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田中 勝*; 河原 長美*; 石坂 薫*; 大畑 ゆき*; 福池 伊織*; 川瀬 啓一; 時澤 孝之; 宮川 洋*; 石森 有
JAEA-Research 2018-001, 98 Pages, 2018/06
平成28年度は、最近の一般廃棄物処分場の建設事例を調査し、環境保全・回復事業等が地域や一般に受け入れられるために必要な施策やコミュニケーションの条件を調査した。その結果、(1)事業者と地域との間で長期にわたる良好な関係が築かれていること、あるいは取り決めが存在すること、(2)事業者が立地選定や施設内容の決定プロセスにおいて複数代替案を合理的に検討し、地域に選定・決定理由の説明ができること、(3)計画公表後であっても、地域の関心や要望に応じて計画を変更できる余地があること、(4)事業が跡地利用を含む地域づくりに向けたコミュニケーションの契機となること、の重要性が示唆された。
田中 勝*; 青山 勲*; 石坂 薫*; 大畑 ゆき*; 福池 伊織*; 川瀬 啓一; 渡邊 雅範; 時澤 孝之; 宮川 洋*; 石森 有
JAEA-Research 2017-003, 65 Pages, 2017/06
日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センターと福島環境安全センターは共同で、今後の跡措置や環境回復等の事業に関して、地域との継続性のある関係構築に必要な条件や、活動を通して得られる効果を把握するため、閉止鉱山及び産業廃棄物処分場でのリスクコミュニケーション事例を委託調査した。その結果、(1)地域におけるつながりや、つながりの場の形成、(2)既存のリソース(人員・土地・施設等)の活用、(3)地域における新たな価値の創出、(4)事業の安全性の担保や信頼の醸成に向けた取り組み、などによる、事業の安全性や周辺環境の健全性を長期的に確認できる仕組みや環境保全などについて学べる地域的フィールドの創成、が重要であることが示唆された。
田中 勝*; 青山 勲*; 石坂 薫*; 大畑 ゆき*; 福池 伊織*; 宮川 洋*; 石森 有
JAEA-Research 2016-017, 76 Pages, 2017/01
日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センターでは、1955年のウラン鉱床露頭発見以降、ウランの探鉱、採鉱、製錬・転換、濃縮に係る研究技術開発事業や、2001年以降の廃止措置事業を通じて、50年以上にわたって地域とのコミュニケーションの経験を重ねてきた。数十年を超える長期に展開するようなウラン鉱山跡措置を含む廃止措置事業が主要業務となっているセンターにとって、地域とどのような関係を築き、さらにそれを形骸化させず、どのように継続できるかが特に重要なリスクコミュニケーション上の課題であると考えている。このような課題解決に資するため、センターの事業と類似した国内の事例を調査し、センターで現在行われている取組と比較して、今後センターで必要になる取組などについて検討した。
北村 智; 秋田 祐介; 石坂 宏*; 鳴海 一成; 田中 淳
Journal of Plant Physiology, 169(6), p.636 - 642, 2012/04
被引用回数:83 パーセンタイル:91.29(Plant Sciences)アントシアニンはフラボノイドの一種で、花弁のさまざまな色がフラボノイドによって支配されている。本研究では、シクラメンにおいて、アントシアニン輸送に関与するグルタチオントランスフェラーゼ(GST)遺伝子を同定するために、若い花弁より抽出したRNAに対してディジェネレートPCRを行うことにより、これまでに報告のない4種類のGST様遺伝子(CkmGST1, 2, 3, 4)を得た。発育ステージの異なる花弁RNAを用いた発現解析により、CkmGST3を除く3遺伝子はいずれのステージでも同程度の発現であったが、CkmGST3のみ、他のアントシアニン生合成遺伝子(CkmF3'5'H, CkmDFR2)と類似した発現パターンを示すことが明らかとなった。分子系統学的解析からは、CkmGST3がフラボノイド輸送関連因子に最も近縁であることが示唆された。4種のCkmGST遺伝子をシロイヌナズナ変異体で個別に発現させたところ、CkmGST3のみ
のアントシアニン欠損表現型を相補することがわかった。これらの結果から、CkmGST3がアントシアニン経路に関与するシクラメンGSTであることが明らかとなった。
秋田 祐介; 北村 智; 長谷 純宏; 鳴海 一成; 石坂 宏*; 近藤 恵美子*; 亀有 直子*; 中山 真義*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; et al.
