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藤田 聡志*; 久万 健志*; 石川 聡子*; 西村 将太郎*; 中山 雄太*; 牛坂 理美*; 磯田 豊*; 乙坂 重嘉; 荒巻 能史*
Journal of Geophysical Research, 115(C12), p.C12001_1 - C12001_12, 2010/12
被引用回数:16 パーセンタイル:38.53(Oceanography)海洋において鉄は、生物生産を制御する栄養元素として機能することが知られているが、海水中での挙動は未解明な点が多い。本研究では、海水中の鉄の分布を決定する因子を明らかにするため、日本海の7観測点で海水を採取し、全鉄(未濾過)及び溶存鉄(0.22マイクロメートル以下の成分)の濃度を測定した。併せて、海水の生物・化学特性を示す成分(栄養塩,酸素,クロロフィル,腐植物質濃度等)を測定した。海水中の溶存鉄濃度は、表層では極めて低く、中層(1km深)に極大を示し、底層(2km以深)で一定値となった。この分布は、表層での生物活動による鉄の取り込みと、生物粒子の中層での無機化によって決定付けられると推測された。海域によってその絶対値は異なるものの、底層における全鉄濃度は透過率の減少とともに指数関数的に増加することがわかった。この結果から、底層における懸濁物の輸送が、海水中の全鉄濃度を決定付けていると考えられる。
高田 兵衛*; 久万 健志*; 磯田 豊*; 乙坂 重嘉; 千手 智晴*; 皆川 昌幸*
Geophysical Research Letters, 35(2), p.L02606_1 - L02606_5, 2008/01
被引用回数:19 パーセンタイル:44.27(Geosciences, Multidisciplinary)日本海の2つの海盆(大和海盆及び日本海盆)で採取した海水中の鉄(溶存鉄と可溶性鉄)濃度から、両海盆での鉄の挙動について考察した。孔径0.22mのフィルターで濾過し、緩衝液でpH=3.2に調整した海水に含まれる鉄を溶存鉄、濾過せずにpH調整のみを行った海水に含まれる鉄を可溶性鉄とした。表層(0200m深)における可溶性鉄存在量は、いずれの海域でも300350mol mで、北太平洋の外洋域に比べて59倍大きく、アジア大陸から日本海への大気経由での物質輸送が鉄の存在量に大きく影響していると推測された。日本海における溶存鉄濃度は、水深12kmで極大を示した。この結果は、表層で生物に取り込まれた鉄が、中・深層で分解され滞留したためであると考えられる。鉄は、海洋における生物生産を制限する重要な因子であることが指摘されているが、日本海における鉄濃度分布から、海洋における鉄の供給源と挙動について理解することが可能となった。
伊藤 集通; 川村 英之; 中山 智治*; 島 茂樹*; 大西 光代*; 磯田 豊*
Proceedings of International Workshop on Monitoring and Forecasting of the Rapid Change in Ocean-Atmosphere Environment in the East Asia, p.13 - 14, 2007/11
本研究では、2000年4月から2002年6月の期間の、フェリー搭載音響ドップラー流向流速分布計(ADCP)観測から見積もられた、津軽暖流の流量変動について解析した。この期間の流量は0.6-2.5Sv(=10ms)の幅で変動し、その平均として1.30.3Svを得た。観測期間の前半は季節変動よりも20-30日周期の変動が卓越し、逆に後半では季節変動(春最小,秋最大)が卓越した。この変動と海峡周辺の水位差の変動との間にはよい相関が見られた。これについては予想の範囲内であった。一方で、流量変動に海峡周辺の局地風が影響していることを示唆する結果も得られた。
伊藤 集通; 川村 英之; 大西 光代*; 磯田 豊*; 中山 智治*; 島 茂樹*
