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板倉 隆二; 穂坂 綱一*; 横山 淳; 生田 朋也*; 神成 文彦*; 山内 薫*
Progress in Ultrafast Intense Laser Science XI; Springer Series in Chemical Physics, Vol.109, p.23 - 42, 2015/00
光電子光イオン同時計測画像法を用いて、強レーザー場中エタノールの多チャンネル解離性イオン化を調べ、イオン化とその後の電子励起を分離して観測することができた。光電子と解離イオンのエネルギー相関から、エタノールが獲得できる内部エネルギーがイオン化および励起経路によって変わることを明らかとした。
岩崎 純史*; 佐藤 尭洋*; 大和田 成起*; 富樫 格*; 高橋 栄治*; 緑川 克美*; 青山 誠; 山川 考一; 神成 文彦*; 柳下 明*; et al.
レーザー研究, 40(9), p.687 - 690, 2012/09
極端紫外(EUV)域における原子・分子の多光子イオン化などの非線形光学過程の観測は高次高調波を用いて行われてきた。しかし、高次高調波では光強度が低いため、高次の非線形光学過程を観測することが困難であった。近年、高輝度光源であるEUV域の自由電子レーザー(FEL)が登場し、高次の非線形光学過程を観測することが可能になってきた。われわれはEUV域のFELを使用し、Heの2光子イオン化断面積の絶対値を計測するのに成功した。実験ではHeの共鳴遷移である波長58.4nmと、共鳴波長から離れている波長61.4nm, 56.0nmのFEL光を使用して断面積の絶対値を計測した。共鳴波長ではFEL光の集光強度に断面積が依存するが、共鳴波長から離れた領域では集光強度に依存しないことが観測された。実験で使用したFELは自己増幅自発放射のため、波長プロファイルがパルスごとに揺らぐ問題があり、実験精度を低下させている。このため、EUV域の高次高調波をFELにインジェクションし、フルコヒーレント化されたシード型FELの研究開発に取り組み、EUV域でシード型FEL(波長61.2nm)の発振に世界で初めて成功した。
生田 朋也*; 穂坂 綱一*; 赤木 浩; 横山 淳; 山内 薫*; 神成 文彦*; 板倉 隆二
Journal of Physics B; Atomic, Molecular and Optical Physics, 44(19), p.191002_1 - 191002_5, 2011/10
被引用回数:10 パーセンタイル:47.26(Optics)エタノールから生成した光電子と生成イオンを同時計測することによって、400nm, 96fs, 1.3-18TW/cmのレーザーパルス中にて起こるイオン化とその後の電子励起を分離して調べることができた。イオン化によって電子励起状態に生成するイオン化の分岐比は、レーザー強度の増加とともに減少した。一方、その後の電子励起は共鳴イオン化によって増大する。イオン化と電子励起の機構をエタノールカチオンの電子状態分布をもとに明らかにした。
佐藤 尭洋*; 岩崎 純史*; 石橋 和樹*; 沖野 友哉*; 山内 薫*; 足立 純一*; 柳下 明*; 矢澤 洋紀*; 神成 文彦*; 青山 誠; et al.
Europhysics News, 42(5), P. 10, 2011/09
Heガスに、XUV領域のイオン化断面積が既知である水素分子のガスを混合することによって、Heの2光子イオン化断面積の波長依存性を実験的に検証した結果について解説する。
佐藤 尭洋*; 岩崎 純史*; 石橋 和樹*; 沖野 友哉*; 山内 薫*; 足立 純一*; 柳下 明*; 矢澤 洋紀*; 神成 文彦*; 青山 誠; et al.
Journal of Physics B; Atomic, Molecular and Optical Physics, 44(16), p.161001_1 - 161001_5, 2011/08
被引用回数:35 パーセンタイル:82.86(Optics)Heガスに、XUV領域のイオン化断面積が既知である水素分子のガスを混合することによって、Heの2光子イオン化断面積の波長依存性を実験的に示した。
富樫 格*; 高橋 栄治*; 緑川 克美*; 青山 誠; 山川 考一; 佐藤 尭洋*; 岩崎 純史*; 大和田 成起*; 沖野 友哉*; 山内 薫*; et al.