Planta, 234(6), p.1127 - 1136, 2011/12
被引用回数:43 パーセンタイル:75.80(Plant Sciences)Anthocyanin -methyltransferase (OMT) is one of the key enzymes for anthocyanin modification and flower pigmentation. We previously bred a novel red-purple-flowered fragrant cyclamen (KMrp) from the purple-flowered fragrant cyclamen "Kaori-no-mai" (KM) by ion-beam irradiation. Since the major anthocyanins in KMrp and KM petals were delphinidin 3,5-diglucoside and malvidin 3,5-diglucoside, respectively, inactivation of a methylation step in the anthocyanin biosynthetic pathway was indicated in KMrp. We isolated and compared
genes expressed in KM and KMrp petals. RT-PCR analysis revealed that
was expressed in the petals of KM but not in KMrp. Three additional
s with identical sequences were expressed in petals of both KM and KMrp. Genomic PCR analysis revealed that
was not amplified from the KMrp genome, indicating that ion-beam irradiation caused a loss of the entire
region in KMrp. In vitro enzyme assay demonstrated that CkmOMT2 catalyzes the 3' or 3',5'
-methylation of the B-ring of anthocyanin substrates. These results suggest that CkmOMT2 is functional for anthocyanin methylation, and defective expression of
is responsible for changes in anthocyanin composition and flower coloration in KMrp.
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
JAEA-Review 2010-065, JAEA Takasaki Annual Report 2009, P. 65, 2011/01
埼玉県では、シクラメンの栽培種と芳香性野生種の種間交雑と染色体倍加により、バラやスズランと同様の香気成分を持つ複二倍体の芳香性シクラメンを育成した。しかし、芳香性シクラメンは色や形が限定されているため、幅広い消費者の要望に応じるために、イオンビームによる突然変異育種を試みた。芳香性シクラメン「香りの舞い」に炭素イオンビームを2Gy照射して得られたM2個体の中から、花色変異体が得られた。「香りの舞い」の主要色素がマルビジン3.5-ジグルコサイドであるのに対して、変異体の主要色素はシクラメンでは今までに見いだされていないデルフィニジン3,5-ジグルコサイドであった。以上の結果は、変異体では、デルフィニジンの3'位及び5'位の水酸基のメチル化酵素をコードする遺伝子が、イオンビームの影響を受け、マルビジンへの代謝が阻害されていることを示唆している。
秋田 祐介; 石坂 宏*; 中山 真義*; 島田 明彦; 北村 智; 長谷 純宏; 鳴海 一成; 田中 淳
Journal of Horticultural Science & Biotechnology, 85(5), p.437 - 443, 2010/09
シクラメンの花色合成遺伝子に関する解析のために、紫色の花を有するシクラメン野生種(,gra6)とその白花変異体(gra50)を用いて、花色成分とその合成にかかわる遺伝子群の比較解析を行った。gra6の花の色素は、アントシアニンのマルビジン3,5ジグルコシドであった。一方、gra50の花ではアントシアニンが確認されず、その前駆物質であるフラボノールの蓄積が確認された。花色合成にかかわる酵素遺伝子群をgra6より単離し、その発現をgra6とgra50で解析したところ、二つのdihydroflavonol-4-reductase(DFR)遺伝子(
,
)のうち、
の発現がgra50で減少していた。
を含む他の遺伝子群には大差がみられなかったことから、
が
における花色に重要であり、その発現抑制によってアントシアニンの合成が進まず、白花に変異したと考えられた。
の発現が減少した理由として、遺伝子発現にかかわるプロモーター領域の変異が大きな候補として挙げられた。本研究は、シクラメン花色合成に関する選抜マーカーとして
遺伝子が一つの候補であることを示した。
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
Plant Biotechnology, 26(5), p.565 - 569, 2009/01
