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片西 昌司; 國富 一彦
Nuclear Engineering and Design, 237(12-13), p.1372 - 1380, 2007/07
被引用回数:20 パーセンタイル:77.48(Nuclear Science & Technology)高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)においては、安全設計上の特徴の一つとして、10E-8という低い発生頻度の事象を設計基準事象として安全解析を行うこととしている。この考えに則り、高温ガス炉における特徴的かつ冷却能力低下の観点で重要な事故である減圧事故について安全解析を行った。燃料の温度上昇,原子炉建屋の内圧上昇,燃料と炉内構造物の酸化挙動,放出された放射性物質による周辺公衆の被ばくについて評価を行った。このうち、燃料の酸化挙動については、被覆燃料粒子においてFP閉じ込め機能を担うSiC被覆層は比較的低温あるいは高酸素濃度での酸化においては安定なSiO層が生成され燃料粒子の表面に保護膜を形成するため酸化の進展が抑えられることに着目し、SiO層の生成条件の有無により燃料粒子の破損の有無を評価した。このような考え方により、具体的な高温ガス炉システムの設計に基づく安全評価を実施し、GTHTR300の安全設計の妥当性を確認し、システムの成立性を明らかにした。
武井 正信*; 小杉山 真一*; 毛利 智聡; 片西 昌司; 國富 一彦
日本原子力学会和文論文誌, 5(2), p.109 - 117, 2006/06
GTHTR300では、高温ガス炉固有の安全性を生かし、安全設備を極力簡素化するとともに、発電系設計,炉心設計に独創的なアイデアを取り入れて高性能化することで、経済性の向上を図った。その結果、発電コストは約3.8円/kWhとなり、ユーザー要件である4円/kWhの目標を満足するとともに、既存の軽水炉発電プラントに対する経済的優位性の見通しを得た。
高田 昌二; 片西 昌司; Yan, X.; 國富 一彦
高温学会誌, 32(1), p.54 - 62, 2006/01
高温ガス炉ガスタービン発電システムGTHTR300の設計研究を実施した。GTHTR300は、2010年代における新たな発電システムとして期待されている。設計の独創性は、横置き高効率ガスタービン発電システムを採用し、格納容器なし,能動的な炉心冷却なし等簡素化された安全系を採用していることである。これらの設計上の工夫は、既存のガスタービンシステムと、我が国最初の高温ガス炉の設計・運転経験をもとに提案されている。そのため、多くの研究開発要素は要求されていない。これらの特徴以外では、目標コストを達成できるよう、新たに発明した炉心設計,燃料設計,プラント設計を採用している。
林 光二; 稲垣 嘉之; 加藤 道雄; 藤崎 勝夫*; 会田 秀樹; 武田 哲明; 西原 哲夫; 稲葉 良知; 大橋 弘史; 片西 昌司; et al.
JAERI-Tech 2005-032, 46 Pages, 2005/06
本書は、HTTR水素製造実規模単一反応管試験装置の平成13年度試験運転報告である。平成13年度は平成14年3月1日から3月13日の2週間に第1回試験運転を実施し、水蒸気改質器の熱流動に関する試験、並びに試験装置の運転訓練を行った。水蒸気改質器の熱流動に関する試験は、ヘリウムガスとプロセスガス間の伝熱特性を評価するものである。本報告では、試験の概要,結果、並びに運転記録についてまとめている。
片西 昌司; 國富 一彦; 辻 延昌*; 前川 勇*
日本原子力学会和文論文誌, 3(3), p.257 - 267, 2004/09
原研で設計研究を進めている高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)の事故時における冷却機能である炉容器冷却設備の設計を行った。これは、原子炉圧力容器の外に冷却パネルを設置し、原子炉圧力容器表面からの放散熱により加熱されたパネルを空気の自然循環により除熱することで炉心の残留熱を除去するものであり、完全に受動的な冷却設備であるとともに、高温ガス炉の特徴的な安全機能である。空気の自然循環により冷却パネルから効率的に除熱でき、かつ、圧力バウンダリ破損による炉室の圧力上昇に耐えて健全性を保つことのできる構造として、ダクトを組合せてパネル状にした構造を考案した。これにより、十分な除熱性能を有し、事故時の健全性も保たれる設備を設計した。また、運転制御方法,保守点検方法等を検討し、具体的な設計により、受動的な炉容器冷却設備の成立性を示した。
