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横山 賢治; 神 智之*
JAEA-Data/Code 2021-001, 47 Pages, 2021/03
国産の評価済み核データライブラリJENDLに基づくORIGEN2用断面積ライブラリセットORLIBとチェビシェフ有理関数近似法に基づく燃焼計算ソルバーを組み合わせることで、新たな燃焼計算コードCRAMOを開発した。今回開発したCRAMOは、JENDL-4.0に基づくORIGEN2用断面積ライブラリセットORLIBJ40と汎用炉心解析システムMARBLEに実装された燃焼計算ソルバーを利用している。ORLIBJ40を使った燃焼計算や放射化計算のサンプル問題にCRAMOを適用し、ORIGEN2の計算結果とよく一致することを確認した。これにより、ORIGEN2を使わずにORLIBを利用することが可能になった。今後は、燃焼計算や放射化計算等で使いやすく処理したJENDLのデータをチェビシェフ有理関数近似法に基づく燃焼計算ソルバーと組み合わせて提供できると考えられる。なお、現状のCRAMOの計算機能はORIGEN2のサブセットとなっており、CRAMOで計算できるのは燃焼後の組成と放射能である。ただし、ORIGEN2が出力する計算結果は燃焼後の組成に基づいているので、今後、後処理機能を追加していくことで、ORIGEN2の機能を再現できるようになると考えられる。
横山 賢治; 杉野 和輝; 石川 眞; 丸山 修平; 長家 康展; 沼田 一幸*; 神 智之*
JAEA-Research 2018-011, 556 Pages, 2019/03
高速炉用統合炉定数ADJ2010の改良版となるADJ2017を作成した。統合炉定数は、核設計基本データベースに含まれる臨界実験解析等で得られるC/E値(解析/実験値)の情報を、炉定数調整法により実機の設計に反映するためのものであり、核データの不確かさ(共分散)、積分実験・解析の不確かさ、臨界実験に対する核データの感度等の情報と統合して炉定数を調整する。ADJ2017は、前バージョンのADJ2010と同様に、我が国の最新の核データライブラリJENDL-4.0をベースとしているが、マイナーアクチニド(MA)や高次化Puに関連する積分実験データを重点的に拡充した。ADJ2010では合計643個の積分実験データを解析評価し、最終的に488個の積分実験データを採用して統合炉定数を作成した。これに対して、ADJ2017では、合計719個の核特性の解析結果に対する総合評価を行い、最終的に620個の積分実験データを採用して統合炉定数を作成した。ADJ2017は、標準的なNa冷却MOX燃料高速炉の主要な核特性に対してADJ2010とほぼ同等の性能を発揮するとともに、MA・高次Pu関連の核特性に対しては、積分実験データのC/E値を改善する効果を持っており、核データに起因する不確かさを低減することができる。ADJ2017が今後、高速炉の解析・設計研究において広く利用されることを期待する。ADJ2017の作成に用いた積分実験データは、高速炉の炉心設計の基本データベースとして有効活用できると期待される。
滝野 一夫; 杉野 和輝; 横山 賢治; 神 智之*; 大木 繁夫
Proceedings of 2018 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2018) (CD-ROM), p.1214 - 1220, 2018/04
Since next-generation fast reactors aim to achieve a higher core discharge burn-up than that of the conventional ones, nuclear design methods need to improve. In this study, we investigated the effect that the analytical conditions exhibit on the accuracy of estimations of the burn-up nuclear characteristics of next-generation fast reactors. Suitable analytical schemes and conditions that maximize the estimation accuracy, while maintaining a low computational cost, were investigated in this study. We performed core burn-up survey calculations under several analysis conditions. Furthermore, we calculated the criticality, burn-up reactivity, control rod worth, breeding ratio, assembly-wise power distribution, maximum linear heat rate, sodium void reactivity, and Doppler coefficient for the equilibrium operation cycles. The accuracy of the low-cost calculations was evaluated by measuring the agreements with the referential detailed conditions.
