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堅田 元喜; 山口 高志*; 堀江 洋佑*; 平木 隆年*; 小林 禧樹*; 藍川 昌秀*
no journal, ,
霧水沈着は山地森林の水・物質循環に重要な役割を果たしている。林縁での霧水沈着量は林内に比べて特に大きいことが知られているが、霧水沈着の森林構造への依存性は明らかになっていない。本研究では、日本の針葉樹林で多数の雨量計を用いて霧水沈着量を測定し、航空レーザー観測による地形および森林キャノピーのデータと比較しながら解析する。2015年10月には、わずか6時間の間に最大で30mmもの水量が霧水沈着によって林床に供給されていた。2か月間の積算霧水沈着量は、林外で測定した積算降水量の7割に達していた。積算霧水沈着量の観測値をすべての地点で平均すると、積算雨量の4割に達しており、この大きさはこの地域の林縁部を代表していると考えられる。観測された霧水沈着量は、いくつかのLiDARによる地形パラメータとの相関が見られた。今後、より長期間のデータを取得することによって、霧水沈着量と植物構造の関係を明らかにする必要がある。
堅田 元喜; 山口 高志*; 堀江 洋佑*; 小林 禧樹*; 藍川 昌秀*; 平木 隆年*
no journal, ,
霧が頻発する海岸付近や山岳地帯では、霧が樹木葉に付着して大きな水滴となり林床へと落下する「霧水沈着」が森林の水・物質循環に影響を与える。特に、林縁部ではスポット的に高い霧水沈着量が観測されるが、同一森林内での霧水沈着量の空間的なばらつきを定量的に評価した例は少ない。本研究では、霧水沈着の空間分布を把握するために、2015年9月から兵庫県六甲山地のスギ林内の12地点(主に林縁部)で林内雨量の測定を行った。得られた林内雨量から降水量(林外雨)を差し引くことによって、霧水沈着量を計算した。その結果、林縁木の林床には、わずか6時間で30mmもの水が供給されたことがわかった。この結果は、過去に同スギ林で観測された最大の日積算霧水沈着量19mmを大きく上回る。2015年9月から10月の同地点の積算霧水沈着量は、降水量の7割に達した。霧水沈着が森林生態系の物質循環にどのような影響を及ぼしているかを解明するためには、より多くのデータを蓄積し、山地森林での林内雨量のばらつきを定量化する必要がある。