Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Elekes, Z.*; Juhsz, M. M.*; Sohler, D.*; Sieja, K.*; 吉田 数貴; 緒方 一介*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Achouri, N. L.*; 馬場 秀忠*; et al.
Physical Review C, 106(6), p.064321_1 - 064321_10, 2022/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Physics, Nuclear)Vと
Vの低励起準位構造を初めて探索した。
Vについては中性子ノックアウト反応と陽子非弾性散乱が、
Vについては中性子ノックアウト反応データが得られた。
Vについては4つ、
Vについては5つの新たな遷移が確認された。Lenzi-Nowacki-Poves-Sieja (LNPS)相互作用に基づく殻模型計算との比較によって、それぞれの同位体について確認されたガンマ線のうち3つが、first 11/2
状態とfirst 9/2
状態からの崩壊と決定された。
Vについては、(
,
)非弾性散乱断面積は四重極変形と十六重極変形を想定したチャネル結合法により解析されたが、十六重極変形の影響により、明確に反転の島に属するとは決定できなかった。
Enciu, M.*; Liu, H. N.*; Obertelli, A.*; Doornenbal, P.*; Nowacki, F.*; 緒方 一介*; Poves, A.*; 吉田 数貴; Achouri, N. L.*; 馬場 秀忠*; et al.
Physical Review Letters, 129(26), p.262501_1 - 262501_7, 2022/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Multidisciplinary)230MeV/nucleonでの
Caからの中性子ノックアウト反応が
線分光と行われ、
と
軌道からの中性子ノックアウト反応の運動量分布が測定された。断面積は
の閉殻と整合し、Ca同位体での
と
閉殻と同程度に強い閉殻であることが確認された。運動量分布の分析から
と
軌道の平均二乗根半径の差は0.61(23)fmと決定され、これはmodified-shell-modelによる予言の0.7fmと整合した。これは、中性子過剰なCa同位体での
軌道半径が大きいことが、中性子数にしたがって線形的に荷電半径が増える意外な現象の原因であることを示唆している。
小岩井 拓真*; Wimmer, K.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Barbieri, C.*; Duguet, T.*; Holt, J. D.*; 宮城 宇志*; Navrtil, P.*; 緒方 一介*; et al.
Physics Letters B, 827, p.136953_1 - 136953_7, 2022/04
被引用回数:2 パーセンタイル:77.37(Astronomy & Astrophysics)中性子過剰核Caでは、新魔法数34が発見されて以来、その構造を知るために多くの実験がなされてきたが、それを超える中性子過剰核の情報は全く知られてこなかった。本論文では、理化学研究所RIBFにて
K,
Ca,
Caの励起状態から脱励起するガンマ線を初めて観測した結果を報告した。それぞれ1つのガンマ線しか得られなかったものの、
Kおよび
Caのデータは、それぞれ、陽子の
と
軌道間のエネルギー差、中性子の
と
軌道間のエネルギー差を敏感に反映し、両方とも最新の殻模型計算によって200keV程度の精度で再現できることがわかった。また、1粒子状態の程度を特徴づける分光学的因子を実験データと歪曲波インパルス近似による反応計算から求め、その値も殻模型計算の値と矛盾しないことがわかった。
Linh, B. D.*; Corsi, A.*; Gillibert, A.*; Obertelli, A.*; Doornenbal, P.*; Barbieri, C.*; Chen, S.*; Chung, L. X.*; Duguet, T.*; Gmez-Ramos, M.*; et al.
Physical Review C, 104(4), p.044331_1 - 044331_16, 2021/10
被引用回数:2 パーセンタイル:47.5(Physics, Nuclear)理化学研究所のRIビームファクトリーにて中性子過剰Clの励起状態を
Arからのノックアウト反応によって生成し、脱励起ガンマ線からそのエネルギー準位を測定した。また、陽子ノックアウトの運動量分布から
Clの基底状態が
であることがわかった。その結果を大規模殻模型計算およびいくつかの第一原理計算と比較した。
Cl同位体の基底状態および第一励起状態は、計算で用いた相互作用に敏感であることがわかった。それは、陽子の一粒子エネルギーと四重極集団運動との複雑な結合によるためであると考えられる。
比嘉 野乃花*; 伊藤 孝; 與儀 護*; 服部 泰佑; 酒井 宏典; 神戸 振作; Guguchia, Z.*; 髭本 亘; 中島 美帆*; 本間 佳哉*; et al.
