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野口 良史*; 樋山 みやび*; 志賀 基之; 秋山 英文*; 杉野 修*
Journal of Chemical Physics, 153(20), p.201103_1 - 201103_6, 2020/11
被引用回数:2 パーセンタイル:11.43(Chemistry, Physical)第一原理分子動力学シミュレーションを用いて、第一励起状態のオキシルシフェリン水溶液の3つの異性体の安定化メカニズムを調べた。フェノラート-ケト異性体のみが励起状態で水分子に引き付けられ、近くの水分子との水素結合の数を増やすことによって安定化された。励起状態で最も安定な異性体はフェノラート-ケトであり、フェノラート-エノールおよびフェノール-エノラート異性体は、フェノラート-ケトよりもエネルギーがそれぞれ0.38eVおよび0.57eV高かった。この結果は、フェノラート-エノールが最も安定な異性体である基底状態の場合とは対照的である。
樋山 みやび*; 志賀 基之; 古賀 信明*; 杉野 修*; 秋山 英文*; 野口 良史*
Physical Chemistry Chemical Physics, 19(15), p.10028 - 10035, 2017/04
被引用回数:7 パーセンタイル:31.12(Chemistry, Physical)本研究では、水溶液中のオキシルシフェリンアニオン異性体における特徴的な水和構造が電子吸収スペクトルに与える影響を検討した。第一原理分子動力学シミュレーションから得られた水和構造のカノニカルアンサンブルを用いて、室温でのケト-, エノール-およびエノラート型水性オキシルシフェリンアニオンの電子吸収スペクトルをQM/MM法で計算したところ、スペクトルシフトおよび広がりに関する実験結果をよく再現した。これは、オキシルシフェリンアニオンの分子振動とその水和構造の変動を考慮していない、静的な量子化学計算とフランク-コンドン近似に基づく従来法とは対照的な結果である。
野口 良史*; 樋山 みやび*; 志賀 基之; 杉野 修*; 秋山 英文*
Journal of Physical Chemistry B, 120(34), p.8776 - 8783, 2016/09
被引用回数:6 パーセンタイル:15.29(Chemistry, Physical)室温の水溶液中におけるオキシルシフェリンアニオンの安定性(ケト,エノール、およびエノラート異性体)を調べるため、ナノ秒スケールの大規模な第一原理分子動力学シミュレーションを行った。その結果、従来の量子化学計算とは対照的に、ケト型よりもエノール型の方がわずかに安定で、最近の幾つかの実験的結論に合致した。このシミュレーションから、ケト型が特に疎水的でと水との界面にキャビティが形成することや、疎水性が水分子数とともに減少する様子が明らかになった。このことから、安定な異性体は水和クラスターの大きさに依存するものと予想される。