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平塚 一; 秦野 歳久; 阿部 哲也
JAEA-Testing 2013-001, 42 Pages, 2013/05
四重極形質量分析計(QMS)を用いた微量ガス成分の測定・分析技術の開発を進め、呼気ガス測定装置(ブレスマス)を実用化した。ブレスマスは、大気圧のガスを超高真空まで瞬時に減圧し、高感度かつ再現性よく、そのガス成分を短時間で計ることを可能としたガス分析装置である。その特徴を生かし、可搬性を備えることから、その場測定を実施するなど、広範な分野への活用を目指した。技術指導や共同研究等を通してブレスマスの活用を進める中、本装置の基本的な取り扱い方法の講習が求められた。そこで、ブレスマスの運転操作やガスの採取方法及び保守メンテナンスを報告書にまとめた。
平塚 一; 秦野 歳久; 阿部 哲也
平成24年度愛媛大学総合技術研究会報告書(CD-ROM), 3 Pages, 2013/03
四重極形質量分析計(QMS)を使った微量ガス成分の測定・分析技術の開発を進め、高感度ガス分析装置(ブレスマス)を実用化した。ブレスマスを用いた呼気ガス、清酒の香りや野菜・果実の香りなどの測定技術の開発を行い、各々についての客観的な評価基準の確立を試みた。ブレスマスによるガス測定は、非破壊測定,高感度測定,迅速測定であることなどを特徴とすることから多くの分野への利活用が進展した。原子力技術で培ったブレスマスによる高度なガス測定技術やガス分析技術は、原子力分野以外の分野に波及した。特に、農業分野においては、野菜・果実の香り特性や新鮮度の提案、畜産分野については、豚肉,牛肉の品質や変化調査に活用され、特徴的な香りのガス成分を検出した。これらのガス測定・分析技術は、技術移転を目指した現場測定や特殊なガス測定の技術開発にも展開している。さらに、このガス測定技術を活用した企業の業績向上にも貢献している。今後は、環境・安全管理やセキュリティ技術などの分野にブレスマスが活用されることが期待される。
平塚 一; 秦野 歳久; 阿部 哲也
平成23年度機器・分析技術研究会報告, p.64 - 65, 2011/09
四重極形質量分析計を使った微量ガスの分析技術の開発を進め、高感度ガス分析装置(ブレスマス)を実用化した。ブレスマスは、大気圧のガス成分を短時間に計ることを可能としたガス分析装置であり、工業,農業,醸造,医療,畜産及び漁業などのさまざまな分野での活用が期待できる発展性を備えたガス分析装置である。これまでに多くの分野のガス測定・分析を行い、有用なデータを得てきたが、一方では計測結果に悪影響を与える複数の真空漏れ(真空リーク)も経験し、その都度、対策を行ってきた。高温状態で、繰り返し測定を行うブレスマスは、真空の質(測定動作時のバックグランドガス圧力及び成分組成)に変化のないことが必須条件である。真空リーク探しは、ヘリウムガスによる吹きかけ法やフード法によって行った。主な真空リーク箇所は、配管などの溶接部、フランジシール部のキズ、シール面の荒れ、ハーメチックシール部などである。対策として、シール面の精密仕上げ、継手の切断、突合溶接部の最適構造化及び溶接専用バルブを使用したことや面仕上げや切断にあたっては油脂を使用しない切断・仕上方法を用いることで良好な真空性能を得ることができた。
秦野 歳久; 平塚 一; 阿部 哲也
Journal of the Vacuum Society of Japan, 54(9), p.474 - 477, 2011/09