國富 一彦; 片西 昌司; 高田 昌二; 滝塚 貴和; Yan, X.; 小杉山 真一
JSME International Journal, Series B, 47(2), p.261 - 267, 2004/05
高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)は、原子炉の1次系にガスタービンを設置して発電を行う高効率発電システムであり、2010年代の実用化を目指している。本システムでは、可能な限り既存の技術を用いることで、開発要素を少なくする設計としているが、主要機器である圧縮機,磁気軸受等の開発試験が必要である。開発試験は、1/3スケールのヘリウムガス圧縮機の空力性能試験,磁気軸受の制御性確認試験,全体システムの運転制御性試験からなる。このうち、ヘリウムガス圧縮機の空力性能試験では、ボス比が大きくなりブレード周りのヘリウムガスの2次流れの空力性能の影響が大きくなるヘリウムガス圧縮機の特性を考慮した試験計画を定めた。本報は、GTHTR300の優れたタービン系の特長を示すとともに、開発試験の試験計画,試験内容を示す。
大橋 弘史; 稲葉 良知; 西原 哲夫; 稲垣 嘉之; 武田 哲明; 林 光二; 片西 昌司; 高田 昌二; 小川 益郎; 塩沢 周策
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(3), p.385 - 392, 2004/03
被引用回数:19 パーセンタイル:73.41(Nuclear Science & Technology)原研では、高温核熱利用の有用性の実証を目的として、HTTRと水素製造システム(メタンの水蒸気改質:CH+HO=CO+3H)との接続技術の開発を進めている。HTTR水素製造システムの製作の前に、システムの特性把握,原子炉に対応した運転・制御技術の確立,HTTR水素製造システムの安全審査・設工認に必要なデータの取得を目的として実規模単一反応管試験を計画し、HTTR水素製造システムの1/30スケールの規模を有する試験装置を完成させた。さらに、今後の試験を行ううえで必要な水素製造能力,制御性等を確認するために、試験装置完成時にHTTR水素製造システムと同条件下で水素製造試験等の機能試験を実施した。この結果、本装置の水素製造能力は設計値110Nm/hを満足する120Nm/hであった。また、起動時におけるヘリウムガスの熱外乱を蒸気発生器で緩和することにより、原子炉戻りヘリウムガス温度に相当する蒸気発生器出口へリウムガス温度を設計値である10C以内に制御できた。本報では、機能試験の結果について述べる。
高松 邦吉; 片西 昌司; 中川 繁昭; 國富 一彦
日本原子力学会和文論文誌, 3(1), p.76 - 87, 2004/03
日本原子力研究所では、高温ガス炉を用いた電気出力約300MWのガスタービン発電システム(GTHTR300:Gas Turbine High Temperature Reactor 300)の設計研究を行っており、その一環として、RELAP5/MOD3コードをもとに高温ガス炉システム全体の動特性を解析するためのコード"Code for Numerical Analysis of GTHTR(Conan-GTHTR)"を開発している。このコードは、HTTRで開発しているHTGR用プラント動特性解析コード"ACCORD"のクロスチェックに用いることもできる。そこで、このコードを用いて、HTTRのモデル化を行い、HTTRにおける運転・試験の結果を用いて原子炉系の検証を行った。これらの結果からGTHTR300の安全評価のための動特性解析コードとして使用可能であることを明らかにした。
片西 昌司; 武井 正信; 中田 哲夫*; 國富 一彦
日本原子力学会和文論文誌, 3(1), p.67 - 75, 2004/03