横山 賢治; 神 智之; 平井 康志*; 羽様 平
JAEA-Data/Code 2015-009, 120 Pages, 2015/07
汎用炉心解析システムMARBLEの第2版であるMARBLE2を開発した。MARBLE2では第1版(MARBLE1)で開発した基盤技術を利用して各種の機能拡張を行った。MARBLE1では導入できていなかった従来システム(JOINT-FR、SAGEP-FR)の機能を導入し、従来システムのほぼ全ての解析機能を統一されたユーザインターフェースを持つMARBLE上のサブシステムSCHEME上で実行できるようになった。特にMARBLE2では、MARBLE1では対応できていなかった感度解析にも対応できるようになった。また、将来の拡張性や柔軟性を確保するために、独自ソルバーの開発や改良を行った。更に、原子力機構で開発された解析コードやライブラリを導入し、同様にSCHEME上で利用できるように整備した。その他、外部機関で開発された解析コード等も必要に応じて導入した。これにより、線計算や発熱計算等が可能となった。また、MARBLE上のもうひとつのサブシステムである高速炉実機燃焼解析システムORPHEUSの改良として、MARBLE1での利用経験をもとに各種の機能拡張や高速化を行いユーザ利便性を向上させた。
大泉 昭人; 神 智之*; 石川 眞; 久語 輝彦
Annals of Nuclear Energy, 81, p.117 - 124, 2015/07
被引用回数:7 パーセンタイル:49.28(Nuclear Science & Technology)燃焼によるアクチノイド組成変化の物理メカニズムを把握することは、バックエンド施設設計の妥当性や信頼性の必要条件を満たすために不可欠である。したがって、核データ等の物理量に起因する不確かさは定量的な分析が必要となる。本論文では、軽水炉MOX燃料を対象とし、一般化摂動論に基づいた核データ感度を用い、燃焼によるアクチノイド組成変化の物理メカニズムの分析手法を示す。まず、燃焼チェーン上に反応率を示した図を用い、燃焼によるアクチノイド組成変化の基本的な物理メカニズムについて議論する。次に、燃焼感度解析を用い、アクチノイドが生成される物理メカニズムについて詳細な分析を行う。ここでは、例としてCmとPuが生成される物理メカニズムについて分析する。最終的に、燃焼チェーン上に反応率を示した図と燃焼感度解析の組み合わせにより、アクチノイドの生成源の同定や核反応の間接的な影響の評価までできることを示す。また、燃焼感度係数の適用例として、核データ精度向上の優先度の判断に有用となる、核データ共分散と組み合わせた評価手法を紹介する。また、付録には、アクチノイドや反応を感度の傾向別に分類した結果を載せている。
横山 賢治; 羽様 平; 沼田 一幸*; 神 智之*
Annals of Nuclear Energy, 66, p.51 - 60, 2014/04
被引用回数:19 パーセンタイル:80.15(Nuclear Science & Technology)包括的な多目的炉心解析コードシステムMARBLEを開発した。MARBLEは、炉心解析のためのコードシステムというよりはむしろソフトウェア開発フレームワークとして設計されており、このフレームワークは物理的な概念に基づいた再利用可能で拡張可能な機能やデータモデルを提供する。コードシステムという観点からは、MARBLEは高速臨界実験体系や高速炉実機のための詳細炉心解析手法や、炉定数調整のような核データに関連した不確かさの定量化のための機能一式を提供する。MARBLEは、高速炉の炉心設計予測精度評価や向上のために必要となるすべての段階、すなわち、積分実験データベースの管理、核データ処理、高速臨界実験解析、不確かさの定量化、実機の炉心解析、を網羅している。本論文ではこれらの機能を概説してシステムとしての妥当性確認の結果を述べる。
福島 昌宏; 石川 眞; 沼田 一幸*; 神 智之*; 久語 輝彦
Nuclear Data Sheets, 118, p.405 - 409, 2014/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Nuclear)Benchmark calculations for reflector effects in fast cores were performed to validate the reliability of scattering data of structural materials in the major evaluated nuclear data libraries, JENDL-4.0, ENDF/B-VII.1 and JEFF-3.1.2. The criticalities of two FCA and two ZPR cores were analyzed by using a continuous energy Monte Carlo calculation code. The ratios of calculation to experimental values were compared between these cores and the sensitivity analyses were performed. From the results, the replacement reactivity from blanket to SS and Na reflector is better evaluated by JENDL-4.0 than by ENDF/B-VII.1 mainly due to the values of Na and Cr.