被引用回数:36 パーセンタイル:68.34(Biotechnology & Applied Microbiology)香りシクラメンシリーズのバリエーションの増加のために、紫の花が咲き、主要アントシアニンとしてマルビジン3,5-ジグルコサイドを含む香りシクラメン品種(
)「香りの舞」の黄化葉柄に320MeVの炭素イオンビームを0
16Gyの強さで照射した。M1植物の自家受粉により得られたM2植物から変異体が選抜された。そのうち、2Gyを照射して得られたM2植物68個体中9個体は、これまでの紫の花と葉は異なる赤紫の花が咲いた。その花の色素を抽出し液体クロマトグラフィー(HPLC)で解析したところ、その主要アントシアニンは、デルフィニジン3,5-ジグルコサイドであった。花の形態や香り成分等、花の色以外の要素はこれまでのシクラメン品種とは大差がなかったことから、この変異体は花の色素合成にかかわる遺伝子にのみ変異が生じたと考えられる。デルフィニジン3,5-ジグルコサイドを主な色素として持つシクラメンはこれまで報告されておらず、この変異個体は商業的な価値があるだけでなく、シクラメンの貴重な遺伝子資源としても有用である。
近藤 恵美子*; 長谷 純宏; 鳴海 一成; 石坂 宏*
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 79, 2008/11
シクラメンの栽培種と芳香性野生種の種間交雑により雑種を育成し、その染色体倍加により複二倍体の芳香シクラメンを育成した。しかし、芳香シクラメンの花は色,形,大きさの変化が乏しいため、形質の多様化が求められている。そこで、イオンビーム照射と組織培養を利用した突然変異育種による変異の拡大を検討した。種子を無菌的に播種し暗黒下で培養することにより発生させた黄化葉柄,葯培養から作出した半数体を暗黒下で培養することにより発生させた黄化葉柄,開花個体から着色する前に採取した未熟な花弁を供試した。花弁には220MeV炭素イオンを、黄化葉柄には320MeV炭素イオンをそれぞれ0から50Gyの範囲で照射し、その後、培養を行った。イオンビーム照射により花弁に現れた変異は、花色の濃淡,花弁の矮小化,花弁周囲の鋸歯,斑入りなどであったが、花弁以外にも葉の斑入りなどの変異が現れた。今後、花の色素,香気成分に関する変異の解析及び世代更新による有望な変異形質の固定をとおして品種育成を進める予定である。
石田 紀久; 今吉 祥*; 頼経 勉; 布川 浩*; 落合 政昭; 石坂 雄一*
Journal of Nuclear Science and Technology, 38(7), p.557 - 570, 2001/07
被引用回数:21 パーセンタイル:77.43(Nuclear Science & Technology)改良舶用炉用に原子炉容器内に設置する制御棒駆動装置(INV-CRDM)を開発した。本装置により、原子炉システムの小型化,簡素化を図ることができるとともに、制御棒飛出事故発生の可能性を排除できる。本制御棒は、一次水中の高温高圧水(310,12MPa)条件下で作動する。駆動力は、水中で作動できるよう開発した同期モータによる。軸のラッチ及びスクラムのためのデラッチは、分割ボールナットを採用したラッチ機構による。駆動軸の位置検出器は、本INV-CRDM用に、ウイーデマン効果を利用し磁歪式細線を採用した検出器を開発し、その誤差が1.2mmであることを確認した。高温水中で作動するスラスト及びラヂアル軸受けを開発した。高温高圧水中下で、ラッチ,保持,スクラム,上下動の機能試験及び耐久試験を実施し、設計条件を満たすことを確認した。
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
芳香シクラメン(2n=4x=82)は花の色が紫とピンクに限られている。花色のバラエティーを広げるために、イオンビーム照射による突然変異育種を試みた。花色が紫色の芳香シクラメン品種"香りの舞い"を暗黒下で培養し、もやし状の黄化葉柄を育成した。これに320MeVの炭素イオンビームを照射し再分化個体を得た。この後代の種子を育成し形質調査を行ったところ、花の色が赤紫色に変異した個体が得られた。この変異体の色素を分析したところ、"香りの舞い"の主要色素であるマルビジン3,5ジグルコシドとは異なる、デルフィニジン3,5ジグルコシドという色素が主要色素として含まれていた。今回得られた突然変異体は赤紫色の新品種になり得るとともに、シクラメン属植物においてデルフィニジン系色素を持つ園芸品種及び野生種はないことから、育種における貴重な遺伝資源として利用できる。
近藤 恵美子*; 亀有 直子*; 中山 真義*; 栗原 康*; 秋田 祐介; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
芳香シクラメンは花の色が紫とピンクに限られており、花色や花型の変化が乏しい。そこで、芳香シクラメン品種"麗しの香り"の半数体にイオンビーム照射を行い、サーモンピンクの変異体(ion3)を選抜した。一方、イオンビーム育種では照射個体に再度照射を行うことにより、さらに広い変異が得られる可能性がある。そこで、さらなる変異拡大を目指してion3にイオンビーム再照射を行い、変異体の作出を試みた。その結果、花弁の縁に欠刻が入った変異体や、ion3に比べて花色のサーモンピンクが濃くなった変異体、花の中心部にあるアイの部分が欠失し、花弁全体がサーモンピンクになった変異体を選抜した。このことは、イオンビームの再照射によって変異頻度が高まっていることを示している。
秋田 祐介; 北村 智; 長谷 純宏; 鳴海 一成; 石坂 宏*; 近藤 恵美子*; 亀有 直子*; 中山 真義*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; et al.
