設へ導入され始めている。MRgRTにおいて、ローレンツ力は荷電粒子によるマクロな線量分布を変調することが知られているが、生体内におけるミクロな放射線飛跡構造や初期DNA損傷に対するローレンツ力の影響は未解明のままである。本研究では、PHITSを利用し、静磁場が印加された生体内の電子線飛跡構造を模擬し、その結果から生物学的効果の特徴を推定した。本研究により、腫瘍サイズのマクロな線量分布はローレンツ力に強く依存する一方、分子サイズのミクロなDNA損傷は、ローレンツ力の影響を受けない数10eV未満の二次電子がDNAの二本鎖切断に起因することを明らかにした。本研究から得られた新たな知見はMRgRTの発展に大きく寄与することが期待される。
平田 悠歩; 佐藤 達彦; 渡辺 賢一*; 小川 達彦; Parisi, A.*; 瓜谷 章*
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(7), p.915 - 924, 2022/07
被引用回数:3 パーセンタイル:94.4(Nuclear Science & Technology)放射線測定において、検出器の線量応答を高い信頼性を持って評価することは、放射線治療,放射線防護,高エネルギー物理学など、多様な分野で共通した課題となる。しかし、多くの蛍光現象を利用する放射線検出器では、高い線エネルギー付与(LET)を持つ放射線に対して消光効果と呼ばれる検出効率の低下を示すことが知られている。また、この消光現象は、異なる種類の粒子線による微小領域へのエネルギー付与分布の変化にも依存する。先行研究では、PHITSコードのマイクロドジメトリ計算により消光現象を予測する手法が開発されていた。本研究では、この成果を活用して、PHITSのマイクロドジメトリ計算により、BaFBr:Eu検出器の光刺激蛍光(OSL)効率を予測した。また、He,
C,
Neのイオンビーム照射実験を行い、BaFBr:Eu検出器の発光効率変化を測定し、計算による予測値を検証した。本検証では、PHITSのマイクロドジメトリ計算でターゲット球の直径を30-50nmと設定することで、発光効率の予測値が実験値を再現した。また、計算によりBaFBr:Euの発光効率の粒子線種に対する依存性を明らかにし、PHITSのマイクロドジメトリ計算がBaFBr:EuのOSL測定結果を正確に予測できることを示した。
松谷 悠佑; 楠本 多聞*; 谷内 淑恵*; 平田 悠歩; 三輪 美沙子*; 石川 正純*; 伊達 広行*; 岩元 洋介; 松山 成男*; 福永 久典*
AIP Advances (Internet), 12(2), p.025013_1 - 025013_9, 2022/02
被引用回数:1 パーセンタイル:59.23(Nanoscience & Nanotechnology)ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy: BNCT)は、腫瘍細胞選択的にホウ素薬剤を集積させ、Bと熱中性子の核反応から発生する
線やLiイオンを利用して、腫瘍細胞に効率的に治療する放射線療法である。近年開発の進む加速器型(病院設置型)中性子源により、将来的に数多くの医療施設でBNCTが普及すると期待されている。加速器型中性子源で、BNCTに用いる熱外中性子は
Li(p,n)
Be反応により生成する。様々な種類の放射線や粒子の挙動を模擬できる放射線輸送計算コードPHITSでは、近年の改良により、日本国内の評価済み核データライブラリー(JENDL-4.0/HE)を使用して
Li(p,n)
Be反応からの中性子生成の推定が可能となった。本研究では、病院設置型BNCTの治療効果の評価へ向けて、PHITSで考慮されている中性子発生断面積や中性子エネルギー分布の基礎的検証を行った。さらに、熱中性子や反跳陽子の発生数 を試算し、BF
ガス計数管や固体飛跡検出器CR-39の測定値と比較した。その結果、これらの検証により、PHITSコードがLiターゲットを使用して加速器から生成された中性子を正確に予測できることを確認した。この成果は、PHITSコードが加速器型中性子場の正確な評価と加速器型BNCTの治療効果の予測に有用であることを示すものである。
松谷 悠佑; 甲斐 健師; 佐藤 達彦; 小川 達彦; 平田 悠歩; 吉井 勇治*; Parisi, A.*; Liamsuwan, T.*
International Journal of Radiation Biology, 98(2), p.148 - 157, 2022/02
被引用回数:6 パーセンタイル:74.47(Biology)放射線による生物学的効果の研究を計算手法で進める場合、細胞内およびDNAスケールにおいて生体と等価物質である液体水中の各原子相互作用を明示的に考慮して、飛跡構造を解析することが重要となる。粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、独自の電子線飛跡構造解析モード(etsmode)ならびに、陽子・炭素イオンを模擬可能な世界的に有名なKURBUCアルゴリズムを使用することで、飛跡構造を詳細に計算できる。本研究では、電子線,陽子線,炭素線に関するPHITSの飛跡構造解析モードについて、物理的な特性(飛程・動径線量・微視的エネルギー付与)を評価し、文献の実験データや他のシミュレーションの文献値と一致することを検証した。また、電子線を対象に、早期の生物影響であるDNA一本鎖切断やDNA二本鎖切断、さらには複雑なDNA損傷であるクラスター損傷の発生数を推定し、電子線の入射エネルギー依存性を評価した。その結果、DNA損傷タイプはナノメートルスケールの電離励起の空間パターンに深く関与し、約500eVの電子線で複雑なDNA損傷の収量が大きくなることを明らかにした。PHITS飛跡構造解析モードの開発や検証並びに放射線生物研究へ応用した本成果は、放射線による生物学的効果の発生メカニズムの解明へ向けた研究を発展させるものである。