Proceedings of 14th PAMS/JECSS Workshop, p.222 - 223, 2007/05
原子力機構では、現在開発中の日本海海水循環予測モデルの境界値とするため、旧法人時代を含め1999年11月以降、津軽海峡における通過流の計測を継続して実施している。これまでに、1999年から2000年の冬季の津軽海峡(青森-函館)における通過流の流量が 1.02.1Sv(平均1.50.3Sv)の範囲で変動し、それが日本海と太平洋の水位差によって駆動されている可能性があることを示唆した。これに対して本研究期間においては、流量(大間-汐首)が、1.01.8Sv(平均1.40.2Sv)であると見積もられた。また、1999年の結果と比較して、流量の変動範囲及び平均値に大きな違いはないものの、顕著な季節変動が見られないかわりに約30日周期の変動が見られることがわかった。この流量変動は日本海内外の水位差の変動である程度説明できること(R0.5)、また、函館の風の東西成分と弱いながら相関がある(R0.3)ことがわかった。
千手 智晴*; 磯田 豊*; 荒巻 能史*; 乙坂 重嘉; 藤尾 伸三*; 柳本 大吾*; 鈴木 崇史; 久万 健志*; 森 康輔*
Journal of Oceanography, 61(6), p.1047 - 1058, 2005/12
被引用回数:9 パーセンタイル:19.27(Oceanography)日本海,日本海盆から大和海盆にかけて底層付近の詳細な水塊構造を観測した。観測は研究船白鳳丸KH03-3次航海(2002年10月14日19日)で行った。大和海盆の底層付近では0.085度以上の、日本海盆では0.070度以下の海水が分布しており、これらの海水は両海盆間の境界付近でestuary型のフロントを形成しながら会合していた。フロントの構造から、底層での日本海盆から大和海盆への流入と、その上層での大和海盆からの流出が示唆された。また、日本海盆から流入した底層水は、大和海盆内の時計回りの循環に捕捉され、鉛直拡散,海底加熱,酸素消費の過程を通して、大和海盆底層水に変質されると推測された。ボックスモデルにより大和海盆底層水の熱収支を解析した結果、海底加熱は鉛直拡散の約70パーセントの大きさを持ち、これらによって日本海盆からの冷たい底層水の移流効果が打ち消されていることがわかった。さらに、大和海盆底層水の平均滞留時間は9.1年であると見積もられた。
黒田 寛*; 磯田 豊*; 大西 光代*; 岩橋 雅行*; 佐藤 千鶴*; 中山 智治*; 伊藤 集通; 伊勢田 賢一*; 西澤 慶介*; 島 茂樹*; et al.
海の研究, 13(6), p.553 - 564, 2004/11
定期船ADCP流速データを用いて、黒田・磯田(2004)が提案した年周期変動成分に関する調和解析上の注意点に基づき、津軽海峡東口周辺における潮流と残差流(年周期変動)成分を見積もった。調和解析上の最大の問題点は、日単位のデータサンプリングによりK1とP1分潮からSa分潮と同じ周期のエイリアシングが生じるため、K1, P1, Saの3分潮を同時に分離することが不可能なことである。まず、Sa, K1の2分潮を選択し、O1, M2, Q1, N2の4分潮を加えて調和解析を行った結果、空間的に安定し、卓越したK1分潮流を見積もることができた。しかし、平衡潮汐におけるK1とP1分潮の振幅比(約0.3)から推測して、K1分潮流の卓越は同時に、除外したP1分潮流の年周期変動成分に対する影響も無視できないことを意味する。そこで、津軽海峡東口周辺の検潮所におけるK1とP1分潮の潮位の振幅比と位相差の関係を潮流に仮定した調和解析を再び行い、過去に行われた係留流速観測結果に近いK1分潮流の調和定数を得ることができた。このような潮流成分の見積もり方法によって、津軽海峡内における年周期変動を提示することが初めて可能となった。
大西 光代*; 礒田 豊*; 黒田 寛*; 岩橋 雅行*; 佐藤 千鶴*; 中山 智治*; 伊藤 集通; 伊勢田 賢一*; 西澤 慶介*; 島 茂樹*; et al.