Optics Express (Internet), 19(1), p.317 - 324, 2011/01
被引用回数:93 パーセンタイル:96.48(Optics)自由電子レーザー(FEL)は、共振器を使用しない自己増幅自発放射(SASE)方式を用いている。この方式では、自然放射光を種光としてレーザー発振・増幅するため、発振したレーザー光のスペクトルや時間波形がスパイク状構造になる欠点がある。この問題点を解決するために、短波長光源である高次高調波をFELにインジェクションし、スペクトルや時間波形にスパイク構造のないフルコヒーレント化された極端紫外領域のシード型自由電子レーザーの研究開発を進めている。高次高調波を発生させるドライブレーザーである高出力フェムト秒・チタンサファイアCPAレーザーシステムは、これまで原子力機構で培ったレーザー技術を設計に活かし、レーザーシステムの構築を行った。そして、このドライブレーザーをXeガス中に集光して得られる13次高調波(波長61.2nm)をシード光としてFELへインジェクションし、極端紫外領域でシード型FEL(波長61.2nm)の発振に世界で初めて成功した。高次高調波のシーディングによりSASE方式特有のスパイク構造がなくなり、スムーズなスペクトルが得られた。
板倉 隆二; 山内 薫*; 神成 文彦*
Advances in Multi-Photon Processes and Spectroscopy, Vol.19, p.93 - 115, 2010/03
高強度レーザーパルスを波形整形することによりエタノールの解離性イオン化におけるC-C結合切断とC-O結合切断の間の分岐比が制御できることを示した。この2つの解離分岐比に対するレーザーパルス依存性を系統的に調べ、反応分岐機構について議論する。重要なパラメターはパルス幅と波長であることが明らかとなり、レーザーパルス時間内の波束発展によって非断熱電子励起が効率よく起こるという機構が提案された。
矢澤 洋紀*; 塩山 正真*; 橋本 博*; 神成 文彦*; 板倉 隆二; 山内 薫*
Applied Physics B, 98(2-3), p.275 - 282, 2010/02
被引用回数:5 パーセンタイル:28.75(Optics)ポンプ-プローブ励起スキームを用いてエタノールイオンの光ドレストポテンシャル曲面(LDPES)上における振動波束ダイナミクスについて調べた。パルス幅や波長といったパラメターに依存して波束ダイナミクスが変化するかに着目した。波長800nmの場合、C-O解離に繋がる励起状態への非断熱遷移は、プローブ光が180fsの遅延時間の時に促進される。一方、C-C結合切断については抑制される。したがって、このタイミングでのLDPES変形は、もともとC-C切断の方向に進んでいた波束の進行方向をC-O方向へと変えたと考えられる。プローブ光の波長を400nmにすると進行方向を変えることに繋がる非断熱遷移はより効率的になるが、遅延時間については、180fsが最もよい条件であった。
矢澤 洋紀*; 塩山 正真*; 須田 慶隆*; 山中 美緒*; 神成 文彦*; 板倉 隆二; 山内 薫*
Journal of Chemical Physics, 127(12), p.124312_1 - 124312_5, 2007/09
被引用回数:10 パーセンタイル:34.1(Chemistry, Physical)エタノール分子の時間的に重なった2色の高強度レーザーパルスを照射し、解離性イオン化過程を調べた。C-C結合解離に対するC-O結合解離の比は、2つのパルスの遅延時間の関数として変化し、伸張された400nmのパルスとフーリエ限界近くの800nmパルスを重ねたときに、本来、マイナーなチャンネルであるC-O結合解離の収量が大きく増加することが示された。
板倉 隆二; 山内 薫*; 矢澤 洋紀*; 塩山 正真*; 神成 文彦*
no journal, ,
近年のレーザー技術は強レーザー場を用いて化学反応の制御を可能としつつある。本研究では、パルス波形を、系統的にデザインし、それに対するエタノールの選択的化学結合の分岐比、ここでは、C-O結合切断のC-C結合切断に対する分岐比の応答を調べた。その結果、800nmの中心波長,26nmのスペクトル幅をもつレーザーパルスを用いる限り、反応分岐比を決めている要因は、レーザー場の全体的な時間幅であることが明らかになった。C-O切断を有利にするためには、1ps程度もしくはそれより長いレーザーパルスを用いることが望まれる。さらに、学習アルゴリズムを用いた最適化制御を行ったところ、C-O切断の分岐比を増やすためには、全体的な時間幅が1ピコ秒程度あれば、時間波形のなかで100fsオーダーの細かい変化があっても、分岐比には影響がないことが明らかになった。
生田 朋也; 穂坂 綱一; 板倉 隆二; 赤木 浩; 山内 薫*; 神成 文彦*; 横山 淳
no journal, ,
強レーザー場によるエタノールの解離性イオン化に関して、最近、イオンと光電子の同時計測が行われ、電子励起状態へ直接イオン化する過程と電子基底状態へイオン化した後に電子励起する段階的な過程の2経路が存在し、強度やパルス幅を増やすと段階的過程の寄与が増えることが明らかとなっている。本研究は、近赤外パルスに比べ、解離が促進する紫外パルスの場合に関して、光電子・光イオン同時計測を行い、イオン化・電子励起機構を調べた。