小川 達彦; 平田 悠歩; 松谷 悠佑; 甲斐 健師
Scientific Reports (Internet), 11(1), p.24401_1 - 24401_10, 2021/12
被引用回数:5 パーセンタイル:69.76(Multidisciplinary Sciences)入射荷電粒子が二次電子を生じる過程を明示的に計算する飛跡構造解析計算は、放射線生物影響,材料照射効果,放射線検出などの研究にとって重要な技術であり、これまで多くの研究に応用されてきた。しかし、従来の飛跡構造解析計算は標的物質の誘電関数を基に行われており、水以外の誘電関数はあまりよく知られていない。そこで本研究では誘電関数を使うことなく、二次電子エネルギー分布の系統式と阻止能を基に飛跡構造解析計算を行う手法を考案した。これにより、誘電関数の測定値の有無にかかわらず、任意の物質で飛跡構造解析計算を実行することを可能とした。まずこの手法で、標準的な検証データである陽子の水中の飛程や、エネルギー付与の動径方向分布を計算したところ、従来のコードや実験値とよく一致した。そこで、従来のコードが扱えなかった生体等価ガスを例にとり、同ガス中でのlineal energyを本研究で開発した手法により計算したところ、これも実験値の分布をよく再現し、水として近似した場合とは明確な差がみられた。このモデルは原子力機構の放射線輸送計算コードであるPHITS Ver3.25以降に実装され、任意物質に適用できる世界初の汎用飛跡構造解析コードとしてユーザーに提供される予定である。
松谷 悠佑; 甲斐 健師; 小川 達彦; 平田 悠歩; 佐藤 達彦
放射線化学(インターネット), (112), p.15 - 20, 2021/11
Particle and Heavy Ion Transport code System (PHITS)は、放射線挙動を模擬する汎用モンテカルロコードであり、原子力分野のみならず工学,医学,理学などの多様な分野で広く利用されている。PHITSは2010年に公開されて以降、機能拡張や利便性向上のために改良が進められてきた。今日までに、電子線,陽電子線,陽子線,炭素線の4種類の荷電粒子を対象として、液相水中における個々の原子との反応を模擬できる飛跡構造解析モードの開発を進めてきた。本モードの開発により、DNAスケールまで分解した微視的な線量付与の計算が可能となった。加えて、飛跡構造解析モードの高精度化へ向けて、任意物質中において多様な粒子タイプに適用可能な汎用的飛跡構造解析モードの開発も進められている。本稿で解説するPHITS飛跡構造解析モードに関するこれまでの開発経緯と将来展望により、PHITSコードの原子物理学,放射線化学,量子生命科学分野への応用がより一層期待される。
及川 健一; 鬼柳 善明*; 篠原 武尚; 甲斐 哲也; 渡辺 賢一*; 瓜谷 章*; 堀 元紀*; 平田 悠歩*
no journal, ,
The Japanese swords are very attractive not only as a work of art but also a metallurgical point of view. There are various kinds of the structure combining the Japanese swords materials. Non-destructive experiments such as pulsed neutron imaging and diffraction are powerful tools to study metallic cultural heritages due to their high penetrating power and capability to give crystallographic information. For the first trial of our study, three kinds of Japanese swords were made by a swordsmith. Pulsed neutron imaging and diffraction experiments were performed at RADEN and NOBORU at J-PARC, respectively. Each sword samples were cut in three parts to be measured simultaneously by using the 100100 mm
area detector, nGEM. Neutron diffraction experiments were focused on specific parts of the swords to see the difference in combination of the steels. Detailed analysis results will be presented at the meeting.