北海道大学水産科学研究彙報, 55(2), p.105 - 119, 2004/10
津軽海峡における流量変動と潮流特性を明らかにするために船底設置型ドップラー流速計による流速モニタリングを1999年10月29日から2000年3月31日までの期間行った。観測ラインは海峡中央部を横断するものであった。津軽海峡は北太平洋と日本海を結ぶ海峡であり対馬暖流の主要な流出口である。平均流の強流部はほぼ海峡中央部に位置し流れの向きは北東方向であった。また、その両側にあたる北海道と本州沿岸には反流が存在した。平均流の流量、すなわち津軽暖流流量は、正味西向きに1.8Sv(1Sv=10ms)であった。潮流は主要四大分潮(M2, S2, O1, K1)分潮について解析した。海峡内の潮汐は一般に半日周潮が卓越しているが、潮流においてはK1とM2の海峡通過流量がそれぞれ0.72Svと0.52Svであり、日周潮が卓越していた。潮流による通過流量と潮汐の位相関係からK1は定在波の特徴を持ち、M2は進行波の特徴を持つことが明らかとなった。また順圧的な構造を持つ半月周期の変動も明らかとなった。Mf分潮の潮汐は日本海沿岸で振幅13cmと大きく、北太平洋沿岸では1cmに満たない。このことは津軽海峡に存在する半月周期の変動が津軽海峡の両出口でのMf分潮潮汐の振幅差に由来することを強く示唆している。
千手 智晴*; 磯田 豊*; 荒巻 能史; 乙坂 重嘉; 鈴木 崇史; 久万 健志*; 森 康輔*
Proceedings of 12th PAMS/JECSS Workshop, p.3_4_1 - 3_4_4, 2003/11
研究船白鳳丸KH03-3次航海(2002年10月14日19日)で、日本海,日本海盆から大和海盆にかけて底層付近の水塊構造を観測した。大和海盆の底層付近では、日本海盆に比べて水温,溶存酸素濃度が高いことから、両海盆間には底層フロントが形成されていたことがわかった。また、大和海盆の底層における溶存酸素と栄養塩濃度は、日本海盆の底層におけるそれに比べて低いことから、大和海盆の底層付近の海水は、日本海盆に比べて古いことがわかった。これらの結果から、大和海盆と日本海盆では海水の循環が独立しており、大和海盆-日本海盆間の底層フロントの形成によって、高温の大和海盆の海水が低温の日本海盆の海水上に流出するという、「沿岸型循環」が大和海盆北縁の底層に存在することが示唆された。日本海盆の南縁で観測された最も高濃度の溶存酸素を持つ底層水は、日本海盆の底層を西から東に海水が輸送されていたと考えることができる。
伊藤 集通; 外川 織彦; 大西 光代*; 礒田 豊*; 中山 智治*; 島 茂樹*; 黒田 寛*; 岩橋 雅行*; 佐藤 千鶴*
Geophysical Research Letters, 30(13), p.11_1 - 11_4, 2003/10
津軽暖流の流速並びに流量の変動が、連続した海峡横断流速モニタリングデータから調べられた。1999/11-2000/03の期間流速断面の構造は定常的であり、中心部には津軽暖流が、その南北には還流が見られた。そして、これらの流速は観測期間を通じ減少する傾向であった。また、同期間の津軽暖流の流量は流速の変動にともない2.1から1.1Svに減少しており、その平均流量は1.5Svであった。津軽暖流の流量変動は日本海-太平洋の水位差と線形の相関関係があり、水位差の全流量に対する寄与はおよそ70%になると見積もられた。
黒田 寛*; 礒田 豊*; 大西 光代*; 岩橋 雅行*; 佐藤 千鶴*; 中山 智治*; 伊藤 集通; 伊勢田 賢一*; 西澤 慶介*; 島 茂樹*; et al.