板倉 隆二; 生田 朋也*; 穂坂 綱一*; 赤木 浩; 山内 薫*; 横山 淳; 神成 文彦*
no journal, ,
強レーザー場によるエタノールの解離性イオン化に関して、最近、イオンと光電子の同時計測が行われ、電子励起状態へ直接イオン化する過程と電子基底状態へイオン化した後に電子励起する段階的な過程の経路が存在し、強度やパルス幅を増やすと段階的過程の寄与が増えることが明らかとなっている。本研究は、近赤外パルスに比べ、解離が促進する紫外パルスの場合に関して、光電子・光イオン同時計測を行い、イオン化・電子励起機構を調べた。
生田 朋也; 板倉 隆二; 穂坂 綱一*; 赤木 浩; 山内 薫*; 神成 文彦*; 横山 淳
no journal, ,
紫外域強レーザー場中におけるエタノールの解離と相関したイオン化機構を光電子光イオン同時計測によって調べた。レーザー場強度が15TW/cmの時、CHOH生成に相関した光電子スペクトルは、電子励起状態へのイオン化が支配的であった。CH生成については、励起状態へのイオン化に加え、電子基底状態へのイオン化した後、段階的に電子励起する経路も観測された。強度を33TW/cmへ上げると、CHOH、及びCH生成のどちらの場合も、段階的励起の寄与が増加し、イオン化における直接励起と段階的励起がほぼ同じ分岐比となる。これらの結果に基づいて紫外域における解離促進の原因について議論する。
生田 朋也; 板倉 隆二; 穂坂 綱一*; 赤木 浩; 山内 薫*; 神成 文彦*; 横山 淳
no journal, ,
強レーザー場によるエタノールの解離性イオン化において、レーザー波長が紫外域の場合、近赤外域の場合に比べて、解離を伴うイオン化が解離を伴わないイオン化よりも促進されることが知られている。本研究では、紫外域強レーザー場中のエタノールの解離性イオン化における電子励起過程に着目し、光電子・光イオン同時運動量画像計測法を用いることで、紫外域レーザー場による解離促進の機構を明らかにした。
生田 朋也; 板倉 隆二; 穂坂 綱一*; 横山 淳; 山内 薫*; 神成 文彦*
no journal, ,
本研究は、400nm及び800nmの2色の強レーザー場を同時照射し、エタノールの解離性イオン化反応を起こさせた。生成した光電子と生成イオンを同時に運動量計測し、反応チャンネルごとにイオン化過程の詳細を明らかにし、電子励起の観点から反応機構を議論する。
板倉 隆二; 生田 朋也*; 穂坂 綱一*; 赤木 浩; 横山 淳; 山内 薫*; 神成 文彦*
no journal, ,
光電子光イオン同時計測法を用いて、高強度紫外レーザー場(400nm, 96fs)中における電子励起エタノールカチオン生成の2つのイオン化経路を明らかにした。レーザー強度を1.3TW/cmから18.1TW/cmへ増加するとイオン化直後の電子励起状態のエタノールカチオンの分岐比は大きく減少する。また、レーザー強度を増加したときには、同一レーザーパルス内でイオン化に続いて起こる電子励起の確率が増強することも明らかにした。
板倉 隆二; 生田 朋也*; 穂坂 綱一*; 横山 淳; 山内 薫*; 神成 文彦*
no journal, ,
光電子光イオン同時計測分光法を用いて2色(400及び800nm)レーザー場中におけるエタノールのイオン化ダイナミクスを調べた。400-nmパルスと800-nmパルスが時間的に分離されている時は、CHOHフラグメントイオンは、おもに、400-nmパルスによる電子励起状態へのイオン化を経由して生成する。400-nmと800-nmパルスが時間的に重なったときは、400-nmパルスによる電子励起状態へのイオン化が著しく抑制される。これは、800-nmパルスによるACシュタルクシフトによってイオン化チャンネルが閉鎖されることを示している。
板倉 隆二; 生田 朋也*; 穂坂 綱一*; 赤木 浩; 横山 淳; 山内 薫*; 神成 文彦*
no journal, ,
強レーザー場によって誘起されるエタノールの解離性イオン化ダイナミクスについて、光電子・イオン運動量同時計測画像法を用いて調べた。本研究では、(1)イオン化直後の状態を反映した光電子エネルギーと(2)解離に消費された分子内エネルギーを反映したフラグメントイオンの運動エネルギーの相関に着目した。この相関から、イオン化から最終生成物に至るまでの間にレーザー場から獲得する分子内エネルギーが、イオン化・解離経路によって異なることが明らかとなった。強レーザー場の強度、波長(800nmと400nm)を変えて実験を行い、それらの依存性に基づいて、イオン化及び解離機構について議論する。
板倉 隆二; 生田 朋也*; 穂坂 綱一*; 赤木 浩; 横山 淳; 山内 薫*; 神成 文彦*
no journal, ,
強レーザー場によって誘起されるエタノールの解離性イオン化ダイナミクスについて、光電子・イオン運動量同時計測画像法を用いて調べた。本研究では、(1)イオン化直後の状態を反映した光電子エネルギーと、(2)フラグメントイオンの運動エネルギーの相関に着目した。この相関から、イオン化から最終生成物に至るまでの間にレーザー場から獲得する分子内エネルギーが、イオン化・解離経路によって異なることが明らかとなった。