Physical Review B, 104(4), p.045145_1 - 045145_7, 2021/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)We report the results of SR and
Si NMR measurements carried out on the cubic chiral magnet EuPtSi. Our zero-field
SR experiments revealed the development of critical slowing down of Eu spin fluctuations over a relatively wide critical region above
. We also found from
Si NMR that the spin fluctuations are strongly suppressed by magnetic field in the paramagnetic state above 20K. These characteristic spin dynamics observed over a wide region of temperature and magnetic field suggest the presence of magnetic frustration in the spin system. Such frustration would underlie the mechanism stabilizing the short-period skyrmion lattice observed in this compound.
Browne, F.*; Chen, S.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; 緒方 一介*; 宇都野 穣; 吉田 数貴; Achouri, N. L.*; 馬場 秀忠*; Calvet, D.*; et al.
Physical Review Letters, 126(25), p.252501_1 - 252501_7, 2021/06
被引用回数:5 パーセンタイル:61.32(Physics, Multidisciplinary)理化学研究所RIビームファクトリーにて、中性子過剰核Scからの1陽子ノックアウト反応によって
Caを生成し、そのエネルギー準位と反応断面積をガンマ線分光および不変質量分光によって得た。その結果を歪曲波インパルス近似による核反応計算と大規模殻模型による核構造計算を組み合わせた理論値と比較した。実験の準位と断面積は理論計算によってよく再現された。
Caの正パリティ状態については、基底状態の生成断面積が励起状態のものに比べて圧倒的に大きいという結果が得られた。これは、
Scでは中性子魔法数34が消滅し
Caではその魔法数が存在するというこれまでの知見と一見矛盾するが、対相関による分光学的因子のコヒーレンスから理解することができる。
Juhsz, M. M.*; Elekes, Z.*; Sohler, D.*; 宇都野 穣; 吉田 数貴; 大塚 孝治*; 緒方 一介*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; 馬場 秀忠*; et al.
Physics Letters B, 814, p.136108_1 - 136108_8, 2021/03
被引用回数:2 パーセンタイル:47.5(Astronomy & Astrophysics)(,
)反応と
線分光を用いて
Arの束縛状態と非束縛状態の核構造研究を行った。実験結果と殻模型計算を比較することで、2つの束縛状態と6つの非束縛状態を決定した。
Arの束縛状態を生成する反応断面積が小さいことから、これは中性子数32, 34の顕著なsub-shell closureが存在している確かな証拠と解釈できる。
Corts, M. L.*; Rodriguez, W.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Holt, J. D.*; Men
ndez, J.*; 緒方 一介*; Schwenk, A.*; 清水 則孝*; Simonis, J.*; et al.
Physical Review C, 102(6), p.064320_1 - 064320_9, 2020/12
被引用回数:7 パーセンタイル:73.84(Physics, Nuclear)理化学研究所RIBFにおいて、=32同位体である
Arの低励起構造を陽子・中性子ノックアウト反応,多核子剥離反応,陽子非弾性散乱と
線分光によって調査した。すでに知られていた2つに加えて、3
状態の候補を含む5つの状態を新たに確認した。
coincidenceによって得られた準位図は
模型空間での殻模型計算やカイラル2体・3体力による第一原理計算と比較した。陽子・中性子ノックアウト反応断面積の理論との比較により、新たに発見された2つの状態は2
状態であり、また以前に4
とされていた状態も2
であることが示唆された。
Corts, M. L.*; Rodriguez, W.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Holt, J. D.*; Lenzi, S. M.*; Men
ndez, J.*; Nowacki, F.*; 緒方 一介*; Poves, A.*; et al.
Physics Letters B, 800, p.135071_1 - 135071_7, 2020/01
被引用回数:23 パーセンタイル:95.85(Astronomy & Astrophysics)ガンマ線分光による=40同調体である
Tiの分光学研究を
V(
,
)
TiをRIBFで行った。今回初めて測定された
と
の遷移はTiの基底状態が変形していることを示唆した。これらのエネルギーは近傍核の
Crや
Feと比較して大きく、したがって四重極集団運動が小さくなっていることが示唆される。今回の結果は大規模殻模型計算によって良く再現される一方、第一原理計算や平均場模型では今回の結果は再現されなかった。
Chen, S.*; Lee, J.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Barbieri, C.*; 茶園 亮樹*; Navrtil, P.*; 緒方 一介*; 大塚 孝治*; Raimondi, F.*; et al.