平田 悠歩
no journal, ,
シンチレーターなどの検出器は高エネルギー粒子線に対して感度低下を示すが、これらを従来の放射線挙動計算コードは正確に再現できなかった。そこで、検出器の応答関数をPHITSで正確に予測する機能の開発を目的として、感度低下に関係する微小領域への付与エネルギーの集中に着目して研究を進めた。本発表では、PHITSに実装されているマイクロドジメトリ関数を活用し、蛍光体中のエネルギー付与密度を計算し、蛍光体の応答を予測する手法について報告する。ここでは、検出器で利用されている蛍光体BaFBr:Euへ高エネルギー粒子線を照射し、その際のエネルギー付与密度をPHITSで計算した。その結果と線照射に対する応答を組み合わせて発光効率を計算する手法を開発し、高エネルギー粒子線に対するBaFBr:Euの発光効率の実測値を再現することに成功した。今後、PHITSの飛跡構造解析モードを用いて、蛍光体の応答を理論的に予測する手法の開発を進める予定である。
小川 達彦; 甲斐 健師; 平田 悠歩; 松谷 悠佑
no journal, ,
飛跡構造解析計算は、二次電子のエネルギーが数eV程度に下がるまでその運動を追跡することで、サブミクロンスケールからナノスケールにおける荷電粒子によるエネルギー付与を解析する計算技術である。従来の飛跡構造解析計算を行うコードは、標的物質の電磁波に対する応答、すなわち複素誘電関数を基に断面積を計算し、二次電子の生成や散乱を予測していた。そのため複素誘電関数が幅広い周波数帯で測定された物質しか扱うことができないという制限があった。そこで本研究ではその問題を解決するため、阻止能に関する系統式と二次電子のエネルギー分布に関する系統式を組み合わせることによって、任意物質に適用できる飛跡構造解析コードを開発した。本研究ではこの方法に基づいて飛跡構造解析コードを作成するために、阻止能はATIMAコードにより計算し、二次電子のエネルギー分布はRuddの系統式を使用した。そのコードで粒子の飛程や動径方向線量分布,確率的線量分布を計算したところ文献値の値をよく再現することが確認できた。このモデルは次期公開のPHITSに実装され、ユーザーに広く提供される予定である。
平田 悠歩; 甲斐 健師; 小川 達彦; 松谷 悠佑; 佐藤 達彦
no journal, ,
Si半導体検出器は線や
線などの測定に用いられているが、重荷電粒子に対するパルス波高欠損は検出効率を低下させる問題を生じる。また、電子機器の誤動作の一因となり得るソフトエラーは、放射線とメモリ内部のSiの相互作用により発生する電荷が主要因と考えられている。これらの現象の発生メカニズムを解明するため、Siの電子線飛跡構造解析コードを開発した。飛跡構造解析は物質中に入射した放射線のエネルギー付与をナノスケールで細微に計算するもので、本研究ではSiの解析に必要な断面積を新たに計算した。この断面積を活用し電子線飛跡構造解析を行うコードを粒子・重イオン輸送計算コードPHITSに組み込み、水及びSi中で異なる電子線の飛跡を詳細に再現することに成功した。また、検出器応答として重要で、一つのキャリア生成に必要なエネルギーである
値は3.62eVと計算され、既報の実験値を再現した。今後、この解析計算コードを用いて荷電粒子によるパルス波高欠損などの放射線応答を再現する予定である。
小川 達彦; 平田 悠歩; 松谷 悠佑; 甲斐 健師
no journal, ,
入射荷電粒子が標的物質にエネルギーを付与する過程を明示的に計算する飛跡構造解析計算は、放射線検出器物理にとって重要な技術である。しかし、従来の飛跡構造解析計算は標的物質の誘電関数を基に行われており、水以外の誘電関数はあまりよく知られていないために、放射線検出器に使われるガラス,ガス,有機高分子などには使えない問題があった。そこで本研究では誘電関数を使うことなく、二次電子エネルギー分布の系統式と阻止能を基に飛跡構造解析計算を行う手法を考案した。これにより、誘電関数の測定値の有無にかかわらず、任意の物質で飛跡構造解析計算を実行することを可能とした。この手法で、標準的な検証データである陽子の水中の飛程や、エネルギー付与の動径方向分布を計算したところ、従来のコードや実験値とよく一致することも確認できている。さらに、このモデルでケイ素中の陽子線による放射線飛跡を計算すると、従来法による計算に比べて格段に空間分解能が向上することを確認できた。このモデルは原子力機構の放射線輸送計算コードであるPHITS Ver3.25以降に実装され、任意物質に適用できる世界初の汎用飛跡構造解析コードとしてユーザーに提供される予定である。
