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山田 秀徳*; 玉田 太郎; 小坂 恵*; 宮田 幸平*; 藤木 伸哉*; 田納 優*; 守屋 雅之*; 山西 守*; 本庄 栄二郎; 多田 宏子*; et al.
Protein Science, 16(7), p.1389 - 1397, 2007/07
被引用回数:39 パーセンタイル:59.73(Biochemistry & Molecular Biology)タンパク質の結晶格子は分子表面同士の相互作用からなっている。結晶格子内へのタンパク質の導入のため、ロイシンジッパー様の疎水的な相互作用をヒト膵臓RNase1のへリックス2へ導入した。野生型ヒトRNase1の結晶化はまだ報告をされていないが、4残基のロイシンを導入したRNase1では複数の結晶化条件で結晶を得た。そのX線結晶構造をウシRNaseAの立体構造を用いて分子置換法により決定した。こうして決定されたヒトRNase1の立体構造は、ウシRNaseAの立体構造と大変似ており、導入したロイシン残基を介して2分子のRNase1が疎水的なパッキングしていた。ロイシン導入の効果をさらに検討するために、導入したロイシン残基の数を3残基,2残基と減らした変異体を調製し結晶化を行った。これらの場合もロイシン残基による疎水的なパッキングが形成されていた。一方、ロイシン残基をヒトRNase1の別のへリックス(へリックス3)に導入し、効果を検証した。その結果、4残基のロイシンを導入した変異体でも結晶化し、4分子のRNase1が導入したロイシン残基を介してパッキングをしていることがわかった。これらの結果は、適切なロイシン導入により分子内対称性が生じ、より効果的に結晶化を促進する可能性を示す。
北原 一正*; 小野寺 威文; 星野 貴行*; 鳴海 一成; 中村 顕*
no journal, ,
O-sialoglycoprotein endopeptidase(Gcp)は、糖タンパク質を特異的に分解する分泌型プロテアーゼとして、最初に動物病原菌で発見された。Gcpのオルソログは、真核生物・古細菌・バクテリアを問わず、ゲノム配列が決定されたほとんどすべての生物で高度に保存されている。さらに興味深いことに、同遺伝子は大腸菌や枯草菌,酵母といったモデル微生物では生育に必須であることが明らかになっている。われわれは高度好熱菌 HB27株のGcpオルソログをコードするTTC0888()遺伝子破壊株と、放射線抵抗性細菌 R1株のGcpオルソログをコードするDR0382()の取得に成功した。遺伝子破壊株は、過酸化水素とDNAアルキル化剤であるニトロソグアニジンに対して感受性を示した。一方、遺伝子破壊株はUVやDNAに架橋を形成するマイトマイシンCに対して感受性を示した。とはいずれもGcpオルソログを破壊でき、その表現型は異なる部分があるが、いずれもDNA修復系との関与が示唆された。今後は、各酵素の活性や相互作用について詳細な解析を行っていく予定である。
中村 顕*; 北原 一正*; 小野寺 威文; 星野 貴行*; 鳴海 一成
no journal, ,
O-sialoglycoprotein endopeptidase(Gcp)とアノテートされている遺伝子は、そのオルソログが真核生物・古細菌・バクテリアを問わず、ゲノム配列が決定されたほとんどすべての生物で見いだされ、高い相同性を示す。この遺伝子は大腸菌や枯草菌などのモデルバクテリア、並びにモデル真核生物の酵母で必須遺伝子に分類されており、Gcpは重要な生命現象を担っていることが考えられる。大腸菌のGcpオルソログが別の必須タンパク質(YeaZ)と複合体を形成するという報告もなされている。今回、()及び()を用いて、Gcpオルソログ及びYeaZオルソログの遺伝子破壊株の示す表現型について検討したところ、破壊株は破壊株と同様に高塩濃度に対して感受性を示したが、破壊株は破壊株とは異なり、高塩濃度感受性を示さなかった。また、破壊株,破壊株ともに、DNA損傷剤であるmitomycin Cに対して強い感受性を示したが、破壊株は示さなかった。一方、破壊株は酸化剤であるHOに対して顕著な感受性を示した。