Physical Review Letters, 123(14), p.142501_1 - 142501_7, 2019/10
被引用回数:37 パーセンタイル:92.33(Physics, Multidisciplinary)Caでは中性子魔法数34が現れると考えられているが、その直接的な実験的証拠を得るため、
Caからの中性子ノックアウト反応
Ca(
)
Caによって生成される状態を理化学研究所のRI Beam Factoryによって調べた。基底状態および2.2MeVの励起状態が強く生成され、1.7MeVの励起状態の生成量は小さかった。
Caの運動量分布から、基底状態および2.2MeVの励起状態は
軌道の中性子を叩き出して得られた状態であることが明らかになった。DWIA計算によって得られた分光学的因子から、
Caは
軌道がほぼ完全に占有された閉殻構造を持つことが明らかになり、中性子魔法数34の出現が確実なものとなった。
Wang, H.*; 大津 秀暁*; 千賀 信幸*; 川瀬 頌一郎*; 武内 聡*; 炭竃 聡之*; 小山 俊平*; 櫻井 博儀*; 渡辺 幸信*; 中山 梓介; et al.
Communications Physics (Internet), 2(1), p.78_1 - 78_6, 2019/07
被引用回数:7 パーセンタイル:57.33(Physics, Multidisciplinary)陽子(あるいは中性子)過剰核の効率的な生成経路を探索することは、原子核反応研究の主な動機のひとつである。本研究では、Pdに対する核子当たり50MeVの陽子および重陽子入射による残留核生成断面積を逆運動学法によって測定した。その結果、重陽子入射ではAgやPd同位体の生成断面積が大きくなることを実験的に示した。また、理論計算による解析から、この生成断面積の増大は重陽子の不完全融合反応に起因することを示した。これらの結果は、陽子過剰核の生成において重陽子のような弱束縛核の利用が有効であることを示すものである。
岩佐 和晃*; 伊賀 文俊*; 茂吉 武人*; 中尾 朗子*; 大原 高志
Journal of the Physical Society of Japan, 87(6), p.064705_1 - 064705_5, 2018/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Multidisciplinary)The magnetic-ordered state of a single-crystal sample of TbB has been studied with the high-precision neutron diffraction instrument SENJU installed at BL18 of the Materials and Life Science Facility in J-PARC. We observed new Bragg-reflection spots characterized by a propagation vector
= (1/4, 1/4, 0) below the N
el temperature
20 K, in addition to the
= (1/4, 1/4. 1/2) reported in the previous literatures. Because X-ray Thomson scattering measurements do not detect the
superlattice reflections at 13 K,
is a new magnetic-ordering propagation vector. The magnetic multi-q structure of TbB
is similar to that of CeB
, whereas the ratio of the
amplitude to that of qM1 is smaller than in CeB
. The combination of
and
is expected to assist the
= (1/2, 0, 0) lattice modulation.
朽津 敬史*; 立川 仁典*; 志賀 基之
Chemical Physics Letters, 433(1-3), p.193 - 198, 2006/12
被引用回数:1 パーセンタイル:2.57(Chemistry, Physical)パルスレーザーにより電子状態を制御すると、通常の状態とは異なる多様なダイナミクスが見られるが、この現象のシミュレーションを行うためにはアト秒からフェムト秒の間の電子状態の変化を追跡することが必要で、その技術はまだあまり進歩していない。本研究では、その候補として電子状態を動的なガウス基底関数の重ね合わせで記述することによって第一原理的に計算する手法を述べ、その手法により水素原子やヘリウム原子が急激に変化する電場の中でどう応答するかを数値的に観察した。
森下 卓俊; 井上 多加志; 伊賀 尚*; 渡邊 和弘; 今井 剛
Review of Scientific Instruments, 75(5), p.1764 - 1766, 2004/05
被引用回数:7 パーセンタイル:40.02(Instruments & Instrumentation)核融合加熱装置や大強度陽子加速器などにおいて必要とされる大電流密度負イオンビームを生成するためにはHやHからの表面生成を利用したイオン源が有効であり、閉じ込めの良い大型イオン源によって高プロトン比プラズマを生成する必要がある。しかしながら、従来、高プロトン比プラズマ生成が困難であると考えられていた小型のイオン源において800A/m
の大電流密度負イオンビームが生成された。本研究では、イオン源内のプロトン比を実験的,解析的に調べ、小型イオン源におけるプロトン生成過程を調べた。小型のイオン源(容積1.4リットル,ガス圧1Pa)に磁気フィルターを適用し、正イオンビーム中のプロトン比を測定した結果、磁気フィルターによりプロトン比が2倍以上の90%にまで上昇した。次にレート方程式を用いてイオン密度を求め、プロトン比を評価した。その結果、小型のイオン源では、主放電領域でのプロトン比は40%程度と低いが、磁気フィルターによって高速一次電子の流入が抑制されるため引き出し領域では分子イオン生成は小さく、かつ活発に分子イオンの解離が進行するため、磁気フィルターによってプロトン比が向上することがわかった。
井上 多加志; 花田 磨砂也; 伊賀 尚*; 今井 剛; 柏木 美恵子; 河合 視己人; 森下 卓俊; 谷口 正樹; 梅田 尚孝; 渡邊 和弘; et al.