海の研究, 12(2), p.195 - 214, 2003/03
青森-室蘭間を運航する定期旅客船に搭載されたADCPによる2000年4月2001年4月までの流速データを用いて、日高湾西部陸棚上における数十日周期の流速変動を調べた。主要10分潮の潮流成分をADCPデータからさし引いた後、不等間隔のデータに2種類のスペクトル解析法を適用した結果、西部陸棚上において10,25,60日の3周期帯の流速変動が卓越していると判断された。不等間隔データに適用可能な新しいバンドパス法(HAB法)を提案し、それぞれの周期変動の水平・鉛直流速構造を抽出した。日高湾西部陸棚上におけるADCP観測点間で、3周期帯の流速変動は水平的にほぼ同位相であった。鉛直的にも10, 25日周期変動の位相差はほとんどみられなかったが、60日周期変動は数日の顕著な位相差がみられた。この位相は、下層流が上層流よりも常に先行している。流れと風とのクロススペクトル解析を行った結果、10日周期帯の流速変動のみが風との高い相関を示し、北西風が北西流よりも約1.5日先行していた。これは、大島・三宅(1990)によるモデルからの見積もりとよく一致している。また、10日周期帯の流速変動は秋~冬季にかけて卓越していたことから、この周期帯の変動が北西の季節風によって引き起こされていると推測される。
高田 兵衛*; 久万 健志*; 磯田 豊*; 西岡 純*; 乙坂 重嘉; 千木良 充*; 高木 省吾*; 亀井 佳彦*; 坂岡 桂一郎*
no journal, ,
日本海の2つの海盆(大和海盆及び日本海盆)で採取した海水中の鉄(溶存鉄と可溶性鉄)及び、栄養塩濃度を分析し、両海盆間での鉄の挙動の違いについて考察した。孔径0.22マイクロメートルのフィルターで濾過し、緩衝液でpH=3.2に調整した海水に含まれる鉄を溶存鉄、濾過せずにpH調整のみを行った海水に含まれる鉄を可溶性鉄とした。表層における可溶性鉄濃度は、いずれの海盆でも1.0nM程度で、海域による有意な差はみられなかった。日本海盆における可溶性鉄濃度は、深層(12km層)で4.5nM程度まで増加し、それ以深で4nM程度まで減少した。大和海盆では、深層で5.5nMと日本海盆に比べて有意に高く、底層で6.0nMまで増加した。両海盆における可溶性鉄の分布の違いは、日本海深層における親生物元素の輸送過程の違いを示唆している。
伊藤 集通; 川村 英之; 中山 智治*; 島 茂樹*; 磯田 豊*; 大西 光代*
no journal, ,
原子力機構では、現在開発中の日本海海水循環予測モデルの境界値とするため、旧法人時代を含め1999年11月以降、津軽海峡における通過流の計測を継続して実施している。これまでに、1999年から2000年の冬季の津軽海峡(青森-函館)における通過流の流量が1.02.1Sv(平均1.50.3Sv)の範囲で変動し、それが日本海と太平洋の水位差によって駆動されている可能性があることを示唆した。これに対して本研究期間においては、流量(大間-汐首)が、1.22.2Sv(平均1.60.2Sv)であると見積もられた。また、1999年の結果と比較して、流量の変動範囲及び平均値に大きな違いはないものの、顕著な季節変動が見られないかわりに約30日周期の変動が見られることがわかった。発表時には、この結果に加え通過流の主要な駆動要因と考えられる日本海内外の水位差あるいは風などの対応関係についても言及する予定である。[* 1Sv=110 ms]
田中 孝幸; 乙坂 重嘉; 天野 光; 外川 織彦; 千手 智晴*; 磯田 豊*; 久万 健志*
no journal, ,