高精度なガス分析を行うとき、圧力や温度などの測定環境を一定常状態にしなければならない技術課題を要することがある。真空排気装置では圧力-排気曲線が排気時定数によって一義的に決定されるということに着目し、排気過程で得られる測定質量スペクトルを圧力一定の場合に対応するように整形することが可能である。本研究はその整形質量スペクトルを分析用質量スペクトルとして用いることの可否について検討評価した。測定は、試料ガスを1回だけ間欠注入して質量分析計で測定する。そのときの試料ガス圧が指数関数に則って低下するため、測定質量スペクトルは数学的処理により初期の試料ガス圧で一定にした場合に相当するように整形することができる。窒素,酸素,アルゴン,二酸化炭素を測定した場合の整形質量スペクトルとアメリカ国立標準技術研究所(NIST)の質量スペクトルのデータベースとの比較を行い、整形質量スペクトルがガス分析用質量スペクトルとして十分使用できることを確認した。
秦野 歳久; 平塚 一; 長谷川 浩一; 海福 雄一郎*; 阿部 哲也
Journal of the Vacuum Society of Japan, 54(5), p.313 - 316, 2011/05
環境分野での大気汚染ガス量やアルミリサイクル材に混入している不純物ガス量の定量測定は、これらを世界標準化する観点からガス量を直接、重量値として表すことが求められている。そのため重量値で示せる標準ガス発生源の実用化が期待されている。本研究では、気液平衡型ガス発生源(以下、P-チューブと略する)を一候補例として、真空中での性能評価試験を行った。具体的には、真空中でガスの重量変化を自作の真空天秤で直接測定するとともに質量分析計を用いてガス成分濃度も合わせて測定し、両者の対応関係等について調べた。試験結果は、気液平衡型P-チューブが真空用重量標準ガス発生源として使用できる可能性を示した。
竹永 秀信; 久保 博孝; 末岡 通治; 川俣 陽一; 吉田 麻衣子; 小林 進二*; 坂本 宜照; 飯尾 俊二*; 下村 浩司*; 市毛 尚志; et al.
Nuclear Fusion, 48(3), p.035011_1 - 035011_6, 2008/03
被引用回数:3 パーセンタイル:13.13(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uでは、DT核融合反応率の温度依存性を考慮した燃焼模擬実験手法を開発してきた。ここでは、密度とイオン温度の実時間計測値を用いてアルファ加熱模擬用の加熱パワーを計算している。核融合炉での燃料密度制御による燃焼制御性を解明するために、模擬外部加熱パワー一定のもとでの模擬核融合増倍率の密度に対する応答を調べた。イオン温度1020keVでの温度依存性に相当するイオン温度の2乗に比例する核融合反応率を仮定した場合には、密度の2乗より強い模擬核融合増倍率の密度依存性を観測した。1.5次元輸送コードの解析により、この強い密度依存性は閉じ込め特性の変化と圧力分布の変化により引き起こされていることを明らかにした。一方、イオン温度40100keVでの温度依存性に相当するイオン温度に依存しない核融合反応率を仮定した場合には、閉じ込め特性の変化や圧力分布の変化によらず模擬核融合増倍率は密度の2乗に比例した。
下村 浩司*; 竹永 秀信; 筒井 広明*; 三又 秀行*; 飯尾 俊二*; 三浦 幸俊; 谷 啓二; 久保 博孝; 坂本 宜照; 平塚 一; et al.