平田 悠歩; 甲斐 健師; 小川 達彦; 松谷 悠佑; 佐藤 達彦
no journal, ,
蛍光現象を利用する蛍光体放射線検出器は多様な用途へ応用されているが、高い線エネルギー付与を持つ放射線に対し検出効率の低下をもたらす消光効果が知られている。本研究では、蛍光体放射線検出器の応答を放射線粒子輸送計算コードであるPHITSにより予測、解析可能な機能を開発した。まず、PHITSのミクロ線量計算機能を用いて、蛍光体の応答を予測するモデルを開発した。開発したモデルは線質の異なる様々な粒子線に対して蛍光体の発光効率の実測値を再現した。また、消光効果のような検出器応答が変化する物理的なメカニズムを解明するためには、放射線のエネルギーが検出器出力に変換されるまでの過程を調べる必要がある。そこで、検出器の素材で広く使われるSiを対象として、電子線の挙動を詳細に追跡する電子線飛跡構造解析コードを開発した。開発したコードを用いてSi内の電子線の挙動を計算した結果、飛程や電子発生数などの基礎的な物性値が文献値や実験値と一致した。以上のように、蛍光体放射線検出器の応答メカニズムの解析に有用な予測モデルの開発に成功した。
橋本 慎太郎; 佐藤 達彦; 岩元 洋介; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松谷 悠佑; 松田 規宏; 平田 悠歩; et al.
no journal, ,
PHITSは、国内外の研究機関と協力し原子力機構が中心となって開発を進めている汎用の放射線挙動解析コードである。あらゆる物質中の様々な放射線の振る舞いを模擬することができるため、理学,工学,医療といった幅広い分野で7,000名以上の研究者・技術者に利用されている。おおよそ年1回の頻度で高度化を進めており、最新版となるPHITS version 3.27を2022年3月に公開した。PHITS version 3.27の前バージョンからの主な改良点として、(1)任意物質における飛跡構造解析モードITSARTの実装、(2)重陽子・アルファ粒子・光子に関する核データライブラリの読み込み機能の追加、(3)利用可能な高エネルギー核データの自動検索機能の追加、(4)EXFORの実験値を参照した核反応イベントを再現可能とする変換プログラムの開発、(5)GUI版RT-PHITSの開発、(6)系統的不確かさ評価機能(Anatally)の全タリーへの拡張等がある。本発表では、飛跡構造解析モードによる計算結果等を示すことで、追加した機能の特長を紹介するとともに、今後の開発計画も報告する。
小川 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 佐藤 達彦; 松田 規宏; 国枝 賢; elik, Y.*; 古館 直也*; 仁井田 浩二*; 古田 琢哉; et al.
no journal, ,
原子力機構が中心となって開発を進めている汎用の放射線挙動解析コードPHITSについて、開発の最新状況と近年実施した遮蔽ベンチマークについて発表する。近年の重要な改良点は以下の通りである、(1)重陽子・アルファ粒子・光子に関する核データライブラリの読み込み機能の追加、(2)燃焼計算コードDCHAINの核データの更新、(3)系統的不確かさ評価機能の実装、(4)3次元ジオメトリビューアーPHIG-3Dの開発、(5)宇宙線ソース機能の開発、(6)飛跡構造解析モードの実装、(7)GUI版RT-PHITSの開発、(8)XorShift64アルゴリズムに基づく乱数生成アルゴリズムの実装、(9)ユーザー定義LETの設定機能、(10)EXFORの実験値を参照した核反応イベントを再現可能とする変換プログラムの開発、(11)光子からのミュー粒子対生成モデル実装。本発表ではさらに、岩元らの発表したSINBADに基づくPHITSのベンチマーク研究論文についても解説する。同論文では、エネルギースペクトルの正確な評価のためにはJENDL-4.0/HE等の高エネルギー核データライブラリの仕様が望ましいことが示された。