海水中溶存有機物(DOC)の挙動解明は海洋の炭素循環や地球温暖化の影響を紐解くうえで重要な因子である。DOC動態の時間スケールや供給源情報を与えうる放射性炭素同位体比(C)の測定は測定の困難さによりデータが非常に少ない。本研究では溶存態有機物中放射性炭素測定システムを確立し、日本海での鉛直分布を得ることとした。日本海大和海盆での鉛直分布を得ることができ、これは日本近海の西部北太平洋域では世界で初めてである。DOCのC鉛直分布は、表面で高く(-226‰)、深さとともに減少し、1,000m以深では-337‰で一定となった。DOCのCは、表面,深層ともに、ほぼ同海域における無機炭酸のC値に比べ約300‰程度低かった。このことより、DOCのCは海水の循環(海水年齢)に関係することが明らかとなった。
伊藤 集通; 川村 英之; 中山 智治*; 島 茂樹*; 大西 光代*; 磯田 豊*
no journal, ,
原子力機構では、1999年11月以降、津軽海峡でADCPを用いた海峡通過流の連続観測を行っており、今回は、2000年4月から2002年6月までの流量変動について解析した。通過流量は、0.6-1.5Sv(=10ms)の範囲で変動しており、その平均値として、1.10.3Svを得た。これは、過去に報告されている平均値1.4-1.5Svに比べやや低い値となっている。変動の様子では、流量は、晩冬から早春に最小となり、夏と晩秋から初冬に極大となる、季節変動を示すと同時に、20-30日周期の比較的大きな振幅を持つ変動が観測された。また、流量の変動と水位差を調べた結果、海峡縦断方向,横断方向の両水位差に対して、全期間で相関が見られ、特に、冬季の相関が高くなる傾向が見られた。これは冬季には海峡内の密度成層が非常に弱くなり、傾圧流の影響が小さくなるためと考えられる。このほか、津軽海峡と対馬海峡での流量変動にも0-4か月程度の時間差を含む相関が見られた。また、流入量に対する津軽海峡の流出量の寄与分は、37-51%と見積もられた。
伊藤 集通; 川村 英之; 中山 智治*; 島 茂樹*; 大西 光代*; 磯田 豊*
no journal, ,
原子力機構では、1999年11月から2007年12月の期間、東日本フェリーの協力を得て津軽海峡における通過流をフェリー搭載超音波ドップラー流向流速分布計(ADCP)によって観測した。2002年4月から2004年3月の期間、海峡内に設けた20点の流速監視点における流量を解析した結果、津軽海峡の開口部で日本海から太平洋へ向かう最大流量を観測した。その南側の下北半島西岸沖では、日本海からの東向流が下北半島に遮られて地形性の還流が形成されており、その一部は北側の通過流と合流し太平洋に抜けていていることがわかった。この期間の通過流量は0.51.8Sv(1Sv=110ms)の範囲で変動し、春季に極小、周期に極大を示すと同時に2030日の卓越した変動周期を持つことがわかった。また、その平均流量1.20.2Svは、従来の報告値に比べやや少なかったことがわかった。
伊藤 集通; 川村 英之; 大西 光代*; 磯田 豊*; 中山 智治*; 島 茂樹*
no journal, ,
津軽海峡の通過流について、これまで原子力機構で行ってきた観測研究の結果を概説する。2000年4月から2002年6月の期間、津軽海峡を通過する海水量は0.62.5Sv(10ms)の範囲で変動しており、その平均値として、1.30.3Svを得た。夏場と晩秋から初冬に極大となる、季節変動を示すと同時に、2030日周期の比較的大きな振幅を持つ変動が観測された。流量の変動と海峡周辺での水位差には密接な関係があることが報告されているが、本研究でも、海峡縦断方向の水位差として深浦-八戸を、横断方向の水位差として竜飛-吉岡をとって関連性を調べた結果、両水位差に対して、全期間で比較的高い相関が見られ、特に、冬季の相関が高くなる傾向が見られた。これは冬季には海峡内の密度成層が非常に弱くなり、傾圧流の影響が小さくなるためと考えられる。津軽海峡における流量変動を対馬海峡でのそれと月平均値として比較したとき、両者の変動はおおむね一致し、津軽海峡の変動には最大で4か月程度の遅れが見られた。また、流入量に対する津軽海峡の流出量の寄与分は、45割程度となることがわかった。今後は流量変動に対する風や成層の影響を明らかにすること、また、顕著な2030日周期の変動についてその成因を明らかにする必要がある。