no journal, ,
シクラメンの花色育種を目的とした突然変異育種では、培養組織等への照射から花色の確認まで約2年間かかるため、早期に花色変異候補株を選抜することが育種年限の短縮及びコストの削減に大きく寄与する。われわれは芳香シクラメンの効率的な新規花色個体獲得のためのDNAマーカーの開発を目的として、シクラメンのアントシアニン生合成にかかわる遺伝子群を単離し、イオンビーム照射によって得られた花色変異体との比較解析を行った。紫色の芳香シクラメン"香りの舞い"(KM)へのイオンビーム照射により、赤紫色の変異株"KMrp"が得られた。花弁に含まれる主要アントシアニンは、KMがマルビジン3,5ジグルコシド、"KMrp"がデルフィニジン3,5ジグルコシド(Dp3,5dG)であることから、"KMrp"ではアントシアニンメチル基転移酵素(AMT)の活性低下が推測された。単離したAMTホモログ(
)の発現量を比較した結果、"KMrp"では
の発現が確認できず、ゲノミックPCRでも増幅が確認されなかった。また
での機能解析の結果、CkmOMT2がDp3,5dGをメチル化する機能を有することを確認した。以上の結果から、
が芳香シクラメンのアントシアニン生合成においてDp3,5dGのメチル化に関与することが強く示唆された。本研究からマーカー選抜によって早期に特定遺伝子の変異候補株が選抜できることが示唆された。現在、黄色や白色の変異体も作出されており、これらの解析についても報告する。
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 北村 智; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
種間交雑により作出した芳香シクラメン()"麗しの香り"(複二倍体)の変異を拡大するためにイオンビーム照射を行い, M2集団から変異体を選抜した。選抜した有望変異体(サーモンピンク)について花色素を解析した結果、スリップの各アントシアニンの濃度に顕著な増加が認められた。一方、"麗しの香り"の半数体にイオンビームを照射した場合、複二倍体のM2世代で得られたサーモンピンクと紫の変異体がM1世代で得られた。これは、本試験で得られた変異体が劣性の突然変異によるものであることを示唆している。
亀有 直子*; 秋田 祐介; 北村 智; 長谷 純宏; 近藤 恵美子*; 中山 真義*; 栗原 康*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 田中 淳; et al.