Fusion Engineering and Design, 82(5-14), p.953 - 960, 2007/10
被引用回数:3 パーセンタイル:25.42(Nuclear Science & Technology)燃焼プラズマの制御性を明らかにするために、JT-60Uにおいて自己加熱模擬用と外部加熱模擬用の2つのNBグループを用いた燃焼制御模擬実験を行った。自己加熱模擬用では、中性子発生率に比例して加熱パワーを入射した。外部加熱模擬用では、蓄積エネルギー帰還制御を適用した。ELMy Hモード及び負磁気シアプラズマとも、自己加熱模擬用NBパワーが増加した場合には、外部加熱模擬用NBパワーが減少することにより蓄積エネルギーは一定に維持された。しかしながら、負磁気シアプラズマでは、ELMy Hモードプラズマと比べて外部加熱模擬用NBパワーの変動は大きく、制御裕度を大きくとる必要がある。両プラズマでの違いの原因を明らかにするために、非定常輸送解析コードTOPICSに燃焼制御模擬ロジックを組み込んだ。実験データから評価された実効的な粒子拡散係数と熱拡散係数を用いて計算を行った結果、負磁気シアプラズマで外部加熱模擬用NBパワーの振動が大きくなることは再現できなかった。また、熱拡散係数が温度依存性を持つと仮定した場合でも、外部加熱模擬用NBパワーの振動が大きくなることは観測されなかった。拡散係数の違い及びその温度依存性では両プラズマでの実験結果の違いを説明できないと考えられる。
新井 貴; 平塚 一; 長谷川 浩一; 秦野 歳久; 根本 正博; 阿部 哲也
平成18年度名古屋大学総合技術研究会装置技術研究会報告集, p.76 - 79, 2007/03
昨今、飲酒運転による事故がニュースで頻繁に取り上げられ、飲酒量や飲酒時刻等の検証が高い関心を持たれている。血中のアルコール量と呼気に含まれるアルコール濃度には相関があると言われており、これに基づいて呼気中のアルコール濃度を測定する機器が報告されている。われわれは、高精度測定が可能な四重極型質量分析計(QMS)ガス分析装置「グラビマス」の応用として呼気分析を実施している。今回、呼気中のアルコール濃度を測定し、アルコール検出に対する本装置の性能を調べ、呼気中アルコール濃度の時間変化を高精度で測定した。さらに、アルコール以外の物質変化をも同時に観察することによりアルコール摂取時の呼気組成の変化も合わせて測定することができた。これらの結果は、QMSを用いた呼気分析の有用性を示すものである。
長谷川 浩一; 阿部 哲也; 根本 正博; 平塚 一; 新井 貴; 秦野 歳久
平成18年度機器・分析技術研究会報告, p.169 - 172, 2006/09
産学連携推進部では、化学変化や吸着作用などによる材料のごく微量な重量変化を試験容器内で連続的に測定しながら、試験容器内の雰囲気と周囲の環境との間に気密性を保つことができる環境分離型天秤を開発した。試料が腐食進行する特殊・有害環境下での重量変化の測定では、測定試料の雰囲気と天秤の置かれた外部環境とを分離して量ることが有効であるが、従来、分離のための気密性を保持しつつ、重量を測定することが技術的に困難であった。環境分離型天秤では、永久磁石を挿入した特殊フランジの中心貫通孔に試料吊下げワイヤーを通してできた隙間に磁性流体を注入することにより、磁力で磁性流体を中心部に保持させてワイヤーの可動性と気密性を兼ね備える分離壁を作ることに成功した。この分離壁の生成により、周囲の環境に左右されず、天秤本体部にも影響を及ぼすことのない状況を確保でき、腐食進行などの化学変化や材料の吸着作用による試料の質量変化の測定が可能となった。
平塚 一; 阿部 哲也; 根本 正博; 長谷川 浩一; 新井 貴; 秦野 歳久
平成18年度機器・分析技術研究会報告, p.163 - 166, 2006/09
QMS(四重極質量分析計)によるガス分析技術をヒトが吐き出す呼気分析に応用し、ヒトの健康状態を知る技術の開発を進めている。ヒトの皮膚から排泄されるガスを特殊なガス捕集袋に採取し、ガス組成を測定する方法を新たに考案した。これまでに、呼気ガス及び皮膚排泄ガスの二酸化炭素,酸素及びアルコール成分等の含有割合の計測に成功しており、本技術によって、ヒトの健康状態をその場で把握できるものと期待される。
竹永 秀信; 三浦 幸俊; 久保 博孝; 坂本 宜照; 平塚 一; 市毛 尚志; 米川 出*; 川俣 陽一; 飯尾 俊二*; 坂本 隆一*; et al.