伊藤 集通; 川村 英之; 中山 智治*; 島 茂樹*; 大西 光代*; 磯田 豊*
no journal, ,
原子力機構では、1999年11月2007年12月の約8年間、津軽海峡を横断する定期旅客フェリー「びるご」に超音波ドップラー流向流速分布計(ADCP; RDI,150kHz)を搭載し、海峡通過流の連続観測を行った。本研究では2002年4月2004年3月について流量の経時変化と期間平均流量を報告し、この流量変動の駆動要因について考察した。その結果、(1)津軽海峡内での流速,流量分布を明らかにした。(2)通過流量は、0.771.80Sv(1Sv=110ms)の範囲で変動し、1.300.24Svの平均値を得た。(3)流量変動には、弱い季節変動(冬春:最小,晩夏初冬:極大)と、2030日周期の比較的大きな振幅を持つ変動が観測された。(4)津軽暖流は、おもに、海峡周辺の水位差によって駆動されている。(5)周辺水位から欠測時流量を予測し平均流量を見積ると1.340.24Svとなる。
荒巻 能史*; 乙坂 重嘉; 高畑 直人*; 磯田 豊*; 久万 健志*; 千手 智晴*
no journal, ,
日本海の深層(2000m以深)は、水温・塩分がほぼ均一に分布することから、これらの特性のみから詳細な海水流動経路を解明することは困難であった。1997年から2002年にかけて原子力機構が実施した日本海調査では、海水中の放射性炭素同位体比を広域で測定し、日本海の深層には複数の経路で海水が供給されていることと、その供給経路の一つは北西部海域を起源としていることが示唆された。本講演では、新たにトリチウム濃度やヘリウム同位体比のデータを追加し、特に南部海域における深層水の循環過程について考察した。日本海のほぼ中央に位置する大和堆周辺の海底付近では、深層水の一様性から大きくずれる高い放射性炭素同位体比とトリチウム濃度が見られ、その海水の起源は南部表層であると推測された。時系列観測の結果を併せて考慮した結果、日本海南部海域の表層水が、間欠的ながら比較的速やかに同海域の深層に輸送されていると考えられた。
伊藤 集通; 川村 英之; 大西 光代*; 磯田 豊*; 中山 智治*; 島 茂樹*
no journal, ,
フェリー搭載超音波ドップラー流速分布計(FADCP)を用いて津軽海峡の通過流を連続観測し、その結果から津軽海峡における通過流量を見積もった。期間は2004年4月から2007年12月までで、2004年,2005年,2006年,2007年のそれぞれの期間に対して、1.40.2(Sv, 1Sv=1.010ms), 1.20.1(Sv), 1.50.2(Sv), 1.30.2(Sv)という結果を得た。また、各測点流量の分布から津軽海峡中央部における流れのパターンが、さらに、年平均流量に対する月平均流量の偏差から年間変動における4, 5月の流量極小と7, 8, 11月の流量極大が示唆される結果を得た。
伊藤 集通; 川村 英之; 大西 光代*; 磯田 豊*; 中山 智治*; 島 茂樹*
no journal, ,
2000-2007年に津軽海峡横で計測された流速データをもとに通過流量を見積もった。観測期間中は、0.6-2.5Sv(平均1.4Sv; 1Sv=10 ms)での範囲で変動しており、夏(7-8月)と晩秋(11月)に流量が増加し、春(4-5月)に流量が低下する季節変動を示すことなどが明らかになった。さらに、発表時には、流速監視点を密にとることの流量推定に対する影響についても言及する予定である。