日本原子力研究所では、高温工学試験研究炉(HTTR)の開発経験をもとに、実用高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)の設計研究を進めており、その一環として、燃料棒の構造設計を実施した。2種類の燃料棒構造を考案し、照射中に予想される変形や応力に対する構造強度検討,流路圧力損失,製作性等の観点で比較を行い、成立性を確認した。第一の構造は、燃料棒に支持用スペーサを取り付け流路内での水平方向支持を行うものであり、第二の構造は、燃料棒を装荷する流路の内壁に燃料棒支持用のリブを設けるものである。どちらも構造強度上は成立性があり、圧力損失及び製作性の観点で第一の構造が有利であるとの結論を得た。今回の燃料棒としての構造検討結果と既に報告した被覆燃料粒子の健全性評価結果とを併せて、GTHTR300用の高燃焼度燃料の構造を決定し、その成立性を明らかにした。
中田 哲夫*; 片西 昌司; 高田 昌二; Yan, X.; 國富 一彦
日本原子力学会和文論文誌, 2(4), p.478 - 489, 2003/12
GTHTR300は、熱出力600MWtの安全性の高いブロック型高温ガス炉と約46%の高い熱効率を持つガスタービンシステムを組み合わせた簡素で経済性に優れた発電システムである。本報告では、核熱流動設計の特長と最新の成果を報告する。GTHTR300の炉心は、高性能燃料の適用とサンドイッチシャッフリング燃料交換方式の採用を通じて、わずか1種類の燃料のみで、(1)取り出し平均燃焼度12万MWd/t,(2)燃料炉内滞在時間1460日で稼働率90%以上、など厳しい所期の目標をすべて満足できた。これにより高性能で経済性の高い炉心を構成できることが確認できた。さらに制御棒操作方法を改善して、同一スタンドパイプ内にある制御棒1対の引き抜き価値を0.2%k以下に抑え、最高出力密度をほぼ13W/cm以下、燃料最高温度1400C以下として安全裕度の増加に寄与できることを確認した。
武井 正信; 片西 昌司; 國富 一彦; 泉谷 徹*
日本原子力学会和文論文誌, 2(4), p.490 - 499, 2003/12
我が国では、使用済燃料を再処理し、回収されたプルトニウムなどを有効利用する核燃料サイクルを原子力政策の基本としており、高温ガス炉についても使用済燃料のリサイクルを検討する必要がある。そこで、前処理後のウランを六ヶ所再処理施設で処理することを想定し、GTHTR300使用済燃料の再処理について、技術的成立性及び経済性を検討した。その結果、前処理工程については、燃焼法により被覆燃料粒子を取り出し、回転ディスク式粒子破壊機によりSiC層を破壊し焙焼することによりウランを取出せることが示された。さらに、劣化ウランにより希釈することにより六ヶ所村再処理施設で処理できる見通しを得た。経済性については、前処理施設の概略設計を行いGTHTR300使用済燃料の再処理単価を評価した。その結果、GTHTR300の廃棄物処理・処分単価を軽水炉と同等と仮定して燃料サイクルコストを評価すると約1.32円/kWh,再処理コストは約0.18円/kWhと評価でき、軽水炉と同等以上の経済性の見通しが得られた。
小杉山 真一; 滝塚 貴和; 國富 一彦; Yan, X.; 片西 昌司; 高田 昌二
日本原子力学会和文論文誌, 2(3), p.319 - 331, 2003/09
GTHTR300の発電系設備に対する保守・点検の基本方針について検討し、提案を行った。検討に際しては、機器ごとに運転時の使用環境,構造,材料等を考慮し、機能の維持に支障を来す可能性のある劣化・損傷事象を予測した。特に留意すべき事象は、ガスタービンの動翼・静翼に対する高温クリープ及び熱疲労による割れ及び変形等であり、定期的な開放点検により健全性を確認することとした。なお、動翼・静翼には寿命評価による管理が必要であり、劣化傾向を把握し計画的に取り替えることとした。開放点検の周期は設計上の寿命も考慮すると、技術的には最長6年程度までなら妥当であるとの見通しを得た。そのほか、腐食・浸食が予測される前置冷却器及び発電機冷却ガス冷却器の伝熱管をはじめ、圧力バウンダリ機器には軽水炉の相当の検査を行うこととした。また、プラント運転時には巡視点検は行わず、モニタリングにより機器状態を確認することとした。
稲垣 嘉之; 林 光二; 加藤 道雄; 藤崎 勝夫; 会田 秀樹; 武田 哲明; 西原 哲夫; 稲葉 良知; 大橋 弘史; 片西 昌司; et al.