大泉 昭人; 神 智之*; 横山 賢治; 石川 眞; 久語 輝彦
JAEA-Data/Code 2013-019, 278 Pages, 2014/02
過去の軽水炉燃料から将来想定される軽水炉燃料(PWR及びBWRにおけるUO燃料及びMOX燃料の代表的燃料ピン仕様)の燃焼後燃料組成について、一般化摂動論に基づいた燃焼感度解析を行った。この解析においては、我が国の最新の核データライブラリJENDL-4.0と汎用炉心解析システムMARBLEを用い、主要な核種である、35個の核分裂生成物と18個の重核種の燃焼後数密度について、多群(107群)断面積、半減期及び核分裂収率に対する感度係数を算出した。算出した感度係数については、データベースとして電子ファイルをCD-ROMに格納した。本報告書では、重要な結果を包括的に示すとともに、個々の燃焼感度係数について、物理的なメカニズムを詳細に考察した。本報告書にまとめた感度係数は、核データ共分散や照射後試験データを組み合わせることによって、verification & validation等への要求に応えることが可能となる。また、核データに起因した不確かさを要因別に評価できるため、設計合理化のための方策を検討する上で、物性データの精度向上を目指した、核データ測定への提案や炉物理実験のニーズの抽出を行うために有効なデータベースとなることが期待される。
奥村 啓介; 杉野 和輝; 小嶋 健介; 神 智之*; 岡本 力; 片倉 純一*
JAEA-Data/Code 2012-032, 148 Pages, 2013/03
JENDL-4.0を中核とする近年の評価済み核データに基づき、核反応断面積,核分裂収率,核異性体比,半減期を修正した、核種崩壊生成計算コードORIGEN2用の断面積ライブラリセット(ORLIBJ40)を作成した。作成した断面積ライブラリは、PWRとBWRの代表的なUO燃料及びMOX燃料用のライブラリ(24個)と種々の高速炉燃料用のライブラリ(36個)である。本ライブラリを使用した軽水炉使用済み燃料の照射後試験解析等により、従来のORIGEN2ライブラリに比べて、特に、Am及びCmの同位体といったマイナーアクチノイド、EuやSmの同位体等の断面積に大きな感度を有する核分裂生成核種、並びにSe等の長寿命核分裂生成核種のインベントリや放射能評価において、予測精度が向上することを確認した。
杉野 和輝; 石川 眞; 沼田 一幸*; 岩井 武彦*; 神 智之*; 長家 康展; 羽様 平; 千葉 豪*; 横山 賢治; 久語 輝彦
JAEA-Research 2012-013, 411 Pages, 2012/07
最新知見に基づいた高速炉の核設計精度の評価を行うため、国内で最新の評価済核データファイルJENDL-4.0を用いて、高速炉の種々の核特性にかかわる実験及び試験の解析を行った。具体的には、臨界実験装置としてZPPR, FCA, ZEBRA, BFS, MASURCA, LANLの超小型炉心、実機プラントとしてSEFOR,「常陽」,「もんじゅ」で行われた炉物理実験/試験及び照射試験にかかわる合計643特性を対象とした。解析においては、基本的に標準的な高速炉の核特性解析手法を採用し、最確評価となるように詳細な計算を行った。また、得られた解析結果について、実験誤差、解析モデルにかかわる誤差、核データに起因する誤差の観点から検討を行い、炉心間あるいは核特性間の整合性を総合的に評価した。さらに、これらの評価結果を活用して、高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト)で設計が進められている高速炉炉心の核特性予測精度の評価を行った。
杉野 和輝; 神 智之*; 羽様 平; 沼田 一幸*
JAEA-Data/Code 2011-017, 44 Pages, 2012/01