Fusion Science and Technology, 50(1), p.76 - 83, 2006/07
被引用回数:4 パーセンタイル:30.55(Nuclear Science & Technology)JT-60Uにおいて、自律性が強い燃焼プラズマの制御性を明らかにするために、自己加熱模擬用と外部加熱模擬用の2つのNBグループを用いた核燃焼模擬実験を行った。自己加熱模擬用では、実時間制御システムを用いてDD反応による中性子発生率に比例して加熱パワーを入射した。外部加熱模擬用では、蓄積エネルギー帰還制御を自己加熱模擬と同時に適用可能なように制御系を改良した。ELMy Hモードプラズマに、外部加熱模擬用NBパワー一定の下で自己加熱模擬を適用した場合には、自己加熱模擬用の比例定数を大きくすることにより、中性子発生率と加熱パワーの増加ループが発生し、蓄積エネルギーも増加した。蓄積エネルギー帰還制御を自己加熱模擬と同時に適用した場合には、自己加熱模擬用NBパワーが増加しても、蓄積エネルギー帰還制御により外部加熱模擬用NBパワーが減少し、蓄積エネルギーは一定に制御された。0次元モデル計算により、自己加熱模擬用の比例定数を大きくすることは閉じ込め性能が高くなった場合を模擬していることを示した。また、同計算により、蓄積エネルギー帰還制御を行った場合、Q=5では十分な制御性が確保されているが、Q=30では制御性が小さいことが示された。このことは、実験結果と矛盾しない。
平塚 一; 新井 貴; 長谷川 浩一; 根本 正博; 阿部 哲也
第17回分子科学研究所技術研究会報告集(CD-ROM), 4 Pages, 2006/03
国際熱核融合炉における炉内ガス成分分析のために開発した質量分析計(QMS)をヒトの健康状態管理に利活用するために、ごく少量の呼気試料ガスを用いてその場計測が可能なガス成分の分析技術及び装置を開発をした。分析方法は、ヒトの気道である気管部分に残存する呼気と肺で代謝された呼気を区分できるように新たに開発した特殊サンプルバック中へ呼気試料ガスを収集する。その収集した試料ガスの一部をシリンジ(注射器)で取り出してQMSを組み込んだ超高真空容器に注入し、QMSにより質量数ごとのガス成分量を計測する。初期実験の結果、アルコール成分を高精度で検出できること,若年齢や運動量が多い人ほど体外への排出酸素量が少なく排出二酸化炭素量が多いことを定量的に評価できること等が確認できた。
市毛 尚志; 平塚 一; 竹永 秀信; 松沢 行洋; 芳賀 三郎; 宮 直之
第17回分子科学研究所技術研究会報告集(CD-ROM), 4 Pages, 2006/03
現在のJT-60プラズマ放電時間は最大65秒まで可能だが、ペレットの連続入射時間は最大5秒間に制限されている。そこで、プラズマ放電時間に対応するために連続ペレット生成が可能なスクリュー式生成方式を採用することにした。現在は、既設ペレット入射装置にスクリュー式ペレット生成器を組み込むため、スクリュー式ペレット生成器及び既設ペレット入射装置の性能等の整合性,互換性を図る改造を行っているところである。本研究会では、既設ペレットの改造の概要とスクリュー式ペレット生成器の構造及びその生成試験結果について報告する。
竹永 秀信; 大山 直幸; 浦野 創; 神谷 健作; 三代 康彦; 西山 友和; 笹島 唯之; 正木 圭; 平塚 一; 市毛 尚志; et al.