Fusion Engineering and Design, 66-68, p.597 - 602, 2003/09
被引用回数:21 パーセンタイル:79.16(Nuclear Science & Technology)中性粒子ビーム(NB)入射は、トカマク型核融合装置において、最も有力なプラズマ加熱・電流駆動手段の一つである。原研ではJT-60UとITER用NB入射装置のために、大電流静電加速器の開発を進めてきた。この開発において最近、以下の進展があったので報告する; (1)JT-60U負イオンNB入射装置において、加速器内の電界の歪みによりビームの一部が偏向され、NB入射ポートにあるリミタに熱負荷を与えていた。不整電界の原因である電極下面の段差を埋めたところ熱負荷は従来の半分以下となって、2.6MWのH ビームを355 keVで10秒間連続入射することに成功した。(2)加速器耐電圧性能の向上を目指して、3重点(FRP製絶縁管,金属フランジ,真空の接点)の電界を緩和する電界緩和リングを設計し、JT-60U負イオン源加速器とITER用R&Dで使用している1MeV加速器に取り付けた。ビーム加速無しでの耐電圧試験において、良好な耐電圧性能を確認した。
谷口 正樹; 花田 磨砂也; 伊賀 尚*; 井上 多加志; 柏木 美恵子; 森下 卓俊; 奥村 義和; 清水 崇司; 高柳 智弘; 渡邊 和弘; et al.
Nuclear Fusion, 43(8), p.665 - 669, 2003/08
被引用回数:16 パーセンタイル:47.13(Physics, Fluids & Plasmas)メートル級の真空長ギャップにおいて負イオン源加速器に相当する条件での放電特性を実験的に明らかにし、ITER等のNBI運転条件で1MVの高圧を保持できる見通しを示した。上記のデータに基づき、真空絶縁方式のMeV級負イオン加速器を設計製作し、その耐電圧と負イオン加速実証試験を行った。その結果、世界で初めて真空絶縁方式による負イオン加速器によって、ほぼ定格のエネルギーである970keVまでの負イオン加速に成功し、本方式の実現性を実証した。また、負イオン生成の効率改善の研究として、低ガス圧力で高密度の負イオン生成の可能なイオン源を開発した。従来0.3Pa程度の動作圧力であったものを、イオン源フィルター磁場等の改良により0.1Paの極めて低い圧力条件でも31mA/cmの高密度負イオンを生成する事に世界で初めて成功した。
渡邊 和弘; 伊賀 尚*; 森下 卓俊; 柏木 美恵子; 井上 多加志; 花田 磨砂也; 谷口 正樹; 今井 剛
Proceedings of 28th Linear Accelerator Meeting in Japan, p.186 - 188, 2003/08
IFMIFでは、加速器入射部として100keV,155mA出力で原子イオン組成比が90%以上、規格化エミッタンスが0.2mm・mrad以下の高輝度重水素正イオン源が要求されている。原研では、イオン源の方式選択に向けて、アーク放電型イオン源とマイクロ波イオン源の開発を行い、性能の比較を行った。アーク放電型ではイオン引き出し部への高速電子流出を抑制する磁気フィルター配位やフィラメント形状を改良してプロトン比90%を得た。マイクロ波イオン源では、92%の高プロトン比をアーク放電型より3倍以上の放電効率で得られた。一方、エミッタンスは、マイクロ波放電型では0.35
mm・mradであり、アーク型での値0.27
mm・mradに比べて幾分大きいことなどがわかり、加速器への適用にはさらなる改善が必要なことがわかった。
森下 卓俊; 井上 多加志; 伊賀 尚*; 渡邊 和弘; 柏木 美恵子; 清水 崇司; 谷口 正樹; 花田 磨砂也; 今井 剛
JAERI-Tech 2003-007, 16 Pages, 2003/03