no journal, ,
黄色の芳香シクラメンの育成を目的として、黄色の園芸品種"ゴールデンボーイ"()と芳香性野生種(
)の雑種の半数体にイオンビーム照射を行った。M1の開花個体の中から、葉の裏側が黄色くアントシアニンの着色が見られない変異体を選抜した。黄色の葉が出た芽点から発生した花は淡い黄色であり、色素はカルコンであった。また、PCRを行ったところ、黄色変異体では芳香性野生種由来のカルコンイソメラーゼ遺伝子(
)が増幅されなかった。このことより、芳香性野生種由来の
がイオンビーム照射によって変異し、花弁が黄色化したと推察される。
秋田 祐介*; 北村 智; 長谷 純宏; 鳴海 一成*; 石坂 宏*; 近藤 恵美子*; 亀有 直子*; 中山 真義*; 田中 淳
no journal, ,
現在市販されている芳香シクラメンについては、花色が制限されている。そこで、更なる花色を有する芳香シクラメンを作出することを目的に、芳香シクラメンにおけるアントシアニン合成遺伝子の同定を行った。他方、様々な花色変異体や花色変異系統における色素成分を分析・比較し、それらの系統における変異遺伝子の同定を進めた。更に、今回新たに同定した色素遺伝子を活用し、花色変異のマーカーへの利用について検討した。
近藤 恵美子*; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
シクラメンの栽培種(, 2n=2x=48)と芳香性野生(
, 2n=2x=34)の種間交雑から雑種(2n=41)を育成し、その染色体倍加によって複二倍体(2n=4x=82)の芳香性品種を育成した。しかし、育成品種は花色と花形の変化が乏しく、形質の多様化が必要である。そこで培養細胞へのイオンビーム照射により、多様な変異体の作出を試みた。
と
の複二倍体(2n=82)数系統の花弁,培養中の黄化葉柄,花糸由来の不定胚を供試し、花弁には220MeV炭素イオンを、黄化葉柄及び不定胚には320MeV炭素イオンをそれぞれ0-50Gyで照射した。生存率,塊茎重並びに不定芽形成率から判断して、花弁,黄化葉柄,不定胚すべての組織で1-2Gyの線量が適当と推察された。春までに開花した個体について形態観察を行った。花弁では、花色の濃淡,花色変異,斑入り,花弁の切れ込み(フリンジ),花の大小,奇形等の変異が見られ、葉では斑入りやアントシアニンの沈着が、花梗は太さや長さに変異が認められた。変異体獲得頻度と変異形質の発現には系統間,供試部位により差が認められた。
秋田 祐介; 石坂 宏*; 中山 真義*; 北村 智; 長谷 純宏; 田中 淳; 鳴海 一成
no journal, ,
イオンビーム照射による植物の変異体作製は、線照射に比べて突然変異率が高く、新品種の作出に直結しやすいことから、増加傾向にある。我が国で最も栽培されている鉢植え植物であるシクラメンは、花色のバリエーションが少なく、その広がりが求められている。そこでシクラメンのイオンビーム照射による新しい花色を持つ変異体作製が進められているが、シクラメンは種子から開花までの期間が長く、有望な変異個体の効率的な選抜には花色の選抜マーカーの開発が必要である。しかしながら、シクラメンの花色に関する知見は少なく、選抜マーカー開発のためには、花色とそれにかかわる遺伝子との相関関係を明らかにすることが必須である。そこでシクラメンの花色とその生合成に関する遺伝子群との関連を調べるために、紫色の花色を有するシクラメン野生種とその花色が白色である変異体を用いて、それぞれの花弁における色素分析と色素生合成に関与する遺伝子群の比較解析を行った。
亀有 直子*; 大久保 直美*; 近藤 恵美子*; 中山 真義*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
芳香シクラメン"孤高の香り"の変異を拡大するためにイオンビーム照射を行ったところ、M2集団から白色の変異体が得られた。これまでに、変異体では、花弁においてフラボノールのみが検出されアントシアニンは含まれていないこと、"孤高の香り"の主要香気成分であった芳香族化合物が検出されなかったことを報告した。アントシアニンと芳香族化合物は前駆体が共通であることから、花弁色素と香気成分の両方に変化が起きたことが推察されたため、本研究では変異体の香気成分に関する詳細な情報を得ることを目的として、"孤高の香り"及び白色変異体の花の発散成分及び内生成分の定量分析を行った。
近藤 恵美子*; 亀有 直子*; 北村 智; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 中山 真義*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 石坂 宏*
no journal, ,
これまでに、芳香シクラメン()"麗しの香り"(複二倍体,花色:ピンク)の半数体にイオンビーム照射を行い、サーモンピンクの変異体(ion3)を選抜し、さらに、ion3へのイオンビーム再照射により新たな変異体(不稔)を得た。本研究ではion3の黄化葉柄へのイオンビーム再照射と培養により稔性を回復した個体(倍加半数体)を獲得したので報告する。この倍加半数体は大きさがion3よりも大きかったが、花色の成分には大差がなく、種子培養によって個体を増殖させることが可能となり、新品種作出に大きな期待が持てる。