JAERI-Tech 2003-034, 129 Pages, 2003/05
HTTR水素製造システムの中間熱交換器から下流の水素製造設備を模擬した実規模単一反応管試験装置の機能試験の結果について報告する。本試験装置は、HTTR水素製造システムの水蒸気改質器反応管1本を実寸大で模擬した装置で、熱源には原子炉の代わりに電気ヒータを用いて、HTTR水素製造システムと同じ温度・圧力の条件で試験を行うことができる。試験装置は、平成9年より設計,製作を開始し、平成13年9月に据付を完了した。平成13年10月から平成14年2月まで実施した機能試験において、各設備の性能確認を行うとともに、高温ヘリウムガスを熱源として120mN/hの水素製造を達成して、試験装置を完成させた。また、本報告では、機能試験時に発生した不具合事項とその対策についても合わせて述べる。
清水 明; 加藤 道雄; 林 光二; 藤崎 勝夫; 会田 秀樹; 武田 哲明; 西原 哲夫; 片西 昌司; 高田 昌二; 稲葉 良知; et al.
JAERI-Tech 2003-033, 105 Pages, 2003/03
HTTR水素製造システムのモックアップモデルとして建設した「実規模単一反応管試験装置」のヘリウムガス循環機に付き、2001年度に実施した総合機能試験結果を解析し、その特性を述べた。試験データを解析し、昇温値,電力,昇温値に関する性能曲線を求めた。また、これらの性能曲線を使い「循環機性能予測計算コード」を作成した。さらに、ヘリウムガス供給系主循環設備の全体圧力損失を評価した。ヘリウムガス循環機は、試験において圧力2.7MPa~4.0MPa,流量250g/s~400g/s,昇温値~250kPaの運転が必要となるが、最大入力電力150kW,最大回転数12,000rpm以内という循環機運転制限値内で達成できることが確認できた。
片西 昌司; 國富 一彦
日本原子力学会和文論文誌, 2(1), p.55 - 67, 2003/01
高温ガス炉は、セラミック被覆の燃料粒子や黒鉛の炉心構造物を用いることから、高温に耐えることができ、かつ、異常時の過渡挙動が緩慢であるといった固有の安全性を有している。最も特徴的な事項は、受動的冷却設備のみにより、事故時の炉心の残留熱除去が可能であることであり、これによりシビアアクシデントフリーのシステムとすることが可能となる。原研では、高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)の設計を進めており、高温ガス炉の固有の安全性を活かした安全設計方針を策定した。また、格納容器を設置しなくても、減圧事故やスタンドパイプ破損事故において周辺住民の安全が確保されるとの見通しを得た。本報では、安全設計方針及び安全上の成立性に対する検討結果について報告する。
片西 昌司; 國富 一彦; 武井 正信; 中田 哲夫; 渡部 隆*; 泉谷 徹*
日本原子力学会和文論文誌, 1(4), p.373 - 383, 2002/12
原研では、HTTRの経験をもとに、独自の高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)の設計を行っている。GTHTR300の燃料に課される条件としては、HTTRに比べ出力密度が高いため冷却材への効率的な伝熱をはかること、最高140GWd/t程度の高燃焼度に耐えられること及び経済性を高めるため燃料コストを抑えることなどがある。これらの条件を満たすために、GTHTR300では、HTTRの燃料をさらに改良したものを使用する。この燃料について、高燃焼度における燃料健全性評価と、燃料製作コストを含む燃料サイクルにかかるコストの評価を行った。その結果、GTHTR300で予定している使用条件では、燃料は破損せず健全性を保つこと及びコストの観点でシステムの経済性の目標が達成できるとの見通しを得た。
國富 一彦; 片西 昌司; 高田 昌二; 滝塚 貴和; 中田 哲夫; Yan, X.; 武井 正信; 小杉山 真一; 塩沢 周策
日本原子力学会和文論文誌, 1(4), p.352 - 360, 2002/12