Europhysics Conference Abstracts (CD-ROM), 30I, 4 Pages, 2006/00
核融合炉では、高密度にて高閉じ込め状態を実現することが必要であり、そのためには高効率・高信頼性の粒子供給システムの確立が重要である。本発表では、ペレット入射及びガスパフによる粒子供給時のプラズマ閉じ込めとペデスタル特性、及び新粒子供給装置(改良ペレット入射装置,ガスジェット装置)の開発について報告する。高磁場側ペレット入射では、ペレットの侵入長は、=0.1-0.3と評価された。この侵入距離は、中性ガス遮蔽モデルによるペレット溶発の計算結果より長く、ペレット溶発雲のドリフトを考慮したSMARTモデルの計算と一致した。高モードプラズマに高磁場側からペレットを入射した結果、 0.7で 2を得た。一方、ガスパフを使用した場合は、0.6では1.6以下に低下した。ペデスタル圧力もペレット入射時の方が高い。ガスパフの有無に対しては、ペレット入射によるコールドパルスの伝搬にも違いが見られた。ガスパフ無しの場合は、内部輸送障壁で温度低下量の増加が観測されたが、その内側にはコールドパルスが伝搬しなかった。ガスパフ有りの場合は、中心部までコールドパルスの伝搬が観測され、温度分布の硬直性が強い。さらに、ペレット入射装置の長時間化,カダラッシュ研究所との研究協力にて設置したガスジェット装置の開発について報告する。
西山 友和; 新井 貴; 三代 康彦; 平塚 一; 本田 正男; 宮 直之
平成14年度東京大学総合技術研究会技術報告集, p.2_28 - 2_30, 2003/03
JT-60のトロイダル磁場コイル(TFC)は、長年に渡る運転で生じた老朽化による性能劣化に対応するため、運転制限や監視,健全性の確認等を実施しながら安全で円滑な運転の確保に努力している。その健全性確認作業の一貫として、コイルの電気的絶縁状態を確認するために絶縁抵抗測定を実施している。TFC一括の絶縁抵抗は、容易に短時間で測定できるためJT-60実験運転時の毎日実施し、絶縁抵抗管理値を下回らないように監視している。また、定期点検期を利用して単位コイルの絶縁抵抗測定を実施し、その絶縁状態や吸湿等を確認している。以上のようにJT-60の運転経験から得られた絶縁管理の手法について報告する。
市毛 尚志; 平塚 一; 本田 正男; 宮 直之
平成14年度東京大学総合技術研究会技術報告集, p.2_91 - 2_93, 2003/03
JT-60に使用している遠心加速方式ペレット入射装置は、平成8年に開発を開始してから現在まで実験に使用してきた。しかし、平成14年6月のJT-60実験運転において固体燃料(ペレット)を射出できなくなる不具合が発生した。調査の結果、固体燃料切断装置の燃料切断・装填用プランジャの励磁コイル焼損と励磁コイルが高温になった場合に電源の出力を停止するための保護装置(電源内部に設置され、バイメタルを内蔵したサーマルプロテクタ)のバイメタルの接点が溶着している事が判明した。励磁コイルは真空槽内に設置されており、励磁コイルの絶縁被覆(ポリアミドイミド)の寿命により焼損したと思われる。また、保護装置については、切断装置本体の構造変更により励磁コイルの温度が高い状態が繰り返され寿命に至ったと思われる。本保護装置は励磁コイル焼損を防ぐ目的から故障しにくい構造にする必要がある。そこで、バイメタルを使用しない一方式による電源に改良することとした。本研究会においては、電源の改良内容と今後の予定について報告する。
平塚 一; 市毛 尚志; 木津 要; 本田 正男; 宮 直之
JAERI-Tech 2002-076, 37 Pages, 2002/10
臨界プラズマ試験装置では、遠心加速方式ペレット入射装置を用いて重水素ペレットの連続入射による高密度プラズマの実験運転を行っているが、プラズマの状態によりペレット入射の停止や入射個数制御が要求されている。その手法として高速シャッター弁による動作が有効である。しかし、従来の高速シャッター弁は、その動作速度や真空性能に問題があったため、飛行ペレットの停止,ペレット入射個数制御及び真空維持などのシャッター機能及び真空シール機構を有するゲートバルブを開発した。開発した高速動作ゲートバルブは、衝撃吸収タイプの電磁弁構造適用により、気密性110-8Pam/s以下、弁体ストローク20mm以上及び動作応答時間100ms以下の仕様を満足する結果を得た。この結果、遠心加速方式ペレット入射装置に適用可能であることが確認された。