IFMIF(国際核融合材料照射施設)のために開発した小型アーク放電イオン源において、磁気フィルターを適用することによって90%のプロトン比でかつ、120mAの正イオンビーム生成が可能となった。小型イオン源においても高プロトン比プラズマが生成されるメカニズムは興味深い。そこでイオン源中の正イオン及び水素原子密度をレート方程式を用いて数値的に求めた。主要なプロトン生成は分子イオンの解離反応であり、イオン源中心部では高プロトン比プラズマは生成されない。しかし磁気フィルター領域では分子イオンの生成は小さく、熱電子により分子イオンが解離しプロトンが生成されて分子イオン密度が減少し、プロトン比が増加することがわかった。同手法を用いて大型イオン源におけるプラズマ生成過程に関する計算を行った結果、放電領域において高密度のHが生成され、分子イオンを介さないHのイオン化によるプロトン生成により容易に高プロトン比プラズマ生成が可能であることがわかった。また、本計算で得られた正イオン,水素原子密度によって、大型イオン源における負イオン生成への各粒子の寄与を評価した結果、計算結果による負イオンビーム電流は実験結果と一致し、高密度水素原子による表面生成によって大量の負イオンが生成されることがわかった
清水 崇司; 森下 卓俊; 柏木 美恵子; 花田 磨砂也; 伊賀 尚*; 井上 多加志; 渡邊 和弘; 和田 元*; 今井 剛
JAERI-Tech 2003-006, 26 Pages, 2003/03
セシウム添加型負イオン源におけるプラズマ電極の材質の違いが、負イオン生成効率に与える影響について実験的に調べた。本研究においては、金,銀,銅,ニッケル,モリブデンの5種の電極について調べた。実験では、プラズマ電極がフィラメント陰極材によって覆われることを防ぐために、2.45GHzのマイクロ波イオン源を用い、各電極において仕事関数と負イオン電流の相関性を測定した。その結果、得られる負イオン電流量は、その時の電極の仕事関数によって一意的に決まり、電極材質そのものには無関係であることが明らかになった。つまり、電極材質の違いが仕事関数の違いをもたらし、仕事関数の違いによって負イオン生成量が変わることがわかった。用いた材質の中では、金が最も低い仕事関数1.42eVを示し、負イオン生成効率も20.7mA/kWの高い値を示した。この値は、従来から電極として用いられている銅やモリブデンより30%高い値であった。さらに、セシウムとタングステンを同時堆積させた場合には、24.6mA/kWと最も高い効率を得た。
森下 卓俊; 伊賀 尚*; 井上 多加志; 今井 剛; 柏木 美恵子; 清水 崇司; 谷口 正樹; 花田 磨砂也; 渡邊 和弘
第1回21世紀連合シンポジウム; 科学技術と人間論文集, p.221 - 224, 2002/11
90%以上の高プロトン比で、かつ電流密度の高い高輝度正イオン源が、国際核融合材料照射施設(IFMIF)において要求されている。従来、核融合用イオン源開発において、イオンの閉じ込めを向上するためイオン源の大型化がプロトン比向上に適していることが示されたが、加速器用イオン源は単孔ビームで十分であり、効率や装置の単純化等の観点から、イオン源は小型であることが望ましい。小型のイオン源で高いプロトン比を生成するためには、プロトン生成の機構を把握し、高いプロトン比が得られる条件を積極的に与える必要がある。そこでレート方程式を用いてイオン源プラズマ中でのプロトンの生成過程を調べ、小型イオン源における高プロトン比生成機構について、実験結果と対比させた。その結果、従来より考えられていた分子イオンの電離によってプロトンが主に生成されるが、磁気フィルターの効果により小型のイオン源においても高プロトン比ビームの生成が可能であることを示した。