国内最新の評価済み核データライブラリJENDL-4.0に基づく高速炉用炉定数セットUFLIB.J40及びJFS-3-J4.0を作成した。UFLIB.J40については詳細群炉定数として70群, 73群, 175群, 900群構造のものを作成するとともに超微細群炉定数も用意した。また、JENDL-4.0における核分裂収率データ付与核種の拡張に合わせて、ランプ化FP断面積の核種数を拡張した。
杉野 和輝; 石川 眞; 横山 賢治; 長家 康展; 千葉 豪; 羽様 平; 久語 輝彦; 沼田 一幸*; 岩井 武彦*; 神 智之*
Journal of the Korean Physical Society, 59(2), p.1357 - 1360, 2011/08
被引用回数:5 パーセンタイル:38.44(Physics, Multidisciplinary)高速炉核設計における核特性予測精度向上のために、国内では統合炉定数が開発されてきた。統合炉定数は広範囲に渡る積分実験情報を微分核データと結びつけるものであり、ベイズの定理に基づく断面積調整手法に基づいて作成される。現在、新しい炉定数ADJ2010が開発中である。本論文では、ADJ2010作成に向けてJENDL-4.0に基づく炉定数調整の結果を報告する。また、実用高速炉の核特性予測精度の評価にも言及する。ADJ2010は間もなく公開されるが、次世代高速炉の核設計に有効活用されることが期待される。
横山 賢治; 巽 雅洋*; 平井 康志*; 兵頭 秀昭*; 沼田 一幸*; 岩井 武彦*; 神 智之*; 羽様 平; 長家 康展; 千葉 豪; et al.
JAEA-Data/Code 2010-030, 148 Pages, 2011/03
高速炉核特性解析のための次世代炉心解析システムMARBLEを開発した。MARBLEは、これまでにJUPITER標準解析手法と呼ばれる高速炉詳細解析手法として開発されてきたJOINT-FR, SAGEP-FRと呼ばれる解析システム(従来システム)の後継である。MARBLEは従来システムと同等の解析機能を有する。これに加えて、燃焼を伴う高速炉実機の核特性解析に関する機能を向上させている。MARBLEの開発では、オブジェクト指向技術を採用した。この結果として、MARBLEは一定の入力を受けて出力を返すような独立した解析コードではなく、解析システムを構築するための部品の集まり(フレームワーク)となった。一方で、MARBLEは構築済みの解析システムを含んでおり、従来システムに相当する高速炉核特性解析システムSCHEME,高速炉実機燃焼解析システムORPHEUSを利用することができる。
平井 康志*; 兵頭 秀昭*; 巽 雅洋*; 神 智之*; 横山 賢治
JAEA-Data/Code 2008-020, 188 Pages, 2008/10
原子力機構では、次世代原子力システムの基礎・基盤研究における革新的な解析手法・モデルの開発を推進し、これらの最新解析手法・モデルを実用化炉の基本設計や発電炉の運転管理等に効率的・効果的に適用し反映していくために、オブジェクト指向技術を採用した次世代解析システムMARBLEの開発を進めている。本年度はPythonシステム側からC,Fortran等で記述された計算コードを実行するためのフレームワークに関する詳細な設計と実装及びテストを行った。すなわち計算コードとPythonで実装されたシステムとの入出力データの授受を抽象化することで、システムからさまざまな計算コードを統一的に取り扱うことを可能とする基盤を開発し、同じ枠組みの中で拡散計算コード・輸送計算コード・燃焼計算コードを取り扱うことができることを確認した。
横山 賢治; 神 智之*
Proceedings of International Conference on Nuclear Data for Science and Technology (ND 2007), Vol.2, p.807 - 810, 2008/05