原研では、独自の高温ガス炉ガスタービン発電システム(GHTHR300)の設計研究を実施してきた。GTHTR300は、その早期導入のために、技術的・経済的な課題を低減すべくできるだけ簡素化した設計としている。GTHTR300では、新たに提案した設計上の工夫、すなわち、2バッチ燃料交換を採用した炉心,既存の鋼製原子炉圧力容器,革新的なプラント構成及び横置きのガスタービンユニットの導入により、2010年代において経済的に競争力があると期待される。本論文は、原子炉, 燃料, 炉内構造物及び圧力容器設計に関する独自の特徴、及びGTHTR300の資本費が目標値である200,000/kWeを満足できる予備評価について述べる。本研究は、文部科学省から原研への委託により実施している電源特会「核熱利用システム技術開発」の「高温発電システム」の内容に関するものである。
高田 昌二; 滝塚 貴和; 國富 一彦; Yan, X.; 片西 昌司; 小杉山 真一; 皆月 功*; 三好 保行*
日本原子力学会和文論文誌, 1(4), p.341 - 351, 2002/12
GTHTR300発電系設計では、経済性を高めるため、動力変換機器の高性能化,中間冷却器無サイクルの採用による物量低減を行った。タービンと圧縮機には3次元翼設計により、スラスト力を10kNに低減し、各々93.90%の高ポリトロープ効率を達成し、発電効率45.8%を得た。圧縮機ではサージマージン30%を得た。ターボマシンは横置とし、またダイヤフラムカップリングにより発電機とターボ圧縮機の振動絶縁を行い、磁気軸受負荷容量を低減しつつ軸系振動振幅をISO管理値75m以下とした。熱交換器設計では、小型化・物量低減を行った。プレートフィン型再生熱交換器では1.21.2mmの正方フィンを採用し、温度効率95%を確保した。前置冷却器はローフィン管ヘリカルコイル型とした。本件は文部科学省から原研への委託により実施している電源特会「核熱利用システム技術開発」の「高温発電システム」の内容に関するものである。
武井 正信; 片西 昌司; 中田 哲夫; 小田 耕史*; 泉谷 徹*; 國富 一彦
JAERI-Tech 2002-089, 44 Pages, 2002/11
高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)の基本設計において、プラント全体の経済性向上を図るには、発電コストに大きな比重を占めている燃料費(燃料サイクルコスト)の削減が不可欠である。そこで、GTHTR300を対象に、燃料サイクルコストの評価を行った。高温ガス炉燃料製造について、商用規模での製造実績がないことから、GTHTR3004基の燃料製造を想定し、年間加工量約7.7ton-Uの燃料製造プラントの概略設計を行い、燃料製造コストを評価した。次に、GTHTR300の平衡サイクルを想定して、燃料サイクルコストの算出を行った。燃料サイクルのステージとしてウラン採鉱・製錬,転換,濃縮,再転換・成型加工,中間貯蔵,再処理,廃棄物処理・処分を考慮した。検討の結果、GTHTR300の燃料サイクルコストはウラン採鉱・製錬から中間貯蔵までを対象とすると約1.07円/kWh,バックエンドコストが軽水炉とほぼ同等と仮定し、再処理,廃棄物処理・処分まで含めると約1.31円/kWhとなる見通しが得られた。また、燃料の仕様が変更された場合として、濃縮度10~20wt%,被覆粒子の種類数1~4種類,被覆粒子第一層の厚さ60~90mの変動について検討したが、燃料製造コストへの影響は無視できるとの評価を得た。
小杉山 真一; 高田 昌二; 片西 昌司; Yan, X.; 滝塚 貴和; 國富 一彦
JAERI-Tech 2002-088, 70 Pages, 2002/11
GTHTR300が次世代原子力発電プラントとして相応しい信頼性,経済性を有するためには、保守・点検性に優れていることが必要である。そこで平成13年度に実施した基本設計結果をもとに、発電及びプラント性能に直接かかわるガスタービン,圧縮機,発電機,再生熱交換器,前置冷却器等の保守・点検方針の検討・提案を行った。検討の結果、各対象機器に想定される劣化・損傷事象等を考慮すると、既存の軽水炉発電プラント及び火力コンバインドサイクル発電プラントと比較して、技術的には保守・点検項目の合理化及び点検周期の延長が可能との見通しが得られた。一方で、各機器の設置状況,構造的特徴及び核分裂生成物の付着等の観点から、点検作業を現実的かつ効率的に行うために解決すべき課題を摘出した。提案された点検方針の妥当性確認及び各課題の解決については、今後のGTHTR300設計の詳細化の中で実施していく。なお、本件は文部科学省から原研への委託により実施している電源特会「核熱利用システム技術開発」の「高温発電システム」の内容に関するものである。