木津 要; 平塚 一; 三代 康彦; 市毛 尚志; 笹島 唯之; 西山 友和; 正木 圭; 本田 正男; 宮 直之; 細金 延幸
Fusion Science and Technology (JT-60 Special Issue), 42(2-3), p.396 - 409, 2002/09
被引用回数:4 パーセンタイル:29.00(Nuclear Science & Technology)この論文では、JT-60のガス及びペレット入射システムの開発と運転について述べている。ガス注入システムの主要機器であるガス注入バルブは、積層型圧電素子を用いて開発した。このシステムの最大流速は43.3Pam/sである。このバルブは、JT-60真空容器内を大気圧にすることなく修理と調整ができるように調整機構を大気側に備えている。ペレット入射システムでは圧空加速式と遠心加速式の2種類の入射方式を開発してきた。圧空式は1988年当時の世界最高記録である2.3km/sのペレット速度を達成した。一方、遠心式は1998年に開発され、40個の2.1mm角立方体ペレットを110Hzで0.11.0km/sの速度で連続的に射出可能である。1999年には高磁場側(上側)入射用のガイド管を開発し、ペレット入射実験を2000年より開始した。加えて高磁場側(水平)入射のためのガイド管を新規に2001年3月に開発した。
正木 圭; 柳生 純一; 新井 貴; 神永 敦嗣; 児玉 幸三; 宮 直之; 安東 俊郎; 平塚 一; 西堂 雅博
Fusion Science and Technology (JT-60 Special Issue), 42(2-3), p.386 - 395, 2002/09
被引用回数:9 パーセンタイル:51.30(Nuclear Science & Technology)JT-60Uでは、大気解放後の第一壁コンディショニングとして、ベーキング,ヘリウムTDC,ヘリウムGDC,トカマク洗浄放電と順次実施し、到達真空度1010Paを達成している。また、酸素不純物を低減するために、デカボラン(BH)を用いたボロナイゼーションを実施しており、プラズマ中の酸素不純物量を0.5%程度まで低減することに成功している。真空容器内に設置されるタイバータタイルは、高熱負荷に晒されるため高い設置精度が要求される。特にテーパー加工はタイルの段差による端部への熱集中を避けるのに有効であり、タイルの損耗を大きく減らすことができた。また、ダイバ-タ領域における堆積量及び損耗量の内外非対称性(ポロイダル方向)からは、外側ダイバータから内側ダイバータへの不純物の輸送が示唆されている。1992年及び1993年には、CFCタイルの化学スパッタリングと酸素不純物の低減を目的として、BC転化CFCタイルを外側ダイバータに設置し、その効果を実証した。JT-60Uのトリチウム挙動を調べるために、第一壁中のトリチウム量及び排ガス中のトリチウム量を測定した。その結果、生成されたトリチウム量の約50%が第一壁に残留していることがわかった。
三代 康彦; 平塚 一; 岩橋 孝明*; 本田 正男
NIFS-MEMO-36, p.339 - 342, 2002/06
ガス注入装置は、臨界プラズマ試験装置(JT-60)の設備の一部であり、初期ガス及びプラズマへの粒子補給に用いられている。本装置では、経年対策・機能向上を図るため、ガス注入弁の更新を図るとともに制御計算機をCAMACからVMEとする改造を2000年に実施した。しかし、その後の実験運転においてガス注入弁用電源の出力電圧異常警報ならびにVME-AOボードの動作不良によるガス注入弁の動作不良が生じた。改造時、設備単体での動作確認試験で正常動作を確認していることから実験時のノイズによるものと判断した。JT-60では、プラズマ閉じ込め・制御用コイルによる高磁場環境下であるとともに、高電圧(NBI)・高周波(RF)の設備も稼働しており、多くのノイズ発生源が存在する。調査の結果、ガス注入弁用電源の異常については、負イオン源中性粒子加速装置(N-NBI)の運転が起因するノイズによるものであることが判明した。本報告では、ガス注入装置で受けたノイズ障害について、原因の特定及び対策方法について述べる。