高速実験炉「常陽」MK-IIの燃料組成変化に関する照射後試験データはJNC(JAEAの前身)において1986年から測定されてきた。本研究では、常陽MK-IIのドライバー燃料の照射後試験データに関して利用可能なデータをすべて解析し、Uの消滅とUの生成に関する積分実験データを整備した。これらの積分実験データともにUに関する感度を持ち、核データのベンチマーク解析に利用可能である。最近の評価済み核データライブラリであるJENDL-3.2, -3.3, JEFF-3.1, ENDF/B-VIIはUの生成を過大評価する傾向がある。炉定数調整計算によりUの捕獲断面積を再評価することでこの過大評価を改善できる可能性があることを示した。
大木 繁夫; 神 智之*
Journal of Nuclear Science and Technology, 42(4), p.390 - 397, 2005/05
被引用回数:2 パーセンタイル:17.39(Nuclear Science & Technology)高速炉の重金属組成に関する燃焼計算及び核データ感度解析を実施した。次の核データライブラリを比較した: JEF-2.2, ENDF/B-VI Release 5, JENDL-3.2, JENDL-3.3。主要重金属核種(U, U, Pu, Pu, and Pu)についての相違は、それらの1サイクル燃焼後の個数密度がライブラリ間で1ないし2%を超えて変化せず、小さいものであった。マイナーアクチナイド核種については、特にU, Np, Am, Am, Cm同位体では、比較的大きな相違が見られた。それら核種の燃焼後の個数密度は、5%から50%にかけての顕著なライブラリ依存性を示した。一般化摂動理論に基づく燃焼感度解析システムにより、それら相違の原因核種・反応、エネルギー領域を定量的に明らかにした。
神 智之*; 大木 繁夫
JNC TN9410 2005-012, 54 Pages, 2005/03
FBR実用化戦略調査研究におけるLLFP(Long-Lived Fission Product)核変換炉心設計への適用を目的として、LLFP核変換率に対する補正因子を設計計算と詳細モンテカルロ計算との比較により評価した。設計計算から詳細計算に至る段階的な分析により、(a) 群縮約効果、(b) 輸送効果、(c) 決定論計算とモンテカルロ計算の差、(d) 詳細エネルギー群効果(熱エネルギー領域の効果を含む)、(e) 炉心体系3次元効果、(f) LLFPターゲット集合体の非均質効果、への要因分析を行った。その結果、LLFPターゲット集合体の非均質効果が設計計算と詳細計算の差の主要因であり、その非均質効果のメカニズムは、共鳴から熱エネルギー領域にかけてのLLFP核種の断面積エネルギー形状との関係で説明できることを明らかにした。
片倉 純一; 片岡 理治*; 須山 賢也; 神 智之*; 大木 繁夫*
JAERI-Data/Code 2004-015, 115 Pages, 2004/11
ORIGEN2コード用の断面積データライブラリORLIBJ33を最新の評価済核データライブラリJENDL-3.3をもとに作成した。作成したライブラリは、軽水炉であるPWR, BWR及びそれらのMOX燃料用のライブラリと高速炉用ライブラリである。軽水炉用ライブラリについては、JENDL-3.2に基づく旧ライブラリとの比較及び実燃料の破壊試験の測定値との比較を行った。高速炉用ライブラリについても、旧ライブラリを用いた計算結果との比較を行い燃焼計算への影響を把握した。
神 智之*; 大木 繁夫
JNC TN9410 2004-001, 79 Pages, 2004/03
