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藤原 治; 酒井 哲弥*; 入月 俊明*
Sedimentary Geology, 135, p.219 - 230, 2001/00
被引用回数:91 パーセンタイル:86.68(Geology)相模湾周辺で過去約1万年間に発生した海底地震の痕跡(津波堆積物)を地層中から見いだし、その堆積学的な特徴について記載した。津波堆積物は基底に侵食面を持ち上方細粒化する砂礫層からなる、異なる環境に棲む生物の化石を混合して含む、含まれる貝化石の年代値が下位層と逆転するなどの特徴があり、流水によって湾周辺から掘り出され、混濁流となって運ばれて再堆積したことを示している。相模湾周辺で広域に分布することや、形成年代が地震で隆起したとされる海岸段丘と近似すること、また海から陸へ向かって運ばれたことを示す堆積構造を持つことから、津波起源であることを推定した。
藤原 治; 増田 富士雄; 酒井 哲弥*; 入月 俊明*; 布施 圭介*
第四紀研究, 38(1), p.41 - 58, 1999/02
相模湾周辺で過去約1万年間に繰り返し発生した7回のプレート境界地震を、これらの地震にともなう津波の痕跡(津波堆積物)としてボーリングコアから見出した。津波堆積物は、基底に侵食面を持ち上方細粒化する礫質の砂層からなり、水深10m前後の内湾に堆積した泥質の地層に挟まれている。堆積構造や化石の種構成などから、海底の侵食と砂層の運搬が海から陸へ向かう強い流れに起因することが示され、また、これらの砂層の年代が地震で隆起した海岸段丘と近似した値を持つことから、津波堆積物であることが明らかになった。本研究では、露頭調査に限られていた津波堆積物の研究範囲をボーリングコアにも広げ、その一連の調査・分析方法についても言及した。このことは、地震の再来間隔などの推定について、津波堆積物の実用性を高めることに貢献する。本研究は長期安定性研究に反映される。
藤原 治; 入月 俊明*
第四紀研究, 38(6), p.489 - 501, 1999/00
過去に発生した地震やそれに伴う地盤の隆起を地層中から如何にして読み出すかについて、その方法論を述べた。相模湾周辺で過去約1万年間に堆積した地層を事例とした調査の結果、堆積構造や化石の種構成、また時間的空間的分布の特徴から、相模湾周辺を震源とする地震津波によって形成されたと考えられる津波堆積物が7枚見出された。また、過去1万年前から5千年前までの海水準変動を三浦半島南部の化石群集を用いて復元したところ、急激な海面の低下イベントが2回見出された。これは海底の地震隆起を示すと考えられる。本論文は、第四紀学会事務局からの依頼で「相模湾周辺の地震・火山とテクトニクス」と題した同学会誌の特集号に寄稿するものである。
入月 俊明*; 藤原 治; 布施 圭介*; 増田 富士雄*
化石, (64), p.1 - 22, 1998/07
表題地域における過去9,000年間の海水準変動を、ボーリングコアに含まれる微生物(貝形虫)の化石を用いて推定した。化石画示す古環境の推定に多変量解析の一つであるQ-modeクラスター分析を用いることで、塩分濃度や海水準の変化を定量的に見積もることができた。解析結果によると試料の条件が良い場合には、数m程度の海水準の変動を識別でき、従来の研究よりも海水準の推定精度が倍以上も向上した。この分解能の向上の他外洋水が内湾奥の汽水域に流入するイベントが、8,900年前頃と7,800年前頃に発生したことが分かった。このイベントは、相模湾で起こった地震津波の可能性がある。なお、この成果は地質環境の長期安定性に関する研究に反映される。
藤原 治; 酒井 哲称*; 入月 俊明*; 布施 圭介*
15th International Sedimentological Congress, 0 Pages, 1998/00
地下水の流れなどを変化させる隆起, 沈降運動を把握し、将来の変動量を予測することは、地質環境の長期安定性を示す上で重要である。このためには、隆起・沈降運動の再来間隔や速度を把握することが不可欠である。日本列島の沿岸部で広く見られる地震に伴う隆起・沈降運動については、津波堆積物がその再来間隔を推定する有力な手法となる。本研究では、沖積層から津波堆積物を検出する方法について、南関東での調査事例を紹介した。この手法は、各地の沖積層から海底地震の記録を読み取ることに適用でき、地震防災や津波防災の観点からも重要である。なお本稿は、15th International Sedimentological Congress事務局からの依頼により投稿・講演するものである。