1999年に我が国の評価済み核データライブラリJENDL-3.2をベースとして、軽水炉と高速炉のORIGEN2コード用断面積ライブラリ(ORLIBJ32)が作成されている。その後、2002年にJENDL-3.3が公開されたため、JENDL-3.3をベースとしたORIGEN2用高速炉断面積ライブラリを作成した。ライブラリの作成にはORLIBJ32と同様、「高速炉用ORIGEN2断面積ライブラリ作成ツール」を用いた。JENDL-3.3より作成した327核種の73群無限希釈断面積を対象炉心・領域の中性子スペクトルにより1群に縮約し、ORIGEN2断面積ライブラリ形式で格納した。炉心を構成する主要核種については、共鳴による自己遮蔽効果を考慮した実効断面積を用いた。なお、241Am捕獲反応の核異性体比(g/(g+m))については、最近の核データ研究で得られた知見を反映し、これまでの0.80にかわり0.85を採用した。JENDL-3.3ベースのライブラリ作成対象高速炉は、ORLIBJ32と同様、高速実験炉「常陽」MK-I、原型炉「もんじゅ」、燃料形態(MOX・金属・窒化物)及びPu同位体組成をパラメータとした実証炉級炉心(60万kWe)、商業炉級炉心(130万kWe、MOX燃料)、Pu燃焼炉である。作成したライブラリを用いて燃焼計算を行い、ライブラリの改訂による燃焼計算結果への影響を把握した。
横山 賢治; 神 智之*
JNC TN9400 2004-009, 64 Pages, 2004/02
高速炉の開発において、炉心燃料の燃焼に伴う同位体組成変化の予測精度の検証と向上は、重要な技術開発項目のひとつである。高速炉の開発において、炉心燃料の燃焼に伴う同位体組成変化の予測精度の検証と向上は、重要な技術開発項目のひとつである。本研究では、高速実験炉「常陽」MK-I炉心で照射された燃料集合体に対して実施された照射後試験(PIE: Post Irradiation Experiments)データの解析を行った。照射後試験の結果として照射後燃料の同位体組成比が測定されており、燃焼に伴う原子数密度の変化率を解析評価対象とした。高速炉の開発において、炉心燃料の燃焼に伴う同位体組成変化の予測精度の検証と向上は、重要な技術開発項目のひとつである。本研究では、高速実験炉「常陽」MK-I炉心で照射された燃料集合体に対して実施された照射後試験(PIE: Post Irradiation Experiments)データの解析を行った。照射後試験の結果として照射後燃料の同位体組成比が測定されており、燃焼に伴う原子数密度の変化率を解析評価対象とした。原子数密度変化率は、初期組成データの誤差の影響を強く受けるため、PIEデータに最小自乗法を適用して、得られる直線の傾きに基づいて原子数密度変化率を評価することにより、初期組成の依存性を排除した。今回の解析では、現在利用可能な約80点のすべての炉心燃料のPIEデータに対して解析を実施した。解析では核データライブラリJENDL-3.2に基づく70群3次元Tri-Z体系による拡散計算を行い、照射位置での中性子スペクトルを考慮した燃焼計算を実施した。この結果、主要な核種(U-235、U-236、U-238、Pu-239、Pu-241)については、計算値と実験値は2 10%の範囲で一致した。ただし、解析手法にはまだ改善の余地があるため、今後、これらのPIEデータを用いて解析手法の高度化と検証を行う必要がある。 一方、核データライブラリとしてJENDL-3.3を用いた解析も実施し、ライブラリ効果を評価した。この結果、JENDL-3.3を用いることで、U-236、Pu-241の原子数密度変化率がともに約5%大きくなり、主にU-235、Pu-240の捕獲断面積の改訂が影響していることが分かった。今後、解析精度の向上及び誤差の定量化を図ることで、これらの核データの検証や燃焼解析手法の検証に「常陽」のPIEデータを適用できる可